霊仙山 〜今畑廃村から〜
- GPS
- 07:29
- 距離
- 11.0km
- 登り
- 1,085m
- 下り
- 1,083m
コースタイム
- 山行
- 7:14
- 休憩
- 0:16
- 合計
- 7:30
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登りでは雪の状態も良く、アイゼンの必要はなかった。 下りも冬靴のソールの堅さを利用しながら下って特に危険なところはなかった。 雪の状態が程よく足を受け止めてくれたのでツボ足で通せたが、凍結の状態次第では同じように歩けないので注意が必要。 ササ峠に下る斜面は上から見下ろすとかなりの傾斜を感じる。 ここも雪の状態によって歩き方が変わる。 |
写真
感想
前回の比良に続いて、次は鈴鹿と決めていた。
山の初心者だった自分がいきなりの雪の霊仙南西尾根に挑み、冷や汗ものの一日を過ごしたのはもう10年前。
少しは安全にこのルートを辿れるつもりで今回のプランニング。
(もうほとんど断片的な記憶しかなかったが)
明るくなってからスタートしようと少し遅めの到着。
落合の廃村から歩き出す。
少し川沿いに南下したところに登山口がある。
たぶん昨日の登山者のトレースは残っているが、今日の先行者はなさそう。
いきなりの急勾配の斜面を直登する。
トレースを辿るが、まだ朝の冷え込みで雪が締まっていて足をしっかり受け止めてくれる。
これならアイゼンの必要はない。
しばらく登ると、山中に廃村の集落が現れる。
2月には多くの福寿草が見られるこの集落跡を抜け、尾根に出るとしばらくは傾斜も緩やかでのんびり進む。
前方には近江展望台の尖ったピークが見えだし、その手前の斜面は雪が張り付いて壁のように見えている。
地形図ではあの雪の斜面の真ん中を突っ切って登るらしいが、下から見上げる限りでは、下りがかなり緊張しそうなルートに見える。
斜面に取り付くと、幸い雪の状態がいいので特に危険を感じるシーンはなかったが、体力は確実に奪われる。
いつものように張り切りすぎて足がつらないように、ゆっくり歩を進める。
展望台から先は雪庇が続く稜線歩き。
雪は深いが風の当たる稜線のトレースはほぼ消えている。
踏み抜きに気を付けながら足の置き場を選んで歩く。
広い山頂部を見渡すと、大きなくぼみをぐるりと右の最高点から回り込み、半円を描くように山頂に至るルートになっている。
その大きなくぼみは決して深い谷ではなく、全体に歩けそうにも見えた。
ここをショートカットできたらかなり時間を節約できそうに思える。
トレースの消えた稜線をラッセルしながら進むのはなかなか時間がかかり、登頂したのは正午を過ぎていた。
ただ風が冷たく、どこか風を避けられるところで食事にしようと移動することに。
さっき歩いた稜線のルートfがくぼみの地形のはるか向こうに見えている。
地形を眺めていたら、ここを突っ切るルートが見えてきた。
細かい段差があるのを見極めて立ち往生しないように進める目算が立つと、すぐに歩き出した。
途中で時間のかかる可能性もあるので無駄にはせずに足を動かす。
ただやみくもに急いではトラブルのもと。
勾配の変化や見えない部分の状況を予測しながら真っ白な谷に入る。
雪の白さに視覚がマヒする「雪盲目」の状態になった。
2m程の段差があるはずなのにその縁が見えない。
一歩ごとに足を雪面に下ろすまで地面の傾斜が分からない。
ただ視線を上げると大きな地形は見えているので焦るような状況にはならない。
スリバチの底のような地形の中で雪の中に座って食事を取り、足を少しでも休めて斜面を登り直す。
これでガスが出ていたり吹雪いていたりすれば、方向を見失うのは容易に想像できる。
斜面を登り切って往路の自分のトレースに合流した。
ちょっと思い切ったショートカットだったが、遭難に至る状況のひとつを想像できたのが大きな経験になった。
登りで大きな壁のように見えていた急斜面。
下りはどうだろうかと緊張しながら縁に立った。
見下ろすと、実際の傾斜よりも急な、それこそ壁のように見えている。
それほど怖く感じなかったのは、雪がさっきよりも緩んで滑落するイメージがなかったこと。
弛んだ雪で足を取られることは増えたがほぼトラブルなく下り切れた。
雪の伊吹の下りより距離は短くても緊張していたように思う。
あとはトレースを辿って下るだけだとタカを括っていたら、踏み抜きがやたらと増えて時間がかかってしょうがない。
下りでは一歩ごとに体重がかかるので足の潜り方が大きい。
ただでさえ午後になって弛んだ雪にはまり込んだ足を抜くのも一苦労。
ワカンを付けて下るには勾配が急すぎるのも気になって、ついついそのまま不機嫌に下っていた。
気が付いたのは、雪の山を歩きたくてここに来たこと。
雪の山ってのは人工芝の上にパウダースノーが乗っているわけじゃない。
この山に来て、このルートを歩いて出会う状況に腹を立てている滑稽さを感じてしまうと、これは赤面するほど恥ずかしいことだった。
状況を見極めながらリスクを回避する手段を選ぶ緊張感は楽しい。
いいものを見つけて心をあちこち飛ばしながら歩くのも楽しい。
一歩ごとに雪に足を取られるしんどさ、これは楽しくはない。
でも、どうせまたここを歩きたくなるんだったら、全部受け止められる自分を連れてこなきゃ。
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