大キレット
- GPS
- 27:12
- 距離
- 45.0km
- 登り
- 2,511m
- 下り
- 2,534m
コースタイム
- 山行
- 8:43
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 9:27
- 山行
- 8:55
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 9:53
- 山行
- 4:21
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 5:05
過去天気図(気象庁) | 2024年07月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
初めての大キレット
岩稜帯を案内してくれるガイドさんの企画に参加。まさか、自分が大キレットを歩きたいと思う日が来るとは思わなかった。三年前のゴールデンウィークには、大キレットのど真ん中に沈む夕日で充分満足していたのに、トライする日がキタ!
初日は上高地から槍ヶ岳山荘まで一気に上がる。この時点で不安があったが、歩けば歩けるものだ。到着したは良いが、槍の穂先に行こうという気持ちになれなかった。次の日が大キレットじゃなければ行っただろうが、まだ見ぬ目標に、ここは体力温存とストレッチで疲労軽減に努めよう…、山荘で豚汁とチャイを飲んで、後はストレッチしながらゴロゴロした。
話は戻るが、大雨で複数箇所で崩落が起きた登山道は、各小屋のスタッフの復旧作業により通過できるようになっていた。ただ、山荘の発信にもあったとおり、まぁまぁ歩きにくいところや、ツルッと行ったらそのまま沢に流されるような所があり、みんな行ってるから行けるでしょ、の傾向がある方は避けた方が良いような気がした。
さて、核心は2日目。
初日の好天は天気予報が前倒しになった形のようで、2日目は9:00頃から雨の予報。雨が降る前に難所を抜けたいとの計画で、AM2:00出発となった。初めてだ…こんな早朝から歩くのは…、身体は動くのだろうか?
そんなこんなで、夕食後は早目に就寝。天気予報がいまいちだった事もあり、部屋には自分たちのみ、まあまあよく眠れた。
出発1時間前に起床し、予定通りの出発。
初めてのルートに踏み出すがまだ深夜、ヘッデンの明るさとガイドさんの案内だけが頼りだ。幸いにも、メンバーのしんがりとなった為、歩き易いかと思ったが、ガスガスのなかでのヘッデン行動。しかも、ヘッデンの威力が弱い。失敗した!小屋の中なら全く問題なかったが、今回は新品の電池に入れ替えるべきだった。白い岩は視認できるが、黒い部分が地面なのか空間なのか判別がつかない。前を歩くメンバーの溢れる光と自分のヘッデンの明かり、そして忠実に踏み跡をトレースしながら後悔の嵐。しばらく歩いて休憩を取った際、何よりもまず始めに電池交換をした。明るさを取り戻し、ひと落ち着き。だが、岩稜帯慣れしている他のメンバーはヘッデンの威力が違う。あ、そういえば、旦那のヘッデンの方が威力あったかも…。ここにきて初めて、ヘッデンの性能が如何に重要かを思い知った。
気がつくと中岳、大喰岳は知らずに通り過ぎてしまったようだ。そして南岳、撤退するなら南岳小屋から下りると話していた。出発早々、一度雨が降っていた。もう、行けないだろうな…、そう思いながら休憩していたが、先に進むようだ。
たしかに、雨はほんの一区間だけで、今は地面が乾いている。
さぁ、大キレットに突入だ。南岳小屋のすぐ下から嫌な下りがあると聞いていた。遅れないように、でも慎重に歩く。
1時間ほど下ると、もう、嫌な下りは通過した、後はアップダウンだから、とのこと。そうは聞いても、まだ気は抜けない。一歩右によろければ遭難者になる。風もまあまああり、ガスガスの早朝、救助は直ぐには来ない。
気を抜かないように、自分を自制しながら歩いていると、BUCK-TICKのBABELがエンドレスで流れ始めた。なんとも不思議な気持ちだ。
トレースを辿りながら歩いているとガイドさんが時々ロープで確保しながら歩く区間があった。
その中で一番怖かったのは長谷川ピークから飛騨泣き。長谷川ピークを南岳側から北穂側に下る時の怖さ、緊張し過ぎてどんなだったか全く覚えていない。繋がれているから、遅れすぎるわけにもいかず、必死に着いて行った。そして、そこから飛騨泣きに登り返す所は、登りでの恐怖感を知った。ここでフラついたら死ぬ…そう思うと、手をつきながら四つん這いのように歩く自分がいた。
飛騨泣きを通り過ぎると、後は登るだけ。でも、コースタイムで1時間はある。目の前には壁のような岩場。ちょうど、雨も降り始めた。
あれを越えたら北穂の小屋が見える?え、まだか、そうだよね、そんなに登ってないもんね。これを越えたら…、まだだよね。という思考を繰り返し繰り返し登り続けると、やっと小屋が見えた。油断するな、ここで油断するなよ、そう自分に言い聞かせながら登り続ける。北穂の小屋の裏に登り上がった時は、心底嬉しかった。
すれ違ったのは3組程、岩場の登り方としては綺麗とは言えない登り方をした場所はいくつもあった。それでも、無事みんなで通過できたことが嬉しかった。
当初の予定では北穂の小屋に宿泊予定だったが、天気予報が悪く、3日目より2日目に下りれるところまで下りた方が良いという判断で、長めの休憩の後に再び歩き始めた。
北穂の山頂で写真を撮ったら、下り始める。目的地は涸沢か横尾。
油断しないように下山開始だ。南陵取付きの下の梯子と鎖場は、わたしの記憶より遠かった。まだまだ気を抜けない場所は続く。そんな中、至る所で花盛りを迎える高山植物に癒される。
南陵取付きの鎖場手前で休憩をした後、梯子、鎖場と涸沢に向けて再始動。梯子は良いのだが、鎖場の最後が怖かった。雨で滑るのではないか?と、靴のフリクションを信じ切れない自分がいた。足場になりそうな引っ掛かりを探してなんとか鎖場を下り切る。
あとは、転ばないように注意しながら登山道を下るのみ。雨が強くなっても、もう、今更だ。レインウェアの中は汗なのか雨なのか、ずぶ濡れだ。グローブをした拳をギュッと握ると泥水がジャッ!と絞れる。とにかく無事に、無事に下ろう。
涸沢小屋に到着すると、売店でラーメン?か何かの良い匂いがした。温かい物を食べたい…。お昼ご飯の許可を貰った。
メンバーが涸沢小屋に揃ったところで、2日目のゴールをどこにするか相談タイム。
選択肢は3つ、涸沢小屋、涸沢ヒュッテ、横尾山荘。嬉しい事に、涸沢小屋で決定!土砂降りのお天気なので、当日料金で泊めて頂けた。
ありがとうございますT^T
レインウェアを乾燥室にいれ、乾いた服に着替えてからお昼タイム。
ラーメンの匂いに誘われていたはずだが、モツ煮とごはんを注文。白いごはんを食べたかったのだ。モツダクのとても美味しいモツ煮でお腹も心も満たされた。
乾燥室はレインウェアのみ、衣類の乾燥はできないようだった。身体も温まり、落ち着いたところで、改めて濡れたズボンと靴下を履く。そして、ストーブの横に座る。乾け〜乾け〜、心の中で呪文を唱えながら、この日2杯目のコーヒーを飲んでマンガを読む。
だいぶ乾いたかな〜と思いながら、どこまで徹底的に乾かそうか考えていたところ、寒そうに震えながらストーブに近付いてきたおじさま。あぁ、これはダメだ、席を譲ろう。おじさん凍えてしまう…。「ここどうぞ、私はだいぶ乾いたので…」そう伝えて離れる。
自分たちのスペースに戻ると、メンバーは昼寝タイム。そうだよね、AM2:00発だったもんね。
初めての大キレット、そして初めての涸沢小屋でドキドキな私は、減り始めたお腹を宥めながら夕食の時間を待つ。
涸沢小屋の夕食は…美味かった。
チキンにチリコンカンのようなトマトソース、付け合わせのサラダやきゅうりの浅漬けはもう、とにかく美味しい。そしてお味噌汁に代わるスープは生姜が効いていて、今日、雨に濡れながら到着したみんなの心までも温めたのではないか(大袈裟)。大満足で平らげ、消灯に合わせて就寝した。夜になると、雨は強く、風も強くなり叩きつけるような土砂降りになっていた。
朝食は鯖の塩焼きがメイン。こちらも温かく美味しかった。いつもは残す梅干しは、なんか食べたい気持ちになり、お味噌汁の中で崩しながら美味しくいただいた。
いや〜涸沢小屋、バンザイ!
さて、問題は雨量。
朝の時点で累積71ミリとか、上高地は80ミリで閉鎖される。
我々は無事、上高地から出られるのか?
6:30の出発時には雨が止み、少し明るくなってきた。足元に気をつけながら下りよう。
涸沢から本谷橋まで一気に下りる。雨の影響で登山道が川のようになっていたり、本谷橋でも見たことがないほどの激流になっていた。
更にそこから横尾に出る途中、岩小屋跡?の前の登山道は完全に流されていた。河原のように様変わりしたルートを辿る。
横尾からはテクテクテクテク、ひたすら道を辿る。
途中、徳沢園でソフトクリーム休憩を挟み、明神に到着すると、累積雨量の心配は無くなっていた。
いつもより少ない登山客や観光客とすれ違いながら下山完了。
色々不安はあったが、とても楽しく、充実感がある山旅だった。
同行したガイドさんは適度にフォローしながら私にとって初めてのチャレンジを支えてくれた。同行のメンバーは明るく魅力的な方々だった。たくさんの山のお話も聴けたので、是非、次の計画の参考にさせて貰おう。
3日間、ありがとうございました。
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