7歳児と雨を避けてゆくキノコとトリカブトの茅ヶ岳
- GPS
- 05:21
- 距離
- 6.8km
- 登り
- 778m
- 下り
- 761m
コースタイム
天候 | 晴れのちくもり 東京も八王子も大月も雨とくもりだけど甲府盆地には晴れ間がありました |
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過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
稜線コース:濡れもなく良好。地図によってはバリエーション扱いだが、整備は行き届いている。ただし、合流地点から少し下、大きな岩のあたりで軽く道迷いしそうなところが1箇所あり。 女岩コース:雨上がりゆえ、かなりウェット。山頂近くは岩がちで、濡れたところがひどく滑る。土のところでも水が出ていてぐちゃぐちゃだったり。雨のあとに行くなら稜線コースのほうがよさそう。 |
その他周辺情報 | 武田乃郷 白山温泉 露天風呂から茅ヶ岳と金ヶ岳が真正面に見える。今日登った山を見ながらお風呂に入る、という贅沢感。茅ヶ岳に登ったなら、ぜひここに。 ※コロナ対策で休憩室などは全部閉鎖(10/11時点) |
写真
感想
息子の学校が秋休みだという。土日と合わせて4連休だという。
これはとうちゃんも休むしかない、4日のうち2日は山にいこう!
と思っていたら台風14号ですよ。もうずっと雨。
体育館に行ったり科学館に行ったりしたけど、そんなことするために上司に頭下げたわけじゃないのよ!
しかし、この台風は予想外にも南に進路を変えた。日曜日の雨雲予想図では、雨雲は南にあり、東京は覆っているが山梨のほうまでは伸びていない。
高尾山が! 大菩薩嶺が! 笹子雁ヶ腹摺山が! 雨雲を止めてくれるはず!
そう考えてレンタカーを予約、山梨に向かうことにした。
***
日曜日。
東京は小雨である。
山梨はからっ晴れだと自分に言い聞かせてオニギリをつくり妻子を起こす。
・大月秀麗富嶽のラスボス、小金沢山
・富士山がよくみえる杓子山
・軽く登れる石割山と忍者らんど
あたりを考えてみる。まあ、雨なら秋山温泉に行くかな、、、
レンタカーで中央道を進む。八王子は雨。大月はどんより曇り。たぶん富士吉田方面、南に向かっても厚い雲があるだろう。ならば、北だ!
長い長い笹子トンネルを抜けると、、、晴れてる! 甲府盆地の南東側の山塊で、雲がせきとめられていた。この賭け、とうちゃんの勝ちや!
ということで急遽、茅ヶ岳にのぼることに決定。韮崎インターで高速を降り、ガソリンスタンドを探してさまよったあと、深田記念公園駐車場に到着。ここから登ってゆく。GS探しのせいで時間をロスしたことから「登り切れるのか」と心配する妻、余裕の息子。
駐車場奥からしばらく砂利道を歩く。ガーデンつきの民家があり、妻が「こんなところになぜ住めないのか」などとつぶやいている。息子は持参したポヘーって音の鳴る笛を吹いている。んーまあも少し山の中でやろうか。
登山口には入山届のポスト。書いているすきに妻と息子は先に進んでいる。なかなかの非情である。
大きめの石がまじる道、かなり平坦。両脇の森にはたくさんのキノコが生えている。ハナイグチっぽいやつはいただいておくか。
以前よりもキノコ熱がさめた息子だが、紫のキノコをみつけて「これはムラサキフウセンタケにちがいない」などと図鑑も見ずに言い切るあたりはまだキノコ博士だ。あとで図鑑でみたらムラサキアブラシメジモドキなような気もしたが。どちらにせよ名前が長すぎる。
林道に出合ったところで、登山道は二手に分かれる。沢沿いのコースと、尾根をたどるコース。前日まで雨だったことを思えば尾根しかない、と妻が決定する。息子はどちらでもよい。
ほんの少し林道を進むと、尾根コース入口。最初の坂がなかなか急、一気に尾根にあがるようになっている。これはしかたないね、がんばろう。
いちど尾根に載ってしまえば、あとはゆるい登りと軽い急坂、さほどきつくない。岩がごつごつあって、青い花がたくさん咲いている。妻が「このお花、なあに?」と聞いてくる。意を決して「トリカブトだよ」と答える。どうか飲ませないでほしい。
トリカブトと同じくらいたくさん出会えたのが、息子が愛してやまないザトウムシ。今日はなんだか大きな個体が多い。おなかもパンパンである。息子の見解としては「たまごかむしでいっぱいだろう」。断固として前者であってほしい。
半分くらいまできたところで、息子がひとやすみを要求。ようかん休憩とする。
トリカブト咲き乱れ、ザトウムシ行き交う大自然。きのこもたくさん、そしてクスサンのまゆもたくさんある。見どころが多い。道はゆるやかなところと少し急なところを繰り返すように高度をあげていく。
しかし12時をまわったあたりから、息子のスピードが極端に下がる。
「おなかすいた」
腹が減って動けないのだという。たしかにいつもの父子山行だと、息子は12時きっかりに腹をすかせてごはんタイムとなる。たとえそこが湿った谷でも、だ。
しかしこの日は(湿気に)きびしいママがいる。(湿気のある)地面に腰をおろすことは許されないのだ。山頂まであとすぐだから我慢しろ、と言われてしまう息子。ふてくされて、のろのろ進み「おなかすいた」を繰り返すだけのマシーンと化した。
モチベーションを上げるおもしろいものを、メシ以外で提供せねばならない。
ヤッホーしてみようぜ! 大きな声で息子はヤッホー、すると見事に1秒ぐらい遅れて「ヤッホー」が返ってきた。これは面白い、こんな見事なヤッホーポイントは久しぶりだ。ヤッホーしまくり、快適に進む息子。
しかしやはりスピードが落ちてくるので、次なるは
けっこんしてるザトウムシ!(先に行く妻が発見) 息子大喜び。詳しく書くとちょっぴりエグいので省略するけど、人間とちょっと方法が似ているというか、あの、この子たち幸せそうでよかったね! 応援してあげようね!
パンケーキのイグチだよ! 真っ黄色のキノコだよ、キタマゴタケかな? あっオヤマボクチ、やっぱりおもしろい花だね!
など、山のいろいろを次々に見つけながら進む。やっとのことで稜線、千本桜方面からの登山道との合流地点にたどりついた。ここまできたらあともう少し!
ここからはほとんど斜度のない尾根道。息子と妻が大喜びしている。なんと、ヤマブシタケを発見! 初めて見るけれど、ぬいぐるみみたいにフッサフサである。
「あと0.1キロ」の道しるべをみて「あと1キロもあるの!?」と絶望の声をあげる息子、安心しろそれは100メートルって意味だ。小数はまだ知らなくていい、それよりほんとにあとちょっと!
道のむこうに空が広がっている。最後はママとてをつないで、やりました、茅ヶ岳山頂!
展望はさすがに素晴らしく、甲府市方面、またその逆側もよく見える。遠くには雲が多く富士山や南アルプスは見えなかったけれど、それでもじゅうぶん素敵な風景だ。
山頂には3〜4パーティくらい、小学生男子とお父さんの組もあった。そこそこの広さがあるので、きゅうくつではない。
息子にとって、おまちかねすぎたごはんタイムである。まずは恒例の父特製おにぎり、そしてインスタントのフォー。カップカレーうどんやサラミもあって今日は豪華だ。妻が参加するとバックパックがひとつ増えるぶんだけ、いろいろ持ってくることができる。
カップにつくったコンソメスープをおいしくいただいた息子、見事ズボンとシャツにこぼしてビシャビシャに。恥ずかしがる息子を藪に連れて行き着替えさせる。想定よりお湯の残量がなかったことで父母はドロドロの激濃コーヒーを飲むことになった。
午後2時を回った、そろそろ山を降りよう。温泉に入ってほうとうを食べてスーパーで買い物して車で東京に帰る、これを全部やるのだ。
くだりはさきほどの尾根コースではなく、沢沿いの女岩コース。ごつごつした岩の道をおりていく。あまり日が当たらないようで、岩が濡れていてかなりスベる。斜めの岩に足をおくともっていかれる。これは注意しないと、と思っていたところ。
息子が「きょうはとっきゅう? かくえき?」と聞いてくる。爆速モードでおりていいか、ということなのだが、やめれや。頼むからゆっくりにして。
しかしくだりには絶対の自信をもつ息子、すべらない岩をうまく選んでひょいひょいおりてゆく。むしろゆっくりの大人たちのほうがズリってなってる。
こちらのコースは展望にすぐれていて、色づいてきた山々と遠くの甲府のまちが一気に見渡せるポイントが多々ある。
この山の木々も赤や黄色に染まりつつあり、美しい秋の世界、思わず見惚れてしまう。それだけに足元がズルズルなのがどうにも怖い。ついでにそこをハイスピードで降りていく息子もどうにも怖い。どこが「かくえき」なのか。
岩がちのところを過ぎると、今度は踏み跡に水が湧いて流れているというドロドロ地獄。しかしここもハイスピードで息子は駆けてゆく。なぜ泥にハマらないのか不思議だが、彼なりの技術というものがあるのだろう。一方で技術があまりないとみられる妻は後方でキェーだのグァーだのと叫んでいる。山のけもののようだ。
息子と「女岩ってどんななんだろうね」と話しながら歩く。女の子みたいなかたちの岩かな? と、滝のような音が聞こえてきた。道は少し急な岩場、息子はすたすた駆け下り、僕もなんとかついていく。
降りきったところにあったのが、女岩……の入り口。周囲の岩の崩落があって立入不可になっている。女岩がなんだかはわからない。しかしさきほどの岩場で固まっている人がいる。妻だ。ビャーとか言っているが、どうかがんばってほしい。このとき、初めて気がついた。妻は下山が苦手だ。
女岩を過ぎると、道は一気になだらかになる。沢跡のような、石がごろごろした道だが、もう急降下はないようだ。
こういうところでもスピードを出せることを見せたいのだろう、息子がまた特急モードになる。親としては、石にけつまづいて石に頭をぶつ、といういやな未来予想図が浮かぶので止めるわけだが、そんな制止など効くはずもない。むしろ、「ママをおいてかないであげて」のほうが心に響くようだ。
あとはのんびりした秋の森歩き。サンショウの実が赤くなっている。先日、安曇野のペンションで僕はこれを妻に謀られてうっかり食べていた。口の中が壮絶にビリビリになり、悶絶する。そんな話をしたところ、息子は言う。「つぎはママのばんだね!」 そうだね! おひとつどうぞ!
どこまでも赤いマムシグサの実や、たくさん生えている食べられなさそうな小型キノコなど、秋の景色をめいっぱい味わって、駐車場に到着。おつかれさまでした。
小さな台がしつらえてあり、手作りジャムが並んでいる。ぶどう・もも・ブルーベリー、すべて地元の果実使用。ひとつ350円で3つなら1000円。息子は当然「みっつぜんぶ」というが、この内容とこの値段でこれは安過ぎる、オーケー3つとも買おう。
駐車場のわきの木からアケビがぶら下がっていたが、高くてとれない。無念な気持ちをおさえて、温泉へ。
茅ヶ岳から韮崎のまちをはさんで反対側にある武田乃郷 白山温泉に行く。源泉掛け流し、空いてる、といろいろ最高だが、なんといってもさっき登ってきた茅ヶ岳を眺める露天風呂が最高すぎた。
山梨まできたからには、ということで息子の愛するほうとうを夕食に。そしていちやまマートでお買い物、とやりたいことを全部やって東京へ。疲れたけれど、充実の秋の日だった。トリカブトを妻が持ち帰っていないかはまだ調べていない。
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