両神山+二子山


- GPS
- 07:38
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 2,451m
- 下り
- 2,588m
コースタイム
- 山行
- 6:48
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 7:32
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
池袋4:58-6:48西武秩父 西武鉄道 秩父市応援秩父漫遊きっぷ(往復+バス乗り放題)利用 \1590 御花畑7:18-7:39三峰口 秩父鉄道 \450 三峰口駅7:48–8:50日向大谷口 小鹿野町営バス \400 □帰り 坂本16:28-18:10西武秩父 西武観光バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
日向大谷〜八丁峠 よく整備されている 八丁峠〜坂本 一部不明瞭な箇所あり ピンクテープを参考に 坂本〜二子山 下流域はやや荒れている あとはよく整備されている |
写真
感想
朝4時に家を出て歩き、池袋から西武線の始発に乗る。秩父漫遊きっぷが秩父市応援秩父漫遊きっぷとして割引になっており、秩父まで往復すれば2日間西武バスに乗り放題になるようになっていた。みんな秩父市を応援しましょう。
西武線から秩父鉄道、小鹿野町営バスを乗り継いで日向大谷に8:50着。東京からだと池袋駅4:53発になる電車に乗らなければならなかったこともあり、バスの乗客は7人だけだった一方で、車は30台ほど停まっており、ほぼ満車状態だった。
これから日の入りの17:23まで、使える時間が8:33であるのに対し、コースタイムは12:05、CT比71%の早歩きが要求される。実は逆コースならバスの時間の都合上35分早く登り始められる上、交通費が650円安くなるのだが、両神山を超えるだけなら100%超で良いのと、午後天気が怪しいのとで、それらに対する安心をお金と筋肉で買うこととした。
お金の方は秩父市応援割引分の640円で賄えるなと思ったが、よく考えるとその分は熊谷に本社を置く秩父鉄道と、小鹿野町の財布に入っている。後で温泉にでも入って応援しよう。
□日向大谷〜両神山
両神山荘の脇を通り、鳥居をくぐって登山道に入る。両神神社の里宮に詣でたかったが忘れてしまった。天気は曇り、山の高いところにはガスがかかっている。気分は上がらないが、暑くないのはありがたい。
しばらくは薄川と並行したトラバースが続く。平らで歩きやすい。沢音が近くなってくると七滝沢の渡渉になる。ここで七滝沢コースとの分岐となるが、昨年箱根や秩父を初めとした東日本に甚大な被害をもたらした台風19号の影響で通行禁止になっていた。この後の白藤の滝にも通行を勧めない旨が掲げてあった。
ここから道は斜度を増す。平行する沢にはこれまで多かった灰色の岩に加えて、赤茶色の岩が目立ってきた。両神山はチャートという岩石が侵食に耐えて出来た山であり、沢には上流のチャート帯 から崩れ落ちてきた岩が流されてきているのだ。
しばらくすると、八海山という案内と石仏が現れる。この石仏は大頭羅神王という神様のもので、大頭羅神王は木曾の御嶽山の八海山の大頭羅坊という天狗の分身で、御嶽山の八海山は新潟の八海山と同じ普寛行者が拓いたので八海山と呼ばれているという、なかなかややこしいネーミングになっている。
ここから一旦本流と離れる。また沢が近づき、弘法の井戸で喉を潤すと、清滝小屋はすぐである。
今朝日向大谷発の人をあらかた抜き終わり、宿泊した人が出払った清滝小屋は、束の間の静寂に包まれていた。裏には大きな滝があり、看板は見つけられなかったが、これが清滝だと思われた。30mほどあるだろうか、垂直な一枚岩の表面を水が流れており、そのスケールに圧倒されるのだが、私の写真スキルだと伝えられないのが残念である。
小屋を過ぎたあたりから霧がかかり始めた。斜度は依然として大きく、鈴が坂とわざわざ名前が着いているのも納得である。
尾根に出ても変わらず急な登りが続き、簡単なクサリ場も現れる。黄色や赤色に色づいてきた木々を眺めながら淡々と標高を上げていると、ひょっこりと赤い鳥居が頭を見せる。両神神社の本社だ。
秩父周辺は狼信仰が盛んであり、ここもその例に漏れず狼を神の使いとして祀っている。狛犬はどちらかというとネコ科の顔をしているが、ここの狛狼はちゃんとイヌ科の顔をしている。個人的に狼が好きなので大変ありがたい。
この付近は両神山には珍しくとても平らで歩きやすく、快適な尾根歩きができる。いつの間にか霧も晴れている。山頂直下にまた現れた急登と岩場をこなして山頂にたどり着いた。
□両神山〜八丁峠
山頂からは、西から南西側と南東側を望むことができた。西側には、八丁峠から赤岩峠周辺の峻険な峰々とを始めとした中津川流域の山々が見えた。白泰山の向こうに甲武信も見える。南は木々で見づらいが、和名倉山と雁坂嶺の間から富士山の頭が僅かに覗いていた。南東側は奥に雲取山と、手前に本社の台地がぽっかりと頭を出している以外は、これから行く予定である二子山を含め、綺麗に雲海の下に姿を潜めている。
これまで休憩を取っていなかったため、綺麗に紅葉した木々を眺めながら長めに休憩を取った。
ここから八丁峠までは岩場が連続する難コースとなる。挑もうとする登山者を出迎えるかのように山頂直下から岩場が連続し、たまらずトレッキングポールを仕舞った。
東岳が近づいてくると本格的な岩場ゾーンに入る。とはいえ必要な場所には鎖がきちんと整備されており、恐怖感はそれほどでもない。埼玉県の山のグレーディングはまだないようだが、Cに近いDといったところだろう。
岩と紅葉というのは写真に映え、特に紅葉が始まった頃の緑がまだ残っているころが個人的に好みなので、写真フォルダがそういった写真で潤う。
行蔵峠の先からは北側を望むことができたが、雲にまみれた赤久縄山から日陰山の稜線がなんとか姿を見せているのみだった。
幾度となく岩場を昇り降りし、そろそろ普通の道が恋しくなってきた頃、右側に鉄塔の残骸を認めるとすぐそこが八丁峠である。
ここから尾根を辿ると、これまでとは比較にならないほど難易度の高い赤岩峠へのルートとなる。迷い込まないよう立派な看板にはり紙まで貼られていた。小倉沢方面と坂本・八丁隧道駐車場方面に下りる道の他にも展望台への道があったが、肝心の展望は樹林とガスに覆われて全くなかった。
□八丁峠〜二子山登山口
坂本方面に下り始めるとすぐに駐車場との分岐がある。それ以降は踏み跡がやや薄く荒れたルートになり、和名倉山から秩父湖へのルートを思い出す。上流の方はまだ良かったが、そのうち枝沢の水量が増してくると、それが現れる度に道が崩れており、酷い時には本流の対岸まで迂回を要された。熊除けを兼ねた口笛を吹いて気持ちを保ちつつ、細いトラバースや半ば沢下降のような箇所をこなしたり、何回か道をロストして戻ったりしながら標高を下げていく。
途中猛スピードで斜面を駆け下りていくカモシカや、登山道の脇でのんびりしているヒキガエルと遭遇した。八丁峠から坂本の登山口までに出会った動物は彼らだけだった。
地形図の神社の所には小さな祠と、小鹿野町森林組合の看板があった。このあたりはよく整備されたスギ林で、対岸にはモノレールも見える。畑の記号の場所は石垣が残るのみでスギ畑と化し、かつて人家のあったであろう場所には散らばった家財道具の残骸がスギの枝葉に埋もれようとしていた。
程なくして浄水場の上に出る。林道と合流し、登山口を経て国道に出る。右に進むと坂本集落とバス停、左に進むと二子山登山口方面である。
この時点で14:16、日の入りまで3時間以上あり、天気も持ちそうであることから、二子山に進むことにした。しかし、麓から見ても上は雲の中である。ローソク岩方面から周回しても間に合いそうだったが、ガスの中で道を見失うことを避けるため、民宿登人近くの登山口からピストンすることに決めた。
車道を歩き登山口に近づくと、1組の登山者が下りてきて、付近に停めた車に入るのが見えた。二子山のコースタイムだと普通もう下山する時間だよなあ。何となく後ろめたくなり、そそくさと山に入っていく。
□二子山登山口〜二子山
綺麗なスギ林の中を通る快適なトラバース道はすぐ沢に流され、また渡渉と沢登り混じりの登山道になった。今日はこういう道が多くて気が滅入る。
沢には白い岩が目立ち、二子山が両神山とは異なり石灰岩の山であるということを実感する。隣の叶山や白石山では採掘が行われていたが、幸運なことに(?)、二子山は現在までその手を逃れている。
二俣で沢はグンと水量を落とし、道も徐々に斜度を増す。つづら折りの広葉樹林帯になると、ほどなくローソク岩との分岐を経て股峠にたどり着く。小休憩を取り、いらない荷物をデポして西岳に取り付いた。
一般コースと上級者コースの分岐は分からず、気づくと一般コースを進んでいた。途中出会った親子に「上級者コースっていうのがあるんですよね」と聞かれたが、「そうらしいですね」としか答えられなかった。しばらく大岩の基部をトラバースし、急斜面に取り付くとあっという間に山頂付近の尾根に出た。
両神山や麓から見て予想はしていたが、視程50mほどの見事なガスりようである。西に伸びる細い岩稜がガスの中にぼんやりと浮かび上がり、良い絵になっている。シャッターチャンスを狙いながらしばらく休憩した後、山頂を後にした。
□二子山〜坂本
ややガスが晴れてきたため、上級者コースとの出合から一つ隣の岩峰から東岳が見えないかと思って登ってみたが、そんなことはなくただ白い空間に吸い込まれていく岩稜が見えるだけだった。気を取り直して一般コースを戻る。
この時点でかなりコースタイムを巻いており、頑張れば1本早いバスに乗ることができそうだった。股峠の時点でかなりギリギリで、コースタイム60分のところ残り30分であった。
腕時計を何度も見ながら駆け下りるが、沢沿いの足場の悪い箇所では慎重にならざるを得ず、なかなか思ったように進めない。
登山口の時点でコースタイム20分に対してあと9分。坂本へ下るのに、何となくそれっぽいからと下ったのは間違った下り口だったようで、かなり歩きづらかった。途中で普通の登山道と合流してからは走れるくらいの道になった。あと4分でまだ登山口から1/3しか進んでいない。急げ!
道はすぐに集落の中に出る。コンクリートの舗装が膝に響く。農作業の手を止め怪訝な目を向けるお爺さんを横目に全速力で駆け下り、途中道を間違えながらバス停に着いたのは発車10秒前だった。
小鹿野町役場で乗り換えて西武秩父駅に着く頃には、あたりは真っ暗だった。1本後のバスだとまだ坂本にいることになっている。暗い中、汗で冷えた体で2時間スマホをいじり続けるのは心細かっただろう。頑張って下りてきて良かったなあ。
祭の湯に入ろうとしたら、入場制限をしているようで行列が出来ていた。秩父市を応援するつもりだったが、疲れ切った体で立ったまま順番を待つのは気が重い。気持ちだけでもと駅前の自動販売機で買った炭酸を手に、秩父を後にした。
結局渡渉で1度ミスをして足は少し濡れたが、雨はパラつくくらいだった。展望は残念だったが、雲海やガスに浮かぶ岩稜なども良い雰囲気で、なんだかんだ満足な山行だった。二子山の東岳やローソク岩方面は登り残してしまったので、晴れているときにまた改めて訪れたい。
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