津軽半島脊梁の山越えとストーブ列車(大倉岳、袴腰岳)
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- GPS
- 32:39
- 距離
- 25.4km
- 登り
- 1,043m
- 下り
- 1,030m
コースタイム
二日目 C1発6:00→袴腰岳8:45-9:10→袴腰岳南西の登山道のある尾根下降し、尾根末端11:20-12:00→母沢林道→津軽中里駅14:50(津軽鉄道)
ストーブ列車15:21発→五所川原→川田→青森17:57
天候 | 1日目:晴れのち曇り時々吹雪 2日目:曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年01月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
おおむね気持ちの良いブナ林。山頂はどちらも展望よし。下りの尾根は夏道以外を下ると、ヒバの密林でドツボる。 ストーブ列車は12:46と15:21の二本のみ。 |
写真
感想
津軽脊梁の二峰をつなぎ、海から津軽平野に越える計画。鉄道入山鉄道下山でつなげる今時珍しい立地なので、両方駅から歩くことにした。あまりの美しい計画に、山岳部後輩の銭谷が仙台から参加。たがじょからは健脚のお二人。蓬田駅からスキーをひっぱって歩き出す。
朝日に輝く田んぼの果てに、目指す脊梁山脈が横たわる。雪原を越え、谷道をたどり行く。人家を超えても除雪は続く。新幹線予定線の工事車両や林業の車が通る。結局除雪は阿弥陀川標高70mあたりまで。駅から尾根末端まで3時間強かかった。
尾根は下部にヒバ林、上部はブナ林で快調に登る。標高500あたりまでラッセルらしいラッセルも無い。小屋は数十年前に地元の人が手作りで建てたもので、廃材を一本一本担ぎ上げたそうだ。中で休息させてもらった。ブナ林の中の尾根の上、気持ちの良いところに建っていた。
山頂には立派な社有り。ラッセルして登ると神々しい風景。ゆくての袴腰が結構遠くに見えるよ。きょうはどこまでいけるかなあ。山頂下の急斜面はシールをはずして下降。少し重いが深い雪。ターンはままならないが一気にダウンヒルして、スノーシュー組の到着を待つ。
時間も遅くなり、小雪も舞い、くたびれてきたので赤倉分岐を超えてすぐイグルーを作る。尾根上の小さな沢型に張り出した吹きだまりの上に。くたびれたので四人用にはすこし狭く作りすぎた。もっと広げれば快適だった。でも暖かく眠る。今日はよく歩いた。山崎さんの奥様弁当や海産おかずと村さんのドリップコーヒーをごっつぁんになる。僕と銭谷は相変わらずのカレー雑炊、にしかけたがそんなに食える年じゃないのを思い出し、ただのスープカレーに変更。
朝6時、夜明け前、気温は−5度前後。北西に沈む満月に向かって出発。青黒いブナ林の上に星。やがて日が射すと、陸奥湾の眺めが右に、津軽平野が左に
広がる。ブナの疎林帯、延々ポコを超えていく。袴越岳は周囲に抜きんでて白い。その白い頭がブナ林の上に近づいてきて、足元になる。拡がりのある風景だ。
山頂にいるうち、雲がどき、景色が増えた。お社の背景には十三湖や津軽の平野に一条の岩木川が一望できる。それに岩木山も見えてきた。津軽脊梁の北の続きも白々と出現、次はこっちへ來〜い、と手招きしている。
下りの尾根は問題だった。標高380までは快適に滑れるがそれより下はヒバの密林なので、夏道のある尾根を下降路に選んでよかった。スキーでは下りにくい狭い急な道だが、無いよりはマシだ。沢に下りたり、側面にはいかない方が良い。
林道ではクロカン滑りのスキー組とスノシュー組で倍近い時間差が出た。衛門四郎沢の出会いには地図にない巨大道路が横切っていて、討論するが、沢のすぐ右岸脇の古い林道を下れば良い。広い田んぼをスキーで下山、白幡神社が迎えてくれた。
麓の集落をスキーかついで下る。おじいさんや犬散歩のおばさんが話しかけてきて山越えした話をする。「そりゃ、たいへんだったね」と。
中里の駅周辺で、町はずれまでいってビールを買えないか見に行ったが、散髪屋3件とパチンコ屋しかあいていなかった。
しかしストーブ列車に乗ると、ビールもするめも中で売っていた。ガイドの美しい姉さんが軍手をはめて、するめを焼いてくれた。ストーブも渋いが、この古い車両の腰掛け、壁板、網棚、ドアノブ、各駅の標識、駅舎・・・にしびれた。古いものは新しくは作れない。お金では買えない尊いものだ。するめでもどら焼きでも買ってドネイションしたい気分だ。車窓には、歩いた山脈がながながと横たわる。
ストーブを囲んで見知らぬ旅行者のお客と話しが盛り上がる。
旅のおばさんに問われ山越えをした話をすると、「こんな地味な山に登らなくても、もっと楽しそうな山がありましょうに・・」と言っていたのが痛快。「有名な山はもう全部登って飽きちゃったんですよ。」とわかりやすく答えた。
五所川原までにはすっかり出来上がってしまったが国鉄を乗り継いで青森まで。
本州中央の二千、三千の山でも自動車道やロープウエイなどを作り、実際に登るのは千mほどのところが多い。せっかくの天然の価値をそうした人造物で落としてめておいて登るのでは礼儀が正しくない。ここは標高の低い山ながら、里から里へと歩けば、昔の人ぞ偲ばるる。
この山脈は全体通じて、ブナの良質な森山だった。新緑、紅葉の季節もすごくいいだろう。稜線を歩くかぎり、延々ブナの森だ。全国的知名度も全く無くてそこがまた良い。わかる人だけにわかってくれればよい山。
コメント
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米山さんならではの企画、実践。
イグルーの中はどんなですか。写真を見たかったナー。
同行の方がたの感想は?。
村尾さんがこちらにもう書いてましたね。↓
イグルー写真はこっちのほうがわかりやすいですよ。
http://hikeaomori.web.fc2.com/Tsugaru/snow_okuradake/ph_yamagoe_10_01.html
村尾さん、こちらヤマレコの方へも写真アップお願いします〜。
駅からこのカッコで歩いたんですか
町中でも津軽半島なら違和感ないかも。
だるまストーブの列車いいですね、あったかそう。
私も小学校の時、ストーブがコレでした。
列車の中はいろんな匂い(するめとか。。)
もしていそうです。
笑いました。
いいなー。ずるいなー。
来年は八甲田行きましょう
いや〜感動しちゃいました!!
yoneyamaさんのページで計画を発見し「スゴイ!
実行段階の計画に移った時に「ほ〜コレをやるんだ、スッゲ〜シブイ!」
山行中には「今頃どの辺かな?雪はどうだろう?」
記録作成中には「おっ!感想があがった、フムフム・・・御見事!」
画像アップ後に「はっは〜アソコからアソコにね、ウォッでたイグルー!」
などと随時見ながら感動していました(笑)
私もこんな素晴らしい山行が出来る様になれるのかな? ^^)ゞ
これからも私をドキドキさせるような記録を御願いしますね!
yoneyamaさん、今年もよろしくお願いします。
山のてっぺんから海は見えましたか。
海に向かってスキーを滑らせる(大沼なら沼ですが。。。)
そういう計画や記録を期待しています。
。
sakusakuさま
青森市内でもこの前吹雪の日、おじいさんが灯油のポリ端をヒモでひっぱって歩いているのみましたよ。漁村では1m近いタラをひっぱって歩いていた人も。根雪の雪国ではモノを担いで歩くのは愚かなのです。
ihara1990さま
やはりもうカレー雑炊は卒業しておっさんメニューを発案しないと行けないと思うよ。一泊山行ならメシ抜き、飲んでつまんで寝るだけでいいかもね。
shun-sさま
いや、そこまで観戦していただけると、誉れな事です。
ありがとうございました。「素晴らしい山行」のアイディアはやはりたくさん登って、自分なりの計画観を作るということでしょうか。やはり自分で地図を見て企画するということに尽きると思います。
oboko999さま
青森の山は三方海だからね。海の見えない山はないですよ。僕の計画ページに当面の山行計画を載せておきました。日付はダミーですが、興味があるのがあればぜひどうぞ。陸奥湾にダウンヒルも日本海にダウンヒルも太平洋にダウンヒルも十和田湖にダウンヒルもそろっているよ。
すごいですね〜!
北海道及び東北地方全県総舐め(←この字でいいのかしら?)の計画ですね。
東北の地理はよくわかりませんので、
yoneyamaさんのレポを見ると
地理だけじゃなく、社会科全般の勉強になります。
ええ、カレーを食べたお皿をナメるように丁寧に登りたいです。夢は社会科教師です。
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