大天井岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 21.3km
- 登り
- 2,175m
- 下り
- 2,175m
コースタイム
04:23 一の沢登山口
04:40 山の神
05:26 大滝
06:24 笠原沢
07:20 最終水場
07:40 第一ベンチ
07:53 第二ベンチ
08:00 大三ベンチ
08:15 常念乗越 30分休憩
10:57 東天井岳下分岐
11:55 大天荘
12:27 大天井岳山頂 大天荘冬季小屋泊
17日
04:00 起床
05:16 大天荘発
05:27 大天井岳東ピーク
06:21 東天井岳
07:39 横通岳
08:27 常念乗越
08:42 第二ベンチ
08:50 第一ベンチ
08:57 最終水場
09:29 笠原沢
10:45 山の神
10:56 一の沢登山口
天候 | 16日晴れ時々曇り 17日晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山道の一部に雪渓が残っています、雪が固く締まっている場合は軽アイゼンが有ると足元が滑らず安心でしょう。 16日の登りの笠原沢の雪渓は弛んで居たため、アイゼンなしでOKでした。 その他の登山道は、道標もしっかりしており道間違いの心配は有りません。 東天井岳や横通岳の山腹は、コマクサの若い株が沢山あります、間違って踏まない様に登山道を見極めて通行してください。 |
写真
感想
梅雨時の泊山行第二弾
今回も天候に恵まれて、楽しむ事が出来ました。
しかし、16日の午前中(午前8時半頃)に最後の人間に会って以来、24時間後の常念乗越まで人間に会わなかった。
人に会わないという事が、こうまで心が不安に成るとは思わなかった。
しかし、楽しかった!!
15日午後8時に自宅を出発し、午後11時に一ノ沢登山口に到着。
駐車場にて車中泊し、午前3時半に起床、準備を整え午前4時過ぎに駐車場を出発した。
登山口から笠原沢までは傾斜の緩やかな登山道である。
2週間前に、山一つ南に有る三股の登山口から前常念岳〜常念岳を目指したときとは全く違う性格の登山道だ。
笠原沢を、文字通り沢伝いに登る頃から登山道は雪渓の下に隠れてしまう。
雪渓の上を直登しつつ「最終水場」を目指す。
しかし、やはり雪渓の直登は辛い、テント泊装備を一式背負ったHandMには本当に辛い。
最終水場で食事用の水を補給し、ずっしりと重みを増したザックが肩に痛い。
最終水場を過ぎた途端に「胸突き八丁」と呼ばれる急登のジグザグの登山道に変身してしまった登山道。
そのまんまの勢いで常念乗越まで急登は続いてしまった。
常念乗越に到着したのは、登山口から3時間45分を少し越えた頃だった。
常念小屋の前のベンチで湯を沸かし、日本茶を入れつつ朝ごはん用のおにぎりを頬張った。
妻の手作りのおにぎりは、大きさと具の多さがコンビニのそれとは大きく違うから、登山中の炭水化物の補給にはもってこいだ。
常念乗越を出発して、横通岳を目指していく頃一人の登山者とすれ違った、まさかこの出会いが今後24時間人間に会わなくなる最後だとは、気がつく筈も無かった。
常念乗越から3時間ほどで大天井岳下の大天荘に、正午頃に到着した。
「大天荘」は6月28日からの営業のため小屋は開いて居ない、営業の準備のため小屋の関係者でも居るかと思ったが、まだ誰も来ていない様子だ。
しかし、ここは人気の有る「表銀座」と呼ばれる縦走コースだからそのうち誰か来るだろうと思っていた。
ザックに入れて来た糖質ゼロの発泡酒を残雪の中に突っ込んでから、大天井岳の頂上に登ってみた、あいにく安曇野側からガスが上がって来ていて、北東から東方向の視界は利かないため燕岳は全く見えないが、西方向の槍ヶ岳や大キレット、その南側の穂高連峰はよく見えて居る。
大天荘前の丸太で出来た大きなベンチに腰掛けながら、残雪で良く冷えた発泡酒をゆっくりと飲み干す。
鷹と言うには大きすぎる大型の猛禽類が二羽、先ほどから西岳の上空を北へ行ったり南へ戻ったり、どうやら獲物を狙って飛び回っている様子だ。
そのうちに一羽が急降下したまま再び上昇してこなかった、知らないうちにもう一羽も見えなくなってしまったことから、このツガイは今日の晩飯を仕留める事が出来たと感じた。
まだ十分に明るい時間帯で、ツガイの猛禽類が巣へ帰るには早すぎるからだ。
そんなゆっくりした時間を味わいながら、空に成った発泡酒の缶を踏み潰して小さくした。
冬季小屋のザックの中から、イモ焼酎を小分けに入れて来たアルミ缶を取って来て、再びベンチの上で飲み始めた。
本当にゆっくり時間が流れて行っている・・・・。
この頃に成ると、雲が大きく空を覆ってきてしまい、夕方の「アーベンロート」は楽しめそうに無かった。
気温も下がってきたので、小屋の中に戻り晩御飯の準備を始めた。
水が少なくても大丈夫なようにレトルトのご飯とカレーだ、フリーズドライの食材はその食材自体は軽量で、たいへんなスグレ物なのだが、口に入れるには多くの水を必要とする。
今回の様に今シーズンの開業前の山小屋では、水の購入は出来る筈もないし、この時期の残雪はごみが多すぎて、フィルターを使って濾しても飲む気にはなれない。
HandMの今回の山行では、レトルトの食材を中心にして、作るのに水を必要とするのは「あさげ」の味噌汁とお茶位だ。
これで二回の食事は2Lの水でおつりが来る予定である。
ほかには行動中に必要な水を水筒に1L用意してる、最終水場で汲んだ水は全部で3Lだが、水筒の水はほとんど手をつけて居ないので、大天井までほぼ3Lを持ってきた事に成る。
今年は本当にゆっくり歩くように成り、水の必要量が劇的に少なくなっている事は間違いない。
脱水症、熱中症予防には「塩飴」が大活躍している、これは飴と同じで舐めて居るだけで塩分などのミネラル分が補給できるので、助かっている。
さて、早々に晩御飯を食べてしまったが、まだ時間が早い、午後5時なのだ。
やる事が無い・・・、ラジオも持ってこなかったし、携帯電話は小屋の側の一部では通話可能になるが、場所が変わると圏外の表示に成ってしまう。
携帯電話自体が接続を探し回っていると、バッテリーの消耗が非常に激しく、直ぐにバッテリー上がりに成ってしまうので、スマホの電源自体を切ってしまう。
そして、誰も居ない・・・・孤独なのである。
やる事が無いので、午後6時ころには寝袋に入って寝てしまった、寒い事も理由の一つに成って居る事は間違いが無い。
時々ゾクゾクっと寒さが背筋を襲ってくる、寒さで耐えきれずに寝袋の頭にかぶるフードも被って寝る羽目に成った。
時々目を覚ましながらも午前4時まで寝てしまった、明り取りの窓から差し込む明るさに目を覚まされた様だ。
今日も御来光が見えるか確かめるために小屋の外に出た。
小屋の外の地面に付いた靴の足跡が凍って居た、そこらじゅうに霜柱らしき物もあるから、結構冷え込んだのは間違い無い様だ、どうりで寝て居ても寒いはずだ。
寒さの中たった一人で御来光を待つ。
しぶしぶながらも、今日も御来光を拝む事が出来た、いろんな物に感謝した。
早立ちするために、小屋に戻って朝飯を食べる。
御来光を待つ間に、レトルトの食材をストーブで加熱していたから、小屋に戻るとすぐに食べる事が出来た。
広げた荷物の全てをザックに片付け、小屋に備え付けのホウキをお借りして掃除を済ませた、これだけ立派な小屋を一晩1000円で利用できるのはありがたい、外でテントを張ったって700円はするこの頃だ。
昨日踏む事が出来なかった、大天井岳から常念岳の間のさまざまなピークを踏破しながら、下山に向かって歩いて行く。
代表的な山は東天井岳や横通岳であるが、そのほかの名も無いピークも全てが楽しい。
昨日一羽見た雷鳥だが、2日目の今日は見る事が出来ないか?、そんな事を思った直後HandMの左手の岩の上に一羽のオスの雷鳥が居た。
わずか3m程の距離だ、胸のポーチからそっとカメラを取り出しスイッチを入れる、レンズが飛び出す音がやけに大きく感じる。
2歩ほど近寄っても逃げる気配が無い、それどころか岩伝いに此方に近寄ってくる、手を伸ばせば届きそうな距離に成ってドキドキと慌てたのはHandMの方だ。
ちらりと右の足元を見ると、そこにはメスの雷鳥が地面に坐っていた。
メスの雷鳥は立ち上がってHandMの左手方向へ進んで行くが、地面に有る何かを啄みながらなので、とてもゆっくりだ。
二羽の雷鳥にさんざん遊んでもらって上機嫌に成ったHandMは、軽やかな足取りで横通岳への登りを進んで行ったのだった。
常念乗越に到着すると、やっと第一山ノボラー発見。
実に24時間ぶりの生身の人である、それだけで本当にうれしかった。
だからと言って、「人が恋しかったんです」と言って駆け寄る訳にもいかないので、心のうちに喜びを隠して乗越を後にしたのであった。
昨日は登りで苦しめられた登山道だが、本日は下りなのであるから気が楽なのだ。
ゆっくり歩く様になってから、HandMの膝は悲鳴を上げなくなったのである、だから下りが嫌いでは無くなったのだ。
常念乗越から2時間30分後、HandM自信の予想を上回る速さで登山口に戻る事が有出来た。
バンザイ!!HandMの膝!!
今回の山行は24時間の孤独を味わうという、HandMにとっては特殊な山行と成ったが、たいへん良い経験になった。
何よりも楽しかった事は、お世話に成っている皆様に感謝です、アリガトウ!!
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