【南ア北部 仙丈ヶ岳〜仙塩尾根〜三峰岳〜間ノ岳〜農鳥岳】

- GPS
- 54:29
- 距離
- 37.1km
- 登り
- 3,424m
- 下り
- 4,635m
コースタイム
北沢峠07:31→08:50大滝の頭09:00→09:58小仙丈岳10:14→11:10仙丈ヶ岳11:40→大仙丈岳12:15→伊那荒倉岳14:34→14:42高望池(ビバーク)
7月20日(土) 高望池から野呂川越え,三峰岳,間ノ岳を経て農鳥小屋にて幕営
高望池05:06→05:37独標05:52→06:55野呂川越え07:00→08:16標高2571奪櫂ぅ鵐08:28→09:32標高2760奪櫂ぅ鵐09:48→10:31三峰岳11:07→12:00間ノ岳12:14→13:10農鳥小屋(幕営)
7月21日(日) 農鳥小屋から農鳥岳に登頂後,大門沢を下降して奈良田温泉に下山
農鳥小屋05:03→西農鳥岳05:41→06:22農鳥岳06:47→07:23大門沢下降点07:28→10:15大門沢小屋(昼食)10:40→最初の吊り橋(発電所取水口)12:34→登山口12:58→広河内橋13:29→13:58第一駐車場
| 天候 | 7月19日(金) 晴れのち薄曇り 7月20日(土) 晴れのち薄曇りのち晴れ 7月21日(日) 曇りのち時々晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自宅を0:30に出発。茨城町東ICから北関東道〜常磐道〜首都高〜中央道と高速走行し,3:20甲府南ICから一般道へ。 一般道を約62卅行し,奈良田温泉第一駐車場には4:55着。 コンビニは高速を降りてすぐに何軒かありますが,国道52号沿いの身延町役場手前左側にあるセブンイレブンで最後です。 第一駐車場から05:30発の広河原行きバスに乗車。料金は1,100円(乗車券1,000円+協力金100円)。出発時点で座席の8割が埋まりました。 そのため,800辰曚廟茲砲△訛萋鹵鷦崗譴脳莠屬靴10名ほどの登山者のうち,半数以上は座れずに立ったままの状況でした。 第二駐車場利用のほうが,下山時の車道歩きが10分ほど少なくて済むのですが,バスの混雑を考えると,どちらの駐車場利用が良いのか悩ましいところです。 広河原には50分ほどで到着。広河原発06:30北沢峠行きバスに乗り換えます。料金は荷物料込みで750円。乗車人数に応じてバスの台数は調節されるらしく,このときはバス2台で発車しました。 ◆復路 登山口に下山した後の車道歩きは,第一駐車場まで約1時間(第二駐車場ならば50分)。重荷を背負って疲れた体にはかなり堪えました。 下山後の入浴は,「西山温泉 湯島の湯」を利用しました。入浴料は一人500円。内湯はなく,開放的な外湯が2カ所。貸し切りでした。 ただし,この施設の洗い場にはシャワーがありません。洗い場の前を流れる源泉を汲み,水で薄めて頭や体を洗いました。 中央道の帰路は,相変わらずの渋滞でした。16:30に甲府南ICから高速に入りましたが,高井戸まで約3時間。でもその先は渋滞はなく,21:15には茨城町東ICに到着しました。自宅着は,21:30でした。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
◆ 北沢峠〜小仙丈岳〜仙丈ヶ岳 ・ 北沢峠からの登りは,シラビソなどの針葉樹が茂る樹林帯の中に整備された,歩きやすい登山道です。 ・ 約15分毎に「1合目」,「2合目」と標識が出ているので,ペースが取りやすいと思います。5合目の大滝の頭までは,約20キロのテント装備で歩いて1時間20分ほどでした。ここは,藪沢と小仙丈岳方面との分岐です。ここで10分少々休憩をしました。 ・ 大滝の頭からは直進して小仙丈岳を目指します。6合目を過ぎるとハイマツの中の急登となります。振り返れば甲斐駒ヶ岳やアサヨ峰,鳳凰三山など南ア北部の名峰が望め,南アルプスを登山している実感が湧いてきます。 ・ しばし急登を頑張ると,09:58 標高2,855辰両仙丈岳に到着です。秋空のように爽やかな青空が広がり,夏山には珍しく遠望を楽しむことができました。山頂からは,なんと北アルプスの槍ヶ岳まで見えています。もちろん目の前には目指す仙丈ヶ岳や名峰北岳,その左手後方に富士山。甲斐駒ヶ岳と鋸岳との間には,八ヶ岳の峰々も。素晴らしい展望です。 ・ 小仙丈岳から先は,所々岩場となっていますが,それほど危険な場所はありません。正面に仙丈ヶ岳と二つのカールを望みながらの楽しい稜線歩きです。30分ほど登ると,仙丈小屋方面との分岐に到着。右のトラバースを10分ほど進めば仙丈小屋ですが,本日は小屋には寄らないので,そのまま山頂方向へと直進です。 ・ さらに20分ほど登ると,傾斜が緩み,正面に仙丈ヶ岳の山頂が見えてきます。たくさんの登山者が山頂に立っているのが見えました。カールの淵を右に回り込むように5分ほど歩くと,山頂に到着です。 ・ 山頂には11:10に到着しましたが,周囲にガスは沸いておらず,素晴らしい展望でした。さすがに標高3,032辰了劃困任后K務戮箙暖絛陬岳などの周辺の名山を含め,北アルプス,中央アルプス,南アルプス南部など,名だたる山々が見渡せました。眼下には,藪沢カールとその底に建つ仙丈小屋も。風もなく穏やかな山頂で,30分ほど昼食休憩を取りました。なお,山頂でドコモメール送受信できました。 ◆ 仙丈ヶ岳〜大仙丈岳〜高望池 ・ 11:40 山頂をあとにし,双耳峰である大仙丈岳へと向かいます。ここから先の仙塩尾根には,登山者の姿はほとんどありませんでした。最初は穏やかな下りですが,途中から西側が切れ落ちた険しい岩場の登りとなります。転落に注意! ・ 大仙丈岳の山頂目指して登っていると,目の前に雷鳥の親子が砂浴びをしていました。こちらの姿など気にもせず。しばらく待っていたのですが,いつまでも続けているので,「ごめんね,通るよ。」と声をかけ,登山道を進みます。雷鳥たちもしかたなさそうに除けてくれました。 ・ 大仙丈岳の山頂には,12:15に到着。この先は,窪んだ舟形の二重山稜の地形となり,ビバークできそうな場所が数多く出てきます。また,ハイマツ帯に入るので,風も避けられ,悪天候でもテントさえあれば何とかなりそうです。・ ルートは,ハイマツ帯からシラビソの樹林帯へと変わり,しばらくは緩いアップダウンを繰り返しながら標高を下げていきます。途中,振り返ると仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳の眺めの良いところもありますが,基本,樹林帯の中です。倒木もありますが,歩行に邪魔にならないよう,多くは伐採処理されています。 ・ 大仙丈岳から2時間20分ほどで安倍荒倉岳に到着。そこから8分ほどで高望池に着きました。予定では,両俣小屋まであと2時間半を歩いて幕営するつもりでしたが,この調子では到着は午後5時過ぎになりそう。かなり疲れを感じていたので,ここでビバークすることにしました。 ・ この高望池の西側斜面には,このルートでは貴重な水場があります。斜面を2〜3分下ると,冷たい湧き水が流れていました。ここでビールまがいを冷やしながら,3リットルほど水を補充。これで明日以降も行動できます。 ・ 私がテントを設営してから30分ほどで,北沢峠から一緒だった登山者が到着。同じくここでビバーク。さらに,夕方になってもう一人,テントを設営。都合3張りのテントが建ちました。なお,テント内からドコモメール送受信できました。 ◆ 高望池〜野呂川越え〜三峰岳 ・ 翌朝も晴れ。05:06に高望池を出発し,30分ほどで標高2,499辰瞭班犬謀着しました。晴れていれば,ここからの眺めは素晴らしいです。歩いてきた仙丈ヶ岳からのルートが美しい。また,北アルプスや中央アルプスの山並みも好展望。東側は,北岳から間ノ岳へと連なる稜線の陰が,凄い迫力です。 ・ 独標から先は,またシラビソの樹林帯の中を歩きます。苔やシダと樹木とのコラボレーションが美しいです。1時間ほどで標高2,290辰量醢だ遽曚┐謀着。ここから両俣小屋までは40分の下り。 ・ 野呂川越えは本日のルートの最低鞍部。ここから,標高2,999辰了以岳まで,約700辰里療个蠅本日最大のアルバイトです。 ・ しかしながら,傾斜はそれほどきつくはなく,途中,標高2571奪櫂ぅ鵐箸班弦2760奪櫂ぅ鵐箸2カ所で休憩を取り,3時間半ほどで三峰岳に到着しました。 ◆ 三峰岳〜間ノ岳〜農鳥小屋 ・ 三峰岳の山頂は,本当に眺めが良いです。目の前の間ノ岳はもちろん,南側には塩見岳,北側には仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳など,指呼の下に眺めることができます。 ・ 三峰岳で30分以上ものんびりしたあとは,間ノ岳への標高差190辰療个蠅任后E喘罅ご笋離レ場を登りますが,それほど危険はありません。右手に塩見岳や西農鳥岳などを望みながらの気持ちよいルートです。 ・ 間ノ岳山頂には,12:00に到着。三峰岳からは,53分ほどでした。この山頂は広々していて気持ちよいです。北には名峰北岳。南には,塩見岳や南ア南部の名峰たち。そして南東には,本日の目的地である農鳥小屋や西農鳥岳が素晴らしい眺め。山頂直下には,大きな雪田もあります。 ・ 雪田でビールを冷やすための雪をビニール袋に詰め,12:14に山頂を出発。農鳥小屋を目指します。最初は岩ゴロの急傾斜の下りですが,徐々に傾斜が緩み,55分ほどで農鳥小屋に到着しました。テン場はまだ5張りほどだったので,西農鳥岳を望む良い場所にテントを設営することができました。 ・ もちろんテント設営のあとはビールで乾杯。残雪で冷やしたビールはことのほか旨く,4本も飲んでしまいました。なお,テント内からドコモメール送受信できました。 ◆ 農鳥小屋〜農鳥岳〜大門沢小屋 ・ 翌日は,05:03にテン場を出発。まずは目の前の西農鳥岳を目指します。ガレた急傾斜の登りを40分ほど頑張れば,山頂に到着。山頂からは,北に間ノ岳と北岳の眺めがナイスです。 ・ ここから農鳥岳へは,岩場のアップダウンがあり,少し緊張するところですが,それほど危険はありません。慎重に通過すれば,問題なく歩くことができます。 ・岩場の先はフラットな道が農鳥岳まで続きます。農鳥岳には,06:22に到着。曇っていて眺めはイマイチでしたが,遠望が効いていました。特に,墨絵のような富士山と,南ア南部の山並みがとても印象的でした。 ・ 最後のピークである農鳥岳では,25分も休憩をしました。でもいつまでも居るわけにはいかないので,06:47に下山開始。まるで月の表面のような細かい岩を敷き詰めたような乾いた道を下り,大門沢下降地点には,07:23に到着しました。 ・ ここからが本日の課題,大門沢の標高差約2,000辰硫爾蠅粒始です。この下り,テント装備の重荷では,膝や太股への負担はかなりのものです。朝食をしっかり摂っていなかったこともあり,急な下りに対応できず,途中,休みながらの下りとなりました。 ・ なんとか,大門沢小屋まで下ると,もう,お腹ぺこぺこ。ここで餅入りラーメン1,000円也を食べました。 ◆ 大門沢小屋〜奈良田温泉 ・ 大門沢小屋で一息入れたあとも,奈良田までの下りは厳しいです。いくつもの沢に架かる木の橋を渡り,何度かのアップダウンもあります。とにかく長いです。 ・ それでも,3つの吊り橋を渡れば,何とか林道のある登山口に到着です。 ・ しかしながら,ここからの車道歩きは長いです。約30分で広河内橋に到着しますが,そこから先も30分の舗装路歩き。奈良田第一駐車場に到着したのは,13:58になっていました。 |
| 予約できる山小屋 |
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写真
感想
・ 南アルプス山域は,シラビソやコメツガ,モミなどの針葉樹と苔やシダの繁茂が織りなすその神秘的な森の美しさに加え,標高3,000辰鯆兇┐覽霏腓癖々を繋ぐダイナミックな稜線歩きがとても魅力的で,毎年のようにテント縦走で歩いているエリアです。
・ 私のヤマレコでも,5年前に歩いた「北岳〜間ノ岳〜塩見岳〜蝙蝠岳〜伝付峠」
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-65583.html
3年前に歩いた,「黒戸尾根〜甲斐駒ヶ岳〜早川尾根〜地蔵岳〜ドンドコ沢」や,
「畑薙大吊橋〜上河内岳〜聖岳〜赤石岳〜悪沢岳〜さわら島」
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-71275.html
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-73347.html
昨年秋の「小渋川から荒川岳・小河内岳」などのテント縦走記録を公開しています。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-225848.html
・ それ以前にも,このエリアは歩いており,深南部を除き北部の甲斐駒ヶ岳から南部の光岳までの範囲では,登山地図に記載された実線の縦走ルートがほぼ繋がっていたのですが,唯一未踏だったのが,仙丈ヶ岳から三峰岳へと至る仙塩尾根北部ルートでした。
・ この未踏ルートを歩くことで,縦走ルートの完踏を達成したいとの思いから,今回,このテント縦走にトライしてみました。
・ 初日の仙丈ヶ岳は3度目の登頂でしたが,夏の日の午前11時にもかかわらずガスが沸くこともなく,遙か北アルプスまで遠望できる好天に恵まれ,ラッキーでした。山頂は多くの登山者で賑わっており,皆さんニコニコの笑顔。風もなく穏やかな山頂でした。
・ 仙塩尾根に向かうと,大仙丈岳山頂手前で仙丈ヶ岳からのピストンらしい二人連れに挨拶した以外では,出会ったのは両俣小屋からの縦走者一人のみ。本当に静かな山歩きを堪能できました。特に,シラビソの森とそこに広がる深い緑の苔やシダのコラボレーションが神秘的でとても気に入りました。
・ また,このルートは倒木で歩きづらいとの噂を耳にしていたのですが,ほとんどの倒木は伐採処理されていて,歩行に支障ありませんでした。登山道の手入れをしていただいた関係者の方々に感謝です。
・ 仙塩尾根の独標は,とても展望の良い場所で,オススメです。朝日を受けた仙丈ヶ岳が緑の森を前景に,大仙丈沢カールを従えて屹立している姿は新鮮です。大仙丈岳との組合せもカッコイイですね。
・ 三峰岳は2度目の登頂ですが,本当にここはナイスビューポイントです。特に間近に見る間ノ岳の偉容が迫力です。また,北側は仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳,南側は塩見岳や悪沢岳,西農鳥岳なども遮るものなく望むことができます。
・ 間ノ岳への登頂は3回目となりますが,広く起伏の緩い山頂部は,おおらかで落ち着きますね。山頂直下には遅くまで残雪がありますので,農鳥小屋へと向かうときは,ここで残雪をビニール袋に入れて持って行くと,キンキンに冷えたビールが飲めますよ。お試しあれ。
・ 農鳥小屋は,今月号の「PEAKS」で記事に取り上げられた名物オヤジさんが小屋番をしています。今回も,午後5時近くになってテン泊にやってきた登山者を叱り飛ばしていました。相変わらず元気が良くてなによりです。
・ テン場から見上げる西農鳥岳は実に堂々としていて立派な山です。実際,標高は3,050辰3,026辰稜青山戮茲蠅盥發い里任垢諭小屋側から見れば,圧倒的に西農鳥岳のほうが主峰という感じ。農鳥岳が日本200名山に選定されたのは,奈良田から登っていったときに最初に見える高峰だからでしょうね。
・ 大門沢の下りは,本当に厳しかったです。実は27年前にも,白峰三山をテント縦走してここを下ったのですが,その時も大変苦しい思いをしました。今回も,また苦しかったです。標高差約2,000辰硫爾蠅里Δ繊て辰冒鞍召梁臾臑出合までがきついです。加齢による筋力低下に加え,今回は2日間の疲れのせいか,朝食をしっかり食べられなかったことで,踏ん張りが効きませんでした。ここを下る際は,体調を万全にしておきましょう。
・ それにしても,今回のルートは,私に南アルプスの新たな魅力を感じさせてくれました。仙塩尾根北部ルートの深い森の静けさが何とも言えず良い感じですし,間ノ岳から農鳥岳を越える岩場の縦走もダイナミックです。次回こそは大門沢を余裕で下れるよう,体調管理や体力づくりに取り組んで行きたいですね。
りきまる

















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