雨飾山(小谷温泉→雨飾山→小谷温泉)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 14.8km
- 登り
- 1,281m
- 下り
- 1,158m
コースタイム
山田旅館(4:55)→雨飾荘(5:15)→雨飾高原キャンプ場(5:55-6:10)→荒菅沢(7:35-7:40)→雨飾山(9:05)→荒菅沢(11:00)→雨飾高原キャンプ場(12:05)→雨飾荘(12:40)
過去天気図(気象庁) | 2012年05月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
南小谷駅→山田旅館前 \760 雨飾荘→南小谷駅 \810 南小谷→海老名 \4,940 + 自由席特急料金(南小谷〜八王子) \2,310 |
写真
感想
ついに60座目になります。大峰に行きたいと思っていましたが、公共交通機関を利用すると2泊は欲しいところで、スケジュール調整がつかず見送り。1泊で行けるところを探し、恵那山も候補に上がりましたが、残雪のアルプス展望とか、早い時期の高山植物を楽しみに雨飾山を選択。
山小屋はありませんし、麓のキャンプ場はまだ営業していませんでしたので、1日目は無難なところで移動のみ、小谷温泉に前泊。2日目に山頂往復にしました。本来は雨飾温泉へ抜けたいところですしたが、登山道がはっきりしない残雪期のため、行った道を無難に戻ることにしました。小谷温泉の中で素泊で泊まれる山田旅館を予約。単独でもちゃんと泊めてくれました。
日曜日。事情があって自宅を5時前に出発。今回は海老名に車を停めて出発となりました。海老名は2日最大500円という驚くほど安い駐車場があります。相模線、横浜線で八王子へ。中央線鈍行でゆっくり松本へ向かいます。松本で途中下車して早い昼食。そこから大糸線でさらに2時間の列車の旅です。左手のアルプスはまだまだ雪をかぶっています。天気もまずまずで明日の展望に期待が膨らみます。しかし大糸線の駅の多いこと。数えたら南小谷まで32もありました。田舎にしては短い間隔で駅が設けられていますね。
駅を降りるとすぐにバスが来ました。まだ時間は早いですが、駅前に休憩するところもないようなのでバスに乗り込みました。バスはゆっくり山に入って行きます。斜面には新緑が目立ちますが、谷の一部にはまだ雪が見られました。
歴史ある山田旅館は雰囲気たっぷり。チェックインのときに翌朝早出することを話して支払いを済ませてもらいました。ガスが10円いれて使うシステムになっているのは正直感動でした。自炊して、お風呂入ってとにかくゆっくりしました。
さて、翌朝は4時起床。アラーム止めたはずなのになにかが鳴っているような気がして気になったのですが、それは本物の鳥のさえずりであったことが判明。ちょっと情けないですね。
朝食を済ませ、5時前に出発。まずは車道を登ります。雨飾荘をすぎて、さらに奥へ奥へ。地図には近道が書かれていましたが、全く分からずそのまま車道を歩きます。キャンプ場へ到着。立派な休憩小屋があります。極端なことを言えばここに泊まることもできました。ちょっと怖いかもしれませんが。車止まってるかと思いましたがゼロ。月曜はこんなものかも知れませんね。
ここからはいきなり雪だらけです。雪の上の赤い目印に沿って進んで行きます。ごく一部とけたところにミズバショウが。これには美しいとは少し違う何ともいえない魅力がありますね。
木道は橋のところしか見えてなく、一面の雪原を好きなように歩いて行きます。途中、1/11があって、2/11から登山道に取りつきます。登山道に入っても土が見えているのは半分もない感じで、ほとんどは雪の上を歩いて行きます。最初急に登って、すぐに傾斜はゆるみます。ブナの新緑が美しい。といっていられたのも最初だけでした。
荒菅沢手前から、道は沢を詰めていく感じになり、急に右の斜面に取りついて尾根を一本越すのですが、ここが相当の急斜面。アイゼンあってもこわいほどです。生えている木をつかみながら何とか通過。そして荒菅沢に向かって一気に下り、豪快な布団菱を目にします。これに感動できたのも最初だけでした。
荒菅沢から北の尾根への取り付きにかかりますが、赤ペンキで矢印が書いてあるもののとても合ってるとは思えない、ありえないほどの急斜面です。それでも引き返すという頭はこのときはなく、木にしがみつきながら登り切りました。一息しましたが、そこにまさかの雨。ありえねえ、と思いましたがとりあえずカッパ着用。たいした雨ではないので、そこから雪に埋もれた尾根を登って行きます。ところどころ雪がなくなるのですが、すぐに雪。しかも雪のないところからあるところの変化点がどれも異常に急です。この辺から、4本爪は無理なのではないかという頭が少しずつ出てきました。なんとか登りきって主稜線。笹平も写真でみたようなササ原ではなく、ただの雪原でした。
しかも雨飾温泉方面への分岐がどこだかわからないうちに山頂へ着いてしまいました。誰もいないし。楽しみにしていたアルプスも何も見えない。泣き面にハチもいいところで、この辺から雷鳴がしました。すぐに降ります。
あの急斜面を下るのは不安しかありませんが、雨飾温泉へ下るのは降り口から分からない状況なので、ピストンしかありません。笹平はまだましですが、雷鳴があるたびにしゃがんで待機しながらの進軍になります。
いよいよ雪の急斜面にとっかかります。手をつきながら慎重にくだりましたが、恥をしのんで正直に言います。案の定滑落しました。完全に制御できなくて、なにを考えることも出来ずササヤブに突っ込んで止まりました。ショックでしばらく呆然としていましたが、帰らないといけませんのでもう一度心を立直して再スタート。幸い手足に軽い擦過傷があっただけで行動は問題なく出来ます。危ないときは後ろ向きに下るしかありません。また、最低でもストックは必要でした。その後の急斜面は何とか抜け、緩い尾根の下り。何とか雷はおさまってくれました。
さて、ここから荒菅沢へ急斜面を下らなくてはならないのですが、取り付きが分かりません。下に赤いペンキが見えているので、その延長あたりだと思いながらも、踏み跡が見つからない。朝自分が踏んだところが、さっきの雨で分かり辛くなってしまったようです。ここで何往復かして、時間にすれば1時間弱。「遭難」という言葉が少し頭に浮かんだほどですが、やっとのことで取り付きが分かりました。正直下の赤ペンキが見えなかったら相当やばかったと思います。朝通ったことが信じられないような斜面で、とにかくところどころ生えてる木にしがみつきながら半分滑ってる感じで下りて行きます。格闘の末、何とか下り切りました。荒菅沢を渡って、登って尾根に戻って最後の難所を抜けて、やっと生き残ったと一安心。あとは惰性で歩いてキャンプ場までたどり着いた感じです。気づいたら全身びしょ濡れ。その頃には若干日が出て、振り返ったら山頂まですっかり晴れていたのには苦笑いしか出ませんでした。気持ち良い陽気の中雨飾荘まで歩き、そこでのんびり風呂と食事。タイミングよくバスも捕まり、南小谷からは1日1往復しかない「あずさ」に乗ることが出来たので、快適に帰ってきました。
今回は大きな曲がり角でした。装備、準備、精神力全てに反省点がありました。残雪期の山を甘く見ていたと思います。苦い思い出の60座目でした。
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