【奥美濃】左門岳〜屏風山
- GPS
- --:--
- 距離
- 24.6km
- 登り
- 1,773m
- 下り
- 1,760m
コースタイム
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【上大須ダム〜左門岳】 ・ 上大須ダムの外周道路は,初めは雪が解けて路面が見えている箇所も多いが,ダムの奥のほうはまだ積雪に埋もれている。根尾東谷川沿いの林道も同様に積雪あり。 ・ 通常,左門岳へは根尾東谷川沿いの林道を奥まで進み,標高点815m付近の支尾根から稜線に上がるが,今回は積雪のある谷の渡渉が煩わしかったため,標高650m付近で谷に下りてきている北東方向の尾根(林業用モノレールが通っている)に取りついた。この尾根は登りやすいものの,稜線まで植林が続き,あまり雰囲気は良くない。 ・ 左門岳付近の稜線上は雪があまり締まっておらず,スノーシューで足首〜スネ程度の沈み込み。 【左門岳〜屏風山(越美国境稜線)】 ・ 眺望は終始良好で,異形のヒノキの巨木がいたるところに立っていて目を驚かせる。細かいアップダウンが続きけっこう脚に来るが,小さなポコは適宜巻くとよい。P1106mより屏風山側は,東側にかなり大きな雪庇が連続しているので注意。スノーシューで足首〜スネ程度の沈み込み。 【屏風山の登下降】 ・ 越美国境稜線の尾根(夏道が付いている尾根)をそのまま登ったが,かなり急峻な雪稜となっている。1箇所,ほとんど雪壁に近い箇所もあり,特に雪が締まっていて硬い場合はピッケル・アイゼンはあったほうが良い(今回は雪が柔らかかったためスノーシューのまま登れたが,それでもピッケルは必須だった)。尾根も痩せており,特に屏風谷側は切れ落ちているので滑落に注意。 ・ 山頂直下はかなり大きな雪庇が出ており,山頂に上がるには雪庇を切り崩す必要がある。 ・ 山頂から真東に出ている小尾根(P1118mのある尾根)は,国境稜線の尾根よりも若干傾斜が緩く歩きやすい。今回,下山時は大事をとってこちらの尾根を選んだ。P1118mから南東に斜面を下って谷の源頭部(大半が雪に埋まっている。谷割れしている箇所から水の補給も可能)を横断すれば簡単に国境稜線に復帰できる。国境稜線の急な雪稜を避けるなら,登りでもこちらの尾根を使う選択肢もあるかもしれない。 |
写真
装備
備考 | ・屏風山直下の登りはかなり急峻なため,アイゼン・ピッケルは携帯したほうがよい。 |
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感想
これといって大きな特徴のない茫洋とした山並みが広がる奥美濃にあって,その特異的にピラミダルな山容がひときわ目を引く屏風山は,西の蕎麦粒・東の屏風と並び称されるほどの奥美濃の名山であるが,積雪期(特に,1〜2月の厳冬期)の登頂記録がほとんど見られない。
その理由は単純で,この山の周囲の主要な道路が全て冬季通行止めとなってしまい,冬季のアクセスが絶望的なためだ。もっとも一般的な無雪期の登路である河内谷林道から屏風谷を経由するルートは,アクセス路である国道157号線が相当手前の能郷で冬季通行止めになってしまうし,その次に距離的に近いと思われる北側の笹生川ダム沿いの福井県道230号線にも,同じく長大な冬季通行止め区間が設定されてしまう。つまり,冬季のこの山域は,屏風山を中心として広大な無人境と化してしまうわけだ。
しかし,山頂が遠のけば遠のくほど,無性に登りたくなってしまうもの。奥美濃きっての鋭鋒が相手とあればなおさらである(あの急峻な尾根は,冬季はどうなっているのだろう?)。もう少し待てば道路の雪解けが進んで自転車アプローチ作戦なども使えるのだが,できれば雪がたっぷりあるうちに登りたい。そこで,もう一つの距離的に現実的なルートとして,除雪が確保されている上大須ダムから左門岳を経由して,越美国境稜線経由で屏風山を目指すことにした。といっても,このルートも往復25劼猟肯垢箸覆襦雪の状態が成否の鍵を握りそうだ。
山行当日は,先週中ごろの冷え込みで降ったらしい新雪が締まり切っていない区間もあったが,概ね快調に進むことができ助かった。しかし,この辺りの越美国境稜線は,嫌がらせかと思うほど南北に冗長なうねり方をしており,屏風山に向かうには河内谷を囲んではるばる迂回をせねばならない。なかなか屏風山が近づかず,随分じらされた。目の前の河内谷に下りてから屏風山に登り返したほうが早いんじゃないか,と何度も思ったが,きつい登り返しで結局時間的にプラマイゼロになりそうなので,さすがに思いとどまった。
ようやくたどり着いた屏風山は,思った通り,美しい雪稜からなる純白のピラミッドとなっていた。そのピラミッドのスカイラインを成す一辺を,ピッケルを突き立て,スノーシューを蹴り込みながら,のろのろと登っていく。登高するにつれて,背後の奥美濃の山並みが,急に立体感を持って怖いくらいにせり上がってくる。最後の急登を越え,のけぞるようにして雪庇を切り崩し,その向こう側に這い上がると,唐突に全方位をぐるりと地平線に取り囲まれて呆然とした。急登に次ぐ急登に追いつめられるように登ってきて,行き止まりだと思ったその一点から,突然,広大な空間に投げ出されてしまったかのようだった。屏風山の山頂だった。
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