新戸倉スキー場跡から点名「若杉)」周回
- GPS
- 05:26
- 距離
- 11.2km
- 登り
- 672m
- 下り
- 650m
コースタイム
- 山行
- 5:05
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 6:10
天候 | 曇時々晴一時霧雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
踏み跡あり。不明瞭箇所、ルートファインディングの難しい地点あり。六郎谷の尾根を若杉峠まではマーキングほとんどなし、若杉峠下降点付近は、転落要注意。 |
その他周辺情報 | よい温泉は源泉かけ流し。 |
写真
感想
今年はあっという間に春が過ぎ、夏がやってきた。植物も大忙しで成長している。毎年植え付けているサツマイモも一か月近くも早く蔓が届いたので、ニガウリの苗ももう出ている筈だ。毎年ニガウリの苗は宍粟で買っているし、姫路の港から宍粟に直送される昼網のさかなも今日は入荷があるというので、本日の山は宍粟と決まり。場所は、未踏の稜線として残っている六郎谷南東から藤無山北西の登山口までの間の縦走である。この区間はこれといって「名のあるピーク」の存在しない、そして道もはっきりしない「忘れられた領域」である。この辺りの山域に固執した好事家が稀に訪れるに過ぎない。私自身は、2年くらい前だと思うが、道谷の新戸倉スキー場跡を起点に山越えの高圧線のある小尾根伝いにこの稜線に上がり、「十年」方向に周回したことがある。また、東北から越してきた4年前余り前に、転居後すぐ登ったのが、大屋スキー場から藤無山への「つまらない」ルートで、その際にいわゆる「藤無山登山口」から藤無山方向へと歩いている。ということで、若杉峠(わかすとうげ)を中心に南北に延びる稜線部分が残っていたという次第である。
バブルの頃には賑わったであろう新戸倉スキー場の跡地から沢沿いの林道を入ると、洒落たバンガローが数戸あり、それを抜けたところに「火の用心」の標識が立つ。ご存じ「巡視路標識」である。ここから巡視路に乗って小尾根を一気に登る。以前来た時には藪化してとりつきがわからないほどに荒れていた巡視路が、天への階段のごとく再建されて続いていた。もっとも、やはり取り付き点付近では修復間もないというのにすでに崩れかかっており、この場所がいかに不安定な急傾斜であるかを物語っている。その先は真新しい階段が大峯山の登山道のようにきれいに伸びている。途中から巡視路を離れて稜線をまっすぐに登る。周囲は若いブナ(下部ではイヌブナ)やミズナラを主体とする温帯広葉樹林で、里ではすっかり夏色に変わった木々が、未だ瑞々しい新緑の輝きを放っている。この美しい林は主稜線まで連続し、爽快な登行を約束してくれる。主稜線のピークに出て右の鞍部に降り立つと、高圧線に沿って伐採された空間に眺望が開ける。この先のピークで一旦巡視路階段を北側にわずかに下り、そこから右に派生する尾根に乗る。少々迷いやすいところだ。(この部分、ログでは断絶点となってしまったのでご注意ください。)しばらくは自然林中の気分の良い尾根が続く。ひとしきり登ったピークには三等三角点が埋設されており、消えかかった山名表示に「横行山」とあるのを見る。測量のためであろう、山頂部が伐採されて視界がよい。ここから稜線は下り基調となり、最初は但馬側のみがヒノキ植林、やがて両側とも植林帯となる。尾根は何か所かで折れ曲がって高度を下げていく。やがて車の音が聞こえるようになり、若杉峠が近いことを知る。そして直下に県道が見えるところに来る。しかし、峠に向かって稜線はキレットのように落ち込んでおり、出しかかった足を思わず引っ込めるくらいの傾斜となっている。実際、県道は数十メートルの高さでコンクリート法面と芝植え込みとなった切通となっていて、まっすぐ進んだのでは下れないばかりか、極めて危険である。そこで、サイドに逃げたいところであるが、降りられそうな右側斜面は松の幼木とその枯れ枝に覆われた藪で、手ごわそうだ。ここはわずかに来た方向へ戻り、松の藪が薄くなったところを選んで少し下ると、作業道跡にでる。これを若杉峠方向に辿る。数十メートル行くと行き止まりになるが、その右手はスギの植林帯で、激急傾斜ながら木の幹に縋って尾根型に沿い何とか下ることができる。降りてゆくと県道に沿って高い金属フェンスがあるのを知る。だが、丁度我々の行く手の付近のみ、フェンスがなく、道路への出口に段差もないので、下降にさえ気を付ければ問題なく県道に出ることができるのだった。この「出口」のところには「若杉峠」の車用標識版があるので、逆コースを辿る際にはそれを目印とするのがよかろう。
若杉峠で昼食をとり、今度は反対側の尾根に取り付く。わずかに登るとブル道に出る。これをそのまま辿ってうねうねと高度を上げ、ブル道が崩壊している地点の手前で尾根に乗ってそのまま直上する。周囲はスギの植林で面白くないから、高度を上げることだけに専念する。相当登ったところでようやく自然林となり、ブナの巨木などもあってすがすがしい登行となる。昼飯休憩でたるんだ脚の筋肉が悲鳴を上げるも頑張って登りきると、そこは今日の最高点、三等三角点「若杉」であった。沖ノ山近くの兵庫・岡山県境にも同名の三角点があるが、今立っている場所は「わかす」と読むと思われる。木々の隙間から藤無山の大きな姿が垣間見える。尾根は下り主体となり、やがて植林帯に入る。松の混ずる荒れ気味の植林帯の丸いピークでルートは鋭く90度、左に折れ曲がる。実感としては90度というよりもV字で折れ曲がるといったほうがよい。まるで、今歩いてきた尾根に戻っているよ右な錯覚に襲われる地点であり、要注意である。マーキングが複数あるので注意して方角を見定める。違う方向にもマーキングがあったりするので、警戒することだ。
ここを過ぎれば問題となる箇所はもはやない。淡々と下ってゆくと前方が開けて、既視感のある風景となる。そこは大屋スキー場のゲレンデ最上部であり、いわゆる「藤無山登山口」である。今日はここを右に沢沿いに下る。古い作業道を少し下ると、再び見覚えのある地点にでる。ブル道の分岐点で、宍粟50名山ルートの標識が立つ。以前、三久安山の側からここにやってきて藤無山へとのぼった事がある。今日は右へ下り、林道に出て県道へと進む。林道は通行止めになっているので車を気にすることなく下ってゆく。県道をさらに下って道谷集落に達する。すでに空き家となった何軒かの屋根が、無残にも崩落している。今年の大雪で雪下ろしをしなかったために屋根が重みに耐えかね、引きちぎられてしまったものと思われる。まだ元気な道谷集落とはいえ、山村のこれからを考えさせる光景である。こうして無事、下山し、今日の主目的であるニガウリの苗と昼網のさかなの購入へとスイッチを入れ替える我々がいた。
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