三川山周回
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- GPS
- 04:14
- 距離
- 5.5km
- 登り
- 650m
- 下り
- 643m
コースタイム
- 山行
- 4:22
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 4:55
天候 | 曇のち晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道はよく踏まれているが、上部の植林帯は落ち枝でわかりにくい。急峻。奥の院道は転落滑落注意。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
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感想
今年のゴールデンウィークは、前半と後半が綺麗に分かれてしまった。泊りがけの旅行は先月行っているし、4月末の前半戦では比較的近場の山にいくことにした。先週はポンポン山でヤマブキソウの満開を楽しんだのだが、それから一週間後となると何が見ごろだろうか。もう夏の花へと役者は移りつつある。イワカガミやイワウチワは低いところはもう終わって、イチリンソウやニリンソウもとっくに咲いている。では、お花見をひとまず置いて、未踏の山が残り一桁になっている『ふるさと兵庫100山』を考えるならどこがいいだろうか。残っているのは今や遠い山だけになってきており、大半は北部但馬にある。その中で、特に意識に引っ掛かっているのが、香美町の三川山なのだった。この山、自分が持っている古いバージョンの『分県登山ガイド 兵庫県の山』に掲載されていたのだが、なんせアクセスが悪い。ほとんど日本海まで出てからまた南下して山に入っていくしかない。ぴたっと出発点に到達できる高速道路もないときている。その上、山頂部にはにょきにょきとアンテナが立ち、我々には使えない管理道路がてっぺんまで達しているというのは何とも興ざめである。後回しにしているうちに、『分県登山ガイド 兵庫県の山』は新しいバージョンが出版されたようで、ヤマレコのリストにある『分県…』は三川山なしで”完登”になってしまった。そんなわけで、なんとなく登るチャンスを逸していたわけなのだ。だが、『ふるさと兵庫100山』の完登には三川山は必須である。そこで記録を再びあたってみると、例年ならちょうど今頃、石楠花が見ごろを迎えるという。ならば、ここのところのブームであるお花見山行にもってこいじゃないか。ただ、何人の人が、『ふるさと兵庫100山』のうちの難関と書いている。とはいえ、『分県・・・』にも掲載されていたような山だし、急登・急降下と言ったって我々のこれまでの野蛮な山行と比較すれば何ということもないだろう、とタカをくくっての出陣となった。
北近畿道を八鹿氷ノ山の辺りまで来ると、遠いな、感が募ってくる。今日はさらに車を走らせ、この道の終点である但馬空港ICまで行く。一般道を降りて北西に進む。丘の上に出ると、本物の飛行機が眼の前に現れてびっくりするが、これはディスプレイだった。さらに進んで豊岡から香美町に入り、今度は南西に方向転換してやっと三川方向へと山間部に入っていく。三川権現社は日本三大権現だそうで、千数百年の歴史を持つそうだ。さすがに広々した駐車場が設けられているが、我々以外誰もいない。駐車場横には植栽されたシャクナゲがあり、満開の状態。色は薄いがアズマシャクナゲだろう。まずはお参りをしてから、川の左岸に沿って歩を進める。すぐに堰堤が現れ、右から階段でこれを越える。フジの花が満開で、辺りはその香りで満ちている。シャクナゲコース→の標識に従って尾根に取り付くが、のっけからの急登である。さっそくシャクナゲの群生地に入るが、きょろきょろ探してやっと一枝、花をつけているのを見つける。地上には落下して色褪せた花びらがあちこちにあって、すでに花の多くは終わっているのだった。標高が上がれば少しはあるかもと、気を取り直して登るが、結局、きれいな花はごく僅かしか残っていないのだった。先週あたりが見ごろだったのかな。
道は確かに急登に次ぐ急登、効率はいいが、確かにこたえる登りである。今日は曇りがちなので涼しさに助けられる。明日は晴れ渡るという予想で、汗だくになることだろう。足元には今春見る機会を逸したイワウチワがかろうじて咲いているが、すっかり色褪めてほとんど真っ白になったものがほとんどなのだった。花期は外してしまったわけだが、周囲は素晴らしい新緑に輝いている。里では緑が濃くなってしまったが、再び新緑の爽快さを味わうことができた。コース最上部を除いて温帯広葉樹林に包まれているので、新緑が本当に素晴らしい。次第にブナの大木が増えていき、東北の山を思い出させる。この時期ならば、木々の間からは眺望もある。植林帯に入ってしばらくすると、ブル道なのか、防火帯なのか、切り開かれた稜線に出る。この切り払いを登っていくとアンテナが現れ、その脇を抜けて進めば次のアンテナ地点に達し、ここに山頂を示す手製標識がある。ルート途中には立派な道標がある間隔で立っているのに、山頂には頼りない山名板があるのみである。山頂の北側も切り拓かれており、眺望がある。ここで昼飯とする。
食後は三本目のアンテナ脇から奥の院コースを進む。この辺り、植林下でルートを逸しやすい。茫漠とした尾根が一旦狭まって稜線上を急降下する。この痩せ尾根、躓いて転倒でもしようものなら、一気に谷底である。慎重に下る。やがて傾斜がなくなって弛んだ谷間に達する。わずかに窪地を下った後、道は谷を渡って小さな尾根を巻き始める。右手が切れ落ちたところをトラバースしていくので、滑落要注意である。稜線に乗ると再び急降下が始まる。気を抜けない下りが続く。途中、岩の多い尾根の開けた地点を通過して右手の隣尾根の大きなガレと岩場を見わたせるコブにでる。遥拝所と書かれた標識があり、対面の岩ガレを指示している。あの岩盤が神の宿るところなのだろう。これが奥の院コースと呼ばれる所以か。
こちらのコース、シャクナゲコースと比べて、シャクナゲは残っている花は多少多い。陽当たりの違いだろうか。
気の抜けない下りが続いたのち、沢音が次第に高くなると、眼下に左右の沢の出合地点が見えてくる。その中央に向かって道はついている。降り立っていくらか下流方向に進むと、朝通ったシャクナゲコース分岐にでる。気が付けばすっかり雲は消えて、真夏と変わらぬ強い日差しが、若々しい葉に覆われた木々を飾るフジの花に照り付けて、その香気を一層際立たせていた。
下山後、里に向かって川沿いの道路を走っている時の事だった。綺麗な白い鳥がいた。「コウノトリかしら?」とkinuasaが言った。asakinuは、「コウノトリは田んぼにいるんだよ、こういう山間部じゃなくて」と答える。
そしてしばらくの後、国道に出て但馬空港方面に車を進めると、田植えのために水がはられトラクターで耕している耕地。この水田にカメラを向けた数人の人々がいる。これこそコウノトリに違いない。折り返して車をとめると、そこには二羽のコウノトリが餌をついばんでいるのだった。初めて見る野外のコウノトリ。花はともかく、コウノトリに出会えたのだから、遠路はるばるこの地に来た甲斐があったというものだ。こうして、満足の山行を終えることができた両名は、今年最後になるかもしれないタケノコを買い込んで家路についたのである。
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