涸沢・北穂高岳
- GPS
- 55:04
- 距離
- 34.7km
- 登り
- 1,774m
- 下り
- 1,764m
コースタイム
- 山行
- 6:14
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 7:07
- 山行
- 4:26
- 休憩
- 1:11
- 合計
- 5:37
天候 | 晴れ、晴れ、晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
涸沢周辺は雪崩が頻発。滑落にも注意。 |
その他周辺情報 | 下山後は沢渡温泉・梓湖畔の湯(730円)で汗を流し、向かいの杣乃家で食事を摂った。 |
写真
感想
GWの3連休は、残雪の涸沢へ初めての雪山テント泊へ出かけてきました。、
さいたまの山仲間2人を拾って、沢渡へ。午前3時くらいに着きましたが、バスターミナルの駐車場(霞沢)は満車に近く、GWはこんなにも混むものかと驚きました。1時間くらい仮眠を取って、静岡方面から来た3人と合流し、6人で上高地へ向かいました。ジャンボタクシーを使ったので快適でした。
5時過ぎに上高地に着くと、早朝にもかかわらず夏以上のにぎわいでした。登山客はもちろん、ハイキングや観光の人たちも、早々から活動していました。上高地から見える、残雪をまとった穂高の山並みも美しく、この山旅の充実ぶりを予感させます。意気揚々と歩いていくので、重たい、雪山テン泊2泊分の荷物も、そこまで苦にならなかったです。
横尾から先はいよいよ本格的な山道となり、雪もちらほら見えてきます。足元のいやらしい箇所もありましたが、アイゼンなしで行けました。本谷橋を渡ってからはアイゼンの出番です。斜面上の細いトレースさえ慎重に歩けば危ない箇所はほとんどなく、樹林帯を抜けて涸沢ヒュッテが見えてくると、あとはひたすら、それに向かって歩いていきます。
ヒュッテが見えてからが長い印象ですが、無事に涸沢へ到着。すでに大勢の登山客がいて、テントの設営にとりかかっています。初の雪山テン泊だったので、夏と違って設営がめんどうなことも初めて知りました。シャベルを使い、雪の斜面を削って平らに整地するのは、なかなかの肉体労働です。
設営に1時間以上の時間がかかりましたが、それでも午後2時過ぎくらいには宴会を始めることができました。まずはヒュッテの生ビールで乾杯。その後、テントに入って、持ち寄った食材やつまみを頬張りながら二次会でした。6人中2人が初対面で、自分が一番若輩者にもかかわらず、すぐに親しくなれて楽しく飲めるというのは、山の力でしょうか。
2日目は北穂高岳へ。3日間の中で2日目の天気予報が一番よく、期待していたのですが、モルゲンロートは見られず、奥穂・北穂は雲に覆われがちで心配になりましたが、出発の7時くらいになると、だいぶ天気が好転してきました。
北穂までの急な傾斜を登っていきます。途中、何度も振り返っては、遠ざかるテン場を見たり、ギザギザの前穂を眺めたりしてしまいます。2時間半ほど登ると、山頂に到着。危ぶまれた天候も文句ないくらいに回復し、大キレット越しの槍ヶ岳はじめ、北アルプスの大展望を望むことができました。
2時間ほど急斜面を下りてきたあとは、再び宴会。残っている肉やソーセージを鱈腹食べました。お酒もビールとワインをいただいて、夕方5時くらいには寝てしまいました。途中、9時くらいに起きてテントから顔を出すと、涸沢カールの上空に雲一つなく、満天の星でした。名前のわかる星座は北斗七星くらいでしたが、星をつなげて自在に星座がつくれそうなほど、たくさんの星を見ることができました。
翌朝、テントの撤収にもそれなりの時間がかかり、7時くらいから下山を開始しました。3日目は早朝から快晴で、紅く染まるモルゲンロートこそ見られませんでしたが、真っ青な空と残雪の山が美しく、名残り惜しかったです。とは言え、翌日は仕事、帰りの渋滞も心配なので下山せざるを得ません。しかし、横尾までの2時間ほどの道のりはまだよかったのですが、その先の何でもない遊歩道3時間はきつかったです。荷物が減ったとは言え、疲労した体に大荷物を背負うのはかなりの負担です。そして何より、全くテンションが上がらず、だらだらと歩いていくことが、精神的にも肉体的にもきつかったです。徳沢でソフトクリームを食べたことと、2日前には咲いてなかったニリンソウが一面に咲き始めたことくらいが、数少ない楽しみでした。
昼過ぎに上高地へ着き、すぐにタクシーに乗り込んで沢渡へ向かいました。沢渡温泉・梓湖畔の湯(730円)で3日分の汚れを落とし、その向かいの杣乃家でざるそばをすすって、帰路に就きました。早めの帰りを意識したものの、松本インターまでの道路でさえやや混み気味。高速も断続的に渋滞があり、帰宅できたのは夜中でした。でも、初めての雪山テント泊が充実していたものだったのは、間違いないです。
しかし、実は、楽しいことばかりだったわけではなく、雪山の恐ろしさも体感していたのでした。涸沢入りする前日に積雪があったらしく、そのあと暖かい日が続いたので、雪崩が頻発していました。涸沢は「雪崩の巣」だと聞いたことがありますが、本当のようです。あらゆる斜面で雪崩が起きていると言っても過言ではないです。
ぼくらが北穂山頂直下を下りている時、頭上で雪崩が発生しました。こちらには来ないだろう(来てほしくないな)と思って眺めていたら、自分のほうに迫ってくるので、慌てて急斜面を横に走って、雪崩をかわしたのでした。少し雪崩に当たったのか、足元に感じた雪の重みが不気味でした。直撃したら、足元をすくわれ、100m以上はさらわれていたことでしょう。
で、雪崩の直後、我々は気を取り直して下山を再開しようとしました。ところが、2人前を歩いていたメンバーが滑り、そのまま落ちていきます。ピッケルを刺そうとしていたのはわかりましたが、なかなか刺さらず、ハードシェルを脱いでいたせいか、どんどん滑っていきます。ぼくはなす術もなく、上から止まれと願うだけでした。さっき雪崩れた跡に沿って、加速もし、せめて岩にはぶつかるなよと願っていたら、幸い、岩と岩の間を抜けて、斜面がゆるやかになったあたりでようやく止まりました。150mくらいは滑落したでしょうか。上からずっと様子を眺めて、とりあえず体が動いていたので、少し安心しました。残りのパーティーはいっそう慎重に下り、追いついたところで、すり傷と捻挫くらいだと聞いて、やっと本当に安心できました。雪山は怖いです。
それから、今使っているミラーレス一眼カメラですが、初めて宿泊をともなう雪山に携行していきました。寒さに弱いことは知っていたのですが、まさかここまで弱いのかと驚くくらい、バッテリーの消費も激しく、本体自体の操作にも支障が出るほどでした。なので、今回、せっかく素晴らしい星空を見ることができたものの、カメラに収められなかったのは非常に残念です。
あと、好天に恵まれ過ぎて、上からの日の光と、下からの照り返しがひどかったです。日焼けをなめていたので、下山後、風呂場の鏡を見て愕然としました。
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