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Yamareco

記録ID: 370448
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
八ヶ岳・蓼科

繰り返す、これは訓練ではない!初冬、パウダースノーの天狗岳

2013年11月16日(土) [日帰り]
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
09:30
距離
9.0km
登り
915m
下り
917m
歩くペース
ゆっくり
1.51.6
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

予定では6:00唐沢鉱泉発でしたので、出発時点で1:20程遅延しています。
また、降雪のない時期に設定した計画タイムを修正せずに使ったため、大幅な遅延がありました。
本来は山の状況にあわせてきちんと計画を見直すべきであり、これは今回の大きな反省点です。

7:18唐沢鉱泉-枯尾の峰分岐8:23(1:05)/[予定]6:55/[差]-1:28
8:23枯尾の峰分岐-第一展望台9:20(0:57)/[予定]7:46/[差]-1:33
(小休止0:05)
9:25第一展望台-第二展望台10:02(0:37)/[予定]8:19/[差]-1:42
(小休止0:05)
10:07第二展望台-天狗岳11:17(1:10)/[予定]8:58/[差]-2:18
(小休止0:10)
11:27天狗岳-東天狗11:55(0:28)/[予定]9:18/[差]-2:36
(小休止0:15)
12:10東天狗-東天狗直下分岐12:34(0:24)/[予定]9:36/[差]-2:57
12:32東天狗直下分岐-天狗の奥庭13:05(0:33)/[予定]9:54/[差]-3:10
13:05天狗の奥庭-休止点13:53(0:48)/[予定]10:18/[差]-3:34
(大休止・昼食0:25)
14:18休止点-黒百合ヒュッテ14:38(0:20)/[予定]11:30/[差]-3:07
(小休止0:10)
14:48黒百合ヒュッテ-渋の湯分岐15:39(0:51)/[予定]12:12/[差]-3:26
15:39渋の湯分岐-唐沢鉱泉16:45(1:06)/[予定]13:00/[差]-3:44
天候 晴れ→昼前からやや雲が発生
過去天気図(気象庁) 2013年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
唐沢鉱泉にある登山者用駐車場を利用。
林道が雪に覆われており、途中で登坂不能になって引き返す車も。
これからの季節はスタッドレスかチェーンを準備するべきでしょう。
うちの9689カーも途中で進めなくなり、チェーンを装着して登りきりました。

なお今回は帰りの時点で林道の雪は溶けていました。
コース状況/
危険箇所等
【コース状況】
全面雪。浅いところで5cm、深いところで20cm程度。
前日に降った新雪だったので現在はだいぶ溶けているかもしれません。
西尾根の登山ルートは先行者の足跡が二組程度あったおかげでルート判別が容易にできたのは幸いでした。

【危険箇所】
西天狗への登りの岩場地帯、東天狗から奥庭を経て黒百合ヒュッテに至る道は岩と雪が混じって非常に歩きにくい状況です。
もっと雪が降って岩が完全に埋もれればだいぶ歩きやすくなると思われますが、今はアイゼンを付けると爪が岩に引っかかり易く、それでいてアイゼンが無いと滑りやすい。こういう状況の時はチェーンスパイクが効くのでしょうか。

【温泉】
湯川温泉・河童の湯
http://www.lcv.ne.jp/~yugawa/kappa.htm
湯川市市営の温泉施設で共同浴場の風情。
気取らない気さくな感じのこじんまりとした温泉です。
河童好きにはちょっと楽しいかもしれません。
予約できる山小屋
黒百合ヒュッテ
唐沢鉱泉に到着!チェーンが無ければ登坂不能でした
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唐沢鉱泉に到着!チェーンが無ければ登坂不能でした
唐沢鉱泉。下りてきたら入浴して帰ろうかな〜などとこのときは考えていましたがね
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唐沢鉱泉。下りてきたら入浴して帰ろうかな〜などとこのときは考えていましたがね
今シーズン初の雪山、いざ出発!西尾根から登りますよ〜
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今シーズン初の雪山、いざ出発!西尾根から登りますよ〜
しかし思ってた以上に雪です。雪が降る前の下見のはずが、いきなり実戦とは・・・・・・
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しかし思ってた以上に雪です。雪が降る前の下見のはずが、いきなり実戦とは・・・・・・
天気予報では午前中曇り。けれどもそんな気配は微塵もない青空です
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天気予報では午前中曇り。けれどもそんな気配は微塵もない青空です
もここ「雪は良いね〜!汚いもの全部隠してくれるよね〜!」
テンション高い滑り出しです
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もここ「雪は良いね〜!汚いもの全部隠してくれるよね〜!」
テンション高い滑り出しです
昨日降ったのでしょう。初々しい新雪です
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昨日降ったのでしょう。初々しい新雪です
サラッサラのパウダースノー。何度か固めてもここに投げつけましたが全て空中で消滅してしまうので、最後まで投げてることに気付かれませんでした
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サラッサラのパウダースノー。何度か固めてもここに投げつけましたが全て空中で消滅してしまうので、最後まで投げてることに気付かれませんでした
展望が開けてきました。眼下の紅葉が素晴らしい
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展望が開けてきました。眼下の紅葉が素晴らしい
ここを登り切ると森林限界を超えた世界
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ここを登り切ると森林限界を超えた世界
森が途切れ、正面に八ヶ岳最高峰、赤岳さんの姿が。
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森が途切れ、正面に八ヶ岳最高峰、赤岳さんの姿が。
お馴染み南アルプス、北岳、甲斐駒、仙丈ケ岳のお三方の姿も。
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お馴染み南アルプス、北岳、甲斐駒、仙丈ケ岳のお三方の姿も。
中央アルプス方面
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中央アルプス方面
うーん、御嶽山かな?土地勘なし
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うーん、御嶽山かな?土地勘なし
とりあえず大展望だぞ〜、ばんざ〜い!
しかし実は第一展望台にすら到達していないのです
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とりあえず大展望だぞ〜、ばんざ〜い!
しかし実は第一展望台にすら到達していないのです
この先は常に開放感あふれる景色を見ながら歩きます。もここテンションMAX
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この先は常に開放感あふれる景色を見ながら歩きます。もここテンションMAX
第一展望台より。赤岳さんが真っ白けだ〜
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第一展望台より。赤岳さんが真っ白けだ〜
目指す天狗岳が視界に入りました
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目指す天狗岳が視界に入りました
わっしょわっしょ登ります
4
わっしょわっしょ登ります
天狗岳全貌。岩がゴツゴツの登りが待ち受けます
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天狗岳全貌。岩がゴツゴツの登りが待ち受けます
こういうとこで写真を撮るときは、決定的な瞬間にならないことを願いつつ撮ります
2
こういうとこで写真を撮るときは、決定的な瞬間にならないことを願いつつ撮ります
第二展望台に到着です!
8
第二展望台に到着です!
赤岳さんも阿弥陀さんも、相変わらず尖がってんなぁ〜
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赤岳さんも阿弥陀さんも、相変わらず尖がってんなぁ〜
ここで軽アイゼンを装着。多分無くても歩けますが久しぶりなのでちょっと怖い
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ここで軽アイゼンを装着。多分無くても歩けますが久しぶりなのでちょっと怖い
一回下りを挟み、一気に登り詰めるッ!
いや久しぶりの雪道なので若干シンドイんですけど……
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一回下りを挟み、一気に登り詰めるッ!
いや久しぶりの雪道なので若干シンドイんですけど……
何気に迷彩ジャケットが効果を発揮し過ぎです
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何気に迷彩ジャケットが効果を発揮し過ぎです
もっと早い時間に来てれば原型を留めていただろう、エビの尻尾の成れの果て
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もっと早い時間に来てれば原型を留めていただろう、エビの尻尾の成れの果て
正直キツイ。体力が低下しているのを感じます
1
正直キツイ。体力が低下しているのを感じます
振り向けば大展望だし、もここが頑張っているので弱音を吐くわけにもいきません
4
振り向けば大展望だし、もここが頑張っているので弱音を吐くわけにもいきません
天狗岳に到着!どんなもんだい、と天狗になったポーズ
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天狗岳に到着!どんなもんだい、と天狗になったポーズ
南八ヶ岳方面。根石岳山荘が見えます
3
南八ヶ岳方面。根石岳山荘が見えます
もここ「あそこでピッケル使って滑落停止の練習するんだね!」
Miz「えw死なない?」
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もここ「あそこでピッケル使って滑落停止の練習するんだね!」
Miz「えw死なない?」
あそこなら脚で止まらないと思ったんですが違うんですねぇ…(も)
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あそこなら脚で止まらないと思ったんですが違うんですねぇ…(も)
雲がかなり湧き出してきました
4
雲がかなり湧き出してきました
次の目的地、東天狗を目指して出発です
3
次の目的地、東天狗を目指して出発です
雲が山を乗り越えて次々に進んでいきます
7
雲が山を乗り越えて次々に進んでいきます
これは気持ちの良い道です
7
これは気持ちの良い道です
振り向いて天狗岳
2
振り向いて天狗岳
何度見ても、赤岳はやっぱり尖がってると思うのです
2
何度見ても、赤岳はやっぱり尖がってると思うのです
東天狗に到着!
ブロッケン現象に遭遇〜
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ブロッケン現象に遭遇〜
ここで山バナナタイム〜。バナナ握って立つ二人を不審に思わず撮影してくれた方、ありがとうございます
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ここで山バナナタイム〜。バナナ握って立つ二人を不審に思わず撮影してくれた方、ありがとうございます
天狗にバナナを手向けつつ、いただきます
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天狗にバナナを手向けつつ、いただきます
さて、黒百合平方面を目指して下ります
さて、黒百合平方面を目指して下ります
黒百合ヒュッテが見えるので、なんとなく簡単に行けちゃうんじゃないかと思いますが……ここからが試練でした
2
黒百合ヒュッテが見えるので、なんとなく簡単に行けちゃうんじゃないかと思いますが……ここからが試練でした
振り返って見ると東天狗は険しいなぁ〜
4
振り返って見ると東天狗は険しいなぁ〜
うぇ、これを下るのか〜。雪に半分埋もれた岩は実に厄介。足の置き所がよく判りません
3
うぇ、これを下るのか〜。雪に半分埋もれた岩は実に厄介。足の置き所がよく判りません
天狗の奥庭に到着!もここがかなりグロッキー気味です
2
天狗の奥庭に到着!もここがかなりグロッキー気味です
時刻はお昼を過ぎましたがごはんも食べてないし……かなり足元が危なげ
3
時刻はお昼を過ぎましたがごはんも食べてないし……かなり足元が危なげ
風が出てきてかなり冷えます。食事をしたいのですが、風を避けられそうな場所もなし
3
風が出てきてかなり冷えます。食事をしたいのですが、風を避けられそうな場所もなし
岩陰を選んで食事にします
1
岩陰を選んで食事にします
スリバチ池付近かなぁ?池は雪に埋もれているのか、よくわかりません
スリバチ池付近かなぁ?池は雪に埋もれているのか、よくわかりません
本日のメニューはコロッケ蕎麦〜。って、出来上がった瞬間からみるみる冷めていくので急いでいただきます
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本日のメニューはコロッケ蕎麦〜。って、出来上がった瞬間からみるみる冷めていくので急いでいただきます
食事後、再び雪と岩の道を辿ります。黒百合ヒュッテが見えました。あそこまで下りきれば一息つけます
2
食事後、再び雪と岩の道を辿ります。黒百合ヒュッテが見えました。あそこまで下りきれば一息つけます
ついさっきまで「はぅん、はぅん」辛そうだったのに、何そのポーズ
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ついさっきまで「はぅん、はぅん」辛そうだったのに、何そのポーズ
最後の下りもなかなかに急でしたが、無事に到着
最後の下りもなかなかに急でしたが、無事に到着
黒百合ヒュッテ。カフェ・チョコレート・リリーって何でしょう
2
黒百合ヒュッテ。カフェ・チョコレート・リリーって何でしょう
さて。唐沢鉱泉まではまだまだ歩かなければいけません。でも傾斜は緩やかだし、森の中なので風の心配はありません
3
さて。唐沢鉱泉まではまだまだ歩かなければいけません。でも傾斜は緩やかだし、森の中なので風の心配はありません
岩ごろごろなのであんまり歩くのは楽ではないものの、奥庭からの道と比べればマシでしょう
岩ごろごろなのであんまり歩くのは楽ではないものの、奥庭からの道と比べればマシでしょう
最後の分岐。ここを見落とすと帰れません
最後の分岐。ここを見落とすと帰れません
太陽がだいぶ傾いてきました。日が落ちる前に唐沢鉱泉に戻りたい
太陽がだいぶ傾いてきました。日が落ちる前に唐沢鉱泉に戻りたい
今朝登った西尾根が見えました。あの尾根の下まで行けばゴールのはず
1
今朝登った西尾根が見えました。あの尾根の下まで行けばゴールのはず
夕焼けです。本日の太陽、最後の輝き。急がねば〜
4
夕焼けです。本日の太陽、最後の輝き。急がねば〜
でも雪がだいぶ溶けて足元が滑りやすいのであわてずに〜
4
でも雪がだいぶ溶けて足元が滑りやすいのであわてずに〜
最後の橋を渡って……
1
最後の橋を渡って……
もう少しでゴールです
2
もう少しでゴールです
鉱泉です。綺麗……と思いきや、よく見るとそうでもない?
2
鉱泉です。綺麗……と思いきや、よく見るとそうでもない?
無事にゴールしました〜!……あれ?ストック一本どうした?(右脇辺りの背後に落ちています)
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無事にゴールしました〜!……あれ?ストック一本どうした?(右脇辺りの背後に落ちています)
到着を待っていたかのように日が落ち、辺りは夕闇に包まれました
2
到着を待っていたかのように日が落ち、辺りは夕闇に包まれました
鉱泉につかるのはまたの機会にして、今回は湯川温泉・河童の湯に立ち寄りました
10
鉱泉につかるのはまたの機会にして、今回は湯川温泉・河童の湯に立ち寄りました

感想

台風だの風邪だの何だので延期に次ぐ延期を重ねてきた北八の天狗岳。
冬山の練習をするために、まず無雪期に登ってルートの確認や周辺状況をチェックしておくつもりだったのに……。
ようやく行けるチャンスが巡ってきたと思ったら、前日にガッツリ雪が降った。

というか、ちゃんと調べなかったのがまず良くなかった。
一週間前のレコを見る限りではまだまだ雪はほとんどなく、
「少しは雪量も増えてるだろうけど、ギリギリ大丈夫かな〜」
くらいの認識しかなかった。
そんなんだからコースタイムの見直しもしていなかったし、
「どうせ午前中だけで下りてくるから、そんなに慌てて出かけなくても大丈夫〜」
などと寝坊をかまし、予定よりも1時間遅れてモタモタと出発。

唐沢鉱泉へ至る林道に突入した途端、周囲はみるみる雪景色になっていった。
「うはw雪道wスリップしまくりw」
とか言ってるうちに、ツルツルの坂道に行き当たって車は前に進まなくなった。
念のため、と思って持ってきたチェーンが役に立って幸い唐沢鉱泉までは辿りつけたが、同じ坂道で登坂できずに引き返す車もあった。

前日に降ったピカピカの新雪は極めてサラサラのパウダースノー。
唐沢鉱泉付近では15cmくらいの積雪量があった。
午前中は曇り、という天気予報も外れて朝から青空が広がり、風も緩やかで登山にはもってこいの日和。
車を停めて雪を踏めばテンションは一気に上がるが、その一方で、
(この積雪状況で、まったく道がわかってない初めての山を問題なく登れるだろうか?)
という不安を感じた。
訓練のさらに前の段階、訓練場所の下見のつもりで来ているのに、いきなり実戦が始まっちゃったみたいなものだ。
頭の中では、
『これは訓練ではない、繰り返す、これは訓練ではない』
というオペレーターの声が聞こえてきた。

無理だと感じたらすぐに引き返そうと心に決めて歩き出す。
今回歩く西尾根の登山道に、先行者の足跡が二組程あったのは幸運だった。
もしも予定通りに1時間前に来ていたら、ノートレースの状態だった可能性もある。そうなればより困難な山行だったろうと思う。
それも良い練習だろうが、ルートを探しながら歩くことになっていたら、迷ったり滑落したりせずに無事に登れたかどうかは、正直なところ自信がない。
何しろ今回は下見のつもりだったから、実戦に挑むだけの(主に心の)準備が十分ではなかった。

第一展望台に至るまでの間、久しぶりの雪道にテンションはどうしても上がっていく。
実際、もここは大喜びではしゃぎ気味だったから、こちらは意識的に平静を保つことを考えた。
でも森林限界を超えて展望が開けると、雪をかぶった南八ヶ岳の姿や南アルプス、中央アルプスの山々、眼下に横たわる紅葉した広大な森の景色がガツンと目に飛び込んできて、
「うひょ〜、ガンガン行こうぜ〜」
と高揚してしまう。
第二展望台から天狗岳に向けて、いったん下りが入るので6本爪アイゼンを装着。
果たして軽アイゼンで行けるのかどうかもいまいち定かではない。いやそもそもアイゼンの必要があるかどうかも断言しがたい。
その程度の経験値で登ってるんだから、ちょっと背伸びした登山だったのは間違いないだろう。

天狗岳直下の雪に埋もれた岩場なども決して簡単な道ではなかったと思う。
新雪は岩を半分覆い隠し、岩の隙間がどこにあるかもよく判らない。溶けかけた雪で湿った岩面は滑る。
最近身体が少々鈍っていることもあって、結構ハードな道のりだった。
先行者の足跡を見失わないように探し、ルートを示す○印を探し、それこそ一歩一歩慎重に進むようなモタモタ登山だったが、これまた運良く無事に登り切ることができた。
しかし先行者の方々、足長いのね……。黒パグの短い足ではとても届かないような歩幅で歩いてらっしゃる。

天狗岳の山頂に到達すると、雪はさらに一段階深くなった。20〜30cmくらいはあったろうか。
次の東天狗までは150mくらい下って登り返す。直線距離にして300m程先の東天狗の上に、先行者たちが立っているのが見えた。
(またさっきみたいな登りが来たら登り切れるだろうか?ここで引き返そうか?)
弱気な心が湧いてきたが、登るのに苦労した雪の西尾根を、下るとなればより危険だろうとも思った。
計画通りに東天狗を越えて黒百合平まで辿りつけば、帰り道は緩やかな下りだ。

西天狗から東天狗までの道のりは、思っていたよりも苦しい道ではなかった。
おそらく周囲の景色に救われたのだろう。あの眺めの中歩くことが辛いはずはない。
雲が出てきて次々に根石岳あたりの稜線を乗り越えるように進んでいく様子もダイナミックで素晴らしかった。
もここは、
「登り切るのがもったいない〜」
とか言い出すくらいで、十分に楽しんだようだ。

東天狗ではブロッケン現象にはしゃいだりして、ひととき山頂を満喫。
しかし、やや風が出てきて体が冷え、時刻もお昼を過ぎてお腹が空いてきた。
ここでは風も避けられないし、のんびり食事をするなら黒百合ヒュッテまで下るのが良かろうと思ったが、これは判断ミスだった。
もここはシャリバテ寸前だったようだ。
その上、雪に半分埋もれた岩場の下り道は極めて歩きにくい。
アイゼンは帯に短し襷に長し。
アイゼンの爪はかかりが良すぎてつんのめりそうになる反面、アイゼンを外せば雪の乗った岩の表面はツルツル滑り大サービス状態。
こういう場面ではチェーンスパイクが有効なのだろうか?
今回は装備という点でも十分に考慮して用意してきたとは言い難い。
とりあえず所有している軽アイゼンを持ってきました、というだけだ。
とてもじゃないがコースタイム通りになど歩けず、黒百合ヒュッテまでどのくらいかかるやら見当がつかなかった。
計画では中山峠経由で黒百合ヒュッテへ下りる予定だったが、天狗の奥庭方面との分岐点で行く手を見渡し、
「どっちが楽だろう?」
しばし話し合った。
中山峠経由の道は、地図を見る限り右側が常に断崖になっているので危険かもしれないと判断した(実際のところどうだったかはわからない)。
そこで予定を変更して天狗の奥庭経由で下ったが、この道がまた嫌になるほど岩々な道だった。
火山岩地帯なので岩の上を渡っていくような箇所が次々と出てくる。雪が無ければ、あるいは雪が完全に岩を埋め尽くしてくれてれば、ここまでは苦労しないだろうけれど、中途半端な雪量だと実にやっかいだ。

途中、もここが動けなくなった。
完全にシャリバテのようだ。
風を避けて大休止できそうな場所が無かったとはいえ、ここまでバテる前に燃料補給をしっかりすべきだった。
黒百合ヒュッテはそれほど遠くはなかったものの、無理に移動を続けずに岩の隙間で食事をとることにした。
暖かい蕎麦を作ってズルズルいただく。
風が避けられないので暖かかった蕎麦がみるみるうちに冷めていく。エネルギーは補給できたけど身体が温まるという感じではなかった。
これでもっと風があったら低体温症にでもなっていたかもしれない。風がそれほど強くなかったこと、これもまた幸運だった。

黒百合ヒュッテに辿りつき、ほっと一息。
中に入ってもここを少し休ませてやりたい反面、時間がかなり遅くなってきているので日暮前に下山できるよう急ぎたいという焦りもあり。
もここが「行ける」というので、しばらく休憩しただけで唐沢鉱泉までの帰り道を歩き出した。
しばらくはガレた雪道(?)で相変わらず歩きにくかったが、傾斜は緩く、森の中なので風の心配もなく、先ほどまでの道と比べれば格段に楽だった。
最後の心配は唐沢鉱泉方面への分岐点を見逃すことだけ。
立派な道標が立っていたのでこれは問題なかった。

唐沢鉱泉方面へ分岐してからは南斜面のせいか雪がところどころ溶けて泥道に。
やがて森は夕日に照らされてオレンジ色になり、それからふっと夕闇前の薄暗さがやってきて、唐沢鉱泉に辿りついたとほぼ同時に、日が落ちた。
どこかでもう少し遅れていたら、夕闇の中を歩くことになっていただろう。
もちろんヘッデンはあるから日が暮れても下山は可能だろうが、知らない山の夜道は避けられるに越したことはない。
ギリギリ滑り込みセーフ。これも今回の幸運の一つだ。

今シーズン初の雪山は、幸運に恵まれたことでなんとか無事に終わった感が強い。
思い返せば反省すべき点がいろいろあり、決して褒められるような山行ではなかったと思う。
これも良い練習だった、と言えばそう言えなくもないだろうが、何よりも自分自身、十分な準備をして臨んだだろうか?という面で及第点には至らない。
こんな山行を繰り返していたら、おそらく遠からず遭難することだろう。

まず現地の積雪状況を把握すること。
状況に見合った計画を立てること。
必要な装備をきちんと見極めること。
同行者の体調には気を配ること。
反省すべきことは改めていかなくてはいけないが、それはともかく。

今シーズン初の雪山楽しかったぜぇ〜ぃ、いえぇ〜!

「雪山に入る前にきちんとした知識と技術と訓練が必要だ」

滑降停止の練習するにはどこが良いのかと山バナナの会の先輩方にお聞きすると
「何かあった時に人がいる所。滑って足で止められない所。天狗岳」
という答えが。
それでは本格的な雪が降る前に行きましょうと計画していたものの、ずーっと天候が良くない予報が続いて流れていた。

駐車場に着き、足元のサラサラな雪にはしゃぐ。

どんどん先を行くmizを尻目に真っ白な雪のふわふわの登り道を楽しむ。
木の上からキラキラ落ちてくる雪にみとれたり、雪撒いて遊んだり。
2人PTだからちゃんとくっついて歩かなきゃならないんだろうけど…。
今年初の雪だったりでつい(´・ω・`)

第一展望台の手前で視界の開ける場所へ出ててアルプスの山々と麓の紅葉と雪景色…
朝の光に照らされてた綺麗な色が広がっていた。

第一展望台と第一展望台でもなんて良い日に来れたんだと景色を見ながら喜ぶ。

途中先に進んでもらったお兄さんも
「行く途中ガスが酷かったからどうかと思ったら、こんな絶妙な天気!」
と息を弾ませ目を輝かせながら挨拶してくれた。

雪に埋もれた岩でどこに脚を運んでいいのかえっこらえっこらと…
ちょっと大変だろって所をMizに腕を引っ張ってもらったんだけど四十肩が…
これは…もっと雪が多かったら直登とか出来て岩がうざいの関係なくない?

西天狗に着くと東天狗に居る人達が見えた。
お腹空いたからここでごはん食べちゃおうよ提案するが山小屋の所まで下りてからという事で先に。

西天狗と東天狗の間の道は凄く気持ちが良かった(*´∀`)ムハー
あそこはずっと歩いていたい場所だ。

東天狗の上では景色楽しんで、ブロッケン現象見て、バナナ食べる。

東天狗から下り始めてまた岩岩しい道、登りより下りが面倒な事面倒な事。
中途半端に雪があると、大丈夫だろうと思ったところにがぼっと足がはまったり…
足跡の上に足を置くのにも歩幅が短いあたしの足にはしんどい〜
もっと積もっていたら、ここはガーーーーーっと行けちゃうんじゃないの?

途中ですれ違う方を待つ時に
「いやぁ〜面倒な日に来ちゃったね、ハハハ」
と挨拶される。
後ろからついてきている可愛らしい女性も足運びに悪戦苦闘していてようで
「転がるし、どんどん置いていかれるして、もう大変」
と苦笑いしてました。

お腹が空きすぎてヘロヘロしてきたので適当な所で食事休憩。
刻んできたネギは凍っているし、焼きおにぎりも半凍り。
動いているから自分は温かかったけど、ザックの中も冷え冷えになる温度だったのだね。

お腹一杯になった後は、またどこにどう足を運んだらいいか考えたり
『遅すぎと反省会で言われるんだろうな…しょぼん(´・ω・`)』
と考えながらのろのろ歩きました。
下りは考えること一杯で頭が疲れちゃうよ。

お天気に恵まれて気持ちの良い山行になりましたが色々と反省しなきゃならない所があるので、またお勉強とトレーニングに励んで次はもっと気持ちよい山行になるように頑張ります。

次も良いお天気になりますように(*´∀`)ノ

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コメント

お二人の、素晴らしい記録ですね。
「もここが頑張っているので
弱音を吐くわけにもいきません」
このフレーズが素晴らしいですね。
下見のつもりが、本番以上の行程に
なっちゃったようで、とても大変でしたね。
素晴らしい雪景色と、途中すれ違った方との会話、反省
材料どれもすべて、
いい思い出になりそうですね。

それにしましても、チェーンなしで、
このエリアに向かう方は
おそらくアイゼンも持ってないかも
しれませんね。山に門前払いってトコでしょうか。
2013/11/18 21:01
おつかれさまでした!
北八つはもう雪景色なんですねぇ、お二人のレコを読んでいて黒百合ヒュッテにも行きたくなりました。

それにしても4コマ、いつも笑っちまいます、お二人の漫才を聞いてるみたいで(笑)うらやまし。。

でも滑落の練習、あんましやりたくないなぁできれば。。

お互いにトレーニングがんばりましょう!!
2013/11/18 23:11
komakiさん(*・ω・)ノ
おはようございます、komakiさん(*・ω・)ノ

Mizはびゅーんと早く、私はのろのろ。
2人のペースがまったく違うので私を待つ間とかで上手く自分のペースがつかめなくてMizは私より大変なのかもしれないです。

すれ違う人達とのちょっとした出会いは面白いですね。
励ましたり励まされたり、ニコニコしちゃいます。

車も冬装備しないと駄目な時期になったのですね。
途中で引き返された方は残念ですが仕方ないですよね。
2013/11/19 9:54
journeyさん(*・ω・)ノ
おはようございます、journeyさん(*・ω・)ノ

黒百合ヒュッテ、トイレも綺麗だったし素敵そうです。
泊ってご来光仰ぎに登るとかしてみたいです。

たまには独りでうるさいの置いて行きたいなぁと思うこともあるんじゃないですかねぇ

私はいつもテキトーなので「山を舐めるな、あまくみるな」とmizに叱られるですよ。
滑り落ちて大怪我する前に止まる練習もしないとです。
2013/11/19 10:09
雪山は危険がいっぱい(>_<)
Mizさん、もここさん、こんばんは(^^)v

いや~北八ツは完全に冬山なんですねー
今週末あたり、白駒池あたりにでも訪れてゆっくりテントでも張ろうと思ったんですけど、テントなんて陽気じゃないですよね(^-^;
何だか今年はどこも秋があっという間でしたね

そうそう、ワタシも今までテキトーに雪山を歩いてますから、いつかしっかりと雪上訓練をやらなくてはと思っていたのですが、お二人はさすがですね
夏道では何でもなかったことが、雪山では一歩間違えると大事故ですもんね
今年の冬はお互い楽しく雪と戯れましょー(^^)v
2013/11/19 21:59
kamasenninさん(*・ω・)ノ
こんにちは、kamasenninさん(*・ω・)ノ

きちんと勉強して訓練して雪山に挑まないと叱られるというし
叱られるだけならまだしも事故起こしたらただじゃすまないですからね…(|li´〜`)

私もテントでのんびりしたいなぁ〜
おっさん寒がりなんで冬場はできないんだろうなぁ…
ちぇっ〜(*・Д・)
2013/11/20 12:57
komakiさん( ̄ー ̄)ノ
こんばんは〜

何と言いますか、これだけ毎週のように2人で登ってると、もはや2人で登ることに意義があるような感じがして、単独山行とも大人数の山行とも違った充実感があります。

予期しない雪量だったので失敗もありましたが、結果的には無事に歩けたので良い山行となりました。
反省点は反省点として、今後は気をつけていくつもりでいます。

登りきれなかった車の方は東海方面のナンバーでした。
遠くからせっかく来たのに引き返すことになってしまったのは可哀想でした。
どこか下のほうにでも駐車して、多少なりとも山を楽しめたのなら良いのですが。
2013/11/20 21:03
journeyさん( ̄ー ̄)ノ
こんばんは〜

行った本人からして、
「こんなに雪あんの?
と驚いてしまいました。
先週まではそれほど無かったのに。
前日降りたてですので実質的に雪山と化した初日だったのかも知れません。

今回は黒百合ヒュッテは覗いてみませんでしたが、機会があればまた訪れてみたいと思います。

冬山トレーニングはどんな風にやるべきなのかもよくわからないので、諸先輩方に教わりながら覚えていきたいと思います。
2013/11/20 21:07
kamasenninさん( ̄ー ̄)ノ
こんばんは〜

黒百合ヒュッテのテン場には3張ほどありましたよ〜
風も弱めで日差しがポカポカだったので、テン泊もなかなか良かったんじゃないでしょうかね。
あ、でも前日夜までは雪だったから、起きたらテントが雪に埋もれてた、みたいな状況だったかも知れませんが。

今年はろくに紅葉も楽しんでいないのに、いきなり雪山になってしまったので妙な感覚です。
ほんと、秋は早かったですね〜

雪山訓練・・・・・・。
訓練前の下準備のつもりがコレですので、まったくもって訓練なんて出来ておりません
仰るとおり、愉しく雪山が歩けるよう、これから精進です〜
2013/11/20 21:10
もここさん、Mizさん、こんばんは〜
うぉ〜、どんどん皆が雪山へ行く〜
うらまやしぃ〜

そして天狗岳へ行かれたのですね!やる気がみなぎる感じ?
ちなみに雪がついたら黒百合ヒュッテ方面には中山峠経由が通常ルートですね。
雪のあるときはグリーンシーズンよりルートが随分制限されるみたいです。
登山口で指導員さんにいろいろ教えて頂くのがいいみたいです。

冬はゆっくり休憩できることがない時もあるのでシャリバテ防止にペットボトルに入れたナッツとかポケットにチョコバーとか入れとくといいかもですね〜
十分なカロリー補給は低体温症防止にもなるみたいですぅ。
すみません、人のレコのコメントで自分に言い聞かせてますぅ

いいなぁ、雪山
2013/11/21 0:08
Kamehibaさん(*・ω・)ノ
こんばんは、Kamehibaさん(*・ω・)ノ

雪のシーズンになると指導員さんがおられるんですか。
またオフ会の時に色々教えてもらおうかと思ってました。

自前の皮下脂肪燃やしてやろかと頑張ってみたけど燃やしきれませんでした(ノД`)
2013/11/21 20:01
うわーい、kamehibaさんだ( ̄∀ ̄)ノ
こんばんは~

いや、うちらは決して狙って雪山に行ったわけでは……。
でも満喫できました~、うへへ

来週いろいろ教えて下さい、かめ様、ひば様!

ちょっと今から温泉入りますんで!
取り急ぎ!
2013/11/23 18:42
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