モンテローザ プンタ・ニフェッティ(マルゲリータ峰)4554m
- GPS
- 09:22
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 2,887m
- 下り
- 2,458m
コースタイム
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
天候 | 曇り時々雪、時々晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
13:45 チェルビニアの山岳ガイドオフィス前で待合せ 15:40 東隣のルイス谷にあるモンテローザスキー場駐車場 ●復路 8/27(日) 14:30 モンテローザスキー場駐車場 16:10 チェルビニアの山岳ガイドオフィス着 - |
コース状況/ 危険箇所等 |
●当初の目的であったリヨン稜からのモンテ・チェルビーノ登攀が、天候や積雪のため不可能となったので、ガイドオフィスのアドリアーナに相談したところ、以下の3つの候補があがった。 ・グラン・パラディッソ Gran Paradiso ・モンテ・ビアンコ(モンブランのこと) Monte Bianco ・モンテローザ Monte Rosa せっかくイタリア側にいるのだから、グラン・パラディッソに登りたかったが、土曜日泊ということもあって小屋はいっぱいということであった。モンブランも然りで、モンテローザが残った。モンテローザ山群の最高峰デューフォー・スピッツェ4634mは、スイス側からいつでも登れると思っていたのでがっかりしていたら、今回はモンテローザ山群のイタリア峰であるプンタ・ニフェッティ(マルゲリータ峰)4554m が対象だということで、即OKした。 ●モンテローザ山群のイタリア側の名峰、プンタ・ニフェッティ(Punta Gnifetti)には、他に2つの名称が付いているが、すべて同じ山を指す。1つ目は、マルゲリータ(Margherita)という名称。これはピザと同じマルゲリータ女王を由来とする。もう一つは、シグナールクッペ(Signal Kuppe)という名称。この由来は知らない。山頂にはマルゲリータ小屋があり、ヨーロッパアルプス最高所の営業小屋となっている。 ●この山行は日帰りでも不可能ではないが、通常は1泊2日となる。チェルビニアのベースとしていたホテルに今晩は帰らないことを伝えて、初日に泊まったのはマントバ小屋(Rifugi Mantova)3500m。スキー場のリフトの一番上の駅から40分ほどトラバースしただけで着いた。ガスに混じって、雪がパラパラと降っていた。早く着いたので、この日はヨーロッパアルプスの山小屋の雰囲気を味わいながら、リゾート気分を堪能することができた。山小屋であってもヨーロッパの場合は食事に手を抜かない。夕食はスープ(ミネストローネ)で始まり、メインディシュ(牛肉のスイートコーンあえ)のあとデザート(フルーツMIX)で終わった。夕食の後、ガイドのクリスチャンが見えなくなったと思ったら、厨房で食器洗いをしていた。義務ではないらしいが、ガイドはみんなするらしい。これも伝統だ。寝室は個室でおしゃれな3人部屋になっていた。この標高での睡眠を案じていたが、よく眠れた。 ●翌朝5時に起きて、山小屋の簡素な朝食を摂る。気温はマイナス2℃でどんより曇っておりモチベーションがあがらない。ほとんどの登山者はすでに出発していて我々は最後だ。たとえ享楽的なイタリア人でも、登山者の場合は、朝はとても早いことがわかる。小屋前でハーネスとアイゼンをセットし、クリスチャン、ボク、バーバラの順にアンザイレンしてマントバ小屋を出発する。ヒドン・クレバスがあるため単独はとても危険なのだ。しばらくすると、はるかかなたにアリの行列のような登山者の列が見えてきた。しかし、いきなりスピードが速い。少しでも気を緩めると、ハーネスをぐいぐい引っ張られる。ここは日本男子の股間?いや沽券!にかかわるので、がんばって登っていると、ますますスピードが速くなってくる。くやしいことに後のバーバラは余裕シャクシャクだ。さきほど遥か彼方に見えていたアリの行列はどんどん近づいてきて、遅れたパーティを追い抜くようになってきた。クリスチャンが時々、追い抜いたパーティの知り合いのガイドと話す。ボクはそのガイドに、Tell him to make slow! と訴えるが、クリスチャンは薄笑いをうかべるだけだ。もともとヒリキなボクのエンジンは高回転を強いられストール寸前だ。おまけに頭痛まで加わってきた。これをクリスチャンに訴えると、『戻るならいつでも言ってくれ!』だ。ボクが言いたいのは・・・もういいや、ヤブレカブレ戦法だ。 ●標高が4300mを越えて、斜度がさらに厳しくなり、滑ったらヤバそうな斜面にキックステップを決めて登って行ったら、ほどなく山頂小屋が見えてきた。イタリア人パーティを追い抜くこと10パーティ以上のスピードで、すでにアリの行列の中央あたりに位置していた。山頂小屋たるマルゲリータ小屋に着いたときは、さらにまだ山頂まで登りがあるものと勝手に思い込んでいたが、山頂小屋でもう登りは終わりと聞いたときは倒れこみそうになった。小屋のなかでエネルギーとなりそうな甘いものを出来るだけ摂るようにしたが、食欲はあまりなかった。ここは標高が4554mで自分にとっての最高所レコードだと思ったら妙に感動が湧いてきた。頭痛のほうはたいしたことなかった。小屋を出発しようとしたとき、ガスがとれて青空となり展望が効くようになった。我々が追い抜いたアリの行列が続々と登ってきていた。ずっとお天気が悪かったなかで、今日は最もマシな天気予報となった日曜日だったので、イタリア人登山者がわんさかやってきたのもうなづける。 ●一通り写真を撮った後、今度は、バーバラ、ボク、クリスチャンの順のアンザイレンで下山を開始する。このアンザイレンも超特急でガンガンに飛ばす。ボクが少し足を緩めると、後にいるクリスチャンがボクを追い抜いて、バーバラと2人になってボクを引っ張る。これじゃあまるで二頭立ての犬ぞりじゃないですか!遅くて引っ張られるのはまだ仕方がないが、結構速いのに何故そんなに飛ばすのじゃ?せっかくの絶景が広がってるのに、これを味わう余裕もなく、2時間たらずでマントバ小屋に着いてしまった。マントバ小屋ではゆっくり昼食を摂らせてくれた。クリスチャンはニョッキを、バーバラはサンドイッチを注文して食べていたが、ボクは持参したカップヌードル(SAIKEBON)を食べた。はらわたに染み入った。 ●16時すぎにチェルビニアのガイドオフィスに戻ったら、アドリアーナが暖かく迎えてくれた。来年も挑戦しろとばかりに、リヨン稜のモンテ・チェルビーノのポスターをプレゼントしてくれた。来年のことはどうなるか判らないが、是非とも再挑戦したい。 - |
その他周辺情報 | ●プライベート・ガイドフィーは500ユーロ。2人なら半額、3人なら1/3となる。現金でガイドに支払うことになっている。チェルビニアの山岳ガイドオフィスのサイトはこちら http://www.guidedelcervino.com/index_e.asp ●今回の旅行全体のレポートはこちら、 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-487374.html - |
写真
装備
個人装備 |
●この登山装備は
冬山ウェアに加えて
ハーネス
スリング1本
アイゼン
ピッケル
ロングスパッツなど。
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感想
チェルビニアのガイドオフィスに戻ってきた時、クリスチャンに『なんでそんなにぶっ飛ばすんじゃ?』と質問した。その答えは、『すべて善しとなるためだ!』だった。そこで、『クライアントにとってすべて善しにはなっていない。早々にヘロヘロになってしまったら、登れる山も登れなくなってしまうんじゃないか!』と言い返したら、『お前は大丈夫だ!』と言われた。そこで、『そんなことはない。現にコンセントレートできないくらい疲れてしまった。』と反論したら、自信たっぷりに『オレは、ちゃんと見ている。』だった。議論は平行線に近い。もっと議論すべきだったが、言葉の壁にはざまれて、面倒&遠慮してしまった。日本人の悪い部分を露呈してしまった。
程度の差こそあれ、とにかくヨーロッパのガイドはぶっ飛ばすことに命をかけている。ぶっ飛ばすように教育されてきたから、これが身に着いてしまっていて、いまさら調整できないガイドも多い。マッターホルンのガイドの中には、”客潰し”と言って、わざと自分でも辛いぐらいにぶっ飛ばして、付いて来れない客に対して、あなたはダメだからここで戻ります・・・というウワサのガイドもいるぐらいだ。そうすれば、ガイドフィーだけもらって、危険な目には遭わなくて済むからだ。こういった確信犯の悪徳ガイドは別にして、こういう目に遭わないようにするためには、まずよく担当ガイドと話をすることだ。すこしでも信頼関係ができれば、ある程度の調整はしてくれる。あいまいな言い方ではなく、自分が何に優先度を置いて今回のツアーに参加したかを説明するのが最もいい。これを判ってもらえなかったら、担当ガイドを変えてもらうことも可能なのだ。変な遠慮は要らない。この点、ガイドレスは気楽でいいが、その分、総合的な能力が厳しく試されることになる。
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コメント
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10年程前マッターホルン狙いでツェルマットに通いました。天候が微笑んでくれず登るのに3年かかりました。 今回のkuma-sanと同じように積雪でマッターホルンを諦めモンテ・ローザに登った際、こんな所に小屋があるとマルゲリータ小屋を眺めた事を思い出しました。 次回はお天気の神様が微笑んでくれますように・・・
こんばんは。
PiscesBtypeさんも、3年かかったのですか・・・
スッと一発で登られる方も結構いるのに、
なんでボクだけ?と思っていた次第です。
デューフォーに登られて、マルゲリータ小屋を発見されたんですね。
状況がよく判ります。
お天気の神様が、お楽しみを引き伸ばしてくれているのだと
自分に言い聞かせています
クマ
モンテローザが単独の峰ではなく山群の名前と知らずにいた無知なkanosukeです。
天候が不安定な中山頂では晴れてよかったですね。
天気さえよければ最高の眺め!
人の多さにもびっくりしました。
それと最高所記録更新おめでとうございます
さて、クリスチャンですが。
スピードが安全を確保する面は確かにありますが、顧客が疲労を訴えているのに他のパーティをどんどん追い抜くほどのスピードがこの状況で必要だったとは思えませんね。
クマさんの反応からはシャレですまされるレベルの悪ふざけじゃなかったみたいですし。
客の力量や状態を読めないダメなガイドか、客を客として扱わない悪いガイドか。
そもそもが悪い顔してますよ、こやつ。
私も経験ありますが日本人は欧米では未だにけっこう差別的な扱いをされることが多々ありますしね。言葉が通じないと足元みられたり...
ガイドも選ばなきゃダメなのかあ、ちょっとげんなりしますね。
あ、でもそれは日本でも同じですね。
景色は最高なのにちょっと残念な後味ですね
kanosukeどん、まいど。
クリスチャンの名誉にかけて、そんなに悪いやつじゃあありません。
顔つきは確かに悪いです。
ちょっと大げさにレポートしてしまいましたが、
ブツ飛ばすのは、クリスチャンだけでなく、
ヨーロッパのガイドのほとんどすべてです。
これは、文化や伝統の差も関与しているので、
根の深い問題です。
実際、本当に悪いガイドも結構いますので、
注意が必要です。
あっそれと、バーバラはボクとキッスしましたが、
クリスチャンとしているのを見ておりません。
クマ
kuma-sanさん、こんばんは。
昔でも穂高に登りに来るようなヨーロッパ人の足は速いと思って不思議でしたが、今回私も何峰かの4千m峰に登ってみてだいたい実態が分かりました。とにかく朝天気が良い間にさっと登ってしまおうという考えが100%ですね。天気が良いと悪いのでは日本の山とは大違いですし、そのために客の力量の120%を出させる作戦をしているように思いました。
私はガイドレスで装備もそれなりに持っていたので自分でも情けないほど遅いのですが、私がガイド付きにして空身で登ったとしてもそれだけのスピードが出せる自信はないと思いました。とにかく彼ら(客も含め)は速いですね。ヨーロッパの山と日本の山との登り方の違いという感じでしょうか。
ガイドの性格はそばで見ていてもピンキリだと思いました。良いガイドに当たればラッキーでしょうが、そのあたりは運があるように思いました。いかにも客を楽しませているようなガイドもいましたし、反対にガイドに急き立てられて泣きそうにハーハーゼーゼーで登っている悲惨な客もいました。
私は英語はまあまあですが、やはり言葉はいろいろな意味で武器ですので、日本人がガイド付きで登るにせよ何にせよ、登山技術の向上とともに英語でいいのでレベルアップは必要に思いました。それはもちろん十分条件ではありませんが海外登山(旅行でも)の必要条件であるように思いますね。
murrenさん、まったくその通りです。
午前中はお天気が安定していますが、午後から不安定になりがちなヨーロッパアルプスの(夏の)お天気傾向が一番の原因のようですね。連続してお天気がいいときもこの傾向がありますので、とにかく午前中はぶっ飛ばします。クライアントの体力などの理由で、もしこれができないとき、たいていのガイドは不機嫌になります。したがって、与えられた時間でこれをうまくコントロールできるガイドが優秀なガイドと言えます。このベースとなるのが、信頼関係であり、それを築くためには、ある程度の会話能力が必要です。単に英検が1級だとか、TOEIC800点以上だとかいうのとはまた違った、オープンハート的なもののほうが大切だと思います。植村直己氏なんか、特にそうだったような気がしますね。
クマ
kuma-san、こんにちわ。お盆はゆっくり休養されましたか?
モンテ・ローザ、よく名前は聞きますが、
大勢の人が登っているのでびっくりしました。
ず〜っと列ができていますね
あ!自己最高所レコード、おめでとうございます。
28枚目はサービスショットですね。
さくちゃん、こんばんは。
早めに夏休みとったので、お盆は仕事でした。
しかし、日本も雨ばっかり
ボクの住んでる三田市は、陸の孤島となりました。
高速道路と国道が同時に通行止めになったり、
JRが何時間も動かなかったり・・・
モンテローザはたくさんのイタリア人登山者でいっぱいでした。
この夏は、みんな天候に翻弄されています。
クマ
下山時に犬ぞりの様に引っ張られてるクマさん想像して思わずニヤリ…
いや〜雄大な雪山…ホントに現実離れしていて美しい
マルゲリータなんてピザの名前としか知らなかった私ではありますが、いつの日か、こんな雪山を歩いてみたいなぁ…と思いました。
自己最高レコードおめでとうございます
ウタオトさん、本当にイタリアのガイドには参りましたよ
悪気はなく、むしろ良かれと思って引っ張ってくれているんですが、
十分、高速だったんですがね・・・
ヨーロッパアルプスは、本当にダイナミックですよ。
山ヤであるかぎりは、いつか行くべきですし、行く権利があります。
これを行使しないのは、もったいなすぎます。
ウタオトさんが行使しなくても、娘さんたちが行使するでしょうが
クマ
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