熊野古道:中辺路(近露〜小広峠〜発心門〜熊野本宮大社〜本宮大社前)【和歌山県】
- GPS
- 08:54
- 距離
- 24.6km
- 登り
- 1,281m
- 下り
- 1,500m
コースタイム
- 山行
- 7:38
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 8:51
.魯ぅング
近露駐車場 608 ― 近露王子 612/614 ― 近野小学校脇 624 ― 楠山坂登り口 629 ―舗装道へ 635 ― 展望所 642 ― 比曽原王子 648/651 ― 一里塚 702 ― 継桜王子 707/716 ― 野中の清水 718/722 ― 秀衡桜 725 ― 安倍晴明腰掛石 734 ― 旧高尾隧道 737 ― 中川王子跡 739/745 ― 新高尾トンネル 751 ― 小広王子跡 805/807 ― 短絡路下、トイレ前 814 ― 熊瀬川王子跡 821 ― 草鞋峠 832 ― 仲人茶屋跡、迂回路へ案内 848 ― 迂回路岩神峠への入口 859 ― 動物除けネット 907 ― 岩上峠 926 ― 林道へ 952 ― 蛇形地蔵上の分岐 1003 ― 一里塚の迂回路始まり 1012 ― 蛇形地蔵前の分岐 1020 ― 蛇形地蔵 1021/1026 ― 道湯川集落跡 1029 ― 湯川王子跡 1033/1042 ― 三越峠 1103/1112 ― 道の川集落跡 1130 ― 赤木越分岐 1152 ― 船玉神社 1153 ― 猪鼻王子への分岐(南) 1159 ― 猪鼻王子 1200/1205 ― 猪鼻王子への分岐(北) 1207 ― 発心門への登り口 1210 ― 発心門王子 1217/1221 ― 発心門BS横の休憩所 1226/昼食/1244 ― 発心門口 1251 ― 水呑王子 1259/1302 ― 伏拝口 1314 ― 伏拝王子跡と休憩所 1326/1333 ― 三軒茶屋跡 1345/1347 ― ちょっとより道見晴台地への分岐 1401 ― 見晴台地 1405/1414 ― 祓殿石塚遺跡 1423 ― 祓殿王子 1429/1430 ― 本宮大社裏口 1433 ― 本宮大社でお詣り ― 本宮大社表口 1446 ― 世界遺産センター 1449
▲丱
本宮大社前 1508 ― なかへち美術館 1604
●行動時間
8:41
天候 | 曇り、霧雨、小雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2022年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
(和歌山=近露) 近露―継桜王子―小広峠―湯川王子―発心門王子―熊野本宮大社―本宮大社前BS (本宮大社前=龍神バス=なかへち美術館、近露=和歌山) ●登山口へのアクセス ○近露王子 ・龍神バス、明光バスで紀伊田辺駅から「なかへち美術館」 ・紀伊田辺駅から約1時間10分、本宮大社前から1時間(快速便2本は30分) ・2022年のダイヤでは、紀伊田辺から、本宮大社前からいずれも7便 ○本宮大社前 ・五条、新宮、紀伊田辺などからのバスが発着するターミナル。世界遺産センターの前にある ・この地域のバスは、海外並みに一つの時刻表にすべての会社(コミュニティバスを除く)を記載するなど、ちょっとでも外国人を含む観光客の利便を高めようと工夫している ・マイカーの場合には、世界遺産センターの駐車スペースはわずかに30〜40台程度だが、裏手の河川敷に百台超規模の駐車場があるので、そちらを利用することができる ○発心門王子BS ・バスかタクシーか徒歩で行く。ただしバス便も多くはない。バスは本宮大社前から大人470円 ・本宮大社周辺では今日もタクシーを目撃したが、常駐しているのかは不詳 ※中辺路のバス路線 ・龍神バスは「紀伊田辺〜本宮大社前または発心門前」、明光バスは「紀伊田辺〜栗栖川または新宮」を結ぶ。途中の主な停留所は、朝来、滝尻、道の駅中辺路、なかへち美術館、小広峠、請川、本宮大社前など。50あまりの停留所に止まる 明光バスの快速便(2往復)本宮大社前〜なかへちは約30分、龍神バスは湯峯温泉や川湯温泉を経由することもあり約1時間かかる (いずれの記述も2022.8現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○近露〜継桜王子〜小広王子 ・楠山坂以外は舗装路。旧国道よりもさらに山側なので、車通りは殆どない ・道標は多い。中辺路ナンバリングはもちろん、方向標示もキロ程付きで多数建てられている。これは、本宮大社までそうだ ○小広王子〜仲人茶屋跡〜迂回路〜蛇形地蔵〜湯川王子〜三越峠〜船玉神社〜発心門 ・小広王子を過ぎると、まずは短絡路でトイレ前へ。そこからは熊瀬川へと向かう枝道に入る。入って程なくで土の道になり、あとはほんのちょっとの舗装路を除き山道。 ・熊瀬川の先の草鞋峠、迂回路の岩上峠、湯川の先の三越峠、いずれも急坂を上って下りる ・迂回路にも緊急時用のナンバリング、仮設ながらトイレなどもあり、本道が当分使えないことを覚悟した構えのようだ。岩神王子を通る本道は、地滑りのおそれのため10年以上通行止め。現在は地滑り計測を行い、沈静を把握しようとしているとのこと ・船玉神社の奥からは未舗装の林道となって発心門への登り口まで続く ○発心門〜水呑王子〜伏拝王子〜熊野本宮大社 ・発心門から水呑王子までと伏拝口から伏拝王子手前までは舗装路だが、それ以外は山道 ・急な坂道はない (いずれの記述も2022.8現在) |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・近露にはスーパーも道の駅もある。また宿が多いだけではなく飲食できるところもある ・道中にもカフェなどが見受けられるが、小広から発心門までは何もない ・発心門バス停付近や伏拝王子〜伏拝口に飲料自販機がある。今日は発心門の自販機は営業していなかった ●日帰り温泉 ・本宮の付近には渡瀬温泉、川油温泉などがあり、日帰り入浴を扱っているところもある (いずれの記述も2022.8現在) |
写真
装備
備考 | アブやブヨが多いので虫除けは欠かせない |
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感想
暑熱の8月らしくない天候をいいことに山へと向かった。
中辺路の残る区間は、近露〜本宮大社と下三栖〜滝尻の2区間。そのうち近露・本宮を歩くと、トレースが御坊から新宮まで繋がることになる。今回はその近露・本宮を歩いた。
このコースは長時間を覚悟の上でバスの時間とも調整しなければならない。これまで熊野古道歩きにあたっては「和歌山県公式観光サイトの中にある街道マップ※1」を活用した。ここにある時間標記は「標準歩行時間」「標準所要時間」という二段書きになっているのが工夫あるところだ。当方は標準歩行時間を頼りにすると、写真を撮ったり解説を読んだりしながらもちょうどよいくらいになる。今回もそれをあてにしつつ、保険をかけて数少ないバスが2本続きとなる14時半終了を目指し、近露6時出発とした。食事込みで8時間のつもりであり、これでいけば14時には到着するであろうという目算だ。
時折霧雨の中なかへち美術館脇の駐車場に到着すると、先行車は一台のみで、駐車場の広さだけが目につく。曇り空の中を出発。日置川沿いを歩き近露王子へ。お詣りして近露の街並みの中へ。古い街道町の風情が漂う。小学校の校庭先を通り、山沿いを進む。途中の楠山坂を山道で上りさらに高度を上げつつも細い舗装路が続く。昔の道を行くように、木立を抜けると小さな集落、といった繰り返しだ。
立派な鳥居も残る継桜王子の先で野中の清水へ立ち寄り。「名水100選」にも選定されている。旧国道の橋に塞がれるように急斜面下から湧き出る水源。ありふれた光景とは似つかわしくない水量が蕩々と湧き出している。
改めて熊野古道に戻り先へ。すぐに秀衡桜がある。先ほどの継桜と同じ意味合いのものだ。元々は王子の前にあったものをこちらに移したという伝承らしい。
安倍晴明腰掛石など、さすが千年の歴史の道と思わせるものが現れる。やがて旧国道と合流し、広見川へと抜ける林道の新高尾トンネル入口を見やり、小広峠の王子へ。謂れを見ると、この王子は元の所在ではないようだ。国道のトンネル工事により峠の位置も変わってしまい、ここに移設されたものとのことだ。
峠の先、「中辺路町道湯川」の道路標識の所から山道で短絡する。田辺市中辺路町のつもりで付けられたものか、以前の中辺路町のままなのか、これを見るだけでは判らない。
短絡道を下降するとトイレがあり、そこから熊瀬川方面への道が分かれていく。分かれてほどなく、ようやく山道歩きとなった。
山道となってすぐに熊瀬川王子への道が分かれ、それを経由して古道に戻ると上り続けて草鞋峠。急な上り下りだ。しかも下りの仲人茶屋跡への道には石畳が残されている。ほかでもそうだが、石畳はこのような雨模様の時には歩きにくいことこの上ない。案の定何度も滑る。恐る恐る進んでどうにか茶屋跡に到着。
茶屋跡にはそれらしき遺構は見られない。ただ「この先通行止め」の標識はよく目立つ。岩神王子方面は、紀伊半島水害以来、地滑りの兆候ありとのことで通行止めが続いている。聞けば、現在は伸縮計を設置して地滑り傾向の変化を確認しているとのこと。季節変動も含め、安定化の傾向が確認されれば通行再開もあるかもしれない。
迂回路は、林道を少々南下し東の山へと入る。岩上峠へと登る道には、迂回路のナンバリング。さすがは整備の行き届いた熊野古道中辺路だ。迂回路であっても緊急連絡用のナンバリングがしっかりと付けられている。
名称表示のない岩上峠を越え、木段整備もされた下降路を下りきると林道へ。林道をしばらく進むと蛇形地蔵上部の林道分岐点へ。直進すれば蛇形地蔵は目と鼻の先のはずだが、いったんは熊野古道の不通区間の最端部「一里塚」へと向かう。林道を下っていくと、先ほど見たのと同様の熊野古道通行止め標示が現れる。そこから蛇形地蔵へと戻るように進む。
この間の道は緑が美しいのだが、それこそ道自体が緑に埋もれようとしているようだ。蛇形地蔵下の合流点に着くと、この地点に工事用の通行止めが置いてあり、この区間自体あまり通る人のない状態にあるようだった。
蛇形地蔵の蛇形の岩板を鑑賞し、先へ。湯川の手前に「道湯川集落跡」がある。昭和31年に廃村になったとのこと。昭和の時代までこのような山奥に人の暮らしがあったことに驚きを感じる。やがて小さな祠のある湯川王子へ。ここからは三越峠への急登。登りきると林道も通る三越峠。休憩所やトイレもあるが、関所の門も再現されている。ここは口熊野と奥熊野の境目だったということのようだ。
本日最後の峠で一息入れ、長い下りへと進む。
しばらくは細道の下りが続く。細道だが、沢には自然石積みの橋台をもつ木橋が架かっており、熊野古道らしく整備されていることが伝わってくる。道の川の集落跡を過ぎる。ここにも昭和48年の廃村まで暮らしがあったとのこと。まだ50年経っていない時代のことと思うとこれまた驚きを感じる。
そこから始まる未舗装林道をすぐに外れてまた山道へ。下りていくと音無川の河岸に出る。本日これまでにはなかった光景だ。同時に見覚えある光景に近づいていることを感じる。
ややあって、船玉神社地先の「赤木越分岐点」に到着。昨秋に来たときにはまだ砂防工事をしていたが、それもどうやら終わったようで、今日はとても静かだ。
船玉神社でもお詣りをし、猪鼻王子跡を目指す。前回は猪鼻王子沿いの道を貫通できなかったのだが、今日は発心門方面へも抜ける。林道歩きから発心門への直登へ。本日最後のまとまった登りの先に発心門王子。
すでに計画からは30分以上の遅れ。中辺路マップの時間はあてにしていると書いたのだが、今日に限っては変化点が多いことに気づかなかった。野中の清水への立ち寄りもそうだが、何よりも迂回路経由の道取りは時間に含まれておらず、今日のように歩くと予定タイムを30分以上オーバーするようだ。すでに余裕時間を食い潰した上に、この先を見ると立ち寄り展望台への時間も、大社からバス停までの時間も含まれていない。それぞれ10分としても最初の予定バス14時37分には10分以上不足することになる。一本目のバスを諦めてもその30分後にはもう一本があるのでそれでもよいだろうと思いかけ昼食を摂ることにした。
発心門バス停脇には休憩所やトイレもあり、休憩にはもってこいだ。ちょうどバスが到着し、発心門へとハイキングに向かう人が次々と過ぎていく。みなさんおそらく発心門王子で折り返し、本宮大社へと向かうのであろう。
暑さの中、ここにある自販機を当てにしていた。ところが、残念なことにも自販機は電源が入っていないようで、売ってくれなかった。
発心門からは、先ほどまでの山中歩きとは風情が変わる。水呑王子までの舗装路歩きを過ぎ、山道にはなるが、人里のそばを進むからなのか明るさを感じる。そもそも山歩き区間で苛まれたアブやブヨが少ない。
昨秋に道普請にも来た場所を過ぎ、再び短い舗装路を歩いて伏拝王子休憩所へ。休憩所ではコーヒーサービスもあるようだ。休憩所の向かい側にある石段を登り王子跡へ。確かにはらいど団地辺りであろうか、本宮大社付近が見えている。
休憩所の戻り、先へ。緩やかな下りを続け三軒茶屋跡。ここで小辺路からの道が合流する。「右かうや左きみいでら」という文字が旅情を誘う。ここにも関所跡がある。九鬼ノ口関所とはここのことだ。
そこからはずいぶん幅広になった山道を緩やかに下っていく。途中には「ちょっと寄り道見晴台地」と宣伝された場所がある。これにも立ち寄る。
「見晴台地」はその名の通り、立ち寄り甲斐のある場所だ。眼下中央に大鳥居が見える。遙か昔、遠来、ここから大鳥居を見た人がいるならば、旅人の感慨はどれほどであっただろう。
そこからも下り続け、やがてはらいど団地の上部へと到着。いよいよ山道はおしまいだ。祓殿王子跡で心を清め、本宮大社へ。裏口から回り込み表に出ると、喧噪の中。長い山歩きの無事を感謝しお詣り。そして表参道を下りて世界遺産センターへ。
ここまで収集してきた中辺路のスタンプ帳も、先ほどの祓殿王子跡で完結。本宮観光協会の押印を受ける。あとは中辺路観光協会の押印を受けたら完了だ。これは、中辺路最後の区間滝尻までを歩いたときに立ち寄るつもりだ。
帰りのバスは発心門からの観光客を多数降ろし、遅れて出発。狭い狭い湯峯温泉前後の道を通り、他の車がビュンビュンと走る国道311号をひたすら走って概ね時間通りになかへち美術館前へ。相変わらず車は少ない。
今日の天候では、山行きだけではなく観光の人も出歩きにくいのかもしれない。考えようにもよるが、今時の夏はこれくらいじゃないと歩けないようにも思う。
そんなちょうどよい中で歩くことができて満足であった。
※1:和歌山県公式観光サイトの中にある中辺路街道マップ
https://www.wakayama-kanko.or.jp/plan-your-trip/model-courses/route-map/nakahechi/#004
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