戸隠西岳北西稜・西岳沢【初滑降】


- GPS
- 18:34
- 距離
- 26.4km
- 登り
- 2,813m
- 下り
- 2,886m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2021年03月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
※GPSログは谷筋での精度が低く、渡渉点を正確に示していませんので、ご注意ください。また、最後にログが少し切れています |
写真
感想
2年前の4月に堂津岳から見たルンゼが印象的だった。ここを滑りたいと地形図と照らし合わせたところ、西岳の北面であることがわかったが、アプローチが思いつかない。なんせいつも見えている表側とは反対側で全く土地勘が無い。
積雪期では北西稜からの記録が1つ見つかったのみ。今は無くなってしまったようだが、最初に見つけたのは花谷氏のブログ記事で、もしかしたら初登かも?と登ってみたらルート上に古いピトンを見つけた、という記述があり、剱岳だけの逸話みたいで印象的だった。今は「富山起点!楽しい山登り」に同じ記録が和田氏の視点から残されている。これらの記述から、テクニカルな要素は少なそうで、自分でもなんとなく行けそうな気がした。
http://toyamountain.blogspot.com/2016/02/blog-post_9.html
翌シーズンから狙ってみたが、雪が少なくて入山することすらままならず、今シーズンまで持ち越した。2月が良かったが都合がつかず、3月に今シーズンからガイドになった鳴海氏と、やはりガイドの伊藤氏と行くことになった。
<2021/3/14>
初日は1泊2日の予定でゆっくりと入山。鬼無里に来た時には全然雪がなくて転戦も頭をよぎったが、奥裾花大橋から辛うじて雪がつながっていたので行くことにした。世間話をしながら6kmほど歩く。初めて見る左右の崩壊地が良い。
道路から外れて入渓。最初の渡渉点は木を渡った。木曽殿アブキでしばし休憩。本当にこんなところまで兵馬を率いてきたのだろうか、と思うようなロケーション。鳴海はルーフにアックスを引っかけるイメージを膨らませていたようだった。続いて再び渡渉が必要になったが、今度は錆びたワイヤーが出現。「今引き返せば、明日は栂池でパウダーワンチャンあるな」と思ったが、既に鳴海が嬉々としてチロリアンブリッジに取り付いていた。もう行くしかない。その後もルーファイを要したが、無事ブーツを濡らさずにトクサ沢出合にベースを設置した。
予定の北西稜は全然雪がない。シーズン出だしは強い寒気によるまとまった降雪があったが、降り方がコンスタントではなく、特に直近は好天や雨が多かった。トクサ沢は辛うじて雪があり、偵察の結果、尾根に取り付くポイントを確認でき、胸を撫でおろして初日を終えた。
<2021/3/15>
3時起床、4時半行動開始。前日のトレースを辿って首尾よく尾根に取り付いた。しばらくは単調な尾根歩きだが、担いだ板が頻繁に枝に引っかかって辛い。南面は雪がほとんどないため、帰りにハマる心配もあり憂鬱な気分になる。尾根では一箇所岩の短いセクションでロープを出し、その後もトラバースとルンゼ、1958P手前の雪壁でロープを使用。最後は伊藤がリードしたが、不安定な足場と木に付いた雪の処理が大変そうだった。
予定していたよりも疲弊して山頂へ。同ルート下降はありえない。少しだけ期待していた北面の温存された新雪はなく、狙いのルンゼは硬そうだ。が、逆に言えば安定しているので、入る分には問題はナシ。行く途中で氷瀑が出ているのを確認していたが、ロープもある。準備をして滑走開始。ジャンケンで順番を決めようと思っていたが、二人が良いというので素直にファーストを頂く(山行中のジャンケンは全敗)。うん、硬い。短くピッチを切って右に避ける。リグループ。
2ピッチ目で氷瀑の上へ。段差は2メートルあるかないかで飛べそうでもあったが、手前で再びリグループ。山深く、怪我やギアの故障が生じると自力下山できないので、おとなしく懸垂下降した。その後もモナカやアイスバーン、デブリ玉を快適に滑降。途中からハイトラバースで台地に乗り上げ、そこからハイク。思っていたより雪が多く安堵。滑って登り沢を2つ跨いで北西稜1270mコルからトクサ沢へ滑り降りてベースまで。ここが一番のヒャッホーポイント。
帰る前に再び湯を沸かして予備食を食す。もう1泊したい心持だったが、片付けて再び木渡り、堰堤のゴボウ、チロリアン、木曽殿アブキ、カチカチトラバース(スキーブーツがほとんど蹴り込めず、危うく川にドボンするところだった)、木渡り、クロカンを経てダムに下山。まさにマンダム。もう夜だけどどうだっていいぜ問題はナシ。休憩時間を含めて14時間の充実した長い一日だった。
下山後に調べた結果、滑った沢には西岳沢という名があった(登山大系による)。検索したが当然滑降記録は出てこない。この手の話に一番お詳しい御大にも聞いたが、間違いなさそう。これからもう少し調べるが、個人的な感覚としてもここを滑った人はまずいないだろうという印象。もしいたら話が聞きいてみたい。
兼岩記
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人