烈風の爺ヶ岳を乗り越え、念願の鹿島槍ヶ岳へ
- GPS
- 45:26
- 距離
- 20.6km
- 登り
- 2,494m
- 下り
- 2,511m
コースタイム
2日目:幕営地4:45〜9:20爺ヶ岳〜11:45冷池山荘12:45〜14:25鹿島槍ヶ岳〜冷池山荘16:05
3日目:冷池山荘4:40〜10:20扇沢出合駐車場
天候 | 27日 吹雪 28日 曇りのち快晴(朝は暴風) 29日 晴れ時々曇り(強風) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
この時期にしてはめずらしいドカ雪。扇沢から積雪20cm程度。途中膝程度のラッセル箇所多数。ただし帰りは融けてぬかるんでました。 爺ヶ岳はいきもかえりも強風。鹿島槍は特に危険箇所なかったです。 以下写真 stk:Nikon D600 AiAF Zoom-Nikkor f/3.5-4.5D 18-35mm IF-ED t-kinjou:Nikon1 J1 |
写真
感想
27日〜29日にかけて、越百〜空木の中央アルプス縦走をやる予定であった。プチアルパインを今シーズン中にやりたい思いが強かったからだ。ただ、当日になって鹿島槍に転進を決定。なさけない話だが、ここ数日の仕事具合で体力的にキツそうなのでサブプランに変更させてもらったのだ。木曜は家に帰れなくて準備進まず、、金曜も終電。なんの準備も出来ていない&体力も落ちてる。さらに悪いことに明日の天気は荒れ模様。仙涯嶺の岩場で数ピッチ固まってたらかなり危ないんでないの?という事で、登攀具の重みなくアタックできる鹿島槍にきめたわけだ。北アルプス北部の予報は悪いものの、メインとなる2日目以降は好天が見込める(風はあり)。長年(3年前くらいから計画)の課題であった鹿島槍いってみますか〜〜?という事で扇沢へ。。 結果として危険を回避する「転進」にはなってないです^ 過去最高クラスの疲労ですw
以降感想をポイント毎に。
■運転中にヤマテンメール
「北アルプス猛吹雪でアルペンルート運休してるっぽいですよ」というt-kinjouがヤマテンメール情報を報告。まぁ、うちらは扇沢から登るから関係ないけど、雪が多いのか〜〜。期待とちょっといや〜な気分も。。大町駅を過ぎて扇沢へ向かうと車載温度計がグングンさがっていく。扇沢付近では0度に。&結構な勢いで雪が降っている。GWではなかなか珍しい方か。。現地に着くとまさかの積雪20cm以上!道路もシャーベット状の雪でバスはチェーン走行。まさかこの時期にスタッドレスが役立つとは。。
■激しすぎる雪。。
登山開始すると雪が降っているものの、サルがたくさんいたりしてのんびりムード。13:15にスタートした我々は、適当なテン場目指して登っていくことにした。途中、悪天で引き返す6人くらいのパーティーに出会う。その後3人パーティーを抜き進んでいくが、ますます激しくなる雪に風。強風が吹くと木々の雪がいっせいに落ちて、濃すぎる雪で「グレーアウト」した。。
■厳しい幕営
2100m付近で谷側に雪庇でない、テント泊によさげな斜面があったのでそこを幕営地に決定。深くほって風を凌げるようにする。立派なトイレも作成。
が、、夜中の吹雪と風でひどい目にあった。。テントは横に吹きだまった雪の影響で圧迫を受ける。中で寝ていて、横にズリズリずれるのだ。二人がねるのさえ窮屈な状況。さらにずれるだけでなくシュラフに外の雪の冷気が伝わってかなり冷える。結局夜中に3度ほど雪かきをする羽目になった。
■暴風の爺ヶ岳へ(今回の核心)
翌日は4:45スタート。上がっていくといくつかテントが張られていた。JP直前の9人パーティーとは会話もした。今日もこの強風のままであればアタック中止かもとの事。5張りほどのテントを過ぎ、稜線に出る。すると向かいから対向者が!天候が悪いので引き返されるとの事、この先トレースもないとの事だった。
意を決して、ひとまず冷池山荘を目指すことにする。ラッセルはたまに深いところあるが、それほど厳しいものではなかった。ただ、風がだんだん牙を剥いてきた。。斜度が増すあたりでソロの二人が先行し、その後を追う頃になると耐風姿勢を取るような風が吹くようになる。かつ、それが持続するようになる。ときおり太陽がうっすらと見え、回復傾向の天気を期待させるがそうかんたんには変わらない。結構粘ったが、体も冷えて危険が増えてきたので泣く泣く撤退する事にした。その頃、上にいっていた二人も戻ってきて風が手に負えないので撤退したとの事。
■まさかの撤退から再アタックへ。
2泊3日準備でまさか爺ヶ岳で敗退するとは思ってなかったので、ショック。。雪の斜面を駆け下りるように降りた。
が、この頃5分程度で劇的な天気の転換点が訪れた。上部が晴れてきている。さらに後方を見ると蓮華岳の向こう、槍も見えるようになってきている。さらに西に目を向けると剱も! 太陽が出ている時間が長くなり、風も明らかに弱くなった。t-kinjouと相談し再アタックする事に(勢いよく100mほど降りたのがくやしい。。) 先ほどの二人も再アタックにしたようで、先頭に立ってずんずん進んでいく。コンディション的には登れる状況に回復したようだ。
途中、頂上を満喫し下山する二人とも話し「考えることは一緒ですね〜」と笑いあう。
ただ、我々が頂上に着くとガスってしまったw
■冷池山荘へ
頂上はまだ風が強いので、1分も滞在せず冷池を目指す事にした。今日はこの先いった人はいないようだ。ソロの人とほぼ同時に目指す。雲が切れるとたまに山荘が見えるが、コンディションを考えると結構かかりそうな距離だ。途中、ラッセル+強風でホキ気味だった我々は穴を掘って食料補給することに。70cmも掘って体をサーマレストに横たえると一瞬で安全地帯に。あまりによかったので、カップ麺まで食べてしまった。
その後、トラバースを経てすばらしい雪庇を眺めながら冷池山荘を目指した。
■急遽鹿島槍アタック
12時前には山荘についたが、疲弊したので鹿島槍はあきらめるつもりだった。ただ「夏道よりはやいですよ〜」という小屋の人の話をきき、軽身でアタックすることにした。t-kinjouはここまでのルートでおなか一杯らしく、GPSロガーを引き継ぎピストン開始。風も弱まった上、雲ひとつない快晴となり最高のアタックとなった。順調に進んだので、時間に余裕をもってテント場に戻れた。山頂からの展望は絶景の一言。本当は北峰も行きたかったが、降り口がクラスト+急斜面なのでソロ自重。正直ビレイ欲しいレベルなんで宿題にしました。
■感動のモルゲンロート
翌日は帰るのみ。二人とも30日は出勤なので、さっさと帰る必要があるのだ。とはいえ、好天なのでモルゲンロート撮影は逃せない。昨日見定めた撮影ポイントに、日の出時間に間に合うよう進む。特別に赤く染まった訳ではないが、間近でみるものとしては最高のコンディションでした。寒さを忘れて撮影に夢中になってしまいました。
(いそいだつもりが温泉やら昼メシやらで、中央道のひどい渋滞に巻き込まれ運転時間6h45m。。)
■後立山あらためて気に入った。。
五竜、白馬、唐松くらいしかいってなかったが、鹿島槍にいってみて改めてこの山域の良さがわかった気がする。豪快な雪景色は写真好きの自分にピッタリだ。厳冬期は好天が少ないが残雪期なら楽しめるので、来シーズンも訪れたいです。
■■■編集動画
技術、体力も違いますが、さすがです。
気力がちゃいますね!
いつもながら、素晴らしい写真たち。
特に、41枚目のは、はぁ〜、何とも言えない美しさです。
どうもこんばんはです。
いや〜、疲れましたね。爺ヶ岳厳しかったです。。「天気は回復傾向」を妄信し「後で晴れるはず!」とにらみ進んではみましたが。。7:30くらいに天気が変わるまでは上部は相当風で危険な状態でした。ただ2泊3日でテント装備までしてきているので、単純には諦められず折れた心を再起動させました(笑) 結果は鹿島槍の制覇にもつながったのでよしでしょうかね^ モルゲンロート、ひさびさに感動を味わえました
stkさん、こんばんは。
夫から、「またstkさんたちが過激なことしてる」と聞いて、お邪魔しにきましたが、、、。
なんだか、ビックリ&強烈すぎて、ヘルニアも引っ込みそうです。
過酷な条件の中、本当にお疲れ様でした。ご無事で何より。
本当に美しいモルゲンロートですねぇ。
ごちそうさまでした。
リハビリ、簡単ではないと思いますが頑張られてますね。けど大山、塔ノ岳を回れるとは大分回復したのではないでしょうか?
さて、今回の山行ですが久々の強風を味わう事となりました。過去の強風ベスト3に入るかどうか(敗退多数)というレベルで、キツかったです。事実一度諦めましたし^
ただ天候回復後は念願の鹿島槍(モルゲンロート含め)を堪能できて感動でした。 感動のあまり、最高画質でアップしてます
stkさん、t-kinjouさん、おはようございます。
28日は街でも風が強かったので、アルプスでは相当なも
のだろうなと思ってましたが、やっぱり大変でした
か。でも無事に登頂出来て良かったですね。おめでとう
ございます
最近は出不精(遠出しない)で、剣の予定もキャンセル
しちゃいました。でもこんな美しい写真を拝見すると、
やっぱり行けばよかったかなと思っちゃいます・・
風は強かったですね、かなり。
気温がそれほど低くなくても、体感温度に直撃しますから怖さがありました。鹿島槍、相当あたためていたので達成感ありました〜
それはそうと剣にいく予定あったのですか?
この時期だとどのルートになるのでしょうか?どこを通ってもバリエーションルートになってしまいそうですが^
今年は3月の暑さの後寒さが戻って、雪山が長続きしそうですよね
>この時期だとどのルートになるのでしょうか?
会のメンバーから剣に同行して欲しいと言われていまし
て、出来れば源次郎尾根からという話になってました。
私も行く気になっていたのですが、よくよく検討すると
私1人で2人の面倒を見るのはちょっと負担が大きかった
ので長次郎谷に落ち着きました。
結局、家庭の方の都合がつかなくて行けなかったのです
が・・
凄い山行ですね。どうしたらこんな山行が出来るのか・・・
いつか雪の鹿島槍に行けたらと思いますが・・・ 無理だろうな
素晴らしいものを見せていただきありがとうございました
どちらも魅力的なルートですね〜
剱は一般ルートから1回行っただけなので、ぜひともバリエーションをやりたいと思ってます^
経験を積んだ後は、やっぱり八ツ峰いってみたいですね〜!憧れます^
こんばんは〜
鹿島槍、残雪期であれば難易度は高くないと思いますよ^山としては赤岳より全然安全なくらいです。
好天候が2、3日続く日があればいけます! ただ、それが中々めぐり合えないのかもしれませんが^
今回は初日と2日目前半は天候ダメでしたが、それ以外は登山には丁度いいコンディションでした〜
写真もさることながら、いろいろな判断も素晴らしい山行ですね〜。
最近こんな緊迫した登山をしてないので
緊張感あふれるレコを見て(ちょっとだけ)うらやましくなりました。
残雪の爺と鹿島槍、行ってみたいな〜。
残雪期だと無雪期と同じルートを通るんですか?
夏に鹿島槍に行ったときはガスガスでだめで、
私もいまいちこの山域の魅力が分からないんです。
いや〜写真を何度見ても素敵すぎ!
こんなモルゲンみたらナミダでそう
後半のレコも今から拝見しま〜す。
こんばんは〜
残雪の鹿島槍、自称ヤマ写真ヤには最高の景観でした^ 前半の嵐はよけいでしたが、それがあったから感動も数割増しでしたね^
残雪期(扇沢ルート開通以降)は一般路から途中東に別れ、南尾根にジャンクションピークで合流しそのまま登ります。相当長年の課題だったので、すごく達成感がありましたよ
それはそうと、大峰奥駆道縦走ってスゴいのが目に入りました(100km超!?)。後でじっくり見させてもらいますよ
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