鍬ノ峰〜another
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- GPS
- --:--
- 距離
- 5.3km
- 登り
- 612m
- 下り
- 611m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
忘れていたッ!
畑に向かって家を出たところに比呂君から『木偶さん,まだですか・・』と電話。『?? 何だっけ・・?』『鍬ノ峰じゃないですか。みんな待ってますよ!』『JJ,JJJJ!』『(比呂君)ジェジェ(絶句している)』
急遽Uターンして出発点・渋沢の入渓点に駆けつけるとTomさんの指揮で打ち合わせ中。間に合った! 参加者は地元と東京からの子ども8名に保護者3名〜いずれも自分とは初顔合せ〜,スタッフは3名。(Tomさん,ごめん & 比呂君,ごめん)
ルートは前越林道が、鍬ノ峰北北東の1526mピーク付近からほぼ真北に流れる渋沢を横切る地点から渓に入り細い流れに沿って遡上。最後は1526mピーク付近で仏崎からのルート(大町高校ルート)に合流し、残りの標高差100mを登って鍬ノ峰に至る森くらオリジナルのルート。
後半は北面の支尾根のいずれかを地図とコンパスで読みながら前越平へ下ると言う,これも森くらならではの『道なき道』を行く薮漕ぎ山行となる。
沢はV字型の細い沢で水量もなく滝もない。本格的な沢を楽しむそれにはほど遠いが、最後は源流の様相を呈し、水が枯れた斜面を登りつめて稜線に這い上がると言う点でまさしく沢登り。
途中でイワナを追いかけたり、高い木のてっぺんから垂れ下がるフジの蔓に捕まって空中ブランコを楽しいんだりもでき、子ども達の冒険心を満たすには充分なコースである。
子ども達は大都会や近隣の町から頻繁にやって来る森くらの常連が多く、その中には森から山から高瀬川の川床までを自在に駈け廻っているヴェテラン君がいて、当地に関しては時たま参加する自分より遥かに詳しい。
Tomさんや比呂君がそんな風に育ててきたその自然児達が、初体験の都会の子ども達を引っ張ったり、逆に都会からやって来る常連君が地元の子ども達をリードしたりする『森くらワールド』のメンバー達。
V字谷の底には落ち葉が堆積しており、普段の水はその落ち葉に隠れてしまう程度の量なので、ここでは沢の中をじゃぶじゃぶ歩くのではなく流れを避けて歩くことを優先し、リーダーに指名されたヴェテラン君が初めての子や年端もいかない小さな子をリードする。
リーダーは沢の中の足場を探し、後続にそれを示しながら安全に導くことに一生懸命なのだが、沢の中にいるとどうしても近視眼的になりがちなので、スタッフは出来るだけ離れた場所にいて、時々リーダー君の視線を渓全体に向けさせるちょっとしたアドバイスをしたりする。
小さな渓ではあっても土砂の堆積で平らな広がりを見せる部分があった。
そこは典型的な沢型の植相が見られる平地で、すっくと伸びた若々しいサワグルミの一群だけでなく、分厚い土砂の堆積がブナの若木をも育てるまでに扇状地化し、新しい森が出来つつあった。下草のヤマドリゼンマイの群生に混じってわずかながらラショウモンカズラの花が見られる等々・・。
そう言う処では渓から離れてその平坦な所を歩くよう誘導し、スタッフはそう言う平らな場所の成因や植相に関する知識を入れ、また休憩場所としてだけでなく幕営地としても有力である〜数張りのテントを張るに充分な広さがあった〜こと等を話して次の冒険へと誘う。もちろんミズナラの木に熊棚があることも見逃してはいけない・・。
最後の水場で水をしっかり補給するようにと、言ってもすぐには動こうとしない子ども達に、そこでだけは声を少々張り上げて飲める子には飲ませ、ペットボトルにもしっかり詰めさせたが・・,
渓は涼しくて稜線の暑さが想像できないから、山頂を知らない子達は実際に乾いて覚えて行くしかない。
水のない斜面を詰める途中に格好のフジ蔓があった。Tomさんはこういう時のための用意を怠らない人ですぐにノコを送って寄越す。フジ蔓の下を切れば大人がぶら下がっても切れないブランコになる。
大きく揺すって空中に踊り出し、それが絵になる子,カッコ悪くしがみつくのが精いっぱいの子,何回やっても落ちてしまう子,押すことに専念する子etc・・と思い思いに楽しませ、休む子はしっかり休ませて・・。
出発から1時間半で巨大なネズコが目印の稜線に着くと、そこには期待通りのシャクナゲの花があった。
さて、ここかが鍬ノ峰らしいルートとなる。
そもそも鍬ノ峰の名前の由来は、遠くから見ていくつものピークが鍬の刃のように見えることに依るらしい。確かに安曇野の方から見てそう見えなくもないが、鍬の刃と言うのはいささか大袈裟ではないかと思っていた。
が、実際にその稜線を辿るルートを歩いて見ると、鍬の刃の上を歩かされていると言う実感がしなくもない。仏崎のルートはそのようなアップダウンの連続で、前週登った南側のルートが鞍部から山頂までまっすぐ登って行くのと対照的である。尤もどちらも急登の連続である点は同じである。
子ども等はこういう登山ルートを登ることには不慣れのようで20分もしないうちに休む。それではデーターがとれないのでマイペースで先行し、大町高校の標識で後続を待つ。
30分遅れでやって来た集団はここで昼食を摂り、更に30分歩いて登頂。
それまではシャクナゲとネズコの樹林帯で涼しく、花も前週より一段と賑やかで心地よかった道が一変して、頂上直下から遮るもののない草原帯となり、ジリジリと照りつける陽射しに焼かれて山頂では水を欲しがる子が続出。多めに持って来た水も全部なくなった。
山頂からの景観は前週と同じ眠い感じでハッキリしないが、ただ一つ大きな変化があった。それは、爺ヶ岳の南の種まき爺さんが大きく育ってクマさんになり、爺ヶ岳変じて熊ヶ岳となっていたこと・・。
一通り景観を楽しんで下山開始。ここから森くら登山の真骨頂である尾根下りが始まる。
この山行に同行するのは3度目だが、過去2回は東側の浅い渓を飛ばして大町高校の標識のある地点まで戻り、あまりハッキリしない広い尾根を下っていた。
それは前越平からの登山ルートがある尾根なのだが、ルート自体利用者がなく深い笹に覆われて分からなくなっているのに加えて、尾根と渓の起伏が明瞭でなく、尾根を下っているつもりがいつの間にか渓に入り込んでいて、一旦渓に入り込むと密生する笹に逆らって尾根に戻るのは至難の極みで下へ下へと降りるしかなく、降りても問題はないのだが笹薮の深さに難渋するルートだった。
今回,Tomさんは山頂直下から北西に延びる明瞭な尾根を下って前越林道を目指すと言う。ハッキリした尾根なのでその尾根に乗ることが出来さえすれば楽々と下れるはずの尾根である。
全員に持たせた地図とコンパスの出番である。まず地図とコンパスで自分の位置と目標を定め、目標となる山,または大径木を決める。
山が見えていればベストで今回は蓮華岳山頂のやや東(右)が目標方向となる。樹林帯に入って蓮華岳が見えない場合は大径木を目標とし、そこに到達したらまた次の目標を決めてそれを繰り返す。
最初の尾根への取りつき部分のみ西北西方向へトラバるのでそこまでTomさんが誘導し、後は子どもに任せる。
尾根がやせているうちはいいが、少し広くなると間違いやすく、左手の渓が降りるに連れて浅くなって行くので、そちらに釣り込まれそうになるのを後から矯正しながら下る。
幸いこの尾根はすぐ右手の渓との境に落差があるので、その縁のギリギリを歩けばよかった。笹の深さも尾根にいる限りはあまり問題にならず、2度の休憩を挟んで1時間半で見事に前越林道に到達し、山頂から最短の下山コースを開拓する結果となる。ただし、これはあくまでも下山ルートであって、これを下から遡る等と言うことはクマかシカ,イノシシでないとできるものではない。
林道に降りると右手の沢にきれいな流れがあり、咽喉を潤し顔を洗って出発点に向かう。
スタスタと歩いて30分,のんびり行けば1時間近くかかる林道で30頭ものサルの大集団に遭遇。一番大きな奴は道のすぐ傍を動こうともせずやる気満々で『フゥーッ』と荒い息で威嚇してくる。珍しく目の端でこちらを睨んでいるのが分かり、顔を覗きこまないように知らん顔をして通り抜ける。
林道には毎年大きな崩落を繰り返す場所があって現在も通行止め。そこを歩いている間にもパラパラと砂粒が落ちてくるその現場で子ども達を誘導し、17時前に出発点に帰着,終了となる。
終わりに
前述したように、元々前越平からは山頂に至るルートがあり、自分も2度ほどそのルートを登ったことがあるが今は深い薮に覆われており、尾根をまっすぐ登るならともかく何度かトラバるルートなので、そこを正確に辿ることはもはや難しいかもしれない。
『道なんかない方がいい』と言う人もいるが、この一帯はミズナラの巨木が随所に見られ、当然ながら熊の生活痕も濃い所なので、下山路としてだけでなく巨木の森を楽しみながら山頂に至るルートとしてもっと活用されるべきであると考える。
どの道にもそれなりの歴史があり、このルートがどのようにつくられ利用されてきたか、それを知りたいとも思う。埋もれたままにしておくのはあまりにも勿体ない。
下から念入りに探せば微かな踏み跡が残っている筈で、刈払機で笹を刈りながらでないと難しいかもしれないが、何とかして再発掘したいと思っている。
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