北岳バットレス四尾根
- GPS
- 32:00
- 距離
- 10.6km
- 登り
- 1,783m
- 下り
- 1,780m
コースタイム
5:10芦安 - 6:10広河原 - 8:00二俣 - 9:??bガリー - 11:00四尾根取付き - 16:30北岳 - 18:00二俣 - 18:30白根御池
2日目
7:30白根御池 - 8:45広河原
天候 | 快晴〜曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年10月の天気図 |
アクセス | |
ファイル |
非公開
3479.xls
計画書
(更新時刻:2010/07/28 08:54) |
写真
感想
念願の北岳バットレス。ついにチャンスが巡ってきた。運良く天気予報は快晴。あまりの好コンディションに大渋滞の不安がつきまとう。それはつまり、先日の前穂高北尾根のあの2人組だ。「次のステップはここかと思いまして。」みたいに、自分らの前に2人が現れる気がしてならないのだ。
快晴の南アルプス。朝は0℃近くでさすがに寒い。当初考えていた壁ビバークなんて、やはりありえない。広河原からは早くも、目指すバットレスが遥かに聳える。あそこまで近づくだけでも一仕事だ。
二俣までは単調な登り。風邪で絶不調だというぜんようくんのペースが、自分には精一杯だ。この時点で早くも力のなさを痛感。階段ダッシュ、こいつを来週からはシゴキメニューに取り入れなくてはならない。
二俣付近は色鮮やかに紅葉が燃えている。これほど見事な紅葉は初めてだ。こんな中で登攀できるなんて素晴らしい限り。荷物をデポし、8:15に下部岸壁を目指して出発。デポする荷物はマット、寝袋ぐらいなので大して軽くはならない。相変わらずのロープやガチャの重さがしんどい。
明瞭な踏み跡はテープもあり、そのままbガリーまでつながっていた。bガリーは写真で見た印象とは違い、凹んだ奥にあるため取り付きまで行かないとはっきりしたクラックはわからない。
bガリーの2ピッチはけんちゃんリード。難なく終了。cガリーを横断し、樹林帯を登る。途中にカチを取って登る凍った岩があり、けんちゃんにロープを出してもらう。一発死にモードでの弱さは格別だ。もっと場数を踏まないと・・・。微妙な恐怖感であっさり体が硬くなってしまった。
が、そこから先はいよいよ待望のクライミングゾーンだった。ようやくあのロープ+フラットソール装備の無敵状態に!!いざロープを結べば、ここまでの十分に長いアプローチの疲れも吹き飛んだ。ここまで実に標高差は1000m、普通に中級の山だ。
しばらく先行する予定だったのでここから自分がリード。まずは飛び出た岩をハング気味に越える、ダイナミックなルート。フリーっぽく気持ちよく越えるとやがてビレイポイント。まだまだ伸ばせそうだが先の状況がわからず、まずはピッチを切る。一般的に言われるバットレス4尾根の取付きの手前の2ピッチ、ここが一番面白い部分だったように思える。ここも4尾根扱いしてもいいのではないだろうか?
次のピッチをあっさり乗り越えるといよいよ有名な、あのクラックの4尾根取り付き点。ついにここまで来た!時間は11:00。先行パーティは1パーティ。聞くと彼らは今日、白根御池を4時に出たとのこと。先の渋滞は相当なものだろう・・・
さて、+とも-とも聞く噂のクラック。一段上まではあっさりと登れる。その先、痛いフットジャムに乗らずに手で無理やり引き上げつつ、少しずつ体を上げていく。フリクションを信じてレイバックで登ればもっと楽だったかもしれないが、クラック上部に到達すればその先はあっさりビレイポイントへ。
2Pは印象に全く残らないフェース。ビレイポイントの左から登っていき、上部バンドで大岩の右に進む。
3Pはこれまた印象の薄いフェース。ホールドも問題なく、フリクションを効かせながらスラブっぽく登ったかも。「白い岩のクラック」らしいが白かったかも覚えてない・・・
4Pは、これこそ全く何もない短いピッチ。
いよいよ核心と呼ばれる5P。ここもリードを継続させてもらうことにした。垂直のスラブ状フェース、と書いてあったりするが、垂直はなく、スタンスも意外にしっかりしている。幕岩の桃源郷のフェースのようだ。2ピン目まではあっさり登れる。テラスも広く安全で、落ちても問題なさそうだが、ここから右に抜けるのが簡単らしい。実際に右に逃げようとしたら2人からブーイングが。
なのでそのまま中央突破を試みる。フリーでなら問題ないカチを両手ともとり、もう一手カチを進めて細かいスタンスにフリクション気味に足を乗せる。見えない上端の奥にホールドが見つからなければ、20秒程度で落ちることになるだろう。と思ったら、あっさりとカチ〜ガバな溝が見つかる。これで核心は終了。ここにホールドがあることさえわかっていれば特に問題あるものではない。知らなければ落ちるリスクに耐えつつ頑張るところ。ここがアルパインの難しいところに思える。
その先は左右とも切れ落ちた、高度感抜群の爽快なリッジがマッチ箱まで続く。わざとなのか支点も少なく、存分に高度感から来る不安感を楽しめる。マッチ箱は安定した切れ目、および最上部にビレイポイントがある。先行パーティが切れ目でビレイしていたため最上部でビレイ。ここも高度感抜群で開放感溢れるポイントだ。周囲の岩壁も圧倒的だ。残念ながら日は隠れているが、相変わらず富士山は雲より上だ。
赤や黄色の樹林帯を遥かに見下ろしながら、すぐに鋭いリッジをけんちゃんとぜんようくんが上がってくる。2人同時のビレイは忙しい・・・
次いで懸垂下降。8.2mmはさすがに滑りが良すぎる。ATCガイドでもやや力が必要だ。狭いバンドに降り立つと、既に日は西面に傾いており、4尾根はすっかり日陰の中。いつのまにか空は雲が広がり、しっかりと曇りになっていた。動けずに待機しているのはなかなか寒い。風邪のぜんようくんの容態が不安だ。既に行動食も切らしているし・・・
6ピッチ目は見た目よりは微妙なコーナーのクラックへ。後で見たところ元蕕箸里海函1修慮呂賁撻謄薀垢泙任呂泙世△蠅修Δ世辰燭里覗瓩瓩縫團奪舛鮴擇襦
ここまで来たらこの先も全てリード。7Pはぜんようくんのアドバイスで右のスラブへ。相変わらず幕岩のような細かいカチとスタンス。本によっては-だったようだが、しっかり探せばホールドをつなげていける。
枯れ木テラス付近から最終ピッチ。歩くように登っていくと、岩の切れ目を越えて最後のビレイポイントへ。
その先は大股で岩の切れ目を越え、左上にハナクソをほじりながら登っていくと、いよいよロープモード終了となるテラスだった。緊張が抜けたのか猛烈な空腹感。もう少しでバテそうな勢いだ。ここからの150mは本当に辛い。
細かい樹林帯を抜けて稜線に立つと、唐突に夕日が輝いており、雄大な南アルプスが広がっていた。雲っていたのはバットレス側だけだったのだ。こんなドラマチックなエンディングが待っているとは想像に全くなかった。なんというご褒美!!
16:30、ピークは既に誰もいなかった。頂上を3人で独占。ここでビールでも飲めたらどれほどうまいだろう・・・
デポした二俣までは一時間半。足はガクガクだった。これほど疲れたのはいつ以来か、下りれば下りるほど足に力が入らなくなってくる。二俣からテント場までのわずか20分の水平の歩きですら過酷だった。
翌朝も快晴。豪快な紅葉の向こうにバットレスが聳え立つ。疲れは残っているが、今日は少し下るだけで終わり。これほど気持ちのいい朝があるなんて。朝飯は想像でラーメンを食べたつもりに。
7:30に出発、9時前には広河原。バットレスは遥か向こうの上空に。遠いなあ!よくも一日であそこまで行ったものだ。
初の北岳はバットレスを抜けてきた。全てのピッチでリードもしてきた。これほど満足の行くピークハントは初めてだし、今後もそうあることではないだろう。念願のアルパイン本番は最高の条件が重なり、最高の結果となった。この一年の様々なトレーニングが報われたように思える。自分にとっての大きなひとつの「壁」を越えることができたのではないだろうか?
とはいえ、けんちゃんやぜんようくんと対等に登るにはまだまだ足りない。アルパインはなによりも圧倒的な体力、圧倒的な登坂力が必要だ。それを越えたご褒美に、あの無敵モードとなるクライミングゾーンを楽しめる。登攀技術はフリーと違い、アルパイン初級で求められるものではないのだ。とにかくバカみたいに体力をつけるのが必要十分条件だと思う。
自分はもっと図太さが必要らしい。フリークライマー的な譲り合いの精神は、ここでは無意味だ。逆に命を落しかねない。明日からのトレーニングは、行列への割り込み、こいつを取り入れる予定だ。新装開店のパチ屋への行列に割り込める頃、アルプス3大北壁にアタックしているだろう。
28年前に友達と2人で登りました。まだ女子2人が珍しくて心配してくれたのでは?
同じ日に私たちは、荒川細沢を詰めて、間の岳に行き農鳥小屋テン場で雲海の中の富士山を見また。本当に天気が寄ったですね。
昔の装備は今より格段に重かったでしょうね〜。凄いことです。
うまいこと晴れてくれてよかったですよね。
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