安達太良山の上に、ほんとうの青い空が
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- GPS
- --:--
- 距離
- 12.0km
- 登り
- 880m
- 下り
- 884m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
紅葉を求めて、つれあいと安達太良山に、登った。
いっしょに、これだけ標高のある山に登るのは、本当に久しぶりのことだった。ゴンドラに乗れば、1時間半で山頂まで行ける、という言葉に釣られて、つれあいは登る気になったようだ。
奥岳登山口のある、あだたら高原スキー場に着くと、紅葉シーズンの土曜日とあって、多くの登山者でにぎわっていた。
ゴンドラから眺める山腹はやや紅葉の盛りを過ぎ、鮮やかさを失いつつあったが、その上に広がる空は、どこまでも澄み切った秋の青空だった。
阿多多羅山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
「智恵子抄」の中の「あどけない話」という詩にうたわれた空も、こんな青空だったにちがいない。
ゴンドラの終点からは、展望のきかない灌木の中を、ゆるやかに登って行く。まだ9時をまわったばかりなのに、次から次へと下山してくる人とすれ違った。もちろん登る人達もそれに輪を掛けて、多くいるので、まるで街中を歩いているようだ。
仙女平分岐を過ぎて、少し傾斜の増した道を登り切ると、目の前が開けて、兜のような独特の形をした、岩の山頂が、目の前に現れた。乳首のように見えるので乳首山とも呼ばれるようだが、乳首にしては荒々しい感じがする。
山頂付近には多くの登山者が集っていた。犬を連れた登山者も何人かいたが、驚いたのは、猫を連れた若い女性がいたことだ。犬連れの登山者は、自分も含めて、あちこちで見かけたが、猫が登っているのは初めてだ。ゴンドラの終点からは、自分で歩いて登って来たそうだ。猫と登山は、自分の中でどうしても結びつかない。何か不思議で貴重なものを見せてもらった気がした。
山頂への岩の道は数珠つながりのように、列ができていた。表の道は混んでいたので、裏道を登った。山頂の三角点の傍らに立つ「八紘一宇」の碑の前には、写真を撮ろうとする人たちが何人も順番を待っていた。つれあいと順番にそれぞれを写真におさめるのに必死で、山頂からの眺めはろくに見ないでしまった。
つれあいの様子を見ると、まだ体力の余裕がありそうなので、鉄山まで行ってみることにした。
安達太良山頂を下り、牛の背の尾根に出ると急に風が強くなった。西の方角に磐梯山がくっきりと大きく見えてくる頃、時折、硫黄の匂いが鼻を衝くようになった。
そして、尾根を挟んで、西側に白い巨大なクレーターのような噴火口が姿をあらわす。何とも息をのむような風景が眼下に広がっている。沼ノ平という噴火口だ。明治三十三年の水蒸気爆発で、西側斜面にあった硫黄精錬所の従業員70名余りが犠牲になったという。
この光景を目にすると、どうしても御嶽山のことが頭をよぎる。このような美しい風景が、時には凄まじい地獄絵に一変するのだ。
矢筈森を越え、鉄山の登りにかかる。今回の登山での一番の急登だ。登り切ると、南北に連なる安達太良山塊の全貌が見渡すことができる。真っ青な空の下、西に磐梯山、その奥にかすかに飯豊連峰、そして北に吾妻連峰が眺められる。
この先の安達太良の最高峰、箕輪山まで行ってみたい気はするが、残念ながら時間もないので、ここで引き返す。
いったん矢筈森まで戻る。ここから安達太良山を眺めると、我々が登った時よりも、明らかに多くの人影がびっしりと山頂に群がっている。早い時間に登っておいてよかったと、つれあいと話す。
峰の辻分岐からくろがね小屋に向かって下る。谷に入ると、風が急に弱まり、山腹で多くの人がお昼を食べている。我々も、ここで昼食にする。
くろがね小屋は、名前のとおり黒っぽい大きな建物だった。近づくと、硫黄の匂いが強くした。そして、ここにもたくさんの登山者が休息していた。
くろがね小屋からは、道が一変して、林道のような広い道になる。そして、小屋にあれだけ大勢の登山者がいたのに、急に人影が少なくなった。つれあいが、この道でいいの、と不安そうな顔をする。しかし、ぽつりぽつりと登山者もいるし、ここまで来て引き返すわけにもいかず、林道を下り続けると、勢至平分岐の標識があり、道が間違っていないことが確認できた。
途中、林道から分かれる旧道に入ってみる。こちらの方が山道という感じだが、じめじめして滑りやすく、2度ほど転倒してしまった。後ろから、つれあいが、歩き方が変だだの、危なっかしいだの、といちいちダメ出しをしてくる。余計歩きにくいので、先頭を交代する。
自然遊歩道の分岐までやって来た。どうしようか迷ったが、せっかく来たのだからと、遊歩道を行くことにした。最後は、渓流に沿って、美しく紅葉した風景を堪能しながら、登山口まで下ることができた。ここも多くの登山者、観光客であふれていた。
天候に恵まれ、青い空の下、夫婦で、安達太良山の秋を満喫できた一日だった。
「想い出の山」写真&レポートコンテスト 「山行記録部門」 by モリパーク アウトドアヴィレッジ(MOV)
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