沢と森と岩遊び/餓鬼岳-燕岳
- GPS
- 17:36
- 距離
- 20.6km
- 登り
- 2,764m
- 下り
- 2,303m
コースタイム
- 山行
- 7:21
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 8:26
- 山行
- 7:56
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 8:54
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
復路:中房温泉ー穂高駅(バス1500円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
登り始めの沢沿いは随所にか細い桟道、渡渉があって要注意。その後は大凪山前後を除いて急登の連続です。燕岳へは東沢岳までが岩遊びワンダーランド状態。北燕岳まで登ると稜線漫歩となります。 ※コースタイムはzaoluck単独行となった東沢乗越からペースアップしています |
写真
感想
危うい沢沿いの細道、無風で蒸し暑い森の急登。明けて辿る稜線の道は、落ちたら終わりの岩とハシゴ遊びのワンダーランドだった。東沢乗越まで着いた時、同行のalps165が「餓鬼岳ってのは本当にクソガキだな」とつぶやいたのもむべなるかなと思った。稀代のノロノロ台風10号に振り回されて、当初の五竜・鹿島槍2泊3日の計画が2度の延期を経て破綻し、山中1泊で歩ける先として選んだコースだったが、この東沢乗越で二人別行動を余儀なくされた。
【7日】朝、信濃大町駅前の宿から目指す餓鬼岳の山容を望み、タクシーで登山口へ。付近には数多くの車が止めてあった。結構登山者はいるようだ。
林の中を歩き始めたが、標高1000mにしては涼しさを感じない。林道終点を過ぎ、やや古びた鉄パイプの橋を渡って白沢沿いのトレイルへ。
時に沢床に下りるルートで、ほどなく狭い桟道で右岸をへつるようなポイントに出た。こうして流れの傍らにいる時だけ上流からの微風でわずかな涼を得られる。
飛び石で渡渉し、苔むした桟道や鎖の助けを借りながら沢を辿る。9時半過ぎ、豪快なしぶきを上げる魚止めの滝に着いて一休み。そこから20分ほどで朽ちて通行禁止の橋に至った。ここが最終水場とのこと。
道は沢から離れ、無風の樹林帯を急登する。吹き出す汗が止まらない。標高1650m付近だと思うが、薄れかけた岩の赤矢印を見落とし、まっすぐ急な踏み跡を登ってしまった。50mほど先の急なザレ場で人の通った跡のないことに気づき、引き返した。
右向きの矢印の先を見れば、ちゃんと踏み跡がある。急登だという思い込みで直進してしまった。気をつけないといけない。
大きな岩のある標高1800m付近から一段と傾斜が増し、腹も減ったので1950mで昼食休憩。昨夜、大町のコンビニではお握りが売り切れで、菓子パン類を行動食代わりとした。ここで初めて下山者と行きあった。
再出発して15分で大凪山。山名標はあるが、林の中のただの坂道にしか見えない。尾根の上に出たものの樹林帯の道が続く。さらに1時間半以上歩いて、やっと「百曲り」入口。これをクリアすれば餓鬼岳小屋は近いのだが、今頃下って来るトレランの男女3人とすれ違った。この下は走れない区間も多く、無事に日没前に下山できると良いが。
道の傾斜が緩み、トラバース風になってきた辺りで人声が聞こえ、なんとか餓鬼岳小屋に辿り着いた。一泊二食1万3000円。話に聞いた通り昭和で時が止まったままのような風情で、若い人が適応できるのか不安になる。
とりあえずリュックを置いて餓鬼岳山頂を表敬。わずかに森林限界を出た花崗岩の穏やかな稜線だが、あいにくガスで視界はない。
午後5時、今や珍しくなった座卓で小屋番さん二人によるおでんと混ぜご飯に舌鼓を打ち、一休みすると、「布団敷きに4人のボランティアをお願いして、あとの方は外で待機をお願いします」と声がかかった。食堂イコール寝室というのも天然記念物級だろう。
今日の宿泊者は本館と離れに計30人で、こちらには19人が雑魚寝となる。前日は6人だけでこんな様子ではなかったとのこと。入口から一番奥の布団を割り振られて、寝ぼけた人に踏んづけられる恐れはないものの、夜中にトイレに行くことは難しくなった。
いつも通り即時に眠りについた相棒は別として、修学旅行みたいだと話していた人たちも一人また一人と静かになって、7時過ぎには全員お休みということになった。
【8日】 4時20分に明かりがついて、人の動きで目が覚めた。5時の朝食に向けて、また室外退避となる。外はガスだが、夜明けとともに視界が開けて来た。昨日はalps165の脚が捗らず、以前のペースで立てた計画のようには歩けそうにないので、予定より早く出発する。ありがたいことにガスが晴れて、行く手の燕岳や裏銀座の山稜が姿を現してきた。
間もなくケンズリが近づいて来た。結構危うい岩場の登降とハシゴ場の連続に相棒の脚が進まない。追いつきかけた関西弁の5人パーティーの背中がどんどん遠くなっていく。
慎重に爪繰るように岩を越え、樹林帯の木の根をまたいで行く。森林限界を出たり入ったりするコースで、なかなか手強い。勢いコースタイムは遅れがちになり、東沢岳が近づく頃にはこのベースだと中房温泉のバスに間に合わない恐れが強くなった。
東沢岳まで来ればもう岩場のアスレチックはない。東沢乗越で行動食のランチ休憩を取り、ここでパーティーを解散して先を急ぐzaoluckのみ先行することにした。alps165は燕山荘にもう一泊することにしたが、仕事の都合がある当方はそうもいかないためだ。
樹林帯の400mの登り返しでまた汗だくになったが、雲で太陽が隠れがちだったのは幸いだった。徐々に風化した花崗岩のザレ場が増え、やがて稜線が見えて一安心。猿1頭以外には誰にも会わないまま、奥北燕平に着いた。
この先はぐんと楽な道になる。ここで初めて行きあった登山者は若い欧米人だった。中房川伝いの道で中房温泉へ下山するとのこと。
北燕岳山頂直下に至ると、山頂に人影が目立つ燕岳が見え、ガスが晴れると遠く燕山荘の威容も望まれた。道もハイウェイ並みの整備となり、ほどなく今山行最高峰の燕岳に到着。イルカ岩の辺りで朝の関西弁パーティーにも追いついた。途中で食事でもしていたのだろう。
水1リットルを買って進発。道の整備が良いので前半と打って変わってスピードが出せる。合戦小屋でトイレ休憩を取り、やがて追いついた先行者を抜きながら、第二ペンチで休憩。下りとはいえ吹き出した汗を拭いつつ、燕山荘から2時間で中房温泉に到着した。
スマホを見ると、先ほど燕岳近くまで来たと連絡のあったalps165が、無事に予約していない燕山荘に投宿できたとの知らせが入っていて安心した。
さて、せっかく急いだのだが、バスは当分来ない。喉が渇いたので、入浴後に缶ビール2杯を一気に飲み干した。
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