【奥美濃】桝谷湖から行く過ぎゆく冬の笹ヶ峰・不動山・千回沢山(天草山、壁小屋丸経由)
- GPS
- 16:10
- 距離
- 31.1km
- 登り
- 2,577m
- 下り
- 2,579m
コースタイム
天候 | 天気@ 曇り時々晴れ朝夕ガス、朝のうち一時雪 気温@ 駐車地(桝谷湖バックウォーター付近)−2℃(AM5:30頃)、壁小屋丸−1℃(AM9:30頃)、笹ヶ峰−1℃(AM10:30頃)、千回沢山0℃(PM2:30頃) 風@ 北西のち北東の風(稜線上で5〜6m/s位) 積雪@ 桝谷川の除雪終了点50cm、天草山1m位、壁小屋丸〜笹ヶ峰〜夏小屋丸2.5〜3m位、夏小屋丸〜不動山〜千回沢山2〜2.5m位 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
!注意! 夏小屋丸から少し南側のJCTピークから不動山にかけては、細尾根急角度の雪庇と、雪壁に妨げられた岩が連続し、困難を強いられます。特にJCTピークから細尾根の雪庇を超えて、一度登り返した直後にある巨大な雪壁(推定高さ15m位)は、確保無しに直接降りるのは不可能な状況でした。40m位のロープで懸垂下降するか、南側の急斜面をトラバースするかのいずれかで処理する必要があります。トラバースするにせよ雪質がズルズルだったりすれば滑落の危険が大きく、進退の判断は慎重にしたほうが良いです。これから残雪期に向かうに連れて雪の状態は時間単位で目まぐるしく変化すると考えて、行ったはいいが帰れないということがないよう、後先のこともよく考えて行動する必要がありそうです。 @概況@ 行程全般にアップダウンが非常に多い。雪質は全般によく締まっていて、上部に行くと古い雪の層の上に新しめのフカフカ雪が10〜30cm位乗っているような感じだった。そのため稜線までは大部分をツボ足で歩行、稜線上では大部分をスノーシューで歩行し、雪壁状の危険な部分は12本爪のアイゼンとピッケルでしっかり確保しながら慎重に歩いた。ヤブの露出や雪の緩みに由来する雪庇の崩壊などは見られなかったが、雪庇の重みに耐えきれずクラックが走っている部分は少しあった。これから本格的な残雪期に入れば、雪庇の崩壊や雪崩などに十分注意する必要がある。 以下、各セクションごとの状況。 @桝谷川駐車地〜天草山尾根取り付きまでの道路@ 路上の積雪は50cm位、積雪の切れ目が数か所あった。雪は概ね良く締まっていてつぼ足で大丈夫だった。 @天草山尾根〜壁小屋丸まで@ 取り付き直後はヤブっぽいが、程なくして積雪の覆われるようになり、概ね快適に登っていけた。天草山を過ぎてしばらくで細尾根の雪稜があり、かなり慎重に歩かないと雪が崩れて転落する恐れがあった。越美国境の稜線に乗る直前には岩峰の急斜面があり、登りではアイゼン+ピッケルで確保しながら直登し、帰りは北側の斜面を巻き下った。稜線に乗ってからは大きな危険はなく壁小屋丸に至った。 @壁小屋丸〜笹ヶ峰〜夏小屋丸@ 越美国境稜線は2.5m前後の積雪があり、雪庇の厚さも巨大なもので4m位あった。これでも今季は少ないほうだと思われるが、ヤブの露出はほとんどなく、雪はまだ溶け始めておらず、冬の情景そのものだった。壁小屋丸と笹ヶ峰間は鞍部を隔てて笹ヶ峰側が標高差200m程の急斜面となっており、切り立った雪稜の尾根を歩かなくてはならない場所もあり、慎重に歩いた。笹ヶ峰から夏小屋丸にかけては極上の広い雪稜で、今回のツアーでは数少ない安心して雪稜漫歩ができる状況だった。ただし雪庇に近づきすぎないように注意が必要。 @夏小屋丸南側のJCTピーク〜P1155@ JCTビークからは少し降りると細い雪稜の急斜面となり、左右は切れ落ちており、登りならともかく下りでは非常に緊張した。その先、小高い丘に登って先に進むと雪壁の崖となっており進路が途絶える。迂回路を探しに北側の斜面を少し降りたがあまりにも険悪なため却下し、南側の超急斜面をトラバースした。この斜面の雪は20cm位の新雪の下に比較的硬い層があったので、アイゼンに換装し一歩ずつ確実に蹴り込みピッケルで確保しながら時間かけて通過した。 @P1155〜P1203〜不動山@ P1203から不動山手前のピークの間は極細の雪稜となっており、その雪稜の角度は立っており特に下る際はクライムダウンを頻繁に織り交ぜながら慎重に通過した。ピッケル必須。この区間の雪質は新雪状態が深かったので足元は再びスノーシューとした。景色を眺める余裕は全く無く安全に通過することだけを考えた。 @不動山〜千回沢山@ いくつかのアップダウンはあるがいずれも緩やかで、ヤブは全て雪の下で快適なスノーシューハイキングが楽しめた。巨大な雪庇が随所にあるものの、近づきすぎないように注意すれば問題なかった。 |
写真
感想
今回のツアーは、奥美濃の秘峰中の秘峰である不動山と千回沢山をメインに、笹ヶ峰などの越美国境の山々を交えて巡る行程とした。奥美濃の深き秘峰の数々は無雪期に行ってこそ、その真髄が感じられるという思いがあるが、自身まだそこまでの境地には至っていないので、雪が豊富な今の時期に行ってみて、まずはその真髄に思いを馳せることができればと考えていた。行ってみて、奥美濃の奥深さ、雪深さ、厳しさに圧倒される思いだった。
ところで今回のツアーを通じて、自身の登山に対する考えとして、ピークハントだけではなく、『旅』として山々を全身に感じたい、という願望がより鮮明になった。麓からは見えない遥か彼方の山を目指して歩き、無事に帰ってくるという一連の行動を通じ、何か言いようのない生きている喜びのようなものを感じるのである。自分の生きる糧として、これからも安全、怪我、体調に注意を払いながら楽しい登山を続けていきたい。
以下、備忘録。
@着用衣服・装備(スタート時)@
ミレーの変態アミアミパンツ、メリノウールのベースレイヤー、化繊のタイツ、薄手フリースジャケット(ポーラテックパワーグリッド)、靴下(中厚手)、フェイスタオル、ハードシェルパンツゲイター内蔵、ヘッドランプ、リストウォーマー、中厚手インナーグローブ、オーバーグローブ(ショート丈、ゴアテックス)、腕時計、前後コバ付き冬季ブーツ、ウィペットポール2本
@持参装備・衣服(状況により使用する物など)@
12本爪ワンタッチアイゼン(使用)、チェーンスパイク、スノーシュー(使用)、ピッケル短めのもの(使用)、サングラス(使用)、ビーニー(使用)、ハードシェルジャケット(使用)、ハードフリースジャケット、予備化繊ベースレイヤー、予備下着、予備インナーグローブ、予備タオル、防寒テムレス、エマージェンシーシート、ヘッドランプ2個(1個使用)、予備のGPS機、気象観測計(使用)、スマートフォン(使用)、モバイルバッテリー、単3、単4リチウム乾電池、キズパワーパッド、ロキソニン、テーピングテープ、ダクトテープ、ICOS(使用)、その他(財布、鍵)
@飲・食料@
ポカリ900ml×4本(900ml×3本と半分消費)、フランクロール(消費せず)、ミニアンパン5個入(3個消費)、ミックスナッツ(半分消費)、スイートポテトまんじゅう3個(全消費)、チーカマ3本(2本消費)、サラミソーセージ1本(消費せず)、ICOS(2本消費)
ザック総重量(スタート時):12.90kg
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翌日に徳山ダム方面から千回沢山、不動山へ入りました。
千回沢山から貴殿のトレースが付けられていましたので想定よりも短時間で登山する事が出来ました。
ありがとうございました。
こんばんは。コメントありがとうございます(^^)
あのトレースは自分のもので間違いないとは思いますが、想定よりも短時間で到達なさったのはyama56さんの歩きが素敵だからだと思います!お疲れさまでした。
徳山ダム方面からは渡渉が核心、グランさんが確りと偵察してくださったので問題なく渡渉が出来ました。
更に千回沢山からはeightwoodさんのトレースがあったので短時間で登山を終えることが出来ました。
皆様に感謝(^^)/感謝(^^)/です。
何処かでお会いしましたら宜しくお願い致します。
不動山と千回沢山は奥美濃最奥の魅惑の山々ですよね!国道417号線が冬の眠りから目覚めたばかりで、多くの方が入山され楽しんでましたね。渡渉は水量が多くてなかなかスリリングだったことでしょう。自分は渡渉が怖いしロングでアプローチしたかったこともあって、福井側からとなりました。雪はまだまだ沢山、天気もまずまずでとても良い条件でしたね!
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