三浦半島 大楠山 鷹取山 目指せ雲取山!素人山修行その2
- GPS
- 16:00
- 距離
- 9.8km
- 登り
- 389m
- 下り
- 437m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
見知らぬ町の見知らぬ山に素人が単独山行。全てにビビりまくりです。 ルートは適当です |
写真
感想
さて、賢明な読者の皆様ならば私のハンドルネーム 及び プロフィールに使用している写真
を見てお気づきの事と存じますが、その通り、私は飲み屋を営んでおります。
この時私は山に登ると言う新たな生活習慣、そして雲取山に登ると言う目標を持つことで生活
にグンと張りが出てきておりました。しかるべく仕事にもその影響は出て実に楽しく焼き鳥を
焼いていたワケですが、そんな私の体に異変が。
まずお客さんの注文を忘れる。(これは実は結構ある)
そして2年ぶりにグラスを割る。
さらに4年ぶりに皿を割る。
極め付けは およそ10年ぶりに包丁で指を切る。
職業で包丁を触っている私の包丁使いは、そんじょそこらの主婦のそれとははっきり言って
レベルが違います。キャプテン翼風に言えば「包丁は友達!」と言ったところでしょうか。
一緒に寝ても体を傷つけることはございません。
そんな私が指を切った・・・。 こ、こ、これは・・?
そうです。私の体は疲れがたまっていたのです。
2年以上も運動を怠っていた私が、調子に乗って15キロを超える山歩きを2週連続で
やってしまった。しかも50前のおっさん。
気持ちは高揚していても体はガタガタになっていたわけです。
いくら山歩きが楽しくても、そのせいで仕事に支障をきたすようでは本末転倒も甚だしいこと
です。雲取山は往復で20キロを軽く超す山歩きをしなくてはいけません。そこを目指す私と
しては修行の基本動作として長い距離の山歩きをベースに考えておりましたが、今回は体を
休める意味でよりヌルめの山を探す運びとなりました。
とここで、余談にはなりますが「指を切る」と言う話で思い出した話がありますので紹介
させてください。
これは私のイタリア人の友人パオロから聞いた話。
パオ「イタリアでは指を怪我したら 急いで指をケツに入れろ! と言うんだ」
私 「はあ?! ケツに? 指を? なんで?」
パオ「ケツの痛みで指の痛みを忘れるから」
私 「・・・・」
もし山で指を怪我してしまったら・・・。
この話が皆様の山行のお役に立てば幸いです。
さて、ヌルい山選びで実は私は気になっていた山がございました。
それは私が数日前に購入した私の山バイブルパート2「絶景!日帰り山さんぽ」に紹介されて
いた山です。
鷹取山。三浦半島の付け根に位置する山で139mの標高でありながらその展望は見事で、
しかもクサリのかかったトラバース道や山頂には岩登りの練習場にもなっている絶壁の壁が
あったりで、ド素人のハイカーには聞いただけでワクワクする情報が満載の山なのです。
しかしさすがにこの山だけじゃ物足りないなーと思ってると、
山バイブル1「日帰り山歩きベスト100」にたしか三浦半島最高峰みたいな山が載っていたのを
思い出します。
大楠山。241m 三浦半島最高峰。 こちらも展望がよく、晴れていれば富士山の眺めなども
最高らしいのです。
バス、電車を乗り継いで二山をつないでも時間はかからなそうなので、この二つの山を登る
計画を立ててみます。
さて当日。移動時間1時間くらいのプチ遠征ではありますが馴染みのない町の全く聞いた事も
ない山に出掛けるのはド素人にとってはドキドキとワクワクが入り乱れた冒険旅行となります。
まず京急新逗子駅から衣笠行きのバスに乗って大楠山登山口バス停を目指しますが、バスに乗
ると周りは買い物帰りのおばちゃんばかりで山に行くような恰好をしてる人が一人もいない
のにビビります。さらに10分、15分とバスが進んでも車窓から山のようなものが全く見えず
いつまでも街中や住宅地を走られると「もしかしてバス間違えた・・・?」と不安になり冷汗
が出てまいります。そうすると周りのおばちゃんたちが私を見て、
「このおやじ、山に辿り着く前に遭難してるわ。超マヌケ・・。」
みたいに思われているのではないかと思いビクビクいたします。これだけで結構疲労します。
初心者のみなさんは、近場でも初めての山に行くときはしっかりと経路を調べてから出かけま
しょう。
しかし万が一今回の私のような不遇な環境下に置かれてしまった時のために、状況を打破する
解決策となる私の必殺技を伝授しておきましょう。
私はやおら太ももをさすりだしケダるそうに首や肩を回して疲れている様子をアピールします。
そうです。これが必殺「私は今山から帰ってきたことろです」攻撃です。
私は山から帰って来たとこですから別に間違えてこのバスに乗ってるわけじゃないのですよ、
と恐らくは私を使えないおやじと思っているであろうおばちゃんたちに見せつけてやるのです。
これで安心ですね。
しかし実際は、私の事を見てる人など一人もいないことは言うまでもないでしょう。
そんな私の無駄な杞憂をよそにバスはやがて「次は大楠山登山口」などとアナウンスを
始めます。私は喜びのあまり降車ボタンを連打してバスを降ります。
バス停に着いてもまだ山は見えません。実際の登山口にはここから20分ほど歩かなければなり
ません。
よくもまあこんな離れたところに「登山口」なんてバス停作れたもんだなどと思います。
プチ情報ですが、バス停の前にコンビニがありますが(たしかファミマだったと思います)、
ここはおにぎりやサンドイッチを買うと濡れおしぼりをそっと袋に忍ばせてくれます。
恐らくはハイカーのためのサービスなのでしょうが、心遣いに気持ちが温かくなります。
登山口にはバス停から阿部倉温泉に向かって歩き出しますが、ほぼ一本道に近い経路を進み
要所には「阿部倉温泉こっち」的な看板も立ってますので迷うことはないでしょう。
高速道路を渡り、その高速沿いに左に進んで平作川に突き当たったところが登山口です。
登山口に入るといきなり森の中に入り込んだように薄暗くなり、今までの開けた様子の道歩き
からの様相の変化に驚きます。平作川と言っても源流に近いようで見た目はもう沢です。
その沢には大小様々な倒木や枯れ枝がバッサバサと覆いかぶさり、周りの木々や草たちは私を
捕まえんばかりに枝や葉を私に向かって伸ばしています。
この光景、実は山に入っていれば当たり前の景色なのですが見知らぬ山に山慣れしていない
ド素人が単独でやってきた日にはもはや恐怖以外の何物でもないのでした。
「な、な、なんじゃ ここは・・? 入っちゃいけないトコなんじゃないの・・?」
もちろん周りに人の気配はまるでありません。
それでも富士急ハイランドの「戦慄迷宮」でも歩くように(実際怖くて入った事は無い)
ソロリソロリと進みますと、よく見れば「大楠山ハイキングコース」なる看板やしっかり
踏まれた道が確認できて徐々に腰が伸びてまいります。
沢を沿うように進むとやがて沢を渡り、ここからいよいよしっかりした登りが始まります。
たかが241mの山ではありますが、私は決してこの山をナメてはございません。
なぜならば山バイブル「日帰り山歩きベスト100」の大楠山の紹介文に、「ほどなく急な斜面
をひと登りして尾根上に出ると〜」と言う一文があったからなのです。
初心者の皆さん、前回私は「ガイドブックと実際の山にはギャップがある」と書きましたが
私は更にその見分を深めておりました。
それは山の感想は主観でしかないと言うことです。
ガイドブックを書くために山を歩くライターの方は少なからず初心者ではないでしょう。
むしろ健脚な方が多いはずです。
健脚の方が言う「軽い登り」が実はド素人にとっては命を奪いかねない壁のような斜面で
あってもなんら不思議なことではないのです。
もの凄い健脚ライターが書いた本に、
「富士宮から小ピークをひとつ越えて河口湖に出て、ひと歩きすると青森です」
と書かれていても誰も文句は言えないのです。その人にとって富士山は小ピークであって、
1000キロの距離はひと歩きなのです。
もちろん自分のレベル次第にはなりますが、ド級初心者の方はガイドブックは割増で理解した
方が間違いはないと思います。この頃私はだいたい3割増しくらいでガイドブックを
受け入れると丁度いいカンジでした。
ちなみにこれはこのヤマレコにも通ずるところがあります。
健脚の先輩のレコを鵜呑みにして、「あー、なんだか楽しそー」なんて同じルートをたどる
と寿命を5年縮めるなんてことはザラですのでどうぞお気を付けください。
ですから私はバイブルの「急な斜面」と言う言葉に大変重きを置いていたわけです。
健脚のライターの方の言う急な斜面とはド素人にとって一体どう言うモノなのか?
実際この山はなかなかしっかりとした登りが用意されておりました。
しかし山自体がコンパクトなせいなのか登りの距離は長くありません。
頑張って登って、苦しいーと思う頃に道は緩やかになり、また頑張って登って
苦しいーと思うとまた緩やかになる ような繰り返しで、そのリズムがこの頃の
私の体力に合っていたようで、疲れながらも快適に進みます。
やがて衣笠城址分岐を右にすすみ、ゴルフ場の脇を通って最後はこの山の核心部と言える
2〜300段の階段登りがあり、ヒーヒー言いながら登るとそこはもう山頂です。
山頂は広場のように開けていて大変気持ちいい場所になっております。
売店のような建物もあり、その横に展望台 と言うよりも展望塔と言うべき螺旋階段で
上がっていく塔がありますが、これは風が吹くと結構揺れる代物ですので強風のときは
登れないように施錠されてしまうようでした。
肝心の展望はと言うと残念ながらあいにくの曇り空で期待していたほどではありません
でしたが、それでも海と山とを両方楽しめる景色は気持ちが高揚します。
山頂でおにぎりを一つ食べてから、下山には登って来たのと反対側の前田橋コースを
行きます。
私の記憶では、こちらの道は終始緩やかに下って行く印象の道で実に楽しく進むことが
できました。 しかし私は疲れてくると記憶を失うクセを持っておりますので、もしか
したらちょっとしたアップダウンが2,3あった可能性も高いことを念のためお知らせ
しておきます。
大楠山には私が登って来た道、前田橋コース、衣笠城址から登る道と3つの登山道が
ありますが、下りで前田橋ルートを歩いた印象とレコ等で衣笠城址ルートを見たカンジ
で、ド素人の方が山感を楽しんで登るのならば私の歩いた阿部倉温泉からのルートが
一番楽しめるのではないかと思いました。
前田橋からバスで今度はJR逗子駅に向かいます。
逗子駅までは海岸線を通る爽やかな道で登山の疲れが一気に吹き飛ぶようです。
逗子駅からJRで隣の東逗子駅へ。ここから鷹取山に向かいます。
改札を出て右に進み踏切を渡ると住宅地をゆるやかに登る広い道が長く伸びていますが、
もう右手側には山が見えているので ああ、これに登るのだなとすぐわかります。
5分ほど住宅地を進むといきなり右に鷹取山登山口が現れます。
民家の脇を入っていくカンジの入口です。
登山道に入るとしばらく石を切り出して作ったような石階段が続きますが、これが段差も
低く幅が広く作られていますので歩幅も合わせやすく実に歩き易い。
しかも木々で薄暗くなったその石道は、ほぼ全体が美しい緑色にコケむしていてもの凄く
神秘的な印象です。相変わらず人が周りに全くいない山行ですから、このまま進んだら
どこか魔法の国にでも辿り着いてしまうのではないか なんてファンタジックな気持ちに
なって、疲れてはいてもドンドン足が前に進んでいきます。
ほどなく神武寺の境内にたどり着きますが、ここはなかなか広々としていて立派な釣鐘や
変わった巨木、寺の建物も美しくゆっくり見てまわっても楽しいのではないでしょうか。
ちなみにトイレもございます。
さらに進んで行きますが、ここからの道はいよいよしっかりとした登りとなってきます。
うんうん歩を進めていきますが、それでもところどころ道を少しはずれると景色のいい
大きな露岩に飛び出したりして全く飽きません。
途中には楽しみにしていたクサリ場が。はっきり言って何の危険も感じない場所に鎖が
貼り付けてあるような子供用の遊具的なところではありますが、ド級初心者にとっては
大興奮。ウホウホ言いながら行ったり来たりしてクサリ場を満喫いたします。
この後も鉄塔の下をくぐったりしながら進んで行きますが、もうこのあたりは
「登る」と言う印象ではなく岩でできた山の道を歩く感じです。
テクテク進んで小さな鉄階段を登ると10m~20mくらいの岩壁が点在する
山頂広場に。目の前の大きな岩壁をグルっと回り込むと階段があり、
それを登って岩壁の上に出るとそこが山頂です。山頂は小さな展望台になって
います。東京湾から奥に房総半島が望め、右手に視線を移すと三浦半島の真ん中
に小さな山塊が。一番高く見えるのがさっき登った大楠山かなーなどと思いながら
更に視線を右に送ると丹沢山塊と思われる黒い塊がベロベロっと延びています。
実に気持ちいい!
風に吹かれながらマウントレーニアのカフェラテを片手に一服ついていると一気に
疲れが出てまいりました。山頂から広場まで降りて、真っ直ぐ奥まで進むと
大きな岩を切り出して作った魔崖仏と言う石像があるようですが左手に下山できる
階段を見つけてしまい、疲労により気力を喪失してしまった私はフラフラと階段
を降りてしまいました。
ここから少し大きな通りに出て道なりに進んで行くと追浜駅に辿り着くようでしたが、ショートカットを狙った私は敢えて新興住宅街の中に突進してまいります。
しかし皆様ご存じのように多くの新興住宅地の道は迷路のように入り組んでいるもので、御多分にもれず私もアッと言う間に道に迷います。
すると徘徊(散歩)中のじーさんを発見。声を掛けてみるとなんと親切にも
徘徊(散歩)ついでに途中まで案内してくれるとのこと。10分ほどの道中、
日本の少子化問題 それに伴う地区自治体の高齢化問題を熱く語るじーさんに
私も負けじと絶妙の相づちを打ちながら進み、最後は教えられた道を行き無事に
追浜駅に辿り着くことができましたとさ。じーさん、ありがとう。
大楠山、鷹取山。ふた山ともスーパー低山でありながら飽きさせない山道と見事な
展望を持つ大変素晴らしい山でございました。
わざわざ遠くから来て登るターゲットにする山か、と問われれば正直首をかしげて
しまうところではありますが、近くに出掛けた際にはぜひ散歩がてら登って
いただきたい山です。
次回、我流で山を歩く私の「登り」に変化が。
山修行 影信山 編 お楽しみに
それではさようなら
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