岩手山厳冬 (馬返〜岩手山〜平笠不動平〜御神坂)

- GPS
- 32:55
- 距離
- 29.2km
- 登り
- 2,369m
- 下り
- 2,359m
コースタイム
- 山行
- 6:42
- 休憩
- 3:06
- 合計
- 9:48
- 山行
- 5:56
- 休憩
- 2:07
- 合計
- 8:03
| 天候 | 24日:曇りのち晴れ 25日:終日快晴 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2015年01月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
登山口(馬返しキャンプ場)への道路は積雪で通行止めでしたので、 キャンプ場の3km前(自衛隊演習林入口付近)に駐車。 歩いて登山口へ向かいました。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
●馬返しコース(登り利用) 登山口の馬返しキャンプ場までは除雪されていないので3km手前に駐車。 歩いて登山口へ向かった。 車道にはトレースが残っており、ラッセル箇所無し。 1時間程度で登山口に到着した。 登山口に登山ポストがあり、近くには水場(鬼又清水)有り。 水は凍っておらず水量豊富だった。(不凍かも?) 登山口から先の登山道は眺望の開けない樹林帯が続く。 トレースは消失しており道は判らない状態だったが、随所にリボンが付いており、 ルートファインディングはそれ程難しくは無かった。 4合目付近で森林限界を抜け、その後の行程は露岩帯が続く。 風が吹き抜けるせいか、ここまでの樹林帯に比べて雪は浅いが傾斜はきつい。 所々で雪の急登があるが、傾斜が厳しくスノーシューでは登れなかったので 4合目以降の登りはアイゼンを使用した。 この日の雪質は締まった感じであまり足は沈まなかったが、 断面を調べてみると、層が出来ていた。 一番下に硬い雪、その上に30~50冂の締まった雪、一番上に数僂凌契秡悄 の3層状態で、最下層と中間層の結合が弱い。 雪崩のリスクが高い状態に思えたので、雪の斜面を通過する際は急登帯は避け、 傾斜が緩い部分や灌木帯を選んで7合目まで登り詰めた。 登山道は露岩帯がメインなので、雪崩の心配はあまり無いとは思うが・・・ 近日中は、一応警戒した方が良いかと思う。 7合目まで登れば傾斜は緩くなり、少し進めば八合目避難小屋が見えてくる。 ●八合目避難小屋 正面入口は冬期閉鎖されているので、裏口から出入りする。 しばらく訪問者が居なかったようで、扉は凍結してなかなか開かなかったが、 一度開けば、後はスムーズに開閉できた。 小屋内のトイレは利用可能でペーパーも常備されていた。 今回の週末は天気が良く、小屋泊の登山者が大勢訪れるかと思っていたが・・・ 意外な事に私以外の利用者はおらず、広い小屋を一人で占有させて頂いた。 尚、八合目避難小屋から10分程歩いた先に不動平避難小屋があるが、 こちらの小屋の扉(2階の冬期入口)は開かなかった。 凍結してるのか、ロックしているのか、真相は不明だが、 不動平避難小屋は当てにしない方が良さそうである。 ●御鉢周り 特に危険個所は無し。 今回の風は弱かったが、強風域だと思うので風の強い日の防寒対策はしっかりと。 ●焼走り分岐〜平笠不動平 焼走り分岐で御鉢を降りて平笠不動平へ向かったが、上部は傾斜がきつく、 雪は硬くクラストしており、ここの下りではアイゼンを使用した。 平笠不動平には山小屋があるが、1階の入口は雪で塞がれており出入不可。 窓には全て鍵がかかっていた。 2階の冬期用入口から出入り出来るようにはなってるが、入口下に梯子等は無く、 大荷物を背負っての出入りは難しそう。 もし利用する際は、ロープで荷物を釣り上げる等の対策が必要かもしれない。 尚、平笠不動平には樹氷原が広がっている。 山小屋前の樹氷は黒っぽい部分が見えており、見頃は過ぎた感(or成長中?) があったが、西側の樹氷は雪付きが良く見頃な感じ。 岩手山を背景とした樹氷原の眺めは素晴らしく、もし積雪期に岩手山を訪れる 機会があれば、是非御覧頂きたい光景であった。 早朝の樹氷原は岩手山の山影になる為に薄暗く、イマイチ見栄えしないが、 日差しが入りこめば美しく輝き出す。 晴天であれば、の話ではあるが、今の日照時間だと10時以降の樹氷鑑賞が 良さそうである。 ●御神坂コース(下山利用) 馬返しコースと同じく上部は傾斜が厳しく露岩帯がメイン。 明瞭な尾根上を辿るので、馬返しコースよりも道は判り易く感じた。 馬返しコースよりも雪は少ない感じで、体力的には楽になりそうだが、 危険個所があるので、馬返しコースよりも楽なコース、とは言い難い。 笠締の巻き道が危険個所で、西側が切れ落ちているので滑落注意。 ロープは有るようだが、雪で埋まっており利用できない状態だった。 しっかりしたアイゼンワークが出来れば問題なく通過出来るとは思うが、 側面の岩壁が突き出ており足場が細く、大きなザックだと苦労しそう。 風の強い日も注意した方が良さそうだ。 笠締を過ぎれば、後は難所無し。 樹林帯を進むが、所々で目印のリボンは見つかり、トレースもあったので ルートはそれ程難しくなかった。 今回は馬返しへ下山する為、途中で御神坂コースを外れ、沢伝いに下って 鞍掛山の登山道へと抜けた。 夏道は無いルートだと思うが、こちらルートにも目印リボンやペンキマークが 付いており、冬期利用する人が居られるようであった。 鞍掛山登山道に抜けた後は、登山道を下って相の沢キャンプ場へ向かった。 ●相の沢キャンプ場〜馬返し除雪終了点(駐車場) ひたすら林道を歩いて駐車場まで戻った。 林道なので危険個所や道迷い等はもちろん無いが、相の沢キャンプ場から 駐車場までの距離は6km位あるので、精神的な面で辛さを感じる。 小岩井牧場の雪原風景や岩手山のビュースポットがあり、楽しめる要素はあるが、 岩手山からの下山後に歩くのは、やはり辛い。 ある意味、今回登山の一番の核心はここだったかもしれない。 |
| その他周辺情報 | 下山後の風呂は「お山の湯」を利用。 一人:500円。 露天風呂からは岩手山の眺めが良い。 鞍掛山登山口(相の沢キャンプ場)のすぐ近くなので、 鞍掛山登山後の利用も良さそう。 |
写真
装備
| 個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
ゲイター
バラクラバ
ゴーグル
着替え
靴
ザック
サブザック
アイゼン
ピッケル
スコップ
行動食
非常食
調理用食材
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
日焼け止め
保険証
携帯
時計
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
スノーシュー
|
|---|
感想
厳冬の岩手山登頂を試みるのは今回が初であり、不安はあった。
でも、岩手山は歓迎してくれた。
当初はガスで視界が悪かったが、御鉢に到着する頃には急激に天気は回復し、
やがて快晴の空が広がった。
天気が回復する瞬間、稀に山は神秘的な光景を見せてくれる。
光環にブロッケン現象。
これまで、何度か山で見た事がある現象ではある。
だが、今回の岩手山で見たそれら自然現象は、これまで見たどれよりも鮮明で、
その光景には感動させられた。
最高のタイミングでの登頂であり、長年思い描いていた厳冬期の岩手山登頂は
成し遂げられた。
山頂から南方を眺めると、かつて自分が住んでいた盛岡市が明瞭に見える。
そして、当時の様々な思い出が蘇ってきた。
大学時代は盛岡市に住んでいた。
当時住んでいた盛岡市内からは岩手山の眺めが良く、特に冬の岩手山が
好きだった。
快晴の冬空の下、真っ白に聳える岩手山。
大学の屋上で眺めながら、あの白い頂の上にはどんな世界が広がっているのか、
想像を巡らせたものである。
だが、そこに立てるとは、とても思えなかった。
岩手の冬は厳しい。
私は生まれが山形なので、寒さにはそこそこ強いつもり、ではあったが、
岩手の冬はそれ以上に寒かった。
盛岡市内ですら、痛いくらいの寒さを感じる時がある。
それよりも更に過酷な厳冬の岩手山に登るなど、雪山登山の知識が全く無い
当時の自分にはとても不可能に思えた。
盛岡市から見れば、すぐ近くにあるように見える岩手山。
だが、その白い頂は、外国よりも遠い世界のように感じていた。
今思えば、厳冬の岩手山に登る事は、一つの夢だったように思う。
当時の自分は、身の丈に合わぬ多くの夢を持っていた。
その夢は、どれも叶わなかったが・・・
唯一、「厳冬の岩手山に登る」という夢は叶ったのだ。
「登って感動、下って感謝」
宿泊地として利用した八合目避難小屋に、そんな言葉が張られていた。
シンプルな言葉だが、今回の登山で私が言いたい事を良く言い表している。
ありがとう、岩手山。
貴方は私の夢を叶えてくれた。
Luske












Luskeさん、はじめまして。
厳冬期間ですが天候にも恵まれ絶好の山行ですね。
無積雪期には賑わっている山ですが冬はひっそりなんですね。
平笠不動平でも樹氷がみれ78枚目の山頂部との写真がステキです。
Luskeさんも盛岡にお住まいだったとは。
自分も大学時代盛岡にいまして(同じですかね?)
毎日岩手山も見ていたことが懐かしいです。
その岩手山の登ってみたくなった事がきっかけで
登山を始めることになりました。
まだまだ経験不足で岩手山の冬には登れませんが
いずれ同じように夢を実現したいものです。
それにしても盛岡の冬は寒かったですよね。
一度水道凍結したのも良い思い出です。
juanさんも大学時代は盛岡にお住まいでしたか。
もしかしたら、私と同じ大学で、キャンパス内でお会いしてたかもしれませんね
水道管凍結、懐かしいですなぁ〜
私は湯沸かし器をよく凍結させてました。
お陰で風呂に入れなくなってしまったり、洗い物を水でしなくては行けなくなったり・・・
色々と苦労したものですが、今となっては良い思い出です。
やはり、盛岡市に住んだ事がある方にとっては、岩手山は特別な山かと思います。
初めて登った厳冬の岩手山、素晴らしい世界でした。
ぜひ、いつか、juanさんにも御覧頂きたい世界です
Luskeさんの厳冬期雪山、一体どこまで制覇していくのか…
などと楽しませていただいております。
今までのLuskeさんの人生を歓迎するかのような
岩手山の美しい姿、そして空と太陽の自然現象
素晴らしい風景と眺めに至る過程は決して楽なものではなかったと思います。
山は人生そのものですね
ところで
鼻水拭きタオル
私は冬は鼻水ぐずぐずで、手が冷風でかじかみながらティッシュで鼻をかむ事の繰り返しなので是非ともタオルを持っていきたいと思います。
下りは楽でしたが、やはり登りは大変でした。
ずっとスノーシューを使えれば良いのですが、後半は傾斜が上がるのでそうも行かず、
アイゼンでの重いラッセルに苦しめられました。
ですが、それを乗り越えて到達した山頂の景色は素晴らしかったです。
岩手山には学生時代、何度か登りましたが、不思議と悪天だった事がありません。
どうやら、私には岩手山の御加護があるようです。
まぁ、私と岩手山の仲です。荒れるワケありません
なんて、調子に乗ってると次に登った時は大荒れになりそうですが・・・^^;
冬山登山は鼻水に悩まされますね。
私のタオル、いつも鼻水まみれでガチガチに凍ってます(笑)
ちょと汚いですが、山でそんな事は言ってられません><b
冬の鼻水対策として、ぜひmeikenさんもタオルをお持ち下さい
Luskeさん、こんにちは。
厳冬期の岩手山すごい。さすがですね。
昨年夏に8合目避難小屋のマキ運び(笑)をしましたが、夏道でもゼー・ゼーものでした。
冬道は馬返しの直線道路からのアプローチになるのですね。
登山ルートは、旧道沿いになるのでしょうか。
天気にも恵まれ、最高の山行になったのではないでしょうか。
あの急登、薪を担いで登るのは大変でしょうね。
御苦労さまでした。
馬返しは比較的登り易いルートだと思いますが、
登山道までのアプローチがあるので辛いですね。
車高の高い四駆車なら、もう少し先まで行けそうですが、
出れなくなった時の事等を考えると、今回、私が駐車した位置から
スタートした方が無難かと思います。
今回は旧道を利用してます。
新道だと距離が延びてしまいますし、敢えて新道を選ぶメリットも無いように思います。
過去の積雪期岩手山の記録を拝見しますと、皆さん旧道を選んでいるようでしたので、
私も今回は旧道を選びました。
今回の岩手山は天気に恵まれ最高の山行でした。
次回も期待したいところですが、流石に2回目は無いかなぁ
ステキな景色をありがとうございました。
私も大好きな岩手山ですが、冬期はまず無いでしょう
遠目に見るだけです。
私、24日は10時過ぎに上空を通過。
山頂部にふんわりした雲を被り、山肌は少し見えていました。
よくよく探せばLuskeさんがいらっしゃったのですね
翌25日は17時前に通過(日記に載せています)。
一日良いお天気だったことが窺える姿でした
冬の岩手山、美しいですね。
盛岡に住んでた頃は、よくその姿を遠目で眺めましたが、
何度見ても惚れ惚れする美しさでした。
冬にその姿を見れるのは稀なので、運よく見れた時は一日中眺めたい位でした。
時には講義をサボって屋上で鑑賞・・・なんて事も
24日は10時過ぎだと、丁度、森林限界を越えた頃です。
山肌に私の姿が見えたかもしれませんね(笑)
日記、拝見させて頂きましたが、上空から眺める岩手山も良いですね。
私も一度、上空から岩手山を眺めてみたいものです
Luskeさん、こんばんわ!
今度は厳冬の岩手山ですか!
厳冬の岩手山の写真どれも素晴しい・・・それに自然現象のオンパレード、これはもうLuskeさんの日頃の行いの賜物ですかね
岩手山は焼走りの方から一度だけ登ったことがあるのですが、あの時は10月中旬でしたがそれでもキツかった思い出があります
それを厳冬期に登ってしまうとはさすがLuskeさんです
日頃の行い・・・
あまり自信ありませんが、今季は天候運が良いようです。
北岳、安達太良山では天気に恵まれましたので天候運を使いきってしまったか?
と思ってましたが、今季一番、と言っても良いくらいの快晴に恵まれました
来年分の天候運も使ってしまったような気分です(笑)
蔵王の方も天気が良さそうな予報(実際はそれ程良くなかったみたいですが…)
でしたので、雁戸山にするか岩手山にするか迷いましたが、
岩手山を選んで良かったです。
一月ももうすぐ終わり、いよいよ2月。
2月、と言えば雁戸山に登るのに良い季節だと思いますので、
来月中にもう一度くらい、こんな快晴の週末になって欲しいものです
Luskeさん、お疲れさまです。
-16℃ですか
怖いもの見たさの興味はありますが…
ところで、弱層有りましたか!
同じ日に笹谷でも、新雪10センチ−締まり雪20センチ-ザラメ雪30センチで、
締まり雪とザラメの間が弱層、じゃなくてウェークインターフェイスかな?
になっていました。(講習会で習ったばかりです… へへへ
(ブロックを切り出して放り投げるとパカッと空中分解するくらい!)
一人の時はよりいっそう、雪崩への注意、必要ですね
-16℃と聞くと、かなり寒そうに思うかもしれませんが、
この日は風が弱かったので充分耐えられる寒さでした。
この日の山頂の風速予測値は7m/sくらいだったかと思うので、
体感温度=-16-7=-23℃
という事になるでしょうか。
これまでの経験からすると、体感温度−40℃位が行動できる限界値だと思います。
この位の温度になると、さすがに命の危険を感じてきます。。。
因みに、この体感温度-40℃は南屏風岳での経験です。
蔵王の寒さ、侮れませんよ><b
雪崩も怖いですね。
ソロだと巻き込まれたら終わりなので、雪質や傾斜角には充分注意して行動おります。
ちょっと仕事がたてこんでました。コメント入れたかったのですがすみません。
岩手山のエピソードも含め大変興味深かったです。
岩手山、素晴らしい山ですね。そして東北でこんなに綺麗に晴れるのは稀ではありませんか。自分で切り開き進んでいく主体的な登山はかっこいいです。るすけさんの山行はスケールが大きいですね。それを支えるだけの体力と技術と知識があるのだと思いますが、自分も将来的に東北に行く可能性もあるので今のうちにしっかり勉強させてもらいます。
東北の雪の量を考えたら八ヶ岳なんて・・・。と考えてしまう今日この頃です
最後に「登って感動、下って感謝」
いい言葉を聞けました。
お仕事、忙しそうですね。
寒い時期が続きますので、疲労と寒さで体調を崩さぬようにお過ごしください
岩手山では素晴らしい天候に恵まれました。
東北の冬でこれだけ快晴に恵まれる日は稀だと思います。
岩手山は、第2のふるさとの山、という印象を抱いており、厳冬期の登山は長年の夢でした。
それが達成できたこの山行は、思い出に残る山行となりそうです。
確かに東北に比べると八ヶ岳の雪は少ないと思いますが、
初心者からベテランまで幅広く楽しめる八ヶ岳は、貴重な冬山ですね。
遠い山なので中々訪れる機会がありませんが、八ヶ岳、来年冬にでも訪れたいなぁ…
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