八海山「剣岳より“ヤバイ”越後の修験場」新潟県南魚沼市


- GPS
- 11:09
- 距離
- 9.7km
- 登り
- 1,547m
- 下り
- 1,532m
コースタイム
- 山行
- 8:59
- 休憩
- 1:53
- 合計
- 10:52
天候 | 曇りのち小雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
新潟方面からは、関越道小出IC下車、国道291号線を南魚沼方向へ、下原交差点を左折、後は先と同じ。 新潟方面からは、関越道浦佐スマートIC下車が最寄りだが、6時からしか開かないので要注意。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
屏風道ルートは登り専用。四合目までは普通の登山道、その先は七合目まで鎖のある岩場、七合目から先は、藪を割いて、藪のある崖をトラバースし、その先はルンゼの様な急登な沢を直登する。岩を越え、ようやく笹のある広い尾根に出る。尾根に出れば千本檜小屋はすくだ。 千本檜小屋からは、八ッ峰を縦走する。鎖場が多く、険しい岩場が続く八海山の核心部だ。 見晴らしも高度感も最高だ。ただし、屏風道と八ッ峰は、足掛けも狭いので爪先立ちになる。丸まった小石をセメントで固めたような岩質だ。角が立っていないので雨の日は特に滑りやすい。自信がない方は、登りは別のコース、縦走は迂回路か、難易度の低い地蔵岳までで止めておく方が良いかも。 大日岳を越えると迂回路に下る道がある。見逃すと、真っ直ぐ五龍岳に向かうことになる。下ると、新開道との分岐になる。新開道は、上部は梯子や鎖場あるが、中腹部からは普通の登山道に、下部は美しいブナ林になり、最後は登山口に戻る。 |
写真
装備
個人装備 |
ハーネス(1)
ディジーチェーン(2)
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感想
ひょんな事から八海山へ
お天気予報は晴れからの曇り。
ロープウェイからの八ツ峰が先週のプランでしたが。
どうせなら屏風道から八ツ峰、新開道下山プランに変更。
駐車場に着くと先客の方々。
準備をして出発!
いきなり沢の渡渉、水量があり落ちたら足が取られそうな感じ。
慎重に岩の上に足をのせて進む。
渡渉が終わると広い登山道。
イメージと全然ちがう!
歩き易うて呆気にとられる。。。
それも次第に道幅も狭くなり鎖が出てきてワクワク。
かと言っても左右が切れ落ちてるとかじゃ無いので恐怖感は無い感じ。
それでも足下が草で見えないトラバースは怖かった。
道幅も足幅1〜1.5足分。。。
草を掻き分け確実に足を置いてかないと落ちる。
鎖も無いのでブッシュに捕まりながら緊張のトラバース。
雨がポツポツとあたるようになってきた。
バテ気味な自分、ペースがだいぶ落ちてた。。。
スピードアップの為、gakuさんがザックを交換してくれた。
えらい軽い!
なんとか本降りになる前に小屋に到着!
雨も次第に強まり、ルートを八ツ峰越えか巻き道もしくはロープウェイ下山。
巻き道もアップダウンが無いだけで八ツ峰越えと変わらんとの事。
いざ八ツ峰へ
まぁ最初は特別難しいとこも無く…
油断してると大変な事に!
足幅1つ分のトラバース…泣ける。
セルフビレイとって安全確保。。。
摩利支、大日とすんごい鎖場。
それなりに楽しみましたけど…
素手だと滑るのでグローブ有った方が楽です。
気が張ってたせいかあっと言う間の八ツ峰
新開道の下りは、序盤のはしご、鎖。
そして鎖のない山壁にへばり付いて歩くようなトラバース。
ほんとトラバースは苦手。
それを越えたら普通の登山道。
そこでgakuさんから下り方のアドバイスを頂き、意識しながらの下り。
単調な長い下りが続く…
かなりバテました。。。
またザックを交換して頂いて、先に行ってもらい自分は休憩。
休憩後は、トレランチックに走って下山しました!
11時間という長い山行は初めて。
やっぱバテる。
水分の取り方、荷物の軽量化が今後の課題。
下り方などを教えて頂いたりと実のあるお山登りでした!
新潟県南魚沼市の八海山に登ってきた。
登りは難所の多い屏風道コースだ。四合目までは一般の登山道だが、その先は鎖のある岩場の連続だ。七合目には摩利支天の像と鐘がある。後で分かるが、大日岳にも摩利支天の像がある。隣に摩利支岳という峰があるせいだろうか。その先は、藪を割き、藪のある崖をトラバースし、ルンゼのような沢を直登する。まさにアルパイン気分だ。さらに岩場を越えると、ようやくなだらかな稜線に出て、千本檜小屋がある。小屋には管理人さんが在駐している。シーズン中の休日は、概ねいらっしゃるとのこと。
神社も併設していて、なんと時代劇で見るような白装束を着た修験者「山伏(やまぶし)」の方がいた。後で下山中にも、もう一人の山伏の方にも会うが、その方は、なんと山中でホラ貝を吹いていた。山中に「プーゥプー」とホラ貝の音色が鳴り響く。「ここは時代劇の世界か!」古来から、険しい山は修行の場とされてきた。この山の険しさは、正にそれに相応しいのだろう。この方々、何も山伏が本業ではなく、麓の神社の神主や、氏子らしい。麓では、年に一度、火渡りの荒行の祭りもあるとか。うわー熱そう。
小屋からは八ッ峰コースになる。鋸の歯の様な各ピークを登り降りする稜線ルートと、西側をトラバースで迂回する迂回ルートがあるが、迂回ルートは崖下なので東側の景色は望めない。
それに迂回ルートと言っても鎖場や、険しいトラバースがあるらしい。
小雨が降っていたが、せっかく来たのだから稜線コースを選ぶ。
まず最初は「地蔵岳」がある。ここは、以前放映されたNHKの大河ドラマ「天地人」のオープニングで、主役の直江兼続役の妻夫木聡が、険しい山頂の上でポーズを取っているシーンがあるが、それはこの地蔵岳だ。
ここも鎖場があるが、さほどの難易度はない。
この先が難易度が一気に上がる。断崖絶壁のトラバースや垂壁の、直登、下降の連続でスリル満点だ。鎖がなければ到底進めないだろう。特に、大日岳の垂壁の登り、下りは、かなりのものだ。
さすが修行の山だけある。同じ修験場の剣岳源次郎の尾根の1峰、2峰の懸垂下降を思い出させられる。ロープにぶら下がられるアルパインよりも、鎖を手で握っているだけなので、こちらの方が余計にスリルがある。
実は、我々は念のためハーネスを着用して、鎖にディジーチェーンを掛けながら進んだのだが、トラバースに設置されている鎖は中間支点があり、いざ手を離してもそこに引っ掛かるが、垂壁に設置の鎖は中間支点がなく、下まで垂れ下がりの状態が多いので、ディジーチェーンの効果がなく、手を離せばお終いなので、ロープなしと同様のスリル感があった。
ようやく八ッ峰を越え、新開道に下る。標高から、八海山の山頂は、八ッ峰のさらに南側にある入道岳だが、核心部は間違いなく八ッ峰だろう。
屏風道と八ッ峰の岩は、概して足掛かりが狭く、爪先立ちに立たなければならない。しかし、岩質は丸まった小石をセメントで固めたような感じだ。岩の中の小石は角が立っていないので滑りやすいし、湿度の高い日本海側らしく、岩に苔が着いて、岩肌は常にぬめっとしている。雨の日は特に滑りやすいので、細心の注意が必要だ。
下りの新開道は、上部は梯子や鎖場あるが、中腹部からは普通の登山道に、下部は美しいブナ林になり、最後は登山口に戻った。
我々が下山中、屏風道でやたらと赤いヘリが飛んでいるのを見掛けた。何だろうと思っていたが、後で滑落事故だと分かった。遭難者は幸い無事だったらしい。当日は、9時半頃から小雨で滑りやすくなっていた。これから登る予定の方も注意してほしい。
八海山は、標高こそ1700m台だが、屏風道と八ッ峰の急登さや、険しさ、高度感は、「剣岳源次郎尾根に劣らないものがある」と、私は思う。
岩の質からしても、剣岳は角張って乾いていてフリクションが利くが、八海山は、丸まって、苔が生え、常にねめっとしていて、明らかに滑りやすく難易度が高い。
もし鎖がなく、アルパインコースなら、レベル3以上、場所によってはレベル4はあると思われる。剣岳を登る前に登っておけば、良い練習になるはずだ。
正に、古来も、現代も、様々な人々の修行の場にふさわしい山だった。
(剣岳については、筆者の2013年9月の山行記録を参照)
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