上州武尊山 - 劇的な天候回復
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- GPS
- 00:11
- 距離
- 4.5km
- 登り
- 479m
- 下り
- 463m
コースタイム
9:16 第5リフト終点 - 10:38 剣ヶ峰山 - 14:18 武尊山(沖武尊) - 16:18 テント場
■ 1/1(水):
7:50 テント場 - 9:44 第5リフト終点
天候 | 12/31(火):晴れのちガス・風雪のち晴れ 1/1(水):晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
■ 帰り:第5リフト終点〜(リフト)〜川場スキー場駐車場〜(マイカー)〜自宅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・12/31朝の川場スキー場手前の道路は凍結箇所があった(翌日の昼には溶けていた)。マイカーの場合は冬タイヤかチェーンが必要と思われる。 ・川場スキー場のビル7階のチケットカウンターで登山届を提出し、登山証明書を受け取る(リフトに乗る際に提示する)。自分は最初、駐車場の4階に車を停めたが、登山者だからか1泊の計画だからか6階に移動するよう指示された(通常の利用者と区別するためと思われる)。 ・登山道はまだ雪が締まっておらず、わかんでもツボ足状態になる箇所が多かった。また、ルートを外れるとハイマツや木の根元の踏み抜き地獄にはまる。急斜面では雪壁でもがくようなラッセルも。今回の雪の状態では、ピッケル・アイゼンよりもストック・わかんのほうが有効だった(もちろんピッケル・アイゼンも必携)。 ・武尊山山頂からの下山時は、誤って西面の谷に入り込まないように注意。谷には急な崖があり、落ちると遭難必至。 ・風が強い箇所では、地吹雪ですぐに踏み跡が消えてしまう。往路のトレースが復路に当てにできないため、ルートを失わないよう十分に注意。 |
写真
感想
年越し山行で群馬県の上州武尊山へ。
これまで何度か雪山テント泊の経験はあったが、先日I塾の雪山講習で谷川岳の西黒尾根を登り(途中敗退)、八ヶ岳のようなトレースもテント場もある人気の山域とそうでない山とでは、まるで難しさが違うということがわかった。
特にショックだったのは、2日目の起床から出発まで4時間以上(!)もかかったこと。
テントは撤収しなかったにも関わらず。
自分ではそんなに時間がかかっているという感覚がまったくなく、後でびっくりしてしまった。
講習の復習と、次回の講習までに少しでも経験を積んでおかなければと思い、比較的マイナー(百名山だけど)で適期も外れている上州武尊山へ行くことにした。
コースは何通りかあるが、一番アクセスが良く難度も低いと思われる川場スキー場から。
適期なら5時間程度で日帰りできるコースだが、ラッセルを見込んで参考タイムの3倍の時間で計画を立てた。
■ 武尊山山頂まで:
出発時は晴れ。
剣ヶ峰までは断続的にトレースがあり、くるぶし〜ふくらはぎくらいのツボ足。
ただ、この時季はまだ雪が締まっておらず、急斜面では雪が崩れてなかなか登れなかったり、トレースが見当たらないところではハイマツを踏み抜いたりして苦労した。
剣ヶ峰から先はトレースがなかった(期待どおり!?)。
剣ヶ峰〜鞍部の間はルートが屈曲していてよくわからず、藪の中を踏み抜きながら進む。
わかんの片足がもう片足を踏んでしまい、なかなか抜け出せずに苦労した。
間もなく一面のガスに覆われてしまい、ホワイトアウトまではいかないが数m先しか見えない状態に。
目標物が何も見えないので、地形と方角を頼りに山頂を目指す。
風が強くなり、雪がパチパチと乾いた音を立ててフードを叩く。
ガイドブックに頂上手前は左から巻くように書かれていたので、2070mくらいのなだらかになったところで一旦稜線を外れ、左方向に進む。
しかし藪が多くて歩きにくく、これがルートとは思えない。
迷ってしまいそうだったので、再び稜線方向へ戻りながら登る。
踏んでも踏んでも崩れ落ちる急斜面でもがき、ときどきハイマツにハイステップしたりしながら、なんとか山頂に到着した。
石碑や方位盤、山頂の標識が露出するほかは、一面真っ白。
■ 武尊山からの下山:
自分の踏み跡を辿って下山を始めたが、さっき歩いたばかりなのにもう地吹雪で踏み跡が消えてしまっていた。
さらに、わかんのかかと部分のストラップが外れるというアクシデント。
出発前、アイゼンを履いたままわかんを着けられるようにストラップを調整したとき、余りを短くしすぎて抜けてしまったようだ。
こんな細かい作業はグローブをはめたままできないので、禁断のグローブ外しで素手になって直した。
踏み跡を見失ったまま下っていくと、先が急な崖で切れ落ちている。
往路で左方向へ少し巻いたせいで、誤って稜線西側の谷へ向かってしまっているようだ。
もし足元の雪が崩れて谷へ落ちたら、絶対に戻れそうにない。
谷へ落ちて誰にも見つけられずに凍死。
ヤバイな・・・頭に黄信号が点り出す。
登りはとにかく高いところへ向かえば頂点は1つだけだが、下りはただ低いところへ向かえばいいわけではない。
とにかく稜線へ戻ろう。
できるだけ高度を変えないように、急斜面をトラバースしていく。
何度か「これが稜線か?」と思える起伏があったが、本当の稜線には雪庇があり、その先は谷になっていてはっきりとわかるはず。
いくつかの起伏を越えて、ようやく本来の稜線に辿り着いた。
風が弱いところなのか、自分の踏み跡も残っている。
少し登り返すと、往路で見つけたピンクリボンがあってほっとした。
稜線を踏み跡伝いに下っていく。
ところどころ風で踏み跡が消えてしまっているが、なんとかルートを外れてはいないようだ。
このへんをテント場にするか、とザックを降ろして少し周囲を歩いていると、突然雲間から太陽が現れ、どんどん雲が消え去っていく!
まるで荘厳なショーを見ているようだった。
あっという間に一面の青空が広がった。
あまりにも劇的な天候の変化に感動。
しかし、逆のパターン(快晴から突然悪天に)もあり得るわけだ・・・。
どうせなら視界のいいうちに、もう少し下ることにした。
ここならもうルートに迷わないだろう、という剣ヶ峰手前の平坦なところをテント場にした。
稜線上ではあるが、自分の踏み跡が残っているので風当たりは弱いようだ(少なくとも今までは)。
■ テント泊:
講習で教わったように、ある程度踏みならしたら雪を切り出して防風ブロックを積んでいく。
しかし1人では、申し訳程度に30〜40cmくらい積むのが精一杯。
全然意味がないが、これ以上やっていたら夜になってしまう。
テントを張ったら水作り。
しかし1人用のテントでは狭すぎて、テント内でガスバーナーを使うとひっくり返したりテントに燃え移ってしまいそう。
どうせ換気するなら寒さは同じだし、幸い風もないのでテントの外で水作りをした。
アルファ米やフリーズドライ食品に使うお湯がなかなか沸騰せず(結局沸騰しきらないお湯を使い、不味かった)、必要量の水を作るのにかなりの時間を費やしてしまった。
テントで時間短縮するひとつの方法は、水作りをいかに効率良くするかだと思った。
そして、1人用のテントは寒い!
テント内でも温度はマイナスで、コッヘルに付いた水がすぐに凍ってしまう。
整地も完全に平らにはできなかったため、夜中に寒さとずり落ちで何度も目を覚ました。
■ 翌朝:
5時過ぎに起床。
朝食もアルファ米とフリーズドライを用意してきたが、またお湯を沸かすのに時間をかけたくないし、残りの行程はわずかなので行動食の一部を食べた。
時間短縮のため、朝食はお湯を使わないものにするという方法もあるかと思う。
今日が元日だということをすっかり忘れていて、テントの撤収で初日の出の瞬間を見逃してしまった(下山後にリフトの職員に「良かったでしょう、初日の出!」と言われて、「しまった〜、今日は元日だったか!」とようやく気づいた)。
今年1年の安全祈願をしたかったのに、残念。
昨夜は一時的に風が吹いたがほとんど無風。
今日も天気は晴れで無風。
乾いた雪なのでテントへの着雪もなく、撤収は楽だった。
これに比べると、先日の講習(テントが半ば雪に埋まり、風雪の中の撤収)がいかに悪条件だったかと思う。
それでも、起床から出発まで2時間半。時間かかりすぎ・・・。
■ 下山:
踏み抜きと軟雪のツボ足で足下が不安定なので、ふくらはぎから下の筋肉がすごく疲れた。
数歩進んでは足を休めて立ち止まるという体たらく。
それでも好天の下、雪化粧した周囲の山並みを眺めながらの山歩き。
これが「雪山のご褒美」か。
武尊山(沖武尊)そのものはなだらかだが、周辺は急峻な地形が多く、スケールの差こそあれ本当(?)の穂高岳にも負けない山々だと思った。
一時は「遭難」の文字が頭をよぎったが、なんとか無事にスキー場に下山した。
それにしても、1泊2日だから多少の悪天候や寒い夜、ラッセルにも耐えられる。
これが数泊となれば、よほど強靭な精神力がないとできないと思う。
ヤマレコ書いている暇があったら、メールに返信しなさい!
TZ塾長が昼も眠れず、心配してますよ。
ワタシはもちろん、昼寝から目覚めたところですが。
ヤマテン予報では谷川も武尊もかなりの悪天だと思っていたので、晴れ間が出るとは意外ですね~。
初日に登頂できたということは、まだそれほど雪が深くなかったのですかね?
それともmfさんの実力?
行動停止時刻が遅すぎるような気もしますが…。
何はともあれ無事で何よりです。
やはりトレースのない雪山は、自力で登った感が違うでしょうネ!
ヤマテンも、直前の予報では31日〜1日午前にかけては悪くなかったです。
ちょうどいいタイミングで入山できました。
雪は深くはなかったですが、軟雪と踏み抜きに苦しみましたね〜。
先日の西黒尾根とは違ったタイプの雪質でした。
元々、積雪期の参考タイムで5時間日帰りのコースですから、2倍かかったとしても初日に登頂できたのは不思議ではないです。
行動停止時刻は遅すぎますね。
もっと早くにテント場を決めかけたのですが、そこで急に天候が回復したので、遅くなってもできるだけ安全圏の近くへ下りることを優先しました。
まっさらな雪面に自分だけのトレースを付けるのは最高ですよ!
また雪山の魅力に取りつかれてしまいそうです。
(クライミングとの両立が難しい・・・)
クライミングだけでなく雪山もしっかり復習しているんですねー。しかも元旦も忘れて。
それに目測を誤って広く整地しすぎるって、mfさんっぽくて笑いましたー。
私もmfさんを見習って頑張ります(気持ちだけ)!
大晦日の夜は「今年も終わりか〜」と思ったんですが、翌朝になったらすっかり忘れていました(^_^;)。
敷地はいくら広くしてもタダですからね(笑)。
でも、1人用テントは思ってた以上に小さかったです。
1〜2人用のほうが何かと便利そうですが、寒いし重くなりますからね〜。
風邪で寝正月している間に、冬山コソ練していたなんてー
しかも密かに狙っていた武尊!(笑)
遭難未遂(?)はあったもののご無事で、しかも晴れ間ものぞいたようで、良かったですね
ソロということを考えると、撤収2.5時間は手際が進化したのではないでしょうか?(僕も練習しておかないと!)
cherroさんと同じく、正月を忘れて撤収作業に燃えていた様子が、とってもmfさんらしくてニヤニヤしちゃいました
それにしてもトレースのない雪山はいいですねー
コソ練じゃないですよ〜(笑)。
上州武尊山は良かったです。
2月くらいで雪が締まると、アイゼン・ピッケルが活躍しそうです。
今回は雪山の厳しい面といい面の両方を体験できました。
でも、雪山って死と隣り合わせですよね〜(特に単独行は危ない・・・)。
起床〜出発の時間を短縮するひとつのポイントは、水作りと食事をいかに早くするかだと思いました。
水は前夜のうちに作っておくのはもちろん、ジェットボイルのような効率の高いものを使ったほうがいいかもしれません。
前回の反省点をふまえて、次回の講習ではぜひとも改善しましょう!
川場スキー場への直行バスが都心から出てますね。(週末のみかも?)
軟弱雪山登山隊は雪中泊未体験なので、今年は1回やってみようかと… でも、冷えるとダメなんですよ。大地主なもので。
調べてみたら、土日祝に池袋から無料バス(!)が出ているんですね。
きっと客寄せに大変なんでしょうね〜。
umiumiさんは雪中泊未体験でしたか!?
あらゆることに時間がかかりますし、寒くて辛いっすよ〜(と脅かしてみる・笑)。
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