想定外... 池木屋山・江股の頭
- GPS
- 14:48
- 距離
- 16.1km
- 登り
- 2,249m
- 下り
- 2,272m
コースタイム
- 山行
- 11:48
- 休憩
- 1:22
- 合計
- 13:10
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
池木屋山への宮ノ谷ルートは全体的に荒れ気味でしたが、特に大雨後間も無い事も手伝って、増水の影響を受けて沢床の迂回路が通行困難でした。 池木屋山から東尾根経由江股の頭までも道跡が不明瞭な所などが有り注意が必要です。 ※江股の尾から宮ノ谷の犬飛び岩周辺までのバリルートを通った事は私の認識不足で、推奨出来ません。 特に1083Pを過ぎてから標高下部へ向かうルートは道が見当たらず(私は見失って)、薄い踏み跡部分以外は下部に行くほど断崖、絶壁に行き当たり焦りと周囲の暗さの為に殆ど通行不能状態。 この山行の軌跡のこの部分は完全な失敗例です。 |
写真
感想
宮ノ谷から高滝を巻いて「池木屋山」山頂に到着したのは11:45...。
急ぎ昼食を済ませてから、予定より少し遅れは有るものの、江股ノ頭に向かって12時過ぎに東尾根へとルートを進める。
最初こそやや迷い気味ではあったが東尾根に忠実に進んで行くと、所々左右に見える展望が素晴らしく、来て良かったと思う。
ロープを伝う急登を経て江股ノ尾(分技)に到着したのが14:45。続けて今日の山行の2つ目の目標「江股ノ頭」に向かい15:00に到着する。
この時期陽は早くも傾き始めており、予定通り急ぎ江股ノ尾まで取って返して、宮ノ谷の犬飛び岩へと向かうショートカットのバリルートでの下山を目指す。
滝見台への標識(15:18)を確認し、超痩せ尾根を渡り崩壊斜面の直登(15:44)などが有ったものの尾根を進んでいるうちはまだマップルート通りに進めていたが...
地図上で1083Pを超えてからマップルートに従って尾根を外れて(16:10)斜面へと入ってからは、まもなく踏み跡道を見失って思うように進めなくなって来た。
やむを得ず進めそうな斜面・小尾根・沢筋を探りながら道無き道をマップルートの示す方向へとどうにか進もうとするものの...
この辺り、地図にも示されている通り切れ落ちた断崖や巨岩の絶壁に突き当たりながら何度も行きつ戻りつする。
次第に周囲の暗闇が増して来る中それでも標高450m辺りまでどうにかこうにか下って来てGPSの位置情報と標高から判断して目標の「犬飛び岩」まであと少しの所まで来ているに違いないと思いつつも...
しかし周囲は完全に暗くなり、踏み跡道も勿論判別不能...、右手に絶壁、左手に断崖が立ちはだかりこれ以上の下降しての前進はとうとう不能と判断...。
頭に浮かぶのは明日の朝9時からのシフト勤務、どうしても無断欠勤を避けなければと、真夜中になってもいいからどうしても今夜中に下山したいとの思いから、これ以上下れないなら、戻れる所まで戻(登)って尾根筋に出てこの辺りの断崖絶壁を大廻り回避して下山しようと、(今考えればとても無理な事を考えて)次なる行動に移る。
足元を照らすわずかな灯りを頼りに上へ上へ尾根へ尾根へと目指す内、標高600m付近の急斜面で案の定右足を滑らせて数mか数秒かあっという間に滑り落ち、落下を止めようと必死にもがくも空しく止められず、何かに当たってようやく落下停止...。
幸運にも体を動かす事が出来たものの、事ここに至ってようやくこれ以上の行動は危険と判断して、野営地を探す。(19時頃)
岩蔭に沿う僅かの巾の平坦地を見つけて更に谷側に伐採木をつっかえに渡して落下を防いで寝床を確保...
あれやこれや動いているうちに、右脚スネ付近に何やら滴り落ちる感覚を感じて、よくよく見れば痛みは殆ど感じないものの足を伝って血が垂れて来ている。赤く染まったズボンの上から更にタオルで押さえて急ぎ止血処置する。
血が止まったので、上半身の汗で濡れた服を脱いで着替えてアルミ保温袋まで身に付けられる物は全て身に付けて保温の足しに...。リュックとサンダルをベッドにして、空のペットボトルをタオルで巻いて枕にして寝床を作ってから、動物が来ない様にと匂いのする残りの食材や食べ跡の物をしっかりとビニール袋に封入した。
暗闇の森の中で横になって20時頃からようやく観念して目をつぶれば22時頃になって、一時ほどずつ3回は眠った様だった...。
思いもかけぬビバークの一夜が明けて...
山の斜面に聳える高さ30mほどもあろうかと思われる杉木立の隙間から夜明け前のわずかな太陽の日が闇の中に時折り少しづつ薄明るく緑に映えてやがて段々と幻想的に薄く光り始める。
30分ほどもそんな光景を楽しむ内に杉木立に包まれた闇の山は次第に白んで来て、いよいよ体を起こして残っている移動食の一部を、今日のエネルギーにするべく朝食を食べる。
午前6時過ぎ、もう一度右脚の止血を確かめてタオルの上の細紐を閉め直してから、すっかり明るくなった山の斜面に道跡を探して歩き始める。
膝の上部に巻いた止血タオルと細紐のせいで少し動きづらいものの、幸いにも痛みはそれほどでも無い。
10分ほども歩くと幸運にも踏み跡道らしきものを見つける事が出来て、電源温存の為に切って有ったスマホも、野営した岩蔭では機能しなかったGPS機能がこの辺りから回復して、精度は良く無いもののデジタルマップに自分の位置情報が確認できる様になった。
デジタルマップの位置情報と途切れ途切れでは有るが目の前の薄い道跡を何とか辿って標高にして200mほどを沢底まで下り切り、辿り着いた沢で靴をサンダルに履き替えて、幅5m程の膝くらいの深さの沢を岩を伝って渡渉、更にもう一度40mほどの急斜面を登り切って7時頃登山口近くの林道にようやく辿り着く事が出来て登山口に何とか帰還...。
勤務開始の1時間前に今日の勤務が出来ない旨を通話可能になった電話で勤務先に伝える事が出来て無断欠勤を辛うじて回避...。
その足で病院に直行すると、傷口表面から直径1cmほどの傷穴が5-6cmほど斜め内側に向かって突き通っていて静脈を傷つけていたとの事だったが、幸運にも骨に異常は無いとの事で、傷内を1週間消毒洗浄した後、傷口を改めて滑らかに切除して縫合処置を受ける。
反省・教訓は多いものの幸運も手伝って、その後の経過は至って良好で2週間後に抜糸、膝の曲げ伸ばしなどリハビリ筋トレも継続中...。
そうだ、今使っている登山靴は破れかけてきてそろそろ限界、これを機会に買い替える事にしようかな...。
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