武奈ヶ嶽〜三重嶽〜能登野湿原〜三十三間山☆天増川源流域を周回
- GPS
- 11:48
- 距離
- 25.1km
- 登り
- 1,745m
- 下り
- 1,720m
コースタイム
- 山行
- 4:44
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 4:51
天候 | 二日間とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
天増川からの稜線への登りの尾根は途中の送電線鉄塔までは道がある。 最後の植林の斜面は道が不明瞭だが、下生はほとんどないので、登るには問題なし。 能登野湿原はルートなし 天増川への最後の下山の尾根には道はなく、しかもかなりの急下降 |
写真
感想
大峰からの登山から帰ると翌朝はこれまでに経験したことがないような筋肉痛に見舞われるが、三日も経つと筋肉痛はすっかり消えてくれる。連休の前半はかなりの好天が約束されるようだ。家内を伴ってのんびりとしたテン泊山行に出かけることにする。以前より野坂山地の最高峰の三重獄でテン泊してみたいと思っていたのだった。ここにアプローチするにはいくつものルートが考えられるが、翌日に能登野湿原と三十三間山を訪れることを考え、天増川の集落からその原理流域を大きく周回するルートを考える。
このルートは一昨年の積雪期に一日で周回したのだが、その時には天増川の谷に沿って新たに送電線ルートが建設中であった。新たな送電線は今やすっかり完成しているようだ。天増川の集落の手前に車を停めると送電線鉄塔に向かって尾根を登ってゆく。尾根には古い道がついているようだが、送電線鉄塔の建設のためと思われるモノレールも設置されている。モノレールは九十九折りの古道を縦断するように作られているので、古道を辿ることが難しい。
真新しい送電線鉄塔に出ると尾根の先には古い送電線をかける二基の鉄塔が続いている。二基の鉄塔を過ぎると植林の斜面となり、途端に道も不明瞭となるが、下生えのほとんどない斜面はどこでも登ることが出来る。
尾根に合流すると新緑の自然林が広がる尾根となり、尾根上には涼しい風が吹いてくる。随所で東側には琵琶湖の展望が広がり、背後には二の谷山の先には白倉三山と比良の武奈ヶ岳が見える。尾根には小さな池が現れる。池うえに突き出した倒木には綿菓子のような白い塊ついている。モリアオガエルの卵だ。
積雪期には一面の雪原となる鹿ヶ原は爽快な展望が広がるが、低木の藪が広がる箇所が多く、おまけに茨が多いので油断ならない。鹿ヶ原を通過すると迷路のような自然林の樹林の中を抜けて、武奈ヶ嶽山頂に到着する。高島トレイルの山頂の標柱は以前にも増して損傷がひどくなっているように思われた。熊の仕業だろう。
武奈ヶ嶽から三重獄を眺めると遠くに感じられるが、実際にはアップダウンが少なく、それほど時間がかからないことが見込まれる。武奈ヶ嶽からはなだらかな尾根を北にたどり、石田川ダムに下降する尾根の分岐を過ぎるとブナ林の広がる北斜面をゆっくりと降ってゆく。暗部が近づくと三重獄の山頂が急に近くに感じられる。
鞍部から登り返すと後は山頂まで広々とした尾根を緩やかに登る。尾根の南側には小さな池が現れる。尾根の南側は随所に武奈ヶ嶽の展望が広がる。ブナの疎林が広がるなだらかな斜面に差しかかると三重獄の山頂からトレランスタイすの男性二人が降りてくる。
この三重獄の山頂部はいくつかの小さなピークの集合からなり、遠目にも山頂を見極めるのが難しい。まずは南峰を訪れる。積雪期は抜群の眺望の広がる南峰ではあるが、この季節は低木のせいでそれほど大きく展望が広がる箇所がない。しかし南峰への吊尾根の南側からは武奈ヶ嶽と比良の武奈ヶ岳を綺麗に眺めることが出来た。
次いで本峰を訪れ、南東に琵琶湖の眺望を認めると、いよいよ北峰に向かう。一面の草地の広がる北峰はどこにでもテントを張ることが出来る。この日は他には先客はいないようだ。急速に傾いてゆく夕陽が若狭湾の上に橙色の反射を落としていた。テントの近くの倒木に腰掛けてまずはビールで乾杯する。
夕方になり急に風が冷たく感じらるのでビールを飲み干すと早々にテントに潜り込み、夕食を調理する。まずはソーセージとキノコ類を色々と炒め、ライスとコーンを投入してピラフを作る。後半は牛肉のステーキを調理する。残照を確認しに再びテントの外に出てみると若狭湾の沖合にはイカ釣りの漁船が雨に浮かぶ星のように煌々と光を放っていた。
夜中に起き出してみると南の夜空では蠍座の左手に天の川が見えるが、標高が低いせいだろうか、空が全体的に霞んでいるので星空の写真は諦めることにした。
翌朝、我々のテントの近くにもうひと一つ、テントが張られていることに気が付く。昨日、我々がテントを張ったときにはなかった筈だが夜になってから到着されたのだろうか。テントの主は単独行の女性のようだった。テントを撤収すると、丁度、大御影山の左手から朝日が昇ってくるところであった。朝日を浴びる尾根を北上する。
なだらかではあるが、ブナの間に低木が広がる地味な尾根が続く。大御影山への尾根と分岐すると途端にブナの高木が立ち並ぶ壮麗な樹林となる。朝のブナ林はなんとも清冽な空気に充ちているように思われる。新緑のブナの大樹を見上げながら、プロムナードを堪能する。
Ca?から西に支尾根を加工する。ブナの立ち並ぶ尾根を降るとすぐにも送電線鉄塔が現れ、ブナ林は唐突に終わる。送電線のために切払いされた尾根を降ってゆくと、道はその先で天増川を渡り林道に合流するが、林道の手前で右手の草地に入る。川縁にはサワオグルマの黄色い花が数多く咲いている。
ここから川沿いの上流の一帯は能登野湿原と呼ばれるところだ。緑の草地の広がる湿原は景色は良いが、足元は泥濘んでおり、どこでも歩ける訳ではない。おまけに草は朝露に濡れているところだ多い。湿原の東側の縁に付けられた微かな踏み跡を辿る。
湿原の中ほど、大きく蛇行する川のほとりで休憩する。水を沸かす。コーヒーを淹れると携行してきたマフィンにチーズとローストポークを挟み、コーヒーと共に朝食をとる。ここは一昨年の秋、yukky, hanaさん、naojiroさん達と湿原を訪れた時にもランチ休憩した場所であった。
ここでも川縁には無数のサワオグルマの花畑が広がり、折下、稜線の上から朝日が顔を出し、湿原の上に広がる花々を明るく照らし始める。食事を終えると湿原を北上する。湿原の上流部では湿原の中に疎らに生えるハンノキが独特の清々しい景色を見せてくれる。湿原をひとしきり歩いたところで左手の斜面を登り、林道に出る。
林道を歩いて尾根に乗ると、ここからは三十三間山にかけての長い登りとなる。最初のピークca780mはピークの南側が樹木のない裸地が広がっており、p8383に向かって伸びる新緑の尾根を俯瞰する。尾根には大きく根本から曲がったリョウブの樹が生えているが、積雪期はこれらの樹のほとんどが雪の下に埋もれることになる。
P838のピークが近づくとピーク一帯は再びブナのプロムナードとなる。三十三間山に登る人でこのピークまで足を伸ばす人はほとんどいないだろうが、わずかに北に足を伸ばせば美しいブナの樹林が広がっていることを知ったら果たしてどうだろうか?
P838からはひと登りで三十三間山のピークに至る。平坦な山頂は樹林に囲まれた地味なところであるが、リョウブの樹林の間をわずかに南に下がると草原が広がり、轆轤山に向かって延々と続く稜線を眺めながらここで小休止する。急に尾根上には数組の登山者の姿が散見する。
轆轤山までは日差しを遮るものがないので家内は暑さを心配していたが、尾根を吹き渡る涼しい微風のせいで暑さを感じることなく快適に縦走することが出来る。植林の手前で倉見への縦走路と別れて、天増川右岸の尾根を南下する。尾根にはテープ類はほとんどないが、薄い踏み跡がかろうじて続いており、馬酔木の藪の間を抜けていくことが出来る。
踏み跡を辿っていくと突如として斜面に海老根蘭の群落が現れる。こういう肝心な時に限ってカメラが作動しない。電源ボタンの不調により電源が切れなくなってしまい、放置しておいたらバッテリーが無くなってしまったようだ。
P401を過ぎて尾根が大きく広がると自然公園とでも呼びたくなるような自然林の美しい疎林が広がるようになる。尾根を南下すると、トレラン・スタイルの単独行の男性がやってくる。この尾根を歩く人は珍しいと思われるが、大日岳手前の旧電波塔ピークまで縦走して、林道を下る予定らしい。
男性とお別れするとp384の手前で尾根上には突然、真新しい林道が現れる。一昨年にここを縦走した時には無かったので、最近になって作られたものだろう。林道は天増川に下降する尾根の直前まで続いていた。
最後は天増川の集落に向かって小さな谷の左岸の尾根を急下降する。尾根の末端部は倒木で荒れているが、なんとか廃林道に着地する。後は車を停めた出発地点まではわずかな距離だ。車に乗り込むと、途中の朽木で高島市の上原酒造が醸す杣の天狗を久しぶりに入手して、京都への帰路につく。
二日間とも好天に恵まれ、久しぶりのテン泊山行としては上出来と言えるだろう。今回は家内のペースに合わせてゆっくりと歩いたせいもあるかもしれないが、下山後には筋肉痛は全く生じなかった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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又々、素敵な山行、ありがとうございます。いつかは、三十三間山〜轆轤山、行きたいな、思ってるのですが、チョット手強いような…。
色々、参考にさせていただきます。
ところで、三重岳でテン泊された、ということは、水はボッカしたのですか?水場ないですよね。
本当、いつか行きたい山域です
三十三間山〜轆轤山の樹林のない稜線からのパノラマも魅力ですが、もしも時間に余裕があれば、三十三間山の北のp838のブナの樹林も是非、おすすめです。
ここの周回は歩きやすいところで、決して手強いことはないと思います。反時計周りの周回のほうが体力的には楽かと。夏場はとても暑いので、新緑の季節か秋がいいかと思います。
確かに水場はないです。湿原で朝にコーヒーを淹れた時は水の節約のために川の水を煮沸して使いましたが😀
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