中又白谷より奥又白池へ
- GPS
- 32:00
- 距離
- 20.0km
- 登り
- 1,022m
- 下り
- 1,023m
コースタイム
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 10:30
- 山行
- 5:10
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 6:40
天候 | 2日間とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
徳沢から取付きまでのアプローチに倒木、浮石。 取付きから奥白又池までは落石、滑落の危険。 |
その他周辺情報 | 下山後の温泉 宿儺の湯 |
写真
装備
個人装備 |
ズボン
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
トポ
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
携帯
時計
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ロープ
クライミングシューズ
ハーネス
ヘルメット
チョーク
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
スリング
ロープスリング
セルフビレイランヤード
アブミ
ハンマーバイル
ナイフブレード
ロストアロー
ルート図
|
---|---|
備考 | クイックドローは必要なかった |
感想
Hが中又白に行きたいと言い出してからかなり月日がたつ。
私は中白又、又白奥だっけ?とか、初めまったく名前が覚えられなかった。
元々クライミングジムの先輩のNさんが行きたがっていたので、先週御在所で訓練して、ついに10月の三連休に3人で決行。
台風19号が接近していたので、直前まで行くかどうか決められなかった。土曜日だけで日帰りで錫杖の岩場という話もあった。
でも行ってみれば、二日共今年の登山で一番の天気だった。
いつものように、金曜日に仕事から帰ってお風呂に入って19時過ぎに出発。台風が来るので雨戸を閉めてきたが、近所の人に気の早い家だと思われたかも知れない。
あかんだな駐車場に22時過ぎに到着。食事は作ったおにぎりを食べながら来たのでいつもより早く着いた。
1時間遅れてNさんも到着。
私達はいつものように、車で爆睡したけど、Nさんはほとんど寝られなかったようだ。
あかんだなから上高地にバスで行き、6時頃歩きはじめた。
徳沢で水を補給して、新村橋を渡り、上高地方面へ少し戻ったところの白っぽい砂や岩の沢の押し出しへ入る。倒木や浮き石多数だけど、これからの悪路に比べたらなんでもなかった。目指す中又白谷が見えてきた。
かっこいい!!!
思わず声が出る。
美しい谷だった。テンションが上がる。
8時20分頃、取り付きに到着。
F1の滝の壁がそそり立つ。
少し休暇してからルートを決める。Hは事前に中又白谷の情報を探したけど、ほとんどなくて、どなたかのブログが二つほどあったのと、Nさんの持っていた日本登山大系という本が頼りだった。
F1は、核心の一つで直登は見た感じでもかなり難しく、情報では左か右に巻いたようだ。沢登りではつい最近知ったのだけど、滝の数でセクションが数えられるらしい。
中又白はF1~8まであり、アルパイングレードは+。
右を選んで草の付いた土手を上がると、いきなり薮漕ぎスタートだった。
と言うより、枝漕ぎ。両手両足ふんばって、ときには枝が密集していて地面に足が着かない状態。かなり体力が消耗する。
F1終了。Nさんトップで丁度テラス状の滝の落ち口に出る事ができた。
それから私はどこをどんな順番で通ったとかあまり覚えてないんだけど、Hがよく覚えているので聞きながらヤマレコする事にする。
これを見て中又白谷に行ってみたいと思う方がいるなら、私の記憶だけだとあまりにも曖昧過ぎる。
できる限り記録は正確にはしたいけど、本当にその時は私達は途中から、F5〜8はどれがどれやらわからなくなっていた。後であれはこれだったと結論付けたけど。
ときどき、滑落や落石の危険やらずっと続く藪漕ぎやらで写真どころではなかったので、1時間くらい写真を撮っていない場所もある。
F3にチョックストーンがあり、Hがクライミングシューズに履き替えて登り、荷揚げした。その後にまた現れたチョックストーンも悪そうだったので、日本登山大系のコピーを見たら左岸(進行方向では右)を巻いたと書いてあったし、その方が良さそうに見えた。
しかし、その後私にとって恐怖の体験が!
Hが登っていったら、岩はもろくて、あと少しで安全地帯かと思われるところから動けなくなった。岩をつかもうとするとかなり脆くてパラパラとくだけ散る。高さは6、7mくらい。落ちたらただではすまない。
その後Nさんが、チョックストーンを沢靴のままレイバックで登る事ができた。それからNさんがHがいるところの数mくらい上の木に支点を作って、Hは下りる事ができた。
私は戻る事もできないHをみて、そのときはちょっと泣きそうになった。本人は平気と言っていたが。
後でHが、動けなくなった場所の少し前でハーケンが打ってあるのをみたと言っていた。
Hが見たブログの一つにチョックストーンを左岸を巻いて身動きできなくなり、ハーケンを打って下降したと書いてあったらしい。
もしかしたら、それかもなあ。
とHは言った。
日本登山大系はもっと上を巻いたのかも知れない。結局そのときそこで私達が判断することがすべてなんだ。まあ、私はお二方に任せっきりなんだけど。
その後も悪そうな滝が幾つか現れて、巻いて登った。
多分F8を巻いたのではないか、と言うところの右岸の藪漕ぎ、いや、枝漕ぎも長くてきつかった。しばらく進んで懸垂下降して沢に戻った。
その後少しの間だったけど、楽な登りがあった。両側を高い岸壁に挟まれて極端に狭くなった谷を歩いていると、人を寄せつけない感たっぷりな場所にいる事がなんか不思議に思えた。
それから左岸よりの嫌な感じのスラブや高巻きを進むと、テラスっぽいところに出た。
先にハングした壁が見えたので、私は通り過ぎてたと思ってたF8に出たと思った。
F8がどれなのか、この時点で3人共意見がバラバラだった。
日本登山大系では、奥又白池まで6時間と書いてあったけど、この時点でもう8時間が経過していた。まあ筆者達とは実力が違うけど。時刻は16時半だった。
数回に渡る荷揚げやら薮漕ぎやら、ときには私だけのためにロープを出してくれて結構な時間が経っていた。
このまま突っ込むかビバークするか。暗くなるまであと1時間。
テラスから上部を見た感じでは二人共そんなに悪そうには見えなかったようだ。
でも結局ビバークする事にした。テラスにツェルトを張った。Hが一本だけ持って来たプレミアムモルツのロング缶を3人で分けた。ぬるいけど格別にうまい。
今回はさすがに軽量化しなければならなくて、私もHもいつも持って行く一眼レフを置いていった。いつも大量に持って行くつまみや酒も今回は減らした。
ロープや重いものはHが持ってくれているのに、それでも私のザックの重さは、丁度自分の体重の三分の一くらいあった。
食事を済ませ、少しだけ持って来た焼酎とウイスキーは余ってしまったけど就寝。
空には数えきれない星が。
私は岩に寄りかかって空を見つめ続けていたら、短時間で衛星を6つも見た。人生最多記録だ。
カメラを置いてきたHは悔しがっていた。
かなり下地は石や岩でデコボコだったけど、意外とたっぷり睡眠を取ることができた。
Nさんが寝坊な私達を5:30頃起こしてくれた。
食事をしてご来光を見てから6:30頃出発。台風が近づいているなんて信じられないくらいいい天気だ。
スラブ帯が続く。クライミングシューズに履き替えれば快適なスラブだ。
荷物が背中にあるかないか、クライミングシューズを履いているかないかで格段に登りやすさが違う。
Nさんが調べて後でわかった事だけど、ビバークしたテラスは、F8を超えて最後のスラブの中間地点だったようだ。
Nさんの判断で右に巻くと最後の藪漕ぎ。
途中で前穂が目の前にバーン!と現れた。
7月に行った北穂東稜から反対側から見た前穂だ。あの時もこの姿に元気をもらった。藪を抜けると一気に景色が開けた。右側に奥又白池があった。
テラスからここまで約2時間。
突っ込めば途中でヘッデン行動になったから、ビバークの判断は正しかったようだ。
奥又白池の水は見た感じ澄んでいるけど、使用するには微妙。
平らで広々としていて、出来ればここでツェルトを張りたかった。
ところどころにゴミがあるのがちょっと残念だった。
ここは前に汚染がかなり進んで、片付けてくれた方々がいたそうだ。
池のそばは残念ながら紅葉は終わっていたが、今までの苦労が癒される、景色が美しい天国のような場所だった。結構長い間そこにいて、山談義をしていた。
下山は結構急登で、何組かの登山者とすれ違ったがしんどそうだった。
徳沢までの間、紅葉のきれいな場所があった。
徳沢で頑張ったご褒美に、おしゃれな山小屋でソフトクリームを食べた。400円也。
下山後、宿儺の湯に入った。いつものことだけど早く温泉に入りたくて仕方なかった。手の甲や首に擦り傷多数で、湯船につかった瞬間しみて痛かった。
藪漕ぎとかの傷跡だ。体重はNさんとHは2圓盡困辰討い拭私は1圈
もう一度中又白谷に行きたいかというと微妙だな。
と私は言った。
もう一回怖い思いをするなら別の場所がいい。
これは3人とも同じ意見だった。
でも、反省点は多いけど、間違いなく今年一番の大冒険だし、行って良かったと思う。かなりシビれた。いろんな意味で今までで一番。
これで今年の登山は多分終わりだ。
これからは来年の夏までボルダリングに毎週のように行く季節になるだろう。
今年は登山者にとって良くない天気が続いて、計画通りにいかなかった人が多数いるんじゃないかと思う。
私が一番行きたかった雲ノ平は今年も先送りとなったけど、山は逃げないし、貴重な4連休を使っていい天気の日に行きたいな。
まだまだ行きたいところはHも私もたくさんある。
御嶽山の事故は、スキーで何回行ったか知れないし、登山でも何回か登ってる身近な山なのもあって、毎日のニュースを見るのが本当に辛い。
救助された事のある私は、いろいろと考えさせられる。
登山届は必ず出すし、怖い所には多分行くだろうけど無理な計画はしないように安全第一を肝に銘じようと思う。
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