砂迫〜畑ヶ岳〜鳥ヶ岳☆丹波高地の静寂の分水嶺を縦走
- GPS
- 04:42
- 距離
- 12.5km
- 登り
- 911m
- 下り
- 922m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
家内は前日にコロナワクチンの2回目の接種をしたところであり、この日は山行どころではない。以前より暖めていた山行計画を実行に移すことにした。砂迫から鳥ヶ岳への縦走である。地味な山域であり、一般にはほとんど馴染みのない山名だろう。過去にも昨年のsatsuki-ttjさんとdrpepperさんのレコ以外には山行記録も見当たらない。
砂迫への登山口となる四ッ谷(ヨツヤ)には日吉駅を9時10分発の美山行きのバスに乗ることになる。日吉駅からの南丹市コミュニティ・バスには数組が乗り込む。バスの運転手がどちらまでと訪ねるのが、地元の人と見られる一人のご婦人以外はいずれも美山のかやぶきの里まで行かれるようだ。
四ッ谷のバスで降りると、海老坂越の道案内がある。近畿自然歩道となっているらしい。
海老坂峠は昨年、倉の谷山から釜糠まで周回した時に通ったことがあり、峠にはお地蔵様も何もなく京都から丹波への要路であったにしては殺風景なところだと思っていたが、峠の南側に立派な地蔵尊があるらしい。
川に沿って進むと対岸の正面に砂迫に向かう尾根が見える。民家の裏手から尾根に取り付くとすぐにも広々とした道が現れる。尾根には雑木林が広がり、林床の下生が少ないことからすると手入れの行き届いた里山のようだ。
砂迫のピークも近づいたと思われる頃になると檜の幼木の植林帯となり、それまでの広々とした道は一転、不明瞭となる。それでも微かな踏み跡を拾って進むと、砂迫の山頂にたどり着く。いくつかの山名標があるだけの地味な山頂だ。周囲は雑木林であり、展望は全くない。
砂迫の山頂の周囲は尾根の形がわかりにくい。北に伸びる尾根を辿るつもりが北西の尾根を下降していた。斜面をトラバースして北に伸びる尾根に乗ると、踏み跡のある歩きやすい尾根が続く
次の小ピーク、尾根は北側の植林との間に獣避けのネットが張られている。ネットの周囲は馬酔木の濃厚な藪となっているので、尾根芯を避けて尾根の左側をトラバースしながら進む。標高点511mの記された小さな鞍部に下降するとようやく鬱陶しい藪から解放される。
鞍部の右手に伐採斜面が広がっているので、下降してみる。恐らくは植林が伐採された後はそのまま放置されているのだろう。斜面の上部からは東側の展望が広がるが、そのうちにこの展望もなくなることだろう
モミの大樹が立ち並ぶ鞍部から急登を登ると、すぐにも尾根の傾斜は緩やかになり、植林の中の平坦なピークp665に到達する。
p665からはなだらかな尾根を西に進む。尾根上の踏み跡は薄いもののアップダウンのほとんどない尾根を快適に進むが、尾根上の樹林が急にひらけたと思いきや、放置された伐採跡地に濃厚な馬酔木の藪が現れる。微かな踏み跡を拾いながら藪の間を縫って藪を抜ける。
しばらくすると左手の尾根から極めて明瞭な道が現れる。送電線巡視路だろう。次の小ピークca650mにたどり着いたところで、巡視路が現れた左手の尾根が畑ヶ岳へと続く尾根であったことに気がつく。p686に向かって北に伸びる尾根には巡視路が続いているようであった。
ここからは快適な巡視路歩きが続く。巡視路には倒木もほとんどないので、かなり良好に整備されているのだろう。巡視路は尾根上の小ピークを悉くトラバースしてくれるので、なんとも楽な歩行が続き、地図では長く感じられる畑ヶ岳への尾根を快速に進むことが出来る。雲が流れて陽が射すと自然林からの緑の透過光が美しく感じられる。
巡視路の「火の用心」の赤いプレートにはno.93, 94と送電線鉄塔を示す番号が南に下るにつれて大きくなっていくようだ。それだけの数の送電線鉄塔があるというのはかなり長い送電線のようだ。ところでこの尾根は行政区の境界も何もないところではあるが、日本海側と太平洋側を隔てる中央分水嶺の一部をなす尾根だ。
巡視路はこのまま畑ヶ岳まで続いてくれるものと期待されたが、途中のca550mで尾根を離れて右手の94番鉄塔に向かって下っていく。檜の植林の中の薄い踏み跡を辿って尾根芯を辿る。次のp585の手前で95番鉄塔から登ってきた巡視路が尾根に現れると、再び快適な巡視路歩きとなる。最後の畑ヶ岳にかけてはca580mの小ピークからの小さな鞍部を挟んで登り返しとなる。
忽然と広々とした山頂広場の一角に飛び出す。広々としているのは広く伐採されたためのようだ。おそらく送電線の架け替えのためか新たに送電線鉄塔を建設するためのためだろう。
山頂の雰囲気は一年前のdrppperさんが撮られた写真とはまるで異なる。洛西山歩会による山名標や地元の学生達がかけた古い絵馬のようなプレート類が寄せ集められて低木にかけられはいるが、伐採に伴って掛け直されたのだろう。PH氏のプレートを探してみるもやはり見当たらない。伐採された樹と共に破棄されてしまったのだろう。
山頂の三角点の柱石にはヒョウモンチョウがとまっていた。私がリュックを下ろすと飛びたつが、リュックが気に入ったようでリュックのあちこちにとまる。ヒョウモンチョウがとまったリュックを置いたまま、展望を求めてしばらく山頂の周りを徘徊してみる。山頂広場の周囲では伐採された樹木が積み上げられており、その下に回り込んでみるもののそれほどの展望が得られなかった。山頂の北側の送電線鉄塔も周囲は樹林に囲まれている。
再び山頂に戻るとヒョウモンチョウはまだリュックにとまったままだった。三角点の柱石に腰掛けると今度は私の腕にとまり、長い嘴をウエアーの上に伸ばす。
一息ついたところでヒョウモンチョウに失礼して本日の最後のピーク鳥ヶ岳を目指すことにする。2021.9.5と日付の記された道標が現れるので、最近になってつけられたもののようだが、登山道には意外と倒木が多い
鞍部を越えたところにある小ピークはぼんどろ岳という名称があるらしい。果たしてどのような字を当てるのか興味深いところだ。先ほどと同様の真新しいプレートには東胡麻文化振興会の名がある。畑ヶ岳の標柱を設置された団体だ。
尾根に登ると。鳥ヶ岳の山頂は右手に進み、送電線鉄塔を越えた地味な小ピークだ。山頂からは南側に樹木の切り払いがされて、わずかに眺望があるばかりだ。驚いたことに東胡麻文化振興会による真新しい山頂の石柱が引き抜かれていたことだ。動物の仕業だろうか。
さて問題はここからの下山路だ。下調べもせずに下山路が適当に見つかるものと高をくくっていたが、少しばかり考えが甘かったようだ。三角点ピークに向かって下降する尾根は檜の若木にによる植林で、間伐のされていないために歩きにくそうだ。尾根を進む踏み跡も不明瞭だ。送電線巡視路は山頂手前の送電線から北側の斜面を下っていくようだ。
鳥ヶ岳への稜線に上がったところに「下山 大学方面へ」と書かれた白いプレートがあったので、この尾根を南下する。大学というのは明治鍼灸大学のことだろう。最近、明治国際医療大学と名前を変えたようだが、JRの駅名は鍼灸大学前のままだ。
多少の倒木はあるものの、下生えの少ない尾根が続く。尾根に導かれるままに高度を下げてゆく。植林の中の急下降になるとすぐに右下に林道が見えた。どうやら地図にはない林道だ。難なく林道に着地すると、林道を歩き、すぐに明治鍼灸大学と胡麻を結ぶ府道に出た。
どちらの駅にもほぼ同じくらいの距離なので、躊躇なく鍼灸大学前に向かうことにする。というのもこの駅前にはこの辺りでは数少ないコンビニがあるからだ。車道を歩くとまもなく踏切の音が聞こえ始め、背後から園部行きのJRが黄色い稲穂の実る田圃の向こうを通りすぎてゆく。
次の列車は丁度1時間後だ。明治鍼灸大学の駅前のロータリーに面したベンチに腰掛けて列車を待つことにする。空気に微かな芳香を感じてあたりを見回すと、すぐ近くで金木犀の花が咲いていた。金木犀の香りと共にコンビニで購入したビールを喉に流し込む。
平日は大学病院を訪れる人が行き来するのだろうが、休日の駅前は静かが。列車を待つ間にロータリーを訪れる車は一台もなかった。静かな秋の空を流れてゆく雲をのんびりと眺めながら列車の到来を待つのだった。
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