8歳児とゆく初めてのお泊まり登山・雷雨と絶景の雲取山
- GPS
- 26:46
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 1,763m
- 下り
- 1,745m
コースタイム
- 山行
- 6:17
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 6:43
- 山行
- 4:25
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 5:07
天候 | 7/2 晴れ→曇り→雷雨→晴れ→雷雨→曇り 7/3 晴れ→曇り→小雨→晴れ→曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
朝8:30ぐらいで満車寸前 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・道は危険箇所等とくになし、小雲取山から雲取山荘への巻道は少々藪の中(マダニに注意) ・下界が暑い日、登りはじめはかなり暑い。水分をじゅうぶんにとるのが必須 ・ヤマレコマップ上での「堂所」の意味がふもと方向に数百メートルずれて何もないところをさしている。ほんとうの堂所は広場、将門伝説のかんばんもある ・七ツ石小屋から上は小バエ(メマトイ)が恐ろしいくらいにいて史上最強にうっとうしかった。雲取小屋のおじさんによると2週間もすればいなくなるとのこと |
その他周辺情報 | 雲取山荘 山荘で働く人々の態度が悪い、というようなレビューがいろいろなところに出ていたけど、なにそれ?夢でも見たの?というくらいご主人を中心にみんな親切だった。 |
写真
感想
今年の夏は富士山に登りたい。
息子は「小学校に入ったら富士山に登る」とずっと言ってきた。しかし一昨年はコロナで富士山が開かれず、去年は8月ずっと雨だった。今年こそ。
しかし、これまで一度も泊りがけの登山をしたことがない、というのは経験という意味でちょっと心配だ。
そんなわけで、泊りがけでおやまに行くことにした。候補をいろいろ考えたが、ポピュラーで勾配もきつくなく、「鬼滅の刃」炭治郎の実家があったという雲取山に決めた。一家3人とも、ほとんど鬼滅の刃を読んでも観てもいないのだが。
週末の天気を見て、雲取山荘に予約を……と、この山荘、調べてみるとどうも悪いレビューが多い。「態度が悪い」というものが多くちょっと気になるが、まあ子供相手に怒ることもあるまい、と思い予約を入れた。
しかしこのとき見ていた「週末の天気」は何を血迷ったのか、東京の天気だった。あとで気づき調べなおすと、山梨は晴れのち雷雨。てんくらで見ると、雲取山は3時ごろまで晴れ、そこから雨。ん−ーーーー
まあいっか! 行こうぜ!
平地は40℃近い暑さが続いていた。この日もきっと暑いだろう、なので水は絶対に欠かさないように。500mlのお茶ペットを4本+冷凍2本、300mlのカルピスとアクエリアス冷凍パックを6個。カップ麺用の水も兼ねたミネラルウォーター1.8ℓを加えると、家族3人の水分はじゅうぶんだろう。ちょっと重くなるけど頑張ろう。
東京から雲取山の登山口に車でアクセスする場合、鴨沢登山口の上にある丹波山村営駐車場が目的地になる。ここに行くためには上野原インターから山道を通り小菅村経由で目指すか、日の出インターから奥多摩経由で向かうか、である。早朝スタートなので息子が車に酔う可能性が高かったので後者のルートを選んだ。
明日は雲取山に登るんだよ、と言って寝かせた息子、ちゃんと5時半にパッチリ起床。いろいろ用意をして出発したのが6:30。我が家としては記録的な早起き、アーリースタートができた。
丹波山村営駐車場着、8:40。もうこの段階でほぼ満車だった。山登りをする人たちは本当に朝が早い。ここでトイレをすませて、さあ雲取山へ!
……暑い。最初からもう、暑い。山の上に登れば涼しいだろう、とは思うが、この登り始めの暑さは歓迎できない。今日はなによりも脱水に気を付けて、のどがかわいたらすぐに飲み物を飲むようにしよう。
駐車場からはしばらく車道を進む。鴨沢の登山口から登ってきたハイカーさんが先を歩いている。道端には「平将門迷走ルート」の説明板が立っている。この雲取山には平将門が敗走中にさまよったという伝説があるようだが、待てよ平将門って千葉の人だよな、しかも900年代だよな、などといろいろ考えてしまう。まあ深く考えるのは野暮というものかもしれない。
車道のわきに登山道入り口が登場。「鬼滅の刃」炭治郎柄ののぼりが立っている。どこにも「鬼滅の刃」とは書かれていないが、この雲取山はその主人公・竈門炭治郎の実家があった地ということになっている。どのへんに住んでいたのかなあ、と息子がいう。とはいえ我が家は3人とも「鬼滅」を読んでいないので炭治郎が主人公だということぐらいしかわからないのだが。
登山道に入る。道はゆったりした斜度で山へと続いている。そして暑い。遠慮なく暑い。息子がぐったりしている。すぐに飲み物をねだるが、まあ今回はいい、できるだけこまめに飲んでいくようにしてもらおう。
廃屋らしきものがあり、迷走ルート看板に「小袖」とある。将門が逃げるときに小袖を忘れていったことでついた地名だという。あまりツッコまないようにする。このあたりには現役かどうかはわからないが畑や炭焼き場などの人工物が点在する。そのたびに木がない=直射日光が直撃するので思わず「マジか」と言ってしまう。とにかく暑いのだ、日の光をたっぷり浴びるのはちょっと無理だ。
森の中をどんどん進む。「水場」という看板があったので斜面をあがってみると、山のほうから導水管が引かれておりそこから水が湧き出ていた。顔を洗う……気持ちいい!!!!!!! 家族3人みんな顔を洗って生き返る。こんな気持ちいいってことはなかなかない。
すぐ近くに広場があって、ここは「茶煮場」。チャニッパと読むそうだ。将門が逃走中、ここで茶をたてて飲んだとのこと。あれ、茶の習慣って……いやなんでもない。
シャツも、首に巻いたタオルもびしょびしょになる暑さ。それでも無理になるほどではない。お茶を飲みながら着実に進む。
次のチェックポイントは「堂所」。いいペースで来ているのでヤマレコで比較をしたいのだが、どうもヤマレコ地図上の「堂所」は何もない場所になっているらしく、いつのまにか通過していた。「堂所」と書かれた道しるべを過ぎて、広場に到着。ここが本当の「堂所」らしい。迷走ルート看板が立っている。ちょうどいい丸太もあるので、ひとやすみしよう。息子はここでとっておきの「和牛カルパス」をいただく。こんなに暑いときによくそんなのどの渇きそうなもの食べられるな。
また進み始めて、すぐのところに迷走ルート「紫久保」看板。将門の妻・紫の前がここで足手まといになるまいと自ら……って……悲しい話だけれど、うーん?
このあたりから、雷の音が山の方から鳴り響き始めた。こりゃヤバい、と思っていたら、パラパラと、サーサーと雨が降り始めた。まわりのハイカーさんたちも雨の装備をし始める。ひとりの方に「ちょっと早すぎますよね…」と言われる。そう、3時くらいから雨かも?という話は聞いていたけど、11時過ぎに雨が来るとは思っていなかったよ。
「富士見ターン」でルートが大きく方向を変える。石灰岩の露頭「マムシ岩」がある……このあたりでもう、ザーザー降り。まわりを見ている余裕などない。巻き道分岐を七ツ石小屋方面に進む。小屋でご飯を食べながら少し雨宿りさせてもらおう、たぶんこの雨はもう少しでやむ。
小屋の手前はちょっとした急坂。妻が「先に行ってて」と言って立ち止まってしまった。かなりしんどそうだ。息子と僕だけ先に七ツ石小屋に到着。軒先で雨を避ける。
このとき、この小屋で大変なことが起こっていた。自分たちは後から来たので申し訳ないと思いながら何もすることができずにいた。雨があがってきたので、とりあえず進むことにする。今日ここではごはんを食べるわけにはいかない。
七ツ石小屋から少し進んだところに水場。ずぶぬれになったばかりだったけれど、暑いのは暑いのでまた顔を洗う。やっぱり気持ちがいい。
雨と体力のことを考えて、七ツ石山は明日登ることにして巻き道を選ぶ。巻き道ゆえに、傾斜がほとんどない散歩道のようなところ。気持ちいい……のだけれど。七ツ石小屋あたりから気になっていたんだが、ハエがうるさい! ものすごい数のハエが頭の上にたかってきて、バシバシ顔にあたる。なんだ、これ。(あとでこれは「メマトイ」というコバエだとわかった)
ハエにやられながら歩いて、ちょっとした広場を発見。ここでお昼ごはんにしよう。どうやらここは下の巻き道と七ツ石山頂を結ぶバリルートとの交差点。木でふさいである道を登ると七ツ石山にたどりつくようだ。
妻が、フルーツトマトに塩をふりかけて一晩おき、徹底的に冷やして持ってきていた。その甘いこと、うまいこと! 人生でいちばんうまいトマトだった。
さて、進もう。巻き道をどんどん進むと、七ツ石山からの道と合流して一気に広い道になった。ここはブナ坂(ブナダワ)というらしい。迷走ルート看板の最終回もここにあった。
ここから先の道、これこそが雲取山のごほうびルート。防火帯でもある広い道と、遠くまで見渡せる景色、ゆるやかな坂。気持ちよさ、最高潮……大量のハエさえいなければ。
日が照ってきて、また少し暑くなってきた。こういうところで飲むためにこそ、冷凍のパックジュースがある。みんなでおいしくいただく。
尾根道のわきに有名なダンシングツリーがあった。息子もいっしょに踊ったらどうか、というと楽しそうにマツケンサンバを踊っていた。たしかにマツケンサンバ感がある木だ。マツケンツリーにしてもいいのではないか。
ゆるやかにアップダウンを繰り返す道をのんびり歩いていた……ら、またしても雷が! ヤバい、予報が言ってた「3時ごろから雨」っていうのはさっきので終わりじゃなくって、本番があったのか! 急ごう。ヘリポートのあたり、雨が降り出している。だが息子はヘリポートのHの積み石をたどって遊んでいる。この子ほんとにのんきね……
小ピークは巻き道でやり過ごし、あと少しで小雲取山……というところで、見事な土砂降りになった。ほとんどシャワーである、もうただひたすらに足を前に進めるほかない。しかも大量のコバエは猛烈に襲い掛かってくる。息子いわく、このハエに比べたら雨などどうということないそうな。息子はずっとこのハエに怒りながら歩いていた。妻はというと、ついにカンカンに怒って棒立ちになっていた。急坂を滝のように雨水が流れていて、靴がずぶぬれになる。いろいろ終わっているが、それでもあと1時間もしないうちに山荘にたどり着けるはずなのだ。いつまでも続く雨はない、なんてありがちなせりふを思い浮かべながら必死で滝を登った。
雲取山荘への巻き道分岐のあたりで、雨はあがってくれた。巻き道なのでもう登りはほとんどない、少々ヤブなのがダニ的な意味で気になるけれど、まあ順調なルートである……さらに勢いを増したコバエ集団を除けば! ここで口をタオルで覆うと少しマシだということに、雨があがって機嫌を直した妻が気づいた。なんとかハエをかわしながら、進む。
そして見えてきた山荘のうれしかったこと! 山頂からの道と合流し、少しくだると雲取山荘に到着である。やった……まずはビールや! 売店でビールとジュースをひとり1本ずつ買う。順番に受付するからちょっとおそとで待っててくださいね、とやさしく言われる。あれ、レビューなどに書かれていて心配だった「感じが悪い」ってなんのことだ?
人生初となる、山荘。雲取山荘は部屋もなにもかも、ペンションみたいにきれいである。ご主人とおぼしきおじさんは物腰やわらかく、こちらがなにかたずねると親切に教えてくれる。もう警戒しなくてもよさそうだ、レビューが間違っている(あるいは過去そうだったけど今は違う)のだろう。
到着したのは15時半過ぎ。そこから夕食の18時まで、人生でいちばんのゴロゴロタイムを過ごした。ビールを追加してカルパスをかじる。心地よい風が部屋を吹き抜ける。気温は18度ぐらいか、ベストな涼しさである。そしてなにより、部屋の中なのでもうあのコバエはいないのだ。
18時、夕食。ハンバーグとみそ汁、ごはんはおかわり自由。3人とも夢中で食べ、おかわりする。そして部屋に戻り、19時ごろには寝てしまった。妻は疲れすぎて21時ごろまで寝付けなかったようだが。
午前4時。3時台から目をさましていた妻に起こされる。でもじゅうぶん寝た感じ、今から登れば山頂でご来光が拝めるようだが、ここでも朝日は見られるとのこと。息子も無事起きてきたので、4:30の日の出を見る。山で見る夜明けというものがどれほどきれいなのか、よくわかった。
午前5時、朝食。こんな朝早く起きて朝早くごはんを食べることなど、これまでの人生で初めてである。けれど、しっかり寝たのであまり違和感を感じない。生卵、シャケ、きゃらぶきの佃煮。またこれがおいしい。朝からおかわりである。
ごはんが終わったら、できるだけ早く出発しよう。そう思っていたのだけれど、昨日の夜から気になっているものがあった。僕の腹に、それまでなかったでっかいほくろみたいなものがあるのだ。うん、これは……マダニである。
山荘のご主人にどうすればよいのかをたずねると、まずはダニにムヒをぬってくれた。うまくいけば出て行ってくれるそうだが、残念ながらうごかない。次に、キンチョール。ふきかけると落ちることがあるそうだが、足を苦しそうにバタバタさせるもののくっついたまま。蚊取り線香で熱する作戦も教えてくれた。妻が僕の腹にお灸をするがごとく蚊取り線香を近づけていた。結局これでもとれなかった。あとはおふろだよ、とご主人。ダニ対策としていろいろな方法を教えてくれて試せたのはとても勉強になった。やはりとても親切な方だった。
このご主人にはいろいろと教えてもらったが、興味深かったのが「ここ30年ぐらい山岳救助なんかもやってるんだけど、高度1000mを超えた地点ではひとりも被害者がでていない」という話。標高の高い場所では雷にやられる危険性が低くなるようだ。「雷がありそうだからってキャンセルがいくつか出たけど、よく天気予報を見ると通り雨だってわかる。通り雨ぐらいなら、むしろそれが山の自然そのものなんだから絶対楽しんだほうがいいと思うんだよ」 おっしゃるとおりです。あとになってみれば、あのひどい雨は笑い話だ。
さあ、ダニ対策で時間をロスしてしまったが、遅くなるわけにはいかない。6時を過ぎてしまった、そろそろ出発しよう。僕はこのマダニくんを腹にぶらさげたまま下山することになるがまあそれも自然のひとつだ。
まずはこの山登りの最終目的地、雲取山山頂へ。山荘から30分ほどだという。少し傾斜のある坂道を登っていく。ふだん日帰りで登る山の斜度に比べれば大したことはないのだが、昨日の疲れが完璧に残っているのでそれはそれなりにきつい。えっちらおっちらのぼっていくと、空が広がって東京都の石の標柱が見えた。息子が一番乗りを目指す。やった、ついた。雲取山、登頂。
山荘宿泊組にしては遅く、下からくる人はまだいないのでこんな人気の山頂をひとりじめできた。山頂からは富士山がかすみの向こうにシルエットぎみにうかぶ。まわりの山々を広く望めるここは秋口の澄んだ空気の中だとどれほどきれいだろう。
日本百名山の標柱と、東京都が設置する石の標柱がある。しかしわれわれにとって肝心の山梨百名山のがない。倒れちゃったんだろうか。
それにしても、山の経験がなかった自分と、わずか8歳の息子が雲取山を登るまでになったのはえらいことだと思った。これなら、富士山チャレンジも大丈夫だろう。
息子は自宅から大事にリュックにしまい持ってきた双眼鏡をもって、走って行ってしまった。あっちのほうがよく見えるよ、ってリュックおいたままじゃん! もどってこーい! たいそう不満顔をして戻ってきた息子、せっかくけしきのいいとこみつけたのに!とカンカンだったが、その「いいとこ」が進行方向だと知ってそっかーとまた上機嫌になっていた。
山頂から少し進んで、雲取山避難小屋。ここにも泊まれるようだ。そしてその少し奥にある礫の山のところからの眺めが、息子がいうように素晴らしかった。そして、ここに山梨百名山の標柱があった。山百、これで65座め。
さあ、ここからは登山のボーナスステージだ。避難小屋のあたりから見える石尾根の快適な登山道、ここをのんびりおりていく。富士山が見える。もう、気持ちいい以外のなにものでもない。
雲取山のピークをおりるとほぼ傾斜のない道、ほどなく雲取山荘への分岐。昨日はここで助かったーって思ったよね。
あいかわらずコバエはひどいが、ここでひとついいことを思いついた。かなりキツいメンソールの制汗シートを持ってきていたのだが、これを帽子などに結んでハエよけにするのである。結果、それなりにハエの量が減った。頭にティッシュを付けたティッシュ民族みたいになってしまったが背に腹はかえられない。
視界が一気に開ける。小雲取山だ。山名表示がないな、と思って見回すと小さなピークがあって踏み跡がつけてある。数メートル登ると、木に小さな「小雲取山」と書いた札がつけてあった。
小雲取山から、短いながらもそこそこ急な降下。昨日はここは滝になっていた。本当に、過ぎてさしまえばいい思い出だ。
昨日スキップした小ピークにも登ってみる。ヨモギノ頭という名前のあるそこは、これまた富士山と石尾根を眺められるよき展望スポットだった。昨日こんなもんに登る余裕はまったくもってなかったけれど。
やや砂地っぽいヨモギノ頭の斜面をおりていると雨がぽつぽつきた。まあいいよ今日は、あとはなんびりおりるだけだから。
奥多摩小屋の跡地のところで、学生さんっぽい一団がレインコートを着るなどしていた。われわれは、もう今日はいいかな。頭のうえで制汗シートがひらひらしている。
ダンシングツリーで息子がまたひと踊りして、ブナ坂に到着。さあ、今日は七ツ石山に登ろう。妻がほのかな難色を示したが取り入れずにGO。巻き道は距離が長いからね。
ブナ坂からの七ツ石山は、短いながらも急坂。ふだんならすぐ登っちゃうところだけれど、一日中やまのぼりをした次の日だから足がつらい。ただ、雨はあがって緑がまた輝き出して、気温はちょうどよくて気持ちいい。コバエ以外は。そしてほどなく山頂に到着。富士山がちょっと見える。
山荘で一緒だった、フランスから来た若い研究者さんがあとから来たので少し話す。日本で最初のハイキングに雲取山を選んだのだという。異国でソロで往復20キロある山登りをするというのはかなり凄いことだと思った。
さて座っているとハエもくることだし、おりていこう。山頂からすぐのところに七ツ石神社、ここは狼をまつるのだそう。鷹の巣山方面に向かう石尾根とここで分かれて少し急な坂を下へ。道しるべのないT字路に出るが、ここを右におりると七ツ石の水場(ちなみに左に進むと鷹の巣山方面)。ここまでくると七ツ石小屋は目の前だ。今日はひと休みしていこう。
登山道から建物右側を奥に進むと入口があり、そこで飲み物や軽食を販売している。ジュースは1本400円、札をもらって水場で冷やしてあるものから好きな1本を選ぶシステムだ。奥のテント場のベンチで息子がうまそうに三ツ矢サイダーをいただく。絶対のまないでね!とボトルを持たせて走り出していったので何かと思ったら、お菓子をふむふむ見ていた。買いませんよ。
さあ、最後のくだりだ頑張ろう。七ツ石小屋を出てジグザグにくだり、下の巻き道と合流。ここからはふもとまでずっと、ゆるい傾斜のトレイルになる。このあたり、昨日雨がひどかった。
そしてコバエがもはやほとんど飛んでいないことに気づく。なぜなのかはわからないけれど、七ツ石小屋を境界にしてあきらかに違いがある。雨がなくハエもいないなら、とても気持ちのよい山だ。
堂所を通過し、茶煮場近くの水場へ。やはり壮絶に気持ちがいい。コバエが消えたかわりに暑さがなだれこんできている。タオルをぬらしてくびにかけていこう。
道にオトシブミの丸めた葉っぱが落ちている。低山だと5月ぐらいがピークのやつだ。しかしのぼりのときはこれに気づける余裕はなかった。
限界に近づく足をなだめながら進んで、小袖の廃屋が見えてきた。息子と上の方をみると、また別の廃屋があった。やっぱりちゃんとした集落だったんだね。
やがて崖下に小袖集落が見え、道路が近づいてきた。登山口ついたー! 雲取山に! 登ってきたよ!
それにしてもなんという達成感! 2日間の登山をやりきった……雷雨に負けなかった……大変だったけど、このばかでかい達成感も山登りの楽しさのひとつなんだね。
日曜日の昼とあって、駐車場はわりとすいていた。丹波山方面は落石で通行止め、小菅に向かう。道の駅についたとたん息子、アスレチックコーナーで遊ぶという。マジですか。きみどんな体力オバケなの。
小菅村の誇るイタリアンでパスタと鹿肉ピザをいただき、小菅の湯で汗を流す。小菅の道の駅はものすごく使い勝手がよく、全部クオリティが高い。
上野原のいちやまマートで買い物をし、東京へ。3時台ですでに小仏トンネルを先頭に15キロの渋滞してる中央道はさすがだけれど、上野原から乗るぶんにはそんなに困らない。
かくして17時に帰宅。初めてのお泊まり登山、疲れた。でもまたすぐ行きたくなるんだろう。一家そろって、またひとつ山が好きになった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する