鬼が面山から浅草岳(六十里登山口)


- GPS
- 08:20
- 距離
- 13.6km
- 登り
- 1,233m
- 下り
- 1,228m
コースタイム
11:20浅草岳12:10―12:20前岳―13:00狢沢カッチ13:05―13:35北岳―13:55鬼ケ面山14:05―14:30南岳―14:50吹峠分岐―15:00マイクロウエーブアンテナ―15:15六十里峠―15:30六十里越登山口
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・登山口は国道252号線を新潟県側から行って、六十里越トンネルのすぐ手前左側にある。小さな標識なので、注意していかないと見落としてしまう。 ・駐車場は登山口から50メートルほどトンネルに向かって進むと、右側に広い駐車スペースがある。 ・水場は駐車場の山側に沢が流れている。また登山口から六十里峠の間に沢を2つほど渡るが、そこで補給できる。 ・南岳から前岳までの登山道は、東側が深く切れ落ちていて、注意を要する。 ・鬼が面山から前岳までは、アップダウンが激しく、体力を要する。 |
写真
感想
鬼が面山という字面もひびきも恐ろしそうな名前に興味を魅かれて、登ってみることにした。
六十里越トンネル入り口近くの右側に広い駐車場があり、そこに車をとめる。他に一台も駐車している車は無く、やけにガランとしていた。見上げると山は霧に閉ざされている。
登山口を捜すと、駐車場の斜め向かい側、道路を少し下ったところに「鬼が面山→」という小さな標識が立てられていて、車が2、3台とめられる駐車スペースがあった。
ちょうどその時、一台の軽トラックが、その駐車スペースにやって来た。荷台から自転車を下ろして、男性がひとり山支度を始めた。只見尾根登山口から浅草岳に登って、縦走して戻って来るという。ここに自転車をデポして、田子倉湖畔まで車で行き、登るのだろう。体つきがトレランでもやりそうに締っている。
最初は少し傾斜のきつい灌木のなかの道を登る。しかし、すぐに道は緩い登りとなって、だらだらと続く。今日は、体が重く、一歩一歩の足の運びがちぐはぐな感じで、調子が悪い。緩登なのに、いやに息が切れて、ピッチが上がらない。おまけに、ガスで視界も閉ざされ、気分が余計重くなる。
30分ほど登ると、霧の中に送電線の鉄塔があらわれる。ここからは、しばらく遊歩道のような平坦な道が続く。さらに30分ほど行くと、巨大なマイクロウェーブのアンテナが立つ広場に出た。
このあたりまで来ると急に空が明るくなり、雲海の上に出た。吹峠分岐を過ぎて、後ろを振り返ると、雲の上に幾つもの峰々が頭を出し始めたが、田子倉湖は一面の雲海の中に没している。
南岳まで来ると、鬼が面山から浅草岳に続く峰々が紅葉に彩られて連なっているのが眺められる。しかし、東側から盛んに雲が湧いてくるので、切り立った崖はそれに隠されて見えない。
南岳からは、東側が切れ落ちた道となる。景観はすばらしいのだが、足元はあまり気持ちのいいものではない。無意識のうちに、左側の崖を避けて、体が右側に傾く。これだとかえってスリップのもとになると、意識して体を真っ直ぐにするように気をつけるが、自然と腰が右側に引けてしまう。時折、切れ落ちた深い谷が眼に飛び込んできて、その度に尾てい骨がむずむずする。このあたり、しきりに汗が出て来たが、不思議に全く喉の渇きを覚えない。もしかしたら冷や汗だろうか。
鬼が面山には9時半頃に着いた。名前の割に山頂は地味で、鬼を想起させる険しさは全く感じられない。ちょっと、気が抜ける。しかし、ここからは、雲海の中に毛猛山と、その彼方に白く冠雪した越後駒ケ岳が見える。さらに、燧ケ岳があの特徴的な山頂を見せている。
これで今日の目的地には到達したのだが、まだ時間が早すぎる。ここで引き返すのは、余りにあっけない気がする。
軽い気持ちで、浅草岳まで行ってみようかと思う。しかし、歩き始めて、いきなり急降下が始まり、その先に北岳への急登が見えた時、余程引き返そうかと思った。しかし、その時かすかに熊よけの鈴の音が聞こえ、北岳を下って来る人影が見えた。それに引き寄せられるように、足が前に出た。
その人とは北岳の登りの途中ですれ違った。立ち止まって、しばし話をする。ネズモチ平から浅草岳を経て、鬼が面をピストンするという。ちょうど、こちらと逆コースだ。ここまで結構きつかったようだ。年齢が同じくらいだろうか、にこやかな、感じのいい人だった。
北岳まで来ると再び、急降下だ。そしてまた急登して、狢沢カッチ。このあたりで、六十里越登山口で会った男性とすれ違う。もうここまで来るとは、驚異的な早さだ。
こちらは、浅草岳まで、まだまだ遙か遠い。しかも、これから先もアップダウンがありそうだ。ここで引き返そうかと迷った。しかし、足が勝手に先に進む。
― ああ、勝手にしやがれ、と心につぶやく。
前岳の手前で、またひとりの登山者とすれ違う。この人とは、帰路に再び会わなかったので、六十里越登山口に下りたのだろうけど、そこから田子倉湖まで、徒歩で国道を歩くのだろうか。さっきの人より上手がいたということだ。
前岳にやっと辿りつく。足の疲労がピークに達している。フルマラソンの30キロ過ぎに近いような足の重さだ。
前岳を越えると、浅草岳山頂までは緩やかな木道の登りとなり、少し息がつける。しかし、足の疲労のためか、濡れた木道の上で、2回も派手に転倒する。
ようやく山頂に登り着いたのが11時20分。登山口から4時間20分かかったことになるが、感じとしては5時間も6時間も歩いた気がする。山頂からの展望を楽しむ余裕もなく座り込んで、とりあえず、昼食を食べる。
少し休んで、あらためて山頂に立って、一等三角点の展望を楽しむ。北に白く冠雪した飯豊連峰が横たわっている。さらに、守門岳、粟ヶ岳、川内の山々。南西には、燧ケ岳、そして、越後駒ケ岳、中ノ岳、八海山の越後三山。遠く米山も見える。そして、ここまで辿って来た鬼が面からの屏風のように聳立する険しい岩壁。なるほど、ここから見ると、確かに鬼が面山という名前はふさわしい気がする。眼下に田子倉湖も青い水を湛えている。
山頂付近の草紅葉はすばらしいが、周囲の紅葉は、早すぎるのか、少し遅いのか、思ったより鮮やかでないように思われる。
支度を終り、立ちあがろうとした時、左の太腿が攣りそうになった。マッサージをして、しばらく動かさずにいたら、攣るまではいかず、何とか治まった。こんなことは絶えて久しくなかったことなので、少々慌てた。そして、帰りの道のりを考えると、暗澹とした気持になってしまった。果たして、あのきついアップダウンに足が耐えられるのだろうか。
ともかく、ゆっくりと歩き始めるしかない。前岳の登りで、来る時にネズモチ平から縦走して来た人にぱったりと出会った。お互い、大変なコースですねと、健闘を讃えあう。しかし、考えてみると、後半の帰路に鬼が面から浅草に向かう方が、ずっときついような気がする。
狢沢カッチへの登り下り、そして北岳への登り下りに、泣きが入る。しかし、幸い痙攣は起きずに済んでいる。
それにしても、霧が晴れて、あらわになった岩壁の険しさ、谷の深さには息を呑む。振り返ると、浅草岳の山腹を彩る紅葉がすばらしい。
北岳を下ったところで、難所は過ぎたと感じた。鬼が面山、南岳とアップダウンはあるものの、これまでに比べたらゆるやかだ。
南岳で、もう一度、浅草岳から辿って来た峰々を振り返る。一時は、下山まで足が持つのかと不安だったが、復路は往路に比べ、やはり下り基調なだけに、ずいぶん楽だった。南岳からは、ゆるやかな道を一気に下り、無事、登山口に辿り着いた。
疲労がはなはだしく、今年登った中でも、一、ニを争うきつい山だった。それだけに、忘れがたい山となるだろう。
iidesanさん、こんばんは〜
初めまして
僕もつい先日田子倉から浅草岳に登り、六十里越に下り、田子倉まで車道歩きで戻るコースを楽しんできました
その逆コースを行く勇気はありませんが、変化に富んだ面白い山は間違いなしです
komorebiさん、おはようございます。
こちらこそ、はじめまして。
私の登った翌日に行かれたんですね。
日が経つにつれ、あの山の印象が鮮やかによみがえってきます。
それにしても、komorebiさんの歩かれたコース、かなりの健脚向きですよね。
下山後の国道の7km歩きは、特に疲れそうです。
一度挑戦はしてみたいですが・・・。
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