栂から海へ(開通50周年栂海新道)
- GPS
- 22:40
- 距離
- 39.0km
- 登り
- 2,863m
- 下り
- 4,259m
コースタイム
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 7:04
- 山行
- 8:36
- 休憩
- 1:23
- 合計
- 9:59
天候 | 1日目:雨一時晴れ 2日目:晴れ、強風 3日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所特になし |
写真
感想
朝日小屋に泊まってみたいというjunさんと、今年開通50周年を迎える栂海新道を歩いてみたいという自分の思いを一致させてSW土日月の3連休で栂海新道の朝日岳〜親不知間を歩くことにした。
数日前から発生していた台風が九州と大陸の間に停滞していて土曜日の早朝に直撃しそうな予報であった。
木曜日の予報になると台風は大分南に逸れるが勢力は戻し気味だった。
金曜日早朝あちこちの天気予報サイトを見たところやはり雨風は当たりそう。しかしルート上で風を受けそうなのは吹上のコルから朝日岳周辺と言うことで決行を決めてjunさんに連絡した。
朝日小屋の予約は数日前にも満室で断られていたが、junさんが再度トライしたところ台風の影響でキャンセルが出ていて予約が空いたとの事だった。
電話口の女将さんから自分達が登るルートはキャンセルが出ていないので登山者には出会うだろうとのことであった。
金曜日の業務終了後、山の準備を済ませて待ち合わせ場所の親不知の登山口に向かい、車で就寝すると、翌朝4時前にjunさんが到着し1台で蓮華温泉へ向かった。
女将さんからは蓮華温泉の駐車場が混雑しているから早く行かないとダメだよと言われたが、6時に到着してみるとこちらも台風の影響か20台程度しか停まっていなかった。
小雨混じりのスタートで1日目は我慢と思い歩き出したが、途中から晴れてきたので、2人とも暑いレインウェアを脱いで進んだ。
スタートから下りが長く続いていたが、上りに変わってしばらく歩くと曇り始めてきた。
辺りは紅葉が始まっていて五輪高原の辺りは草紅葉が綺麗でシャジンや綿毛のチングルマ、ワレモコウ、イワリンドウ、ウサギギクなどが残っていた。
スタートから6時間弱で吹上のコルへ到着し、道標に栂海新道の文字を見ることができた。
ここが栂海新道の最高起点となる。
少し前から霧雨になりコルへ上がった瞬間から風も強くなった。
栂海新道を歩くのは明日からで、一旦朝日岳を越えて朝日小屋へと向かう。
辛い朝日岳の登りを終え下り始めると前を歩いていたjunさんがあっ!と立ち止まった。
何事かと思ったら雷鳥達が階段を降りていて、自分たちを道案内してくれているかのようで階段を降りる時に翼をバサバサしながら下るのがなんとも愛らしかった。
ようやく朝日小屋に到着すると、女将さんから濡れたものを拭くようにタオルを手渡され、暖かいお茶も頂き身も心も温まる思いだった。
入口の土間が乾燥部屋になっており濡れたものを干して部屋へと入った。
台風の影響でキャンセルも多いとのことで2人で広々と使わせてもらい、しばらくダラダラしたあと夕食の準備を始める。
小屋に泊まり慣れていない自分は、夕食付きだと3000円upするのに驚き素泊まりで予約をお願いしたが、あとでjunさんからここのご飯は手が込んでで有名なんだよと聞いて失敗したな〜とおもった。junさんには申し訳なかったが、次回は食事付きにしたいと思う。
小屋で買ったビール(700円)を飲みながから、食担のjunさんの調理を待った。
今夜のメニューは麻婆春雨丼だ。junさんは辛い物が苦手なのだが頑張って中辛にしてくれたらしい😂
暖かいご飯に麻婆春雨は美味い!最近のアルファ米はホントに美味しくなったと感じる。
持ってきた焼酎も飲んで気持ち良くなった所で就寝した。
2人とも睡眠不足だったので明け方までぐっすり寝た。
朝4:30ころ目が覚め朝食を取る。夜降っていた雨はすっかり上がっていた。
ここでびっくりした出来事が…💦
出発を済ませたお客さんの部屋を従業員が掃除機を掛け始めた事だった。
普段小屋で早朝に準備する時はなるべく音を出さないのが常識だと思っていたのだが、まさか小屋側からこんな事をされるとは…
しかもマキタのコードレス掃除機を使っててこれが恐ろしい程うるさいのよね…
まあ起きてたので良かったのだが、時間はまだ5時前…朝ごはんは静かに食べたかった(~_~;)
さて、準備を済ませ5:30に小屋をスタートする。
風は強めだが雲は無いので眺望が期待できそうだ。
昨日降りて来た道を戻り朝日岳へと立つと右に白馬、後ろに立山、富山湾、前に頸城三山、高妻山が綺麗に見えた。
風が強いので写真を撮って早々に吹上のコルへと降りた。
さてここからが本番だ。
栂海新道は北アルプスから海抜0へと繋がる道で、糸魚川出身の故小野健さんが中心となり50年前に開通された登山道である。
吹上のコルからは樹林に入るが、そこを抜けると整備された木道が現れ色づき始めた紅葉に池や池塘が見られた。
スタートは晴れていて景色も良く見えていたが長栂山、黒岩山、サワガニ山を歩いていくうちにガスが出てきて眺望はイマイチになっていた。
このころには疲労も少し溜まって来ていてjunさんとは白鳥小屋は諦めて栂海山荘泊にしようかと話していた。
サワガニ山を降りて北俣ノ水場に着いたところで運命的な出会いをした。
男女のペアが水場での補給を終えてテント装備で上がって行くところだった。
話しを聞くと今日は白鳥小屋まで行くとの事で、自分達は栂海山荘までだと思うと伝えてお別れした。
自分たちは行程を考えてテント装備はキツいと思っていたので、それをやっている女性に実際に出会って2人で凄いね〜と話していた。
水を汲み終えて登ろうと歩き始めるが、何だか様子がおかしい。たった2kgしか増えていないのに足が思う様に進まない。
空身で水を汲みに行き来してから2kg増のザックを背負っての急登に入っていきなりの変化によるためだった。
1582pを越えると身体も慣れて普通に歩けるようになったがマジでしんどかった。
犬ヶ岳に着くと先程の2人と再会し少し話しをし元気な2人にまたパワーを貰った。
犬ヶ岳から少し降りて栂海山荘に着くと時間は12時だった。
綺麗な栂海山荘にはまだ誰も入っておらず寝床は選び放題だった。
お二人とは別れて栂海山荘の前のベンチでコーヒーを飲みながからjunさんと作戦会議をする。
2人とも体力、体調、コースタイム、気持ち何れも問題が無いので、あの2人が向かっている白鳥小屋に一緒に泊まろうと決心した。
ここまで6:30掛かっていて、ここからCT4時間の延長となった。
気合いを入れ直してスタートしちょっとしたアクシデントに合いながらも何とか2人に追い付き白鳥小屋に到着した。
それにしても下駒ヶ岳手前と白鳥小屋手前の2段の急登はしんどかった。
小屋泊は私達とこの2人のペア(OさんとAさん)だけで、晩ご飯は1階で一緒に食べた。
お二人はAさんがソロ登山中に知り合いになられたそうで、Aさんはソロでも色んな山に登られてて経験も豊か、Oさんは体力モンスターのような縦走をこなしていて冬山も結構激しくやっている様子だった。
栂海新道に来た理由を聞くと、Aさんが以前から興味を持っていてOさんが誘われて一緒に訪れたそうだ。
自分は2人へ栂海新道が、小野健さんという方が登山会の会員と整備していったことや、今年が開通50周年にあたることなど、新潟日報で読んだ情報の受け売りで伝えると、50周年というのも初耳だったらしく興味深く聞いてくれていた。
すっかり意気投合した4人は次にどこかへ行こうと来年の予定まで計画してしまった。
自分は来年の7月に人事異動が無いことを祈るばかりだ(-人-)
24時頃寝ていたら、枕元に置いてあったゴミ袋からカサカサと音がする。何事かと起きて明かりを当てるが原因が見つからない。
ソイツとの闘いはしばらく続き一時間程した時だった、パッと照らした瞬間にソイツの正体が判明した。
足がながくてでかいヤツ。そうそいつの正体はカマドウマだった。🦗
暗闇の中で見た巨大なそいつは俺にはエイリアンにも見えた。ヤツとの闘いに勝利した俺はようやく安眠を勝ち取ったのだった。
翌朝2階で寝ていた2人からも、ヤツらが2匹出現したとの報告があった。
このことから2階でも壮絶な闘いとなっていた事は想像の域を超えない。
エイリアンからの襲撃に耐えた朝はとても気持ち良く晴れ上がっていた。
小屋には階段が設置されていて屋上まで上がれるようになっていて、そこで上越方面から焼けてくる空を眺めた。今日はゴールの日本海へと進む。
出発の準備を終えると自然と4人でスタートするようになっていた。
1:40程歩いて坂田峠に出ると久しぶりの舗装路を見た。白鳥山へはここまで車で来て登ることが出来るそうだ。
尻高山を登り降りすると再び舗装路が見えてきた。ここでも運命的な出会いが待っていた。
階段を降りて行くと登山道を整備し終えた男性がお疲れ様ですと声を掛けてくれた。
この方は登山者からの情報で倒木を片付けに来ていたそうで、こちらのほうからお疲れ様ですと言いたい程であった。
この方は地元の登山会の方で地方の新聞社に勤めてるとのことで、栂海新道のことも記事に書かれたそうだ。
もしやと思い伺ってみるとなんと新潟日報の方で、前夜話していた記事を書かれた張本人の大日方(おびなた)さんだったのだ。
びっくりしてさらに話しも盛り上がり、大日方さんからはその記事をまだ読んでいないOさん、Aさんの自宅へ記事を送って下さるとの事だった。
その後、大日方さんも作業を残されているとの事で、記念写真を撮らせて頂いてその場をあとにした。
高速を走るトラックの音が聞こえてきて暫く歩くと久しぶりの大型建造物の鉄塔が現れる。
海の音が聞こえてくるが中々ゴールが見えず、この辺りずっともどかしい思いをさせられる。
やっと道路が見えたと思ったら林道?で最後までなかなかホッとさせてくれない。
気を取り直して下り始めると直ぐに道路が見えてきて、そうこれこそが国道8号線だった。
親不知側の登山道入口に立ち4人揃うと感極まって涙を浮かべるメンバーもいた。それだけこのルートは厳しかったのだ。
4人は車に荷物を置き海岸まで降りていく。
まだまだ海との高度感もあり70mほど降りて行くのだが、途中滝や昔の隧道があり、自然や歴史が残されていた。
長い階段を降り終えると狭い海岸に出た。
さあ皆で海水にタッチして本当のゴールだ。
タイミングよく打ち寄せてこない波が、急にやってきた大波にずぶ濡れになったメンバーももうゴールだからと笑って許せた。
しばらくゴールの余韻を味わっていたらお腹も空いてきたので、上がってホテルでご飯にしようと戻った。
しかし、ホテルの前に立つとレストランがコロナの影響か閉まっていた。何とこれがこの旅の最大の試練だったのだw
仕方がないので2人とは再会を約束し、ここでお別れして蓮華温泉にデポした車を回収して帰宅した。
後日大日方さんから拙宅とjunさん宅にまで新聞記事を送って頂いていて。記事を改めて読んで旅と出会いの余韻に更けたのであった。
「一生モノの刺激と感動の出会いがあった栂海」
今回の山行でのドラマは私にとって一生モノでした。
・危ういところを連れのaさんに助けてもらい、
・爽やかで、体力があって、山行経験値が相当スゴく、凛とした若い2人に出会い、
・栂海に想い強い地元紙新潟日報の大日方記者さんに出会い、
・長いルートを愛するバケモノのような人たちと出会い、
日頃は「自分には無理かな」とすぐにあきらめてしまう私。
そんな私の今後の生き方に関わるくらい濃厚な3日間になりました。
出会った皆さんの想いの強い生き方に触れ、感謝感謝の3日間でした。
50年前、小野健さんは青海黒姫山から見た白馬岳から日本海に至る山々に感動して
栂海新道を開いたとのこと。
私も青海黒姫山に登って眺めますね。
今回ご一緒した4人でぜひまた山行お願いします!
大日方さん、山行ご一緒お願いします!
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