雪のない南峰尾根から鹿島槍ヶ岳


- GPS
- 15:20
- 距離
- 19.1km
- 登り
- 2,363m
- 下り
- 2,367m
コースタイム
- 山行
- 14:17
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 15:19
天候 | 晴ときどき曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
南峰尾根は一部を除いて雪がほとんどなく断続的に薮が現れる 種池山荘へトラバースする夏道はまだ雪の中で、通過できるか不明 |
写真
感想
梅雨模様の日が続くがこの土曜は晴れそう。ただ前日が大雨なので、多少雪の状況が悪化しても確実に行けそうな鹿島槍ヶ岳を目指すことにする。
午前1時すぎに柏原新道を登り始めるが、暗闇の中では冬季ルートの南峰尾根の取り付け点がわからない。右往左往したあげく、GPSとにらめっこして一番近そうな所から笹薮の急登を突破して尾根に登り上げた。このときは薮の濃さに辟易したが、そんなに悪くはない選択だったことが後で判明する。
南峰尾根には踏跡があり一安心。が、雪渓が出てくると踏跡は不明瞭になる。明るくなればわかるだろうか、、待ってはいらないので雪渓の先にある薮をまた突破する。もっと雪があれば薮は気にならないのだろう。もううんざりしてきたが、上手く巻いて東面の大きな雪渓に出た。空も明るくなりこれで薮とはおさらばだ、、と思ったが雪渓が切れると今度はハイマツの薮になる。北岳の荒川北沢を遡行したときも詰めはハイマツの薮だったことを思い出す。幸い大した距離ではなく森林限界を越えて岩場に出た。あとは爺ヶ岳南峰まで一直線。風が強くて冷たい。時々振り返るが後続が来る気配は全くない。東側には大雲海が広がっている。
登頂して無人の山頂でひと息つくと、先を目指すか真剣に考える。寒いのは時間が経てば何とかなるだろうが、帰りも薮は避けられないだろう。西面の直下に種池山荘が見えるが、その下の夏道はまだ雪の中に埋まっている。踏跡もなく通れるかどうかは行ってみないとわからないだろう。南峰尾根を戻れば薮でうんざりするが致命的な危険はない。それにまだ朝6時だ。折角ここまで来たのだから予定どおり鹿島槍を目指そう。
決心したら後は進むだけ。誰もいない稜線を中峰、北峰と順調に通過する。雪はほぼなくさくさく進む。今までの苦労が嘘のようだ。北峰の近くにライチョウがいた。羽はもうかなり生え変わっている。
冷池山荘に近づくと発電機の音が聞こえてきた。あれ営業してないんじゃ? と思ったがこの時期は売店だけやっているらしい。雪渓が残る小屋の前のベンチで休憩していたら小屋番のお姉さんが南峰尾根の薮は大変だったでしょう、と声をかけてきた。ここまで完全に無人で、今日初めて会った人だ。
休憩して復活したらいよいよ鹿島槍を目指す。冷池山荘からしばらくは雪渓が続くが相変わらず踏跡はない。昨日は大雨だったので幕営した人もいないのだろう。
いつしか風はやみ気温も上がって歩くのが快適になった。9時半に登頂。周囲はまだ雪山だが、もうすっかり夏の気配だ。誰もいないし30分ほど写真を撮ったりしてのんびりして引き返す。ちょうど後続の人が登ってきた。今日鹿島槍に登頂したのは私とこの方の2人だけだと思う。
冷池山荘に戻るとテン泊の人が数人登ってきていた。しかしその先はまた誰にも会わない。爺ヶ岳まで引き返すが無人である。たぶん登ってきた人がいてももう下山してしまったのだろう。意を決して南峰尾根の下りにかかる。ちょうど鹿島槍でスライドした方も降りてきていて、二人で薮と雪渓を突破しながら降りていった。何とか核心部を通過すると疲れてペースが落ちてきた。そういえば12時間以上の行動は久しぶりだ。3月に火打山北面を滑降したときも12時間はかからなかった。
登りで柏原新道からショートカットした地点まで戻ってきたが、折角だし激薮も嫌なのでそのまま南峰尾根を降りていく。がこちらも意外と大変だった。というか取り付け点は私が想定した場所よりもずっと下だった。すぐに柏原新道に復帰できるつもりだったのに、半薮が延々と続くので足が売り切れてしまった。かなりペースを落としながら何とか取り付き点まで降りる。振り返ってみるが登っているときは全くわからなかった。場所も勘違いしていて現地でも気付かないのだから通過してしまったのは仕方がない。16時半に無事下山。行動時間は約15時間。苦労した分、充実感があふれる一日だった。
コメント
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下りでご同行させていただいた者です。
あの不明瞭ルートを深夜に歩かれるとは恐れ入ります。私は明るくても迷いました(^^;)下りでは本当にお世話になりました。一人だったらかなり不安だったと思います。
大変でしたが充実感ありますね!また何処かでお会いしたらお願いします!
3rotallyさん
いやーマジ大変でしたね。
もうちょっと雪があると想定していたので意気も上がらず、爺ヶ岳で帰ろうかと本気で思っていました。
下りはご一緒させていただいて本当に助かりました。ありがとうございました。
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