北穂から涸沢岳へ、怖かった。下りは色づいたパノラマルートで


- GPS
- 56:00
- 距離
- 31.4km
- 登り
- 2,087m
- 下り
- 2,078m
コースタイム
2日目 5:33北穂登山口―6:52南稜取り付き―8:05北穂分岐―8:12北穂南峰―8:41滝谷C沢右俣―9:00滝谷第4尾根―9:10最低鞍部―10:28涸沢岳―10:47穂高岳山荘(昼食)11:02―13:20涸沢小屋―13:58涸沢ヒュッテ
3日目 5:39涸沢ヒュッテ―6:58屏風のコル―8:56ナイロンザイル事件の原点―9:20新村橋―9:33徳沢(コーヒータイム)―10:29明神(昼食)10:54―11:36河童橋―11:44バス発車
天候 | 1日目 快晴 2日目 快晴 3日目 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地から涸沢まで、1週間前と比べて登山者の数は大分少ないようでした。 でも涸沢小屋は定員オーバーで、今回は布団一枚に2人という状況でした。 涸沢から北穂まで、1週間前と変わりありません。今回はヘルメットを持参しました。 北穂南峰から涸沢岳まではマル危マークのルート、怖かった。 白出のコルから涸沢ヒュッテまではとくに問題ありませんでした。 涸沢では紅葉が始まりかけでしたが、パノラマルートは秋色に染まっていました。 パノラマルートは細い道もありますが、北穂~涸沢岳に比べれば危険はありません。徳沢までの所要時間も、先週下った横尾を周っての通常ルートより短く、眺めも良かったです。 |
写真
感想
先週北穂に登った際のヤマレコで、涸沢岳とパノラマルートはまたの機会にと書きました。またの機会が1週間後にやってきました。
先週と同様絶好の天気に恵まれ、涸沢に向かいました。徳沢園でひと休みし、ソフトクリームを頂きました。濃厚で固く、これは絶品です。横尾からの道で、休憩している団体さんがいました。ツアーリーダーは何度もお世話になったことのある松本年弘ガイドで、しばしお話しをして先に進みます。本谷橋からの登り、先週は間欠性跛行が出て休み休みの状態でしたが、今回も先週程ではありませんが右下肢が痺れてきます。
涸沢小屋地下の「緑」の部屋18番が今晩のわたしの寝床です。元気にやっているかなと思いながら、テラスで夕食までの長い時間を過ごします。いくら長くても涸沢の眺めは飽きることを知りません。先週より紅葉が進んでいますが、まだ盛りには早いようです。
翌日、北穂への登りは順調です。北穂分岐から南峰に向かいます。南峰稜線に上がると北アルプスの全景が待っています。圧倒的な大展望です。涸沢岳への岩の稜線、本日の核心部分が待ち構えています。しばし絶景を楽しんだあと、意を決して崖をくだりに掛かります。眼下の岩峰に向かって、○印を探しながら岩稜を下ります。忠実に三点支持、四点を確かめてから一点を離し、岩を掴みます。岩峰の左に廻ると涸沢カールが眼下に見えます。涸沢側から滝谷側へ廻ると長いクサリ場が出現。鎖を握り締め、フットホールドを探しながら慎重に降ります。大岩を登り返して一旦涸沢側に移り、再び滝谷側に出ると向かいには笠ヶ岳がデ~ンと構えていていい眺めですが、右下は滝谷C沢が切れ落ちています。吸い込まれそうなので目をそらします。滝谷第4尾根を過ぎると険しい岩稜が終わり、涸沢側へ下るザレた道を滑らないようゆっくりと小股で下り、最低鞍部に降り立ちました。ザックをおろしてひと息ついていると、ザレ道をザラザラと勢いよく下ってくる若者がいます。近寄って来るのを見ると、なんと女の子です。話を聞くと、毎週北アルプスに来ていて、昨日は槍ヶ岳に登り、今朝、南岳小屋から大キレットを越して北穂に登り、今ここにいると云います。明日は重太郎新道を下って帰るそうですが、今日は穂高岳山荘に泊まる前にジャンに寄ってこようかな、と涼しい顔で話すお嬢さん。先に登るお嬢さんを見送って、わたしは慎重に鎖に取り付きます。切れ落ちた岩稜ですが、鎖が連続しているのでまずは安心して登ることが出来ます。涸沢槍の穂先を巻いてD沢のコルへ下ります。ここから涸沢岳へ梯子を上り、鎖に掴まり、足場を選んで登ります。鎖が途切れた場所では、岩に手を掛け慎重に進みます。再び鎖が現れひと安心。おだまきのコルから再び鎖が無くなり、足がすくみます。最後にチムニー状の岩場を鎖に頼ってよじ登り、涸沢岳の稜線に立つと、正面に奥穂・ジャンが飛び込んで来ました。眼下に穂高岳山荘が見え、ほっと胸をなでおろします。涸沢岳山頂3103m、辿ってきた岩の稜線を振り返り、ああ怖かった。
眼下に飛ぶヘリを見ながら白出のコルに降り立つ。穂高岳山荘に入ると、最低鞍部で会ったお嬢さんがいます。どこかで財布を落としたのでこれから南岳まで探しに行くと云う。財布を置き忘れた事よりも、これから南岳まで後戻りをするという言葉に驚かされます。山荘でラーメンを食べていましたが、そのお金はどうしたのかな? 何か少し変だなとは思いましたが・・・。HWさんと云うお嬢さん、記念に山荘の前で写真をご一緒して頂きました。財布、見つかったのかな、人ごとながら心配です。
山荘でうどんを食べてから下山開始。ザイテングラートを下り、もう落石の恐れは無いだろうとヘルメットを脱ぎ、スッキリ。ザイテングラートからのトラバース道、こんなに急で、結構長かったんだ。樹林帯に入るとナナカマドが色付き始めています。来週あたりが見頃かな。涸沢小屋にデポしておいた荷物をザックに詰め込み、本日の宿、涸沢ヒュッテにチェックイン。「お部屋は新館2階のユキザサです。今はまだ誰もいませんのでお好きな布団を選んで下さい」。ユキザサの壁側の布団を確保し、着替え、明日の水を補充し、いつもの如くテラスへ。飲みながらボッとしていると、大阪の森田秀行ガイドに会い、しばしお話しをしました。その夜は布団一枚を確保出来ましたが、相変わらず眠ったのか眠って無いのか、ウツラウツラと夜を明かしました。夜中、左手の甲が痒く、搔きむしっていました。
翌日のパノラマルートは、事前調査で恐れていた程のものではありませんでした。昨日の岩稜に比べれば、高度感がないので怖るるに足らずです。登るにつれ涸沢が下になり、モルゲンロートに染まる穂高が奇麗です。やがて槍も見え始めます。屏風のコルの稜線は、錦糸銀糸、秋が訪れています。コルからの下りは、ザレあり、ガレあり、ゴーロあり。行き交う人はほとんどいません。梓川が眼下に見えますが、なかなか辿り着きません。ようやく新村橋に着き、徳沢に向かっていると、なんとまた松本ガイドがツアー客を引き連れてやってきます。一昨日とは違うまた別のツアーと云うことでした。毎日毎日お疲れさんです。パノラマコースは、先週下って来た道より所要時間は短かく、眺望も良く、少しは緊張する場面もあり、お勧めです。徳沢でコーヒータイム。明神館で天ぷらうどんとナマ大。上高地バス停では丁度アカンダナ行きのバスが出るところ、これに飛び乗って全く待つことありませんでした、ラッキー。
平湯バス停3階の温泉でひと風呂浴びて3日分の汗を流しました。なんだか痒い痒いと思っていましたが、顔、両手、両足、両腕、左肩、背中に、全部で17箇所、虫刺されの跡があります。そのうち3箇所は2個づつ並んだ典型的なダニの噛み跡です。先週も帰ってから左前腕に同様のダニ傷があり、ようやく痒みがとれたばかりなのに。涸沢ヒュッテの布団、要注意です。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が問題となっている時、山小屋だからとは云えダニ対策はしっかりしないといけません。
北穂~涸沢岳、そしてパノラマルートと、1週後に達成出来、大満足です。
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