【奥美濃】厳冬の千回沢山・不動山
- GPS
- --:--
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 1,318m
- 下り
- 1,331m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
※ 写真に変なモヤがかかったみたいになっていますが,レンズ内の結露のためです(温めても復旧せず,往生しました…)。見苦しくてすみません。 【ルート状況】 ・ 千回沢山北東尾根(イチン谷右岸尾根)の取り付きへは,赤谷と才ノ谷の合流点付近(合流点のほんのちょっと下流側)に若干浅くて流れのゆるい箇所があるため,そこを渡渉。今回は冷え込みの厳しい日だったため(早朝の徳山ダムで−3℃),水深は膝くらいで済んだ(気温上昇時は増水注意)。念のため沢足袋を使用し,沢足袋は渡渉点にデポ。 ・ 取り付きから積雪あり。標高700m付近からスノーシュー使用。新雪の下の旧雪が締まっているため沈み込みはそれほどでもなく,最大でもスネ〜膝程度。稜線上は雪庇の張り出す東〜南側とは反対側の斜面(西〜北側)がウインドクラストしていることが多く,極力そちらを辿るようにすれば多少マシ。 ・ 序盤(標高点910mの手前付近)はまだシャクナゲの藪が出ている箇所があるが,積雪に埋もれつつあり,通過はそれほど難しくない。 ・ 大きな危険個所はないが,終始雪庇が出ているのと,千回沢山〜不動山間の稜線は北側が切り立っている箇所があるので,念のため注意。 |
写真
感想
奥美濃の遠き山,千回沢山と不動山。深い藪に包まれているうえ,徳山ダム建設により徳山の山々の主である旧徳山村の住人の方々がこの地を去ってからはアクセスも限定的になってしまったため,岐阜の山の中でも最も登りにくい部類に入るとさえ言われることもある山である。
この山には,過去に何度か訪れたことがあるが,いずれも無雪期であった。
【参考: 過去の千回沢山・不動山の山行記録】
・ 2019年11月9日…千回沢山(紅葉のイチン谷から)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2099715.html
・ 2019年11月16日…不動山(ロボット尾根〜紅葉の励谷から)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2110494.html
・ 2020年11月28日〜29日…不動山&千回沢山(晩秋の不動谷〜千回沢)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2773377.html
・ 2021年11月21日…千回沢山(ショウガハナ越えで北尾根から)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3771465.html
・ 2022年5月5日…千回沢山(赤谷を歩いて新緑の北尾根から)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4263352.html
積雪期のこの2山は,アクセス路である国道417号線(岐阜側)や広野ダムの周回道路(福井側)が冬季通行止めとなるため,これまでは冬季通行止めの解除を待って,短い残雪期をねらって登られるのが通常であった。
しかし,事情が大きく変わった。「通年通行可能」な冠山峠道路(国道417号線の岐阜・福井県境区間)が,昨年11月に開通したのである。これまで1月〜2月は周辺道路が全て深い積雪に埋もれ,日帰りで到達することなど能わなかった厳冬期の奥美濃の最深部に,誰でも簡単にアクセスできるようになった。白山で例えれば,厳冬期でも白山公園線の風嵐ゲートがフルオープン&別当出合まで除雪完備・通行可能になったのと同等のインパクトがあると個人的に思うのだが,どうでしょう。言い過ぎ?
登山者の勝手な感傷としては,遠い山というイメージが薄れることは少し寂しくもあるのだが,そんなこと言いつつも,登らずにはいられない。今年は暖冬傾向が続いて雪が少なめだが,先週のP1128mと若丸山(この2つのピークも,冠山峠道路が開通したらまず行きたかったところの一つ)で稜線上はもう十分雪があることが分かったので,千回沢山と不動山に登ることにした。新雪をまとったこの2山がどんな姿に変貌するのか,是非見てみたい。
最も不安だったのは,登路とする千回沢山北東尾根(現在では最もメジャーな残雪期のルート。先駆者に敬意を表したい)に取りつくための,揖斐川源流の渡渉。なにしろ,新雪豊富な厳冬期の赤谷の水量がどうなっているのか,(恐らく徳山ダム完成前の徳山の住人の方々を除けば)これまでほとんど誰も見たことがないのだ。渡ろうとしたヤツはもっと少ないだろう。標高が高ければ,水という水が全て凍る真冬は当然水量が少ないと確信できるのだが,この山域の標高だと予想がつかない。しかも,前日まで大雪だったので,これもどう水量に作用しているのか心配だった。しかし,山行当日も前日までの寒気が残って冷え込みが厳しかった(早朝の徳山ダムで−3℃)のが幸いしたのだろう,ヘッドライトに照らされた赤谷と才ノ谷の合流部の水量は無雪期に見慣れたものと左程変わらず,下半身裸(最悪,これも想定していた)にならなくても渡ることができた。もちろん,水は拷問のように冷たく,登山靴を履き終えるまで生きた心地がしなかったが。
千回沢山と不動山の稜線は,新雪と霧氷でまばゆいほどに白く輝く世界となって迎えてくれた。私がこれまで無雪期のヤブの姿しか見たことがなかったせいもあると思うが,同じ山とは思えないほどの変貌ぶりだ。特に,稜線のほぼ全区間に渡って雪庇とシュカブラが発達していることに驚いた。厳冬のこの稜線は,思った以上に季節風にまともに叩かれ続けるようだ。
無雪期にはヤブに埋もれて茫洋とした高まりにしか見えない千回沢山と不動山の山頂も,いずれも鋭い雪庇に縁どられて,妙に尖って形良く見え,そこに向かって粉雪を蹴りたてながら,一歩一歩歩いて行く心も自然と高まった。
もちろん,冠山峠道路が開通した今,これらの風景も,今後は当たり前になっていくのだろう。しかし,今日この日は,新雪の山頂に立ち,これまで想像の中で思い描くだけだったこの1月の稜線を現実に眺めているというだけでも,何とも言えない不思議な感覚に包まれていくようだった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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次回、行っちゃいませんか!
と、ミノマタの反省会で「冬のジャブリングバージョンですね」と、盛り上がっていました
なんと、もう行かれたとは!
感服
さすがでございます
目のつけどころが高過ぎです(笑)
もんり
やはり考えることは同じですね〜笑
この標高の場合、まとまった降雪直後の川の水量がどうなるのか分からず一番心配だったのですが、そんなに水量多くなくて良かったです(よく冷え込んでいたからかもしれませんが)。
釣り用のスーツとかウェーダーとかがあれば良かったのですが、持っていないので、靴を脱いでズボンを膝までたくし上げるという原始的な方法で渡渉しました。転倒防止に沢足袋だけは履きましたが。当然悶絶しました。
もんりさんも是非、厳冬の不動千回沢にお出でください! これまでヤブ全開のこの山の姿しか見たことがなかったので、純白の新雪とトガッた雪庇をまとった姿は、いち不動千回沢ファンとしては熱いものがありました。
ジャブリングの冬アイテムを着用して、テルくんを抱っこして、hillwandererさんのポイントを含め3箇所渡渉を試みましたが、う〜む…渡れませんでした
今日の揖斐川町は15℃。昨日の雨と融雪のためか、夏より増水しており、千回沢山は遥か遠く、指を咥えて…
またのチャンスに、「純白の新雪とトガッた雪庇をまとった姿」で、熱くなりたいと思います!
うむむ〜、最強ジャブラーコンビを跳ね返す水量とは…。ここまで積雪が増えてくると、ちょっとの気温上昇や降雨で一気に増水してしまうみたいですね。この時期の渡渉は、「よく冷え込んでいること」が条件なのかもしれません(渡渉する身にはこたえますが…)。私が登った日は、早朝で−3℃くらいでした。日中でも0℃を少し上回った程度だったのではないかと思います。
ショウガハナを越えて北尾根から登る手もあるかもしれません。その場合は才ノ谷とイチン谷の水量をカットできるので、若干水量が少ないかもしれません(実際見てみないとわかりませんが…)。
次はグッドタイミングをつかめるといいですね〜。ところでジャブリングの冬アイテム、気になる!
ジャブリングの冬のアイテムを大袈裟に表現して、申し訳ありません
ただのウェーダーです
セパレートタイプで股下までしかありませんが、軽くてコンパクトなので、デポせずにザックに入れて持ち運べます
いい感じだったのですが、赤谷はそれを上回っていました(笑)
ところで、濡れるとか濡れない以前に、ヘッドライトで轟音の黒い帯へ突入するのは、相当強いメンタルがないとできませんね…
僕はテルくんがいたから怖さはやや紛れましたが、hillwandererさんのメンタルは恐るべし!
そういうコンパクトなタイプのウェーダーもあるんですね〜。というか,水深は股下を超えていたということですよね。本当にかなり増水するんですね,おそろしや…。
いやー,徳山ダム湖をジャブジャブ泳ぎ回るのもかなりメンタルが強くないとできないと思いますよ
私は赤谷に何度か沢登りで来ていて,その度に同じポイントを渡っているので,慣れてしまっているのはあるかもしれません。もし初見だったら確かにちょっと怖いかも…。
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