笈ヶ岳(冬季五箇山から遥かな道のり)
- GPS
- 16:14
- 距離
- 37.5km
- 登り
- 2,614m
- 下り
- 2,614m
コースタイム
- 山行
- 15:32
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 16:14
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
☆林道 ゲートから300mまで道路脇が解けていたので自転車を使えた。 トンネルを過ぎてから開津橋までのデブリは落ち着いていた。 キャンプ場までの林道はデブリが多く、まだ落ちてきそうな雪も多数。 ☆取付からP1290 桂橋を過ぎた沢筋590m地点から取り付く。 下部だけデブリはあるが、そこからは快適なザラメ。 尾根に合流してP1109は巻く。1050m以下は急斜面なので雪が固い時のトラバース注意。 P1290mでシールは剥がす。 ☆P1290mから1210m地点(谷合流地点) P1290mから1250mポコを巻くように鞍部まで滑降する。カチカチ急斜面トラバースなのでシールで下降は危険。南向きの斜面なので雪切れが多い。実際に見てみると尾根上に巨木、巨岩が多く、雪切れが早く尾根上を快適にとはいかない。 鞍部でアイゼンに換装し、1290mまで登ったところで1210mの沢筋にトラバース滑降。急斜面につきクラックが多いので勢いよく行くと危ない。デブリ通過もある。 ☆1210m地点から山頂 1210mの谷合流地点からシールでハイクアップ。1400mくらいからとなりの沢に進路変更。沢自体の斜度は緩いが、両脇の尾根の斜度があり、全層雪崩のデブリがあった。1500mあたりから沢を詰めずに尾根を登る。 主稜線には東側に大きな雪庇が発達している。1660mでシールを剥がし、1610mの鞍部まで速やかに滑り込む。1620mからの稜線にも大きな雪庇があり、アップダウンもあるのでそのまま1580m地点までトラバース滑降し、シールをつけて谷を詰める。1600m地点からトラバース気味に山頂を目指していくとアップダウンがなく効率的に登ることが出来た。 ☆山頂からP1290m 下りは主稜線沿いに滑り込み、1610mの鞍部でアイゼンに換装し、稜線を歩く。危険な雪庇群を過ぎたところで谷にドロップイン。1220m地点から1400mの鞍部を目指し谷筋をハイクアップ。北斜面なのでそれほど雪は緩んでいないので雪崩の心配はなかった。(対岸はデブリあり)1410m地点でシールを剥がし、P1434を巻くように滑降。急斜面は雪切れクラックが多く、進退窮まることもある。 1180m地点で雪切れのためシールをつけてP1290mまで歩く。 ☆P1290mから P1290mでシールを剥がし、滑降。北斜面なので雪はまだ固さがあり快適なザラメ。最後の沢筋は雪が緩んでいるのでストップ雪もある。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
タイツ
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
バラクラバ
日よけ帽子
ブーツ
ザック
ビーコン
スコップ
ゾンデ
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
ガムテープ
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ウィペット
ナイフ
カメラ
スキー板
シール
アイゼン
クトー
ヘルメット
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感想
今日は水曜友の会、コーエーと二人で境川ダムから笈ヶ岳をピクッてきた。このコース三度目だが今日は気温が低く前日雨のため山頂までずっとカチカチ、一瞬たりとも気の抜けない寿命が縮まるような厳しい山行であった。往復36km、16時間の完全燃焼であった。
笈ヶ岳は通常5月頃の残雪期に中宮からジライ尾根経由でピクる場合がほとんどである。境川ダムからのコースは長い林道歩き、難儀なアップダウン、雪庇、雪切れなどどのようなコースを取るか雪の状況で適宜判断して進まなければならない、山スキーの総合力が試される難コースである。
これを最初にトライしたのは今は亡き篠崎Dr、山スキーのパイオニアの一人である。今から11年前に単独で大変な思いをして成し遂げていた。彼は積雪期水晶岳ワンディ、オートルートワンディ、剱岳周回ワンディなど独創的な企画を最初にトライしている。最初に単独で挑戦するという誰も真似できないパイオニア精神の塊であった。
今日は山行中ずっと彼との思い出に浸りながら笈ヶ岳を目指した。同世代で頑張っているガチスキーヤーが少ない中、彼が今生きていれば良きライバルとして切磋琢磨していただろうに残念でならない。
11年前にこのコースを開拓した故篠崎Drの記録
http://junichi.d.dooo.jp/gynealp2/page072.html
前回大笠山の時に、先生から笈か大笠と連絡があり、大笠山と決定した。どちらも難ルートなのだが特に笈ヶ岳は難易度が高いので内心ホッとしていた。大笠山の頂上から先生に笈はあのルートから登るんだよと説明されたが僕の目ではどこから登るんだ?としか思えなかった。そして今回笈ヶ岳と決まった。行く機会はこれを逃すともうないので晴れ予報も出ているし覚悟を決める。入念にルートを見て勉強したがドキドキしながら登山口へ。
雪解けが進んでいるし除雪もあるかと思いチャリも念のため持参したが、ゲート前には雪がある。少し偵察したところ行けそうだということでチャリにまたがり出発。しかし800mほどで進めなくなったのでシール歩行に。雪は固いのでサクサク進んで桂橋まで来た。ここからが本番だ。
谷筋を詰めている時に、このルートはドクターセブンこと篠崎さんが開拓されたルートだよと教えていただいた。篠崎さんに開拓していただき、YSHR先生に同行させていただかなければ登ることもなかったであろう積雪期笈ヶ岳。敬意を表しながら歩いた。
P1290からはその時の状況次第でルートも装備も変わってくるので状況判断能力が問われる。今回は南面が雪切れしていることと、雪面が固く、尾根上に雪がないのでアイゼンで登り、再び滑降して谷筋に合流することとなった。先生から一人だったらどうしてた?と聞かれ、あのワイルドな尾根を見たら撤退ですと答えた。
谷筋に合流するトラバースもかなりしびれる斜面で、尾根を通過するまでその先が見えなく、先は雪切れということもあったので、気が抜けなかった。谷筋に合流するとホッと一息がつけた。どんどん気温が上がりデブリも目の当たりにし、急きょ尾根から登ることとなったが、こういう判断も一人では出来ただろうかと考えた。
主稜線に合流する時も遠目から雪庇が発達していて、僕は切れ間から尾根に登ってしまったほうが安全かなと思ったが、先生は近くまで登ってシールを剥がして鞍部まで一気に滑り込んだほうが安全で速いと判断され、さらにもう一つ先まで行き、シールで登るというルート取りとなった。これなら早いし、アップダウンもないのでかなり効率的だ。実際上から稜線を見るとかなりうねっているし高低差も大きい。雪面は固しシールでは危険、アイゼンでも時間はかかる。いろいろ状況判断を勉強させていただくいい機会となった。
無事登頂を果たすが、帰りも気を抜けない。ここでも状況判断が必要で、アイゼンで稜線を危険地帯が過ぎるまで登り、安全に谷に滑るというルート取りとなった。さらに行きで使った谷筋の合流のトラバースラインは危険なので稜線に登り返し、安全に行くというルート取りになった。こういった判断も行きの時点で入念に下見されていたので出来ることだと勉強になった。
今回シールの着脱が多いのでメンテナンスをしっかりしていたため、無事最後までトラブルなく使うことが出来た。気温が高く濡れることがあったので最後はギリギリで、これ以上だとテーピングで留めなければいけないと思った。最後の登り返しがい終わりあとは滑るのみとなった時も気を緩めず、最後まで慎重に行動し無事桂橋まで帰還出来た。そこで少し安堵した。
今回は本当に色んな経験を積むことが出来た有意義な山行だった。ルート開拓の大変さを思い知るいい機会となった。同行させていただきありがとうございます。
コメント
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YSHR様,route581様,お久し振りでございます。
昨日,仙人窟岳から大笠山まで歩いてきたのですが,笈ヶ岳までずっとスキーのトレースが続いていたので,もしかして…と思いましたが,やはりYSHRさんとroute581さんのトレースだったのですね。かなり際どい箇所もスキーで事も無げに通過されていて,本当にびっくりしました。険しい稜線に延々と続く美しいシュプールに励まされながらの道中でした。ありがとうございました。
hillwandererさん こちらこそお久しぶりです。
笈ヶ岳から大笠を絡めてツボで周回ですか、すんごいですね。ワンディでそんなことを考えるのは誰もいないんじゃないですか、この辺りも庭のように徘徊していますがスキーならいざしらずツボでは想像できないですね。残雪期白山東面含めまたどこかでニアミスしそうですね。
体力ももちろんですが山の知識もすんごいですね。また多くの博学レコでご紹介して下さい。
これからもよろしくお願いいたします。
hillwandererさん、お久しぶりです。
ルートファインディングや状況判断は先生に行っていただいたので登頂することが出来ました。単独だったら1290以降で敗退だと思います。
記録拝見させていただきました。歴史や地形の知識があるとまた違った視点で楽しむことが出来ると思いました。単独であの稜線を踏破されるなんて本当に素晴らしい山行だと思います。
YSHR様、お返事をいただき,ありがとうございます!御返信が遅れてしまい,申し訳ございません。
知識面はほとんど他HP様の受け売りでして…(^^;
YSHRさんも,毎週のように新たなルートを試みられていて,本当に勉強させていただいております。今回私はルートをつないだだけですが,新ルートの開拓の方が凄いと思います。先日辿られていた清浄ヶ原から北面台地のルートは,実は私も地図を眺めながら一度辿ってみたいと思っていたルートだったのですが,丸石谷林道の状態が分からず躊躇していたルートだったので,本当に興味深く拝見いたしました。素晴らしいルートですね。
こちらこそ,山でお会いしましたら,何卒よろしくお願いいたします。
route581様、お返事をいただき,ありがとうございます! 1290mから先は,地図からはなかなか想像できない険しさで,本当にルート取りが難しいですよね。雪も固くクラックも多い難しい状況の中,スキーで鮮やかに通過されているのは本当に凄いと思います。route581さんも毎週のようにハードな山行を重ねられていて敬服いたします。山でお会いしましたら,何卒よろしくお願いいたします。
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