富士山敗退
- GPS
- 09:54
- 距離
- 15.2km
- 登り
- 1,695m
- 下り
- 1,625m
コースタイム
- 山行
- 6:33
- 休憩
- 3:07
- 合計
- 9:40
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
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アクセス | |
予約できる山小屋 |
御殿場口七合四勺・わらじ館
|
写真
感想
鳳凰山に忘れ物を取りに行こうと思っていた海の日連休、目まぐるしく変わる天気予報に悩まされて結局行かず、最終日に思い立って富士山へ。妻子が登ってみたいと言うのでとても嬉しいのだけれども、そもそも私がまだ行った事がないじゃないか。昔に仕事の付き合いの人に頼まれて計画だけはあったのですが台風などでうやむやとなり、当時の記憶を頼りに急ぎ計画を練りました。そういえば当時はプリンスルートがとてもおすすめというネットの記事を見たのだったっけ。
詳細を思い起こしながらヤマレコをあたってみるとたくさん記録が見つかります。皆さんの記録なさった写真はどれも調べた当時の記憶通り。宝永山の登りのザレが大変なようだけど男体山の上も鳳凰山の稜線も、砂の道はやったことがあるし大丈夫だろう。標高差もこのくらいは日帰りで何度もやっているからまあ、問題はあるまい。高山病は心配だけどこれはできることをやったらあとはもうどうにかできることでもないし、少々の経験と対策もある。ダメならダメでまあいいさ、妻子と登るいつかのための予習だ。等々考えながら荷造りをしている最中、ふと気にかかります。そういえば、昔見たオススメ記事ではプリンス登り富士宮下山がとてもよいとあったけど、ヤマレコの記録はみなさんその逆回りばかりだ。ダウンロードしたヤマレコ地図の名称も「プリンスルート(逆回り)」と但し書きまでされてしまった。何か理由があるのかな。まあいいや、明日は早いし荷造り急がなくちゃならないしと、この時はその程度に考えて出発したのです。これがまあ、後々エラい目にあう虫の知らせだったわけですけれども、そんなこととは露知らず。
朝3時の起床もうまく行き駐車場の空きもうまく見つかりバスにも順調に乗れ、とても順調なスタートが切れた富士宮口5合目。レストハウス跡が更地になっているのを目の当たりにして改めて寂しさを感じたりトイレの鍵のかけ方がわからずに中でしばらく首を捻ってしまったり、登り始めて10分で降り始めた小雨に驚いて上下雨具にゲイターまで装着したと思ったらやんでしまったりと、あれこれありはしたものの高度順応の代わりと思えばまあいいさ。実際、時間はギリギリになりそうだから順応の時間を取ってないんだし。宝永火口の第一火口線まで1時間近くかけてゆっくり歩き、いざ目の当たりにした宝永火口の雄大たること。テレビ番組で見た、別の惑星の景色のようだという言葉が脳裏をよぎるのですが、感慨に浸っている時間は多くはありません。私は高山病には弱いと思っておりますので先もゆっくり歩かなくてはならないし、それに今日のコースはここが核心になるのだ。実際の景色を見て「どうにかなりそうだ」と確信を得て進むのですが、ゴジラの背びれと言われた火口上部の岩肌を見るにつけ斜面に無数に転がる落石を見るにつけ、ある不安が浮かびます。「あれ?もしかしてここ、落石のこと考えたら休憩できないポイント?」振り仰げば立ちはだかる宝永火口のザレの登り、これを子連れで止まらずに歩けってこと?まだ見ぬ富士家族登山計画に黄色信号がひとつ灯りました。むー、と考えながらその登りに取り掛かると、前評判通りのアリジゴク。でもまあこれは予想通り、山足に体重乗せて普通の登山歩きをすればそれなりに安定して歩けました。ところが問題は「くの字」に曲がって最後の登り。ここはこれまで経験したことのないザレ具合でした。そっと置いた山足に体重をかけるやすぐに崩れてしまうから本当に登れない。下手をすると元の場所まで足が戻されてしまう。うーわマジかよ、ここまですごいのか。こりゃ皆さんここを登りに使わないわけだよ、ネットの記事なんて鵜呑みにしちゃあいけないなあ……
ほとんどもがくようにしてもまるで登れないものだから気持ちがとても焦るのですが、そこでまったく唐突に、テレビでよく見るある方の笑顔が去来しました。山の編集長の愛称で親しまれている、笑顔が優しげなあの方です。上高地から蝶が岳に登る番組の時に残雪の登りのキックステップについて解説していたっけ。アイゼンなんてまともに使えないけどフロントポインティングっていうんだっけな、やり方だけは本で読んだこともあるから試してみよう。足を上げたら足と靴の重さに任せ、力を入れずに、ざくり。安定して立てたら逆の足も、膝から振り子の要領で、ざくり。おっ、いいぞこれ登れるぞ!脳裏の編集長がサムズアップしてくれました。笑顔が眩しいです。
私の脳内編集長のおかげでどうにか登り終え、疲れもそこまでありません。この後の登山記録としましては、それなりに登りそれなりに高山病の症状が出てペースが上がらずそれなりにバテ、3500mくらいの地点でそれなりに時間切れとなり、それなりに敗退しました。残念は残念なのですが、この日の登山は家族登山の下見の気持ちが大きかったのでそこまで気に病んではおりません。冗長たる、実に長ったらしいこの文章は要するに、ネットの情報って頭から信じこまない方がいいんだねなどという当たり前のお話と、人を連れていくなら自分で実際に歩いた方がいいよなどという、これまた当たり前のお話に終始するという、ただそれだけの記録になってしまったようです。強いて付け加えるとするなら、虫の知らせ軽んずべからずということも、ひとつ。
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