飛越トンネルから北ノ俣岳、薬師は断念

- GPS
- 34:18
- 距離
- 30.4km
- 登り
- 1,983m
- 下り
- 1,973m
コースタイム
4日 7:05太郎平小屋ー9:00北ノ俣岳9:40ー10:20北ノ俣岳下部ー11:00寺地山11:40−14:00飛越トンネル
| 天候 | 3日 晴後雨で視界なし、夕方回復 4日 快晴 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
飛越トンネルから寺地山までが細かなアップダウンで疲れる。ルートも分かりずらい箇所あり、踏み跡より赤テープをよく見るのがよい。GPSも役に経つかも。北ノ俣岳の斜面は登り下りとも快適。上の方は天気よければ問題ないが、ガスとか天気悪いと辛い(どこでも同じか)。 |
写真
感想
ほぼ1年ぶりの山スキーだが、今年のGWは太郎平小屋を使って、薬師岳に、できれば黒部五郎岳にも行ってみたいと考えたのだが。
5月2日(金)
昼前に家を出て、松本ICから100卅って飛越トンネルの1.5劼らい手前に18時過ぎに到着。車列の一番先の雪面を越したがその先に進めず、少し戻ったところにクルマを停めた。タブレットに仕込んだ映画を見て夜を過ごす。素晴らしい星空だった。天気予報では、3日4日は良いが5日は悪そうだ。
5月3日(土)
4時過ぎに起きて5時半過ぎに出発。クルマは増えていて既に大勢が出発し、準備している人も多い。雪に覆われている道路を30分以上歩いて、飛越トンネルに着く。冬道にとりつけばよかったが、夏道にとりついて失敗。途中で道を失い、藪漕ぎをして何とか尾根に乗る。送電線下に出るまでに1時間以上かかった。30分位のロス以上に体力と気力を消耗した。遠くに薬師岳と北ノ俣岳が見える。ここでシールを着ける。最初の急登を凌ぐと落ち着いた尾根道になるが、細かなアップダウンが続く樹林のルートで疲れが溜まる感じだ。神岡新道に合流し、しばらく歩いたところの広い雪原で休憩。ザックに腰かけてすぐ横を見ると、ゲッ、熊の足跡が続いていた。そこから一頑張りで寺地山だが、疲れていたので、右を巻いて通過。細い尾根を下り、展望が開けたところを一登りすると、ようやく、北ノ俣岳を正面に臨めるところに出た。ここまで5時間くらい、かかり過ぎだ。ここからは目の前の大斜面の600mを越える登高。一本道で上がるだけで、シールもよく効く斜面で、こういう登高は苦にならない。最初は快晴だったが、1時間もすると稜線付近からガスが出てきた。標高2500mくらいになると周りはガスで真っ白けで視界は10mもない。やばい。先行者のトレースを辿り、稜線方向に左にトラバースし何とか稜線の2600m付近に出る。ここからは晴れていれば太郎平小屋まで快適斜面だが、視界がなければ簡単ではない。ガスはいつのまにか雨に変わっていた。ホワイトアウトで遭難の2文字が頭に浮かぶ。GPSを頼りに、またシュプールや足跡はわかるのでそれを辿って最初のうちはシールを貼ったまま滑る。これが失敗だった。しばらくしてシールをはずす。登山者パーティーを2つ追い越してしばらく行くと太郎山の登りになる。雨は降り続いている。シールを貼ろうとするが、雨と、板とシールにはさまった雪のせいで接着面が濡れ、まったくスキーにつかない。細引きをスキーに通してザックに結び、引きずって歩く。目の前を真っ白な雷鳥が歩いているが撮影の余裕はない。太郎山頂上付近らしいところに来たので再度滑走モードに。足跡を頼りにしばらく滑るとほどなく10mくらい前にぼやっと小屋の赤い屋根が見えた。小屋の屋根が赤い理由がよくわかった、助かった!という感じ。小屋に入ると大勢の人で大変なことになっていた。最初は3泊のつもりだったがとりあえず1泊分ずつということで申込み。割り当ての蚕棚に荷物を置き、乾燥室に行くがものすごい数の濡れ物で部屋はいっぱい。とりあえずシールを干す。下界の天気予報では、富山地方の明日は晴で明後日は雨後曇りのとのこと。どうしよう。談話室でビールを飲んでようやく一息。6時からの小屋の夕食は美味しくいただいた。夕食後、外に出ると、嘘みたいに空は晴れ渡っていた。薬師からグルッと北ノ俣岳まで黒部源流の山々は全てきれいに見渡すことができた。反対側には沈もうとする夕日が輝いていた。目茶苦茶寒かったがいつまでも見ていたい眺めだった。
部屋に戻って計画を考え直し、明後日天気が悪ければ動けそうにないので、思い切って明日下りることにした。薬師岳に向かうなら早朝に出ないといけないが、下はカリカリで滑走はとても楽しめそうにない、またシールの効きも不安ということで、あっさりと日和って、今日パスした北ノ俣岳だけ寄ることにした。54歳のオッサンはあきらめがいいのだ。小屋の人から、今朝黒部五郎に向かった3人組が戻ってきていないという話を聞く。長い夜はデジタルオーディオに録音してきたラジオ深夜便を聞いて過ごす。あの「写真時代」の末井昭の話が面白かった。
5月4日(日)
4時に彼方此方で携帯のアラームが鳴っている。こちらは6時の朝飯までゆっくりだ。とはいえ5時15分に起きてうろうろする。乾燥室のシールは凍っていたが大分乾燥して粘着力は戻っているようで少し安心した。
6時からの朝食もおいしくいただく。この季節のこの山のなかで有り難いことだ。外に出てみると大快晴、無風のなか、すばらしい山岳景観が広がっていた。部屋に戻って準備を済ませ、7時過ぎに出発。北ノ俣岳の西面が緩むには遅い方がいいくらい。東面も滑りたいところだが、その気合はなかった。まずは太郎山の南を目指してシールで登る。ある程度の高さを稼いでから、北ノ俣岳への登りの基部を目指して、シールをはずして滑る。再度シールを着け、登り始めて右手を見ると白山が、左手には赤牛が見えてきた。小屋からは見えなかった鷲羽も見える。先ほどからヘリコプター2機とセスナ機?が盛んに黒部五郎付近を行ったり来たりしている。昨日小屋に帰ってこなかった3人組の捜索だろう。昨日の午後の天気の急変は参った。振り返るとはるか下に小屋の赤い屋根。昨日この景色を見ながら滑りたかった。ゆっくり眺めを楽しみながら小屋から2時間弱で北ノ俣岳山頂へ。ここでゆっくりと景色を楽しむ。この時期にこの眺めを見られただけでも今回の山行の値打ちはあったと自己弁護。(帰宅後知ったニュースでは丁度この頃に3人組の無事が確認されたようだ。)5人組が黒部五郎岳に向かって滑走していくのを見送ってから、こちらも滑走準備。下降点まで稜線上を滑る。傾斜は緩いが堅い。昨日はホワイトアウトのなかを登ったので降り口の方向を、山頂で一緒だった大阪からのご夫婦に教えてもらう。一昨日入山して昨日薬師岳に行ったとのこと。上部はまだカリカリで横滑り主体で下降。少し下の疎林帯を抜けるとようやくターンも決められるコンディションだ。ここから下まで一気。正面に白山、少し左手には乗鞍、御嶽を眺めながらの滑走だ。北ノ俣岳避難小屋を過ぎてしばらくで、いったん滑走は終了。もう少し滑れそうだが早めにスキーを担いで、昨日はパスした寺地山に登る。ここで大休止。すぐ後に来た女性登山者と話すと、私の実家のすぐ近所の人と聞いてビックリする。少し下ったところから再度スキーを履く。雪原やツリーランなど爽快だ。このルートを熟知していればルートをはずしても滑れるのだろうが、ルート通りだとけっこう登りもあるのでスキーを履いたままだと鬱陶しく、ところどころで担ぐ。つけたりはずしたりも結構時間がかかるので、滑るのは楽しいが、ずっとツボ足でも時間はそんなに変わらないかもしれない。最後、送電線手前で道に迷う。尾根をまっすぐ進んでしまったが、直角に曲がらねばならなかったのだ。送電線からは冬道で下る。最後沢を渡って、飛越トンネルに戻ってきた。けっこう疲れた。2時を回っていた。最後トンネル前の雪に埋まった道路をいけるところまで滑って、最後歩いてクルマに到着。道路の雪は大分減っていて、クルマは増えていた。帰りの日帰り温泉は前を通るたびに気になっていた、福地温泉の石動の湯に行ってみた。あまりに鄙びた温泉だったが、他に誰もおらず、寛げた。日本の田舎は美しい。帰りの高速は、関越も中央も大渋滞だったので松本で夕食を摂った後、クルマで仮眠し、渋滞解消後、深夜に帰宅した。
5月5日(月)
全身が痛い。黒部五郎岳の遭難者は無事だったとのこと。しかし彼方此方の山で遭難が相次いでいるとのニュース。他人事ではないと自戒。
コメント
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goroさん,山スキーでの北アルプス登山,お疲れ様でした。
天候が急変する中,冷静沈着に行動されたこと,さすがですね。
本日も,北アルプスでの遭難のニュースが相次いでおりましたが,しっかりした登山計画と,様々な気象条件において,的確な判断をすることが自らの命を守ることにつながりますよね。「あきらめが肝心」も命あってのモノダネです。
それにしても,天候回復後の,素晴らしい展望に拍手。こうしたシーンを見てしまうと,登山はやめられませんよね。
私も,そのうち山スキーでの登山に挑戦しようと思います
rikimaruさん、コメントありがとうございます。雨でなく、トレースを消してしまうような雪だったら、かなり怖かったと思います。GPSはあり、大体の距離はわかるところだったので、まだよかったですけど。下手なスキーですが、大斜面に縦横にシュプールを刻めるのが楽しみです。6月の富士山まで、あと何回か滑ろうと思いますが、昨日今日の遭難のニュースや、rikimaruさんの直近の花を愛でるような山行の記録を見ていると、無理せず安全登山を楽しむのが正解だという気もします。とはいえ、黒部源流域はスキーの機動力を生かせる最高の舞台なので体力を整えてまた遊びに行きたいと考えています。
rikimaruさんの登山力があれば、スキーは強力なツールになると思います。少しずつやってみてください。
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