木の袋谷出合から長峰山へ直上
- GPS
- 03:49
- 距離
- 6.9km
- 登り
- 639m
- 下り
- 691m
コースタイム
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年12月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
先々週の週末は東京の娘を訪ね、久々に本物フレンチ、今週の日月には日本一のズワイガニ水揚げをほこる岩美町(鳥取)でカニ三昧と、ここのところ山に行かずにグルメの日々。仕事納めの翌日の今日、今年最後の山歩きだ。前日までバタバタしていて十分な準備もできないので、行き先は裏山の六甲となる。狭いようで広い六甲山地だ。随分歩き回ったつもりでも、まだまだ未知の領域が残っている。杣谷川上流の木の袋谷を囲む尾根筋にはまだ踏み込んだことがなく、今日はその探索のつもりだった。だった、というのは要するに結果的にそうはならなかった、ってことである。
杣谷に沿う徳川道から入るのだが、入り口の杣谷堰堤まで、激急傾斜の車道がうっとうしい。ここは娘に車で送ってもらい、楽して堰堤下に立つ。
冬型の気圧配置に変わる直前の穏やかな晴天である。徳川道を登っていくと、葉を落とした木々の間から、普段見えない家々や、谷の向こうの稜線末端に広がる長峰霊園などが見渡せて、ちょっと新鮮な印象である。この道は幾度となく通っているが、谷筋を行くようで結構高みのトラバースが多く、堰堤も大高巻きで思いのほかアップダウンがある。杣谷川をわらじに地下足袋で遡行したこともあるが(記録ID: 4012718)、堰堤の巻きも小さくこなせるし、かつてカスケードバレーと呼ばれた沢だけあってそこそこ滝も楽しめるので、道を行くよりはるかに快適なのだった。
そんなこともあって、水線に目をやり、ああ、今あのあたりだ、と沢登りの記憶を手繰っているうちに、ルートも知らず知らずに水線に吸い寄せられるらしい。気が付けば、正規ルートを外れて水線寄りの旧道を辿っていて、正規ルートに合流するまでそれに気付きもしない自分がいた。
そうこうしながら、木の袋谷出合辺りにやって来た。ここから徳川道に別れを告げて、右手の尾根に取り付くことになる。それらしき踏み跡が右手の石組みの古い法面の上についており、ご丁寧に法面を越えやすいように石が踏み台として積まれているではないか。マーキングもある。これだな、と思って踏み跡に飛び込む。すぐに岩場となる。六甲のバリエーシンルートはしっかりした道になっていることが多いが、ここはなかなかワイルドでバリエーションルートの風格を保っている。下りだと少々面倒だろうな、と楽しく岩場を越える。稜線がやや穏やかさを取り戻したところで、ルートを完全に外していることにkinuasaが気づいた。そういえば、取り付いてからGPSを確認していないぞ。どれどれ、とGPSを覗くと、あれー、木の袋谷東尾根と思い込んで登って来たのは、長峰山の山頂北から派生する小尾根なのであった。長峰山には側路(その多くが巡視路)が多い。結構歩いてみているが、まだ未知のものがある。今いる”踏み跡”もその一つである。どうせ長峰山に回り込むつもりだったのだ。構わず登っていく。いわば、杣谷から長峰山へのショートカットルートに入ったわけだが、想像通りの急登続きである。しばし登ると頭上を高圧線が横切り、左手に鉄塔が立っている。ここからは巡視路だ。確かに巡視路階段が敷設されているのだが、残っているのは杭だけ。それでも多少は道らしくなった気がする。ところどころ、しめ縄みたいに太い補助ロープが垂らされている。黄色のテープには「火の用心」とあり、ここは巡視路、と宣言しているかのようである(ご存じの通り、関電巡視路を示す標識には決まって「火の用心」と書かれている)。ここからさらに喘ぎ登って、ようやく長峰の稜線に出る。すると、もう目の前に天狗塚のピークがある。登山道に入って一気に天狗塚を目指す。例によって北側の岩を登って山頂に立つ。いつ来ても素晴らしい眺めの天狗塚である。ここで食事とする。大抵何組かの登山者がたむろするこの山頂であるが、今日は誰もいない。我々だけの世界だ。足元に切れこんでいる杣谷ののぞき込み、あの谷底から這い上がって来たんだな、とちょっとした感慨を覚える瞬間だ。
ここからの下りも長く感ずる。伯母野山へは通行不能、と杣谷峠に表示されて以来、荒れが進んだこのルート、最近は大月台側へ抜けることが定着して再び登山者が増加したのだろう。道はよくなってきたように見える。一番荒れていた堰堤の上あたりも通りやすくなってきた。そして伯母野山への旧ルートを分かってから篠原台へと向かう道の変貌には驚かされる。かつては、果たして通り抜けられるのだろうか、と不安に感ずる細々とした踏み跡に過ぎなかったところだが、実にしっかりと踏まれた道になっている。右手に新しく建設中の堰堤を見ると、すぐに篠原台に飛び出した。
今日は、思わぬアドベンチャーと長峰の見事な眺望を楽しむことができた。一年の山行のフィナーレを六甲で迎えるには、ここはおあつらえ向きである。瀬戸内に降り注ぐ冬の陽光をたっぷり吸収して、新しい年に思いを馳せる。今年最後の山行をすがすがしく終えたのだった。
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