矢岳〜天祖山縦走
- GPS
- 32:00
- 距離
- 22.8km
- 登り
- 2,041m
- 下り
- 1,696m
コースタイム
(2日目)8:20ビバーク地スタート−8:55酉谷小屋前−11:25天祖山への分岐−13:30天祖山−17:05東日原バス停
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
矢岳の縦走路は以前から気になっていた。山と高原地図では、距離の長い点線のルートで、「熟達者向け」と記されている。自分は全然熟達者ではないけれど、駄目だったら引き返す積もりで、挑戦してみることにした。
矢岳の縦走路を最後まで歩くとなると、日帰りでは厳しいので、キャンプ道具も背負っていった。また、ニュースでは「熱中症に注意」と盛んに報道しているので、行動中の補給用の水を3L用意し、1日目に万が一酉谷避難小屋に辿り着けず、給水できなかった場合の予備として水2.5Lを別に用意した。結局、バックパックは19.4kgと過去に経験の無い重さになってしまい、いくら何でも慎重過ぎではとも考えたが、真夏の低山歩きを過去に経験のない程長時間行うことになりそうなので、これも経験と思うことにした。
武州中川駅から踏切を渡って道なりに進み、途中、小さな道標(写真参照)に従って3回曲がると、害獣避けのフェンスが現れる。これを通ると目の前に東電の標識が現れる。武州中川駅から矢岳へ向かうルートには、大反山を通るルートと、大反山を巻くルートの2つがあるが、前者は地図上で危険マークが付いているのが気になっていた。地形図上では矢岳の縦走路の尾根を送電線が横切っているし、東電の標識に従って進めば、尾根上の鉄塔まで案内してくれるのでは、と思ったが案の定だった。
最初は70号の案内に沿って進み、70号らしい鉄塔が現れた後は69号の案内に沿って進んだら、矢岳の縦走路のうち、大反山と69号鉄塔の間の鞍部に出たので、これが大反山を巻くルートらしい。矢岳の縦走路の複数箇所で、大反山は踏み跡不明瞭と注意する看板を見掛けたので、東電の標識に従って進んで正解だったのかも知れない(但し、大反山〜若御子山は尾根に沿ったルートなので、さほど迷わないような気もするが)。矢岳の縦走路を逆から来た場合は、鉄塔の下を通って最初の鞍部まで来ると東電の標識があるので、この標識に従って左手に進めば、大反山を巻くルートで下山できると思う。
いよいよ矢岳の縦走路に入ってはっきりとした登りに差し掛かると、自分の体調があまり良くないことに気が付いた。登りになると、直ぐに息が切れ、脈拍が上がり過ぎて、立ち止まってしまう。暑いせいか、汗をかき過ぎのせいか、日頃の運動不足のせいか。確かに、今回は標高が上がっても涼しさを感じなかったし、1日目に飲んだ水は3L以上になり、服が過去に経験のないほど汗に濡れて肌に貼り付いてはいたが…。結局はこれが今の自分の実力なのかも知れない…。登りになると直ぐに脈拍が上がり、膝に手を置いて立ち止まってしまう状態は、結局翌日になっても変わらず、今回の山歩きでは、特に登りで地図のコースタイムを大幅に超過してしまっていた。
さて、肝心の矢岳の縦走路の方は、矢岳までは、特に危険な箇所も、迷いやすい箇所もなかったように思う。深山の雰囲気を期待してもいたが、デンゴー平付近では大規模伐採の跡もあり、多少幻滅も感じた。ただ、デンゴー平から先へ進むと、広葉樹の中に僅かに針葉樹が混じっている原生林が続き、人工物が見えないこともあって、だいぶ山深い雰囲気になってきたな、と感じた。また、矢岳から先は岩が目立つようになってきて、痩せ尾根の岩場などもあったが、殆どの岩が苔むして緑がかっており、前日に雨が降ったのか、苔が水分を含んで滑り易くなっていたので、一度滑ってからは慎重に岩場を進んだ。
全体として、熟達者でなければ難しいとまでは思わないが、矢岳の縦走路を歩いている間、他の登山者には会わなかったので、何かあった場合に他の人を頼ることが難しいという意味では注意が必要な山域なのかなと思う。また、迷い易い箇所は、縦走路の最後の部分位だったが、矢岳と牛首以外は道標が見当たらなかったので、現在位置の見当をつけるためには1/25000地形図があった方が良いなと思った。
体調が悪くペースが上がらないので、日が傾いてきてからは、今日中に酉谷避難小屋まで行って給水する予定を半ば諦め、キャンプ可能な場所もチェックしつつ進んだが、痩せ尾根が多くてキャンプ適地はなかなか見付からない。牛首に着いたときには疲れきっていたが、もう暗くなる寸前で、完全に暗くなってしまうと、近くにキャンプ適地があってもヘッドランプでそれを見付けるのは難しいと思い、牛首からの急坂を気力で登った。急坂を登りきると、幸運なことに平らな場所が広がっていた。急いでテントを張る場所を選定し、夕暮れの中でテントを設営した。翌朝は、昨日の体調不良が多少でも回復すればと考え、暑くて寝てられなくなるまで何度も寝直して、だいぶ遅い時間に起き上がった。
朝食を摂り、荷物を片付けてパッキングし、いざ酉谷方面へ出発しようとすると、いきなり道が判らない。キャンプした所から平らな場所はちょっと続いていて、その先に山が盛り上がっているが、辺りに踏み跡は見当たらない。目の前の山の左斜面に山を登っていく踏み跡を見つけ、途中まで行きかけたが、何となく道が違う気がして地形図を出して見てみた。キャンプした辺りが、地形図上で等高線の間隔が広がっている辺り、と考えると、一杯水〜酉谷の縦走路へ出る道は、今登りかけている山を左に巻いている筈、と考え、山を下りて探して見ると踏み跡があった、後は踏み跡を辿っていったら縦走路に出た。
整理すると、武州中川方面から矢岳の縦走路を縦走する場合は、牛首から登って平らな場所に一旦出たら、もし踏み跡を見失っても、正面に見える山を左から巻くように進んでいけば、踏み跡を見付けることができ、正しいルートに復帰できると思う。
但し、逆方向から行くのは、一杯水〜酉谷の縦走路から矢岳のルートへの分岐点に目印が何もないので難しいかも知れない。一杯水〜酉谷の縦走路は、一杯水〜酉谷の尾根が高くなっている所では山腹を巻いて、尾根が低くなっている所では尾根のすぐそばまで接近し、を繰り返している。矢岳のルートへの分岐点は、酉谷小屋から見て、一回山腹を巻いた後で最初に尾根に接近した所(七跳山の分岐から見ると、三回目に尾根に接近した所)にある。そこは、埼玉県側に登り傾斜の僅かな斜面があり、よく見ると少し踏み跡がある。この踏み跡を辿り、登り傾斜を登った後は、左手に進む踏み跡を辿っていけば、僕がキャンプした少し平らな場所に出るので、そこからは、もし踏み跡が見当たらなくても、左に巻いた山が背後になる方向へ進んでいけば、牛首へ下る踏み跡が見付かると思う。
さて、一杯水〜酉谷の縦走路へ出てからは、酉谷避難小屋に行き、給水した。水が冷たくて旨い。何杯も飲んだ。さて、これからどうしよう。当初の計画では、行ければ曇取山までと考えていたが、現在の場所と時刻と体調では無謀なようだ。そこで、通ったことのない、天祖山を通るルートで下山することにした。
このルートはメジャーなようで、途中で二人のトレイルランナーに追い越された。また、ようやく着いた天祖山の山頂でゆっくり休みたかったが、雲行きが怪しくなり、雷も鳴り出したので、さっさと下山することにした。ただ、この下りは長く、足に力が入らなくなってきてから最後に急な下りがあるので、なかなか侮れなかった。
今回、真夏に低山を長距離歩いてみて、涼しくないし、服は汗でベトベトになるし、虫除けスプレーはすぐ汗で流れてしまい結局は無数の虫にたかられ続けることになるし、シャワーを浴びたいと思いながら、それも叶わず歩き続けることになるし、ちょっと苦行に近いなと思ってしまった。今回の山行では山の中で登山者の姿を見掛けなかったが、皆さんは、もっと高くて涼しく虫も少ない快適な山に行っているのだろうな、と納得できた。
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