今までで一番山頂で吠えた、仙丈ヶ岳登頂‼️
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- GPS
- 16:40
- 距離
- 25.6km
- 登り
- 2,193m
- 下り
- 2,170m
コースタイム
天候 | 晴れ、ただし強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
正月トレースのお陰で、先週失敗したラッセル核心部は高速道路になっていた。しかし、稜線に上がってからかなりの強風で少し恐怖心を煽られた |
写真
感想
「最近冬山始めた人には初体験のガチ厳冬期が今シーズンは来そう。」というツイートを、仙丈ヶ岳初トライで遭難しかけた後に目にして、恐怖していた。今まで僕がやってたのは実はリアル雪山登山ではなかったのか…。普段なら、再チャレンジに迷いはないが、今回は出かける直前まで心が決まらなかった。
最初に地蔵尾根から仙丈ヶ岳日帰りピストンに挑戦した時は、事を甘く見過ぎていた。全くの思いつき、下調べ不足、朝の4時の遅すぎるスタート。おまけに柏木Pに着くと完ソロという不運もあった。のっけから孝行猿への看板を見逃し林道を無意味に歩き、最後は不用意に新雪に突っ込み、足がつかないラッセルに撃沈した。
https://yamap.com/activities/14899256
特に最後の過ちは、雪山でトレースがない場合のルーファイに関わるもので、経験不足が如実に現れた。自分が持っている雪山本のルーファイの記述を読んでも具体的な方法論はなかったので、モンベルの兄ちゃんと話しにモンベルに行った。あいにく彼は不在だったので、書籍コーナーで何冊かよさげな本を買った。また、具体的な方策のヒントを得ようとネット検索すると、僕が撤退した翌日に冬期TJARと題し、朽見太郎選手が地蔵尾根で仙丈小屋まで11時間半かかったというブログを発見した。質問すると、やはり2650メートル地点のルーファイは一番の難所のようで、「経験者と一緒に登るのがお勧めです。」とアドバイスをいただいた。また、ルーファイに絡み前から欲しくて我慢していたSuunto9 Baroを「死ぬことに比べれば安いよね☺️」と言い訳して怪しげなネット販売者から激安で購入する。結局はド素人の僕が急にルーファイできるようになるはずもなく、一番確実なのは直近行った人の軌跡をなぞる事だと思い、YAMAPを検索すると27日にホライズンさんが登頂されているのを見つけた。すぐに、YAMAPのパソコンサイトにログイン、GPXデータをダウンロードし、Baroにインポートした。軌跡は、やはり2650メートルは夏道ではなく尾根に直登してからトラバースしていた。一年前の2月に登頂されている方の軌跡を見ても同様のルートを刻んでいたので、これは地蔵尾根2650メートルの経験知なのかもしれない。
次に時間の分析に入った。自分が前回行ったときの軌跡を参考に、各ターンポイント毎の標高と所要時間を洗い出した。大体自分のなかで200メートル標高をあげるのに30分かかるという公式があるのだが、地蔵尾根は停滞する地点が多く、公式通りには行かない。ホライズンさんはピストンに17時間、朽見選手は猛烈ラッセル込みで仙丈小屋まで11時間半というのを参考に18時間の山行を想定した。てつさんのアドバイスに従い、「やはり前日の遅くとも10時にはスタートだな…」と初めてのスーパーブラックスタートを決めた。HikariMonoさんのいう「おこぼれ」に与れれば登頂できそうだが、いまいちこれでも自信がなかった。
前々日の夜わざと夜更かしし、出発日は昼の12時前に起きた。スタート日は登頂するであろう日の前日だから記述がややこしい。本当は少し出発前に仮眠したかったが、あわただしくそのまま夕方の5時半過ぎに自宅を出た。道中夕食を双葉SAでとり、柏木Pを目指す。道中もずーっと不安だった。「また、完ソロならどうしよう。あるいは満車ならどこ止めようかな…」
何頭もの鹿との遭遇を経て午後9時40分頃柏木Pに着くと、7?8台の車が止まっていて、駐車場にも程よく空きスペースがある。正に理想的な状態に「おっ!これはチャンスあるな😃」と一気に不安状態からテンションが上がる。登山届ポストの横のスペースに雪の路面に少しビビりながら駐車した。準備にもたつき、予定より10分遅れの10時10分に登山ポストに登山届を投函しスタートした。
初回に道迷いを誘発した孝行猿の矢印を無視し、次のなぜだが「入山禁止」と赤く書かれた道標を右に曲がる。Baroがどのような挙動をするのかを頻繁にチェックしながら進んでいく。やはりたまに矢印が進行方向を向かないことがあるが、まあ許容範囲か。前回1時間かかった孝行猿まで20分ほどで到達。今回は各ターンポイントで毎回コンパスを合わせ、YAMAPとBaroを両方確認しながら進んでいくも、前回より明らかにたっぷりな雪道に、かなりしっかりしたトレースがあった。はっきり言って全く地図を見ずに、ただトレースを追っかけるだけのほうが何倍も早く進めたが、意味不明なこだわりで、面倒な確認とそのポイントでの写真撮影を執拗にこなしていく。
トレースがしっかりしていたからか、2回目だからか全く疲れを感じないまま、松峰小屋上の道標までたどり着いた。前回はここで、チェーンスパイクからアイゼンに履き替えたが、今日はここまでトレースしっかりなので、坪足。まだまだ坪足で行けそうだったが、折角持ってきたというだけの理由で、無駄にワカンを初装着。しかし、アイゼンなしのワカンのみだと松峰小屋からのちょっとした斜面でも歩きにくくて仕方がなかった。しばらくワカンの試し履きをした後、アイゼンに交換した。結局ここから一度も取り立ててワカンの必要性は感じることはなかった。
今回は前回より大幅に時間に余裕をみてスタートしているので、ペースもゆっくりであまり疲れない。前回はあれほどうんざりした2000メートルと2400メートルの停滞を終えてもほとんど疲れはなかった。引き続き、3つのツールを使って、ガチガチにルートを確認しながら進んでいく。そして、問題の2650メートル手前にやって来た。尾根をラッセル直登する気満々で鼻息が荒かったが、溝のようなトレースが?シンプルにありがたく使わせてもらった。しかし、この溝は、自分が辿ろうと準備していた軌跡とも少し違っていた。もう少し尾根まで引き付けてからフラット気味にトラバースを目論んでいたが、まるでラッセルを楽しんだかのような蛇行を描いていた。で、美しいルートにはノートレース。さすがに、溝を無視することはできず、またもや独りの無力さを肌で感じることになる。
このまま、大してピンチを感じることなく、稜線に上がる。ちょうど日の出で、向かいの中央アルプスが赤らみ始めていた。前回は見られなかった美しい景色に、それほど苦労しなかったとはいえ感慨深くなり、少し吠える。この段階では、余裕の登頂を確実視していたが、そんなに世の中甘くはなかった。「どんな登山もイージーではない。」という自分の格言がここでも当てはまることになる。
今日は樹林帯を歩いているときからすでにマイナス10度を下回りかなり寒さを感じていた。稜線に出ると次第に風が強くなっていった。Windyの予報では風速12メートル程度だったので今日を選んだのだが、なかなか激しく吹いてくる。こちらがよろめく程の強さで、たまに耐風姿勢で立ち止まった。しかも雪を飛ばして来るので、目に固い雪が当たって痛い。慌てて岩かげに行き、ザックを下ろして目出帽をかぶり、今季初めてゴーグルを装着した。しかし、目出帽を鼻まで被ると、折角モンベルでこの日のために買って塗っておいた曇り止めが何の効果も果たさない(ちなみに取り扱い説明書を読むと、「曇り止めは塗らないでください」とあった😅)。あっという間に曇りが凍りつき、視界が70%くらい無くなってしまった。グローブでゴシゴシこすっても当然凍りついてるので取れない(取り扱い説明書を読むと「グローブで擦らないでください」とあった😓)。当たり前かもだが、それでも頑張って行動していると顔からの熱でゴーグルに張り付いた氷が溶け、視界がクリアになった。やはり、目出帽を鼻まで被るのはご法度なのか?
また、さすがに風で飛ばされるのか、トレースがよく見ないと分からない。軌跡で粗方どこを歩くべきかは分かるのだが、稜線に出てから道がなかなかスリリングで、危なげなトラバースもある。「これ、思ったより大変だなぁ😣」道中テントを何張りか見たが、みんなまだ行動を開始していないようだったので、今日はここまでずーっと誰にも会わずに登ってきた。強風とトレース慣れしてしまった意識のせいでかなりナーバスになってしまっていた。
そんな中、あるピークを乗り越えた辺りで、風雪の中、前方に二人の先行登山者がいるのが目に入った。「おー!やっといたよ、先行者。」一気に元気が出て、相変わらずの暴風の中
ものすごいゆっくりペースで一歩一歩進んで行った。最後の稜線に行くのは、軌跡を見るとみんな少し右巻きにショートカットしているので、トレースは無かったが、ガリガリの歩きやすい岩混じりの道を行く。ついにビクトリーロードなのか?しばらくヨチヨチと進んでいくと、先程の二人が山頂から降りて来ている所にやってきた。男性と女性の二人組だった。僕の装備を見て、女性のほうが「日帰りですか⁉️」と聞いてくれて、「はい、そうです😃限界です…。」「カッコいい!」と誉めて頂く。先程までかなり余裕だったおかげで、何とかここまでこれたという感じだった。「仙丈ヶ岳はこれですか😵??」とすぐ前に見える丘を指差し、いつもの如く当たり前の事を聞く。男性のほうが「これですよ?」
ここで、よそ行きにしては少し大袈裟に「やった〜‼️」と両手を上げて、山頂まで小走りでかけ上がった。やっと、よくみんながあげている仙丈ヶ岳の山頂標識を見ることができた。よくわからないが、暴風の風切り音であまり声が通らないと分かってか、久々に思い切り吠えた。今日は、朝から10時間以上自分をガチガチに律して登ってきたので、一気に感情が爆発してしまった。
強風が続いていたので、残念ながら長居はできなかった。もっとこちらから見る男前の姿を見たかったが、正直その余裕がまだ自分にはなかった。携帯も自分の状態を象徴するかのように、山頂に到着して何枚か写真を撮ったところで、死んでしまった。携帯のマイクロUSBタイプCの部分が凍ってしまい、モバイルバッテリーも刺さらなかった。さあ、残念だが行くかな…。
携帯が死んだので、稜線の間は少し緊張感を持ちながら歩いていく。しかし、その後はもう目の前にあるトレースを、脳ミソのスイッチを切って進んで行った。すると、行きに尾根に直登して稜線に出たのとは違う深い溝トレースに入ってしまい、実はそれは前回僕がはまり込んだ夏道トラバースだった‼️「すごいな、ここにまでこんなにトレース付けるか…。」人間ってやはり、集団で力を発揮する生き物のようだ。
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