甲斐駒ヶ岳 (登り:黒戸尾根、下り:日向八丁尾根)
- GPS
- 13:32
- 距離
- 25.1km
- 登り
- 2,974m
- 下り
- 2,959m
コースタイム
天候 | 晴れ後曇り 終日微風・無風 気温高し |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・駐車場-甲斐駒ヶ岳山頂(黒戸尾根):登山道の整備良く、登山者多し。黒戸山付近から五合目小屋跡付近までは下り。五合目小屋跡から七丈小屋まではハシゴ多数。かなり切り立ったものもあるので落ちないよう注意。残雪はほぼなく、アイゼン・ピッケルは不要。 ・甲斐駒ヶ岳山頂-六合目小屋-三ッ頭:ここから日向山までは登山者は大変少ない。下り一辺倒でほぼ樹林帯の上なので景色は良いが、所々ルートがハイマツに覆われていて分かりづらい。ルートを外すと行き詰まりすぐ分かるので、間違えたら確実なところまで戻れば問題ない。岩場も多いので慎重に歩く必要がある。また、鎖も数カ所設置されている。六合目小屋は、小屋自体はきれいだが、周辺がゴミだらけで気分が悪い。小屋からは一度登りになって三ッ頭に達する。 ・三ッ頭-烏帽子岳-大岩山:2014年版の登山地図には登山道が書かれていないが、立派に整備されている。落ち葉によりフカフカになった地面が続くので膝痛持ちにはありがたい。烏帽子岳への分岐は、三ッ頭を少し過ぎた後に立派な道標が現れ、それに従う。烏帽子岳は甲斐駒ヶ岳がよく見える。大岩山へは一旦大きく下ってから、大変急な斜面を登ると山頂に達する。この斜面には鎖等が設置されていて、これがなかったら登るのも下るのも相当難儀する。大岩山山頂は樹林帯のため展望は全くない。 ・大岩山-日向山-矢立石駐車場-駐車場:ここから駐車場までは比較的なだらかな尾根歩きが続くが、細かなアップダウンは続く。雁ヶ原付近は登山道が入り組んでいてしかも道標等はないので少し分かり難い。自分はとにかく尾根沿いに進んだ。雁ヶ原から出てくると眼前に日向山の白砂がいきなり現れる。この白砂は蟻地獄のようで歩きづらい。日向山から矢立石の駐車場まではハイキングコースにもなっていて大変よく整備されている。途中の看板で10-xと大体の行程が分かるようになっている。この日は夕方4時過ぎの通過にも関わらず、これから登って来る登山者も見られたし、下山しているハイカーも見られた。矢立石駐車場から先は登山道と一部車道を歩いて駐車場に達する。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
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写真
感想
甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根は既に季節を変えて2回挑戦したので、3度目の今回は少し変化を付けたくて、山頂から鋸岳方向に延びる尾根と日向八丁尾根を利用して周回するルートを取ったが、想像以上に長いルートで行動時間が13時間を超える山行になった。
早朝3:40頃に駐車場に到着。日の出が早い6月とは言えさすがにこの時間では真っ暗だったが、既にヘッドライトの光があちこちで明滅しており、準備している登山者が多数いることが伺えた。実際にこの時期としてはクルマの入りは多いように思われたし、途中バスともすれ違ったので多くの登山者がいた。皆梅雨の晴れ間を有効利用したい気持ちは一緒なのだろう。4時を回って、少し明るくなってから歩き始めるが最初の10分ほどはヘッドライトの世話になる。昨年も同時期に黒戸尾根のピストンをしたが、この時は前半のオーバーペースがたたり、後半の標高の高いところでペースががっくり落ちたので、その教訓もあって今年はとにかく抑えて登ることにした。それでも最初の1時間で500m弱の標高を獲得できたし、ペースも体調も悪くなかった。休憩を適宜挟みつつ登るが、この時期のこの時間帯に黒戸尾根を登る人はほぼ例外なく日帰り狙いなので、皆大変に健脚ばかり。トレラン装備ではない人も後ろに姿が見えたと思ったらあっと言う間に抜いていく。これはもうそういうものだと思うしかない。3時間以上かけてようやく五合目小屋跡の平地に到着。黒戸尾根を登って甲斐駒ヶ岳をピストンするなら、ここまでは準備運動、ここからが本番と自分は思っている。ここから先はまずハシゴが連続する。初めて来たときはかなり急なハシゴに肝を冷やした記憶もあったが、3度目ともなると大分慣れてきたし、何より今日は下りはここを通らないので気分も楽だった。七丈小屋があらわれ、登山者が休憩しているが、自分は写真撮影のみで通過。ここの小屋もテント場も一度使ってみたいのだが、なかなか機会が得られない。八合目まで順調に標高を上げここで休憩。この辺りはいつ来てもガスが濃いのだが、果たして今日も同じ状況だった。が、先に進むとガスが取れて目指す頂がはっきり見えるようになってきた。風もほとんどないので、歩いていても立ち止まっても寒さは全く感じない。山頂手前で雷鳥が鳴く声が聞こえたと思ったら、一羽が大きな岩の上で鳴いていた。そして、無事に山頂に到着。昨年よりも10分ほど早いタイムで到着できた。山頂からは富士山は雲に隠れて見えなかったものの、南アルプスの主立った山はよく見えたし、中央アルプスも見えた。昨年はガスでほとんど何も見えなかったことを思い出す。
ここまでは何度か通った登山道だったが、この先は未体験のルートになる。気合いを入れて下りにとりかかる。が、いきなり何度かルートを見失う。踏み跡は明瞭だが、突然道が消えることが幾度かあった。これは2週間前に歩いた釜無川からの鋸岳のルートと同じだと考え方を改めてからは、ルートを外すことはなくなった。ハイマツにルートが覆われて分かりづらいことが多いのだが、一歩踏み出す前によく見ればどれがルートかは分かるようになっている。間違ったところに足を踏み入れると、途中で行き詰まるから、それで戻っても良いが、時間は確実にロスする。甲斐駒ヶ岳の山頂までは多くの登山者を見たが、鋸岳に通じる尾根に入ると人の姿はほとんど見なくなる。この尾根では途中で数パーティとすれ違ったのみだった。ほぼコースタイムどおりに六合目小屋に到着。ここも降り口がよく分からず少しウロウロする。小屋自体はきれいで快適そうだったが、外がとにかくひどい。ゴミだらけ。ガス缶などが錆びて多数放置されている。こんなひどい小屋は見たことがない。ちょっと気分が悪いのでここでは休憩せずに少し離れたところで水分と栄養補給する。三ッ頭まではここからは少し登って到達、ピークには棒きれが刺さっているだけで何も書かれていなかったが、甲斐駒ヶ岳の眺めは良かった。ここから数分下ってようやく烏帽子岳への分岐が現れる。甲斐駒ヶ岳の山頂からここまでは全く行く先を示す道標はなかったように思う。ここから少し登って烏帽子岳の山頂に到着。甲斐駒ヶ岳も鋸岳もよく見える。鋸岳は2週間前に第1高点のみピークハントしたが、甲斐駒ヶ岳から縦走もしてみたい。いつになるかは不明だが。ここから先は程なくして樹林帯に入るので展望は得られなくなる。そしてこれは登山口である駐車場まで続く。
烏帽子岳の山頂にあった道標に「大岩山 3h」とあって、そんなにかかるのか?と思ったが、実際はかからず。が、この時間帯になって深刻になってきたのが水不足だった。今回は2.5リットル持参したが、途中暑くて消費が多く、この時点での残量は1リットルを切っていた。この先長大な尾根歩きが待っているし、登山地図を見ても水場のマークは日向山の下までないので、とにかく水の節約が必要になる。大岩山までは順調に高度を下げて、2100m台まで下がるのだが、最低部まで下がった後に150mほどの登りが待っている。この登りが実に大変だった。かなり切り立った崖のようなところを登るのだが、そこには鎖やワイヤーが設置されていた。これがなかったらとてもではないが登れそうにない。鎖やワイヤーをしっかり利用させてもらって一歩ずつ確実に登る。落ちるようなところではないが、既に10時間近く行動していて疲労もピークに達しているので、ヘマだけはしないよう心掛ける。無事に登り切って大岩山に到着。地図にも記載があるが、展望はゼロ。残り少なくなった水を飲み、パサパサしていて喉を通りにくいパンを少しかじって先に進む。この時間帯は本当に疲労のピークだったようで、下りの緩い坂道であっても全くペースが上がらずにノロノロ歩きがやっとだった。こりゃいかんと思い、ザックにいつも入れているゼリー飲料でカロリーを補給したところ、しばらくして足が戻ってきた。夏の暑い時期は、固形物よりもゼリーなどのほうが効果的にカロリーの摂取ができると再認識した。今後は日帰りでも最低2個は装備しておこう。細かなアップダウンはあるものの、順調に高度は下がって地図上に「雁ヶ峰」とある地域に近付く。この辺り、登山道が複雑に入り組んでいてどこを歩いたものか少し悩む。マーキングもほどんど見られないので、踏み跡と地形を頼りに歩くしかない。自分はとにかく尾根上を歩いたところ、ふっと樹林が切れて目の前に白砂が現れた。突然に展開に驚いたが、日向山に着いたようだった。
日向山の入口で小休止して登りにとりかかるが、ここはかなり砂が深くて蟻地獄のようで大変だった。既に12時間行動している体にとってはなおさらだった。が、最後の最後でこんなきれいなところが現れるとは予想しておらず、体が疲れていても気持ちは前に進んでくれた。日向山の山頂付近で写真を撮って最後の尾根歩きを始める。この時点で既に4時を回っていて、さすがに登りはいないかと思ったがいた。また、下りも数パーティのんびり歩いている人達がいた。道は間違えようがないくらいに整備されているので、暗くなりさえしなければ問題ないのだろう。途中、藪に蛇がいるのを見てからは不用意にストックを突くのを避けるようになった。約1時間で矢立石の駐車場に到着。ここにクルマがあったら楽なのだがもちろんないのであとさらに数100メートルくだらなければならない。既に5時を回り、日の長い6月であっても樹林帯は薄暗く感じる。念の為ザックからヘッドライトを取り出してポケットに入れて歩き始める。最終的には使うことなく駐車場まで戻れた。行動開始から約13.5時間後のことである。正確に記録を取り始めてからは、1日で13.5時間行動したという記録はないので、自分にとっての最長行動時間である。日の長い6月に挑戦して良かった、これが10月末頃だったら、最後の1時間くらいは真っ暗な中の行動だったはずである。
今回に関しては、水の持ち方は大失敗だった。最低でももう1リットルは持ってくるべきだったが、そうなるとこれまた長大な黒戸尾根でバテるかもしれず、日帰りで長いルートを歩く場合は水の持ち方が難しい。途中で水を容易に得られれば良いのだが、稜線歩きではそれも期待できない。結果論で言うと、水は最後100ccを残してゴールできたが、これは途中から雲が出て涼しくなったのも一因と思われる。最後までカンカン照りが続いていたら、途中で干からびて足攣りなども起こしていただろう。雲に助けられたと言える。
黒戸尾根から鋸岳の尾根を回り、日向八丁尾根を1日で回るルートは、自分のようなハイカーレベルの登山者ではかなりつらい。仙人並みに健脚な人か、トレランをやるような人向けと思われる。普通レベルのハイカーでは、時間のマージンが無さ過ぎて、天候や体調の急変に対応できない。また、途中に泊まれるようなところも六合目の小屋を過ぎてからは皆無なので、歩き始めたらとにかく最後まで歩ききるしかない。今回は誰か人を誘わなくて良かったと正直思っている。午後から天候が崩れやすい梅雨明け以降は適期ではないし、秋になって日が短くなってもあまり宜しくない。狙うなら、梅雨の晴れ間ではないかと思う。
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