六松じいちゃんの追悼登山・越後駒ケ岳
- GPS
- 10:52
- 距離
- 19.6km
- 登り
- 1,669m
- 下り
- 1,653m
コースタイム
※帰りは妻の膝痛のため、かなりゆっくりめのペースです。(登りと下りでほぼ同じ時間が掛かっている!!)
天候 | ・小倉山辺りまでは晴れ時々曇り。 ・百草の池から先、山頂までは霧時々雨で、場所によって強風。 |
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過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・枝折峠へは国道352号経由とシルバーラインを経由し銀山平から352号を小出方面に戻る行き方がありますが、後者の方が、走りやすく短時間で行けます。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・滑落危険箇所はほとんどありませんが、駒の小屋直下の岩稜帯は注意が必要です(特に雨天時) ・木道整備が進んでいますが、粘土質の土壌の為、泥濘となっている場所が少なくないので、汚れたくなく人はスパッツ着用で。 ・小倉山〜明神峠間はアップダウンを繰り返しますので、行きも帰りも同じくらい時間が掛かります。 |
写真
感想
六松じいちゃんは昭和30年代から40年代にかけて越後駒ヶ岳・駒の小屋の小屋番をされていた方です。
登山者からは「駒のおやじ」「駒のおじさん」または「六さん」などと呼ばれ親しまれていたとのこと。そして無類の酒好きだったとか。。
六松じいちゃんは昭和46年10月27日に小屋へ登る途中で猛吹雪に遭い、小屋まで行き着くことができずに、不幸な死を遂げました。
遺体は小屋まであと数10mという場所で、歩く姿勢のまま発見されたそうです。
自分の家の庭のような所で命果て、さぞかし無念だったと思われます。
実はこの六松じいちゃんは私の妻の祖父にあたる人で、この話は結婚した当時に妻の父親から聞かされていました。
妻が4歳の時に亡くなっているため、六松じいちゃんの記憶はほとんどなく、だっこされている写真が1枚残されているのみとのです。
この話を聞いた私は、曲がりなりにも登山をしたことがある人間として、いつの日か越後駒ヶ岳に登り、小屋にお酒を供えたいと考えていました。
昨年のお盆に帰省した折に登頂を目指しましたが、途中で雨が激しくなり、子供を連れていたこともあり、安全を期して引き返しました。
そして、比較的天候が安定していると思われる秋に再チャレンジしようということで、今回の登山となりました。
今回の山行では奇縁がありました。
私、息子、娘、妻の順で小倉山に続く道を登っている時、後から登ってきたおじさんと話をする機会がありました。話をしているうちに、何とこの方は今の駒の小屋の小屋番であることが分かりました。
妻は自分が以前に駒の小屋の小屋番をしていた六松じいちゃんの孫であり、山で亡くなったじいちゃんの供養のために今回山を登っていることを話すと、このおじさんはちょっと驚きつつもそれを極力表には出さないような表情で、「私は若いころから越後駒ヶ岳に登っていて、六松さんにも会ったことがある」と言い、六松じいちゃんにまつわる話をしてくれました。
期せずして六松じいちゃんの生前を知る人に出会うことができ軽い興奮を覚えていましたが、さらに奇縁は続きます。
この日、駒の小屋にはNHKの「小さな旅」の撮影クルーが滞在していました。
生憎の天候の為、撮影クルーは小屋で停滞を余儀なくされていたようですが、上山途中に会ったあの小屋番の方が私達のことをNHKの人に話していたようで、雨と強風の中やっとのことで駒の小屋に着くと、NHKの方に話を聞かせてほしいと声を掛けられました。
小屋の中で休ませてもらい、昼食を作りつつ小屋番の方やNHKの方と話をしました。NHKでは、今回の番組のために駒の小屋に縁のある多くの方に取材を行ったようで、六松じいちゃんに関する話もいくつか聞くことができました。
また、六松じいちゃんが小屋番をしていた頃から越後駒ヶ岳に登っていた女性の方が偶然にも小屋にいらっしゃって、六松さんの孫ということで妻に声を掛けてくれたようです。
今、私の手元には「駒の六さん−星六松追悼文集」という一冊の本があります。
妻の実家にあったものを義父に頼んで借りてきたものです。
この本の中には、多くの人によって語られた六松じいちゃんや越後駒ヶ岳に関するエピソードが収められています。
寒い中登ってきた登山者にお茶やあったかい味噌汁を振る舞ったり、夜の小屋で酒を囲んで語り合ったりしていた六松じいちゃん。
微笑ましい話も、思わず涙ぐんでしまう話もあります。
六松じいちゃんの山と登山者に対する優しい思いをうかがわせる話もあります。
そして、六さんに会いたくて駒に登っていたという人の多さにも驚かされます。
この追悼文集を読んで、また、今回の山行で聞けた色々な話から
山があって、その山に人が登り、そこに集った人達の間で醸し出される何かが山の魅力であるような気がしました。
六さんこと六松じいちゃんは山と人間をつなぐ架け橋のような存在だったのではと勝手に想像しています。
話は前後しますが、雨と強風で冷えた体も、小屋の中でゆっくり休ませてもらったおかげですっかり温まったので、天気は悪いけどせっかくだから頂上を踏んでおこうということになりました。
小屋から頂上までは15分ほどの道のりですが、頂上に着いても当然のことながら眺望はなく、濃い霧に覆われた白い世界が広がるのみでした。ただ、風は先程より弱まったような感じがしました。
私達以外には誰もいない、何も見えない山頂でしたが、六松じいちゃんが「また、天気のいい日に来いや」と言ってくれているようで、なんとなく楽しい気分で山頂を後にしました。
小屋まで戻り、お酒を供え、小屋番のおじさんにお礼を言い、下山を開始。
妻の膝が痛くなってしまい、思った以上に時間が掛かってしまいましたが、私自身できるだけ長くこの山にいたいという気持ちが下山をのんびりしたものにさせたのかもしれません。
無事越後駒ヶ岳への山行を終えた今、自分勝手な思いながら、じいちゃんにひ孫の顔を見せるという一つの役割を果たせたことに満足しています。
ちなみに、NHKの「小さな旅−越後駒ヶ岳(?)」は11月10日に放映予定だそうです。
bobechan家の皆様、
追悼登山、お疲れさまでした。
六松さんのような方々のおかげで、
今、私たちが安全に登山が出来るのでしょう。
素敵なエピソードをありがとうございました。
bobechanさん。こんばんは。
bobechanと奥様、そしてパワーアップ されたお子さんたちが”山”はまっているのが解るようなお話ですね。
今でも、そっと見守ってくれてるんでしょうね。
こんなエピソードのある「越後駒ケ岳」、登ってみたくなりました。
11月10日放送ですか?。楽しみにしてます。
お疲れ様でした。
bobechanさん、こんばんは。
いい山登りされてますね。
ご家族にとってはちょっとした里帰り登山みたいな感じだったのかな、と勝手に想像しています。
しかし、奥さんのおじい様だったとは それにいくつもの奇縁に恵まれて。それも皆、おじいさんが仕込んでくれたのかもしれませんね。
お子様2人も登山家になる資質、やっぱりありありじゃないですか。
レコ読ませてもらって心にジーンと染みるものを感じています。これからも山と人との懸け橋でいてください。
はじめまして。
六松じいちゃんのような方が縁者にいたお陰で、山小屋の仕事・生活の一端を知ることができて、良かったと思っています。
普段何気なく歩いている登山道も、このような人達が日々笹を刈ったり、石を積みなおしたりしてくれているお陰で安全に歩けてることに感謝しなくてはいけませんね。
コメントありがとうございます。
六松じいちゃんのことを知るにつれ、子供たちのあの山好きはじいちゃん譲りなんだなぁーという感が強くなってきました。
六松じいちゃんに血を受けていないのは、家族では私だけなので置いていかれそうですが 、血を受けているはずの妻のあのヘタリようは何なんでしょうね
越後駒ケ岳、派手さはありませんが、いい山 だと思います。
是非、登ってみてください!!
あまり霊とか信じない方なんですけど、今回はいろんな偶然が重なって、もしかしたら。。。と思ってしまうくらいでした。
もし、六松じいちゃんが仕込んでくれていたなら、こんなにうれしいことはありません
子供達のこともずっと見守ってくれているのかもしれません。
話は変わりますが、今回の新潟行きでは息子の強い要望により、実は前日に谷川岳 も登っているんです。
2日で百名山2座ゲットです
naoykと申します
初めまして!
レコ拝見させていただきました
なんだか、読んでいて涙が…
そして、心が温かくなって…
こんなことあるんですね
コメントありがとうございます。
私なんかはまだ山登り初心者なんでよくわかりませんが、山を介しての関係って、きっと濃厚なものがあるんでしょうね。
今回の山行では色々な想いに触れることができて、自分にとっても思い出深いものになりました。
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