大君ヶ畑から大見晴・茶野周回
- GPS
- 05:59
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 810m
- 下り
- 806m
コースタイム
天候 | 曇りのち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2022年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登りに使用した尾根は踏み跡なし、マーキングごくわずか、激急傾斜、土質は水を含むと泥と化しずるずる。ヤマビル注意。 |
その他周辺情報 | 蒲生野の湯。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
8日前、鞍掛橋から桜峠に上がり、鈴ヶ岳、鈴北岳、御池岳を巡って周回した際、ベニバナヤマシャクヤクの多くはまだ固い蕾をつけた状態で、かろうじて数輪が開花間近だった。やはり開花したものに出会いたいという気持ちは拭えずにこの週末を迎えた。土曜日は生憎の天気で、小雨が降り続いていた。日曜日は原則、安息日とすることにしていたが、天気が回復するのなら日曜日の山行とせざるを得ない。前日のてんくらは鈴鹿を含めて近畿の日曜日の予想は「C」だったが、予想天気図からみて、天候の回復は確かと思われた。風が強いとしても等圧線はそれほど密になるはずもなく、この季節、気温の低下もたかが知れている。そこで、日曜日に再度ベニバナヤマシャクヤクを見に行くことに決めた。今度は大君ヶ畑(おじがはた)から大見晴、茶野とめぐって周回するプランだ。
宗願寺斜め前のバス停跡に車を停めて準備を始めるが、空模様はパッとしない。まあ、覚悟の上だ。主稜線までもってくれることを念じて、取り付き点に向かう。これまでの記録から見て、今日の登りに使う尾根は少々手こずるかもしれない。今朝まで雨が降っていたため泥の激急斜面は難度が上がっているはずだ。この尾根にはヤマレコ の登録ルートが線引きされているが、自動モードを外して手書きにすると、登録ルートの引かれていたところには歩行トレースが一切ないことがわかる。また、登録ルートの線の走り方が不自然なので、当初から当てにはならない怪しい線、と見做していたが、現地に行ってみるとやはり実態とはかけ離れた「あり得ない」線であった。もっとも、我々は最初からその想定で行動し、登録ルートを無視して登り始めたのだったが。犬上川の左岸のほぼ廃村と化した地区を抜け、古い林道を谷沿いに入る。左手の尾根の最低鞍部がすぐそこに見えるので、スギ植林の斜面を適当に登ってその鞍部に乗る。何となく踏み跡らしきものがある。これを辿るが、山が立ち上がって明るいイワヒメワラビの傾斜地になると早くも踏み跡は消え、尾根筋を外さぬよう、適当に登る。と言っても予期した通りの激急斜面で泥がずるずるである。四つん這いになり(というよりも傾斜が立っているので「四つん立ち」)岩や木の幹やら果ては細技、朽木に至るまで何でも使えるものは使って登る。尾根の立ち上がりはこんなもんだと思って登るがちっとも傾斜は緩まない。落ちれば止まらないであろう。黙々と登る。やっと傾斜が緩んだと思うのも束の間、また四つん這いが始まる。周囲は温帯広葉樹林帯となって石灰岩の岩屑が覆うようになり、かなり高度が上がった頃、ようやく二足歩行ができる傾斜になる。前方が明るくひらけたと思うと、高圧線鉄塔の立つ地点に出る。ここから多少踏み跡らしきものが現れる。すぐに大きな尾根に出て、オニグルミの大木の切れ目から鈴ヶ岳が大きく臨まれる。尾根は進むにつれて茫洋とした広がりを持つようになる。再び杉植林の暗い林相となって方向感覚が怪しくなるので慎重を期す。いつ雨が落ちてきてもおかしくない空模様である。三角点があるだけという万野には行かないことにして、大見晴を目指す。左手目の前のピークが大見晴だな、と登り始めた時、薄暗い林下を明るく照らす燭台のような白い造形が目に飛び込んできた。ベニバナヤマシャクヤクの群落だ!ここのベニバナヤマシャクヤクは全て白花系統である。それでもほのかに紅が差したように見える。周りを見回せば、そこここにベニバナヤマシャクヤクが群落を作っているのだった。大半は白いすぼんだ蕾であるが、中には花びらを開いて黄色い蘂を覗かせているものもある。山肌の群落を巡りながらゆっくりと高度を上げ、石灰岩のオブジェが散在する大見晴の山頂に到達した。ここで昼食とする。例によってkinuasa特製の巨大チキンカツサンドだ。大見晴は全く見晴の効かない山頂で、ノー見晴と改名したほうがいい。
雨が降ってくるのを恐れて食事を終えたら早速出発だ。方角を掴みづらい山頂を辞してミノガ峠へと向かう。山頂部の穏やかな様子とは裏腹に、またまた激急斜面の降下である。木の幹に抱きつきながら慎重に下る。尾根の筋が見極めずらいので、要注意である。まもなく尾根型がはっきりしてきてアップダウンを繰り返して進むと、舗装林道の走るミノガ峠に飛び出す。何の標識もないところだ。ここから舗装道路を左に進むとやがて左上方に作業道が分かれるので、これに入っていく。作業道を上がったり下がったりしたのち、道標の立つ地点に達し、ここから桜峠への山道となる。
桜峠までの一般ルートはよく踏まれている。桜峠からは左に茶野を目指す。好ましい広葉樹林の若い林を進む。すぐにベニバナヤマシャクヤクが姿を見せる。眼前に石灰岩の岩屑に覆われたピークが現れるあたりから雰囲気は一段と明るくなり、林を抜けれは広展望に思わず声を上げたくなる。振り返れば、鈴ヶ岳、北鈴岳、御池岳の大きな山容がひらけている。雲は次第に消えて青空が支配を広げ、陽光が降り注ぐ。各所に散らばるベニバナヤマシャクヤクが陽の光に輝いている。何人かのハイカーも花の写真を撮るのに余念がない。周囲はますますひらけて清々しい空気が支配する。茶野の山頂からは鈴鹿の山々が一望され、眼下には琵琶湖も望まれる。一服ののち、下山である。こちらの尾根には明瞭な道型があり、マーキングも多い。傾斜もさしたることはなく、不安なく降って行ける。途中でkinuasaがヒルにやられていることを発見。そして二人とも、手の指先に痺れとピリッとした痛みを感じている。登りの激急斜面で必死で掴んだトリカブトのせいか?
振り返れば、登りの難路でのアドベンチャー、ベニバナヤマシャクヤク鑑賞、そして爽やかな初夏の風と青空、さらには野生的山登りに固有の事件と、盛りだくさんで濃度の濃い山行であった。
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