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Yamareco

記録ID: 7214770
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

沢と森と岩遊び/餓鬼岳-燕岳

2024年09月07日(土) ~ 2024年09月08日(日)
 - 拍手
体力度
7
1~2泊以上が適当
GPS
17:36
距離
20.6km
登り
2,764m
下り
2,303m
歩くペース
標準
1.11.2
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
7:21
休憩
1:05
合計
8:26
距離 7.6km 登り 1,811m 下り 199m
7:51
9
8:00
8:01
30
8:31
8:32
61
9:33
9:47
20
10:07
10:14
126
12:20
12:35
15
1950m地点昼食休憩
12:50
12:56
101
14:37
14:45
71
15:56
15:59
5
16:04
16:14
3
2日目
山行
7:56
休憩
0:58
合計
8:54
距離 13.0km 登り 952m 下り 2,104m
5:40
132
7:52
7:58
68
9:06
9:12
35
9:47
10:01
65
11:06
34
11:40
11
11:51
11:52
4
11:56
11:57
9
12:06
5
12:11
12:30
22
12:52
9
13:01
13:06
14
13:20
13:21
13
13:34
20
13:54
13:59
10
14:09
25
14:34
中房温泉登山口
AKU
天候 晴れ時々曇り
過去天気図(気象庁) 2024年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス タクシー
往路:信濃大町駅ー白沢登山口(タクシー5000円余)
復路:中房温泉ー穂高駅(バス1500円)
コース状況/
危険箇所等
 登り始めの沢沿いは随所にか細い桟道、渡渉があって要注意。その後は大凪山前後を除いて急登の連続です。燕岳へは東沢岳までが岩遊びワンダーランド状態。北燕岳まで登ると稜線漫歩となります。
※コースタイムはzaoluck単独行となった東沢乗越からペースアップしています
【7日】信濃大町の宿から望む餓鬼岳(左)。コブも見える
2024年09月07日 06:52撮影 by  DSC-HX99, SONY
1
9/7 6:52
【7日】信濃大町の宿から望む餓鬼岳(左)。コブも見える
右側には爺ヶ岳から鹿島槍が霞んで見える
2024年09月07日 06:53撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 6:53
右側には爺ヶ岳から鹿島槍が霞んで見える
白沢登山口を出発。あまり涼しくない
2024年09月07日 07:45撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 7:45
白沢登山口を出発。あまり涼しくない
まずは危うそうな橋を渡る(これは序の口)
2024年09月07日 08:06撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 8:06
まずは危うそうな橋を渡る(これは序の口)
なんだ、あの狭い桟道とハシゴは
2024年09月07日 08:20撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 8:20
なんだ、あの狭い桟道とハシゴは
うーむ、なかなかスリルあり
2024年09月07日 08:20撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 8:20
うーむ、なかなかスリルあり
そこを渡る人
2024年09月07日 08:22撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 8:22
そこを渡る人
名物の小屋からの注意表示
2024年09月07日 08:45撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 8:45
名物の小屋からの注意表示
苔むしたハシゴ状の桟道を行く
2024年09月07日 08:51撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 8:51
苔むしたハシゴ状の桟道を行く
沢の中を歩く。少しだけ涼しい風が吹く
2024年09月07日 09:16撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 9:16
沢の中を歩く。少しだけ涼しい風が吹く
魚止めの滝。なかなかの迫力
2024年09月07日 09:23撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 9:23
魚止めの滝。なかなかの迫力
沢沿いに咲く白い花〜シラヒゲソウだそうです
2024年09月07日 09:34撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 9:34
沢沿いに咲く白い花〜シラヒゲソウだそうです
最後の水場に架かる橋は壊れかけて通行止め
2024年09月07日 10:08撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 10:08
最後の水場に架かる橋は壊れかけて通行止め
標高1800m。大岩が登場
2024年09月07日 11:42撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 11:42
標高1800m。大岩が登場
先は長い・・・そうですか、はぁ〜
2024年09月07日 12:01撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 12:01
先は長い・・・そうですか、はぁ〜
なぜかピークにない大凪山頂標
2024年09月07日 12:51撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 12:51
なぜかピークにない大凪山頂標
尾根に出ても樹林帯で眺望はない
2024年09月07日 13:00撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 13:00
尾根に出ても樹林帯で眺望はない
紫のキノコ。遠くが見えないので足元に注意が行く
2024年09月07日 14:09撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 14:09
紫のキノコ。遠くが見えないので足元に注意が行く
山頂を支える荒々しい崖が見えてきた
2024年09月07日 14:22撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 14:22
山頂を支える荒々しい崖が見えてきた
ここまでも十分「曲がって」登って来たのだが
2024年09月07日 14:40撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/7 14:40
ここまでも十分「曲がって」登って来たのだが
やっとレトロな赤い屋根の餓鬼岳小屋に到着
2024年09月07日 15:46撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 15:46
やっとレトロな赤い屋根の餓鬼岳小屋に到着
入口も”昭和の山小屋”感全開。アコモデーションもそのまんまです
2024年09月07日 15:46撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 15:46
入口も”昭和の山小屋”感全開。アコモデーションもそのまんまです
餓鬼岳山頂表敬。景色はあいにく皆無
2024年09月07日 16:03撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 16:03
餓鬼岳山頂表敬。景色はあいにく皆無
山頂から仰ぐ空にうっすらお日様
2024年09月07日 16:05撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 16:05
山頂から仰ぐ空にうっすらお日様
小屋の前にはヤマハハコとリンドウ
2024年09月07日 16:20撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 16:20
小屋の前にはヤマハハコとリンドウ
座卓でおでんと混ぜご飯の夕食。大変おいしかった
2024年09月07日 16:54撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 16:54
座卓でおでんと混ぜご飯の夕食。大変おいしかった
で、そこが寝室に。布団敷ボランティア以外は外で待機
2024年09月07日 18:07撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 18:07
で、そこが寝室に。布団敷ボランティア以外は外で待機
「修学旅行以来だな」と異口同音の雑魚寝。7時には全員強制就寝
2024年09月07日 18:21撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/7 18:21
「修学旅行以来だな」と異口同音の雑魚寝。7時には全員強制就寝
【8日】小屋の前から見上げる餓鬼岳山頂
2024年09月08日 05:28撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 5:28
【8日】小屋の前から見上げる餓鬼岳山頂
南はケンズリと遥かな燕岳の稜線。雲の右にかすかに槍の肩も
2024年09月08日 05:34撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 5:34
南はケンズリと遥かな燕岳の稜線。雲の右にかすかに槍の肩も
西には朝日に映える裏銀座・野口五郎岳
2024年09月08日 05:42撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 5:42
西には朝日に映える裏銀座・野口五郎岳
森林限界すれすれに岩とハシゴの連続
2024年09月08日 06:08撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 6:08
森林限界すれすれに岩とハシゴの連続
ケンズリの左遠くに燕から大天井への稜線
2024年09月08日 06:11撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 6:11
ケンズリの左遠くに燕から大天井への稜線
岩場遊びが続きます
2024年09月08日 06:22撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 6:22
岩場遊びが続きます
右端が餓鬼岳、左に唐沢岳
2024年09月08日 06:37撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 6:37
右端が餓鬼岳、左に唐沢岳
大望遠でとらえた燕山荘
2024年09月08日 06:41撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 6:41
大望遠でとらえた燕山荘
左から山荘のピーク、燕岳、二コブの北燕岳
2024年09月08日 06:41撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 6:41
左から山荘のピーク、燕岳、二コブの北燕岳
落ちたら怖いザレ場をトラバース
2024年09月08日 07:27撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 7:27
落ちたら怖いザレ場をトラバース
ケンズリを振り返る
2024年09月08日 07:44撮影 by  DSC-HX99, SONY
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ケンズリを振り返る
西側下方には高瀬ダム湖
2024年09月08日 07:44撮影 by  DSC-HX99, SONY
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西側下方には高瀬ダム湖
正面の東沢岳はまだまだ遠い
2024年09月08日 07:53撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 7:53
正面の東沢岳はまだまだ遠い
ようやく東沢岳。岩に時間をかけ過ぎた
2024年09月08日 09:05撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 9:05
ようやく東沢岳。岩に時間をかけ過ぎた
なんとか東沢乗越まで下りきった。で、もちろん次は登り
2024年09月08日 09:47撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/8 9:47
なんとか東沢乗越まで下りきった。で、もちろん次は登り
独りになって途中、猿一匹だけに会って奥北燕平へ。疲れた
2024年09月08日 11:12撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 11:12
独りになって途中、猿一匹だけに会って奥北燕平へ。疲れた
まずは前方の北燕を乗り越す
2024年09月08日 11:14撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 11:14
まずは前方の北燕を乗り越す
北燕岳北側のピークか
2024年09月08日 11:25撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/8 11:25
北燕岳北側のピークか
こちらが北燕本来の山頂直下。頂上はパス
2024年09月08日 11:41撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 11:41
こちらが北燕本来の山頂直下。頂上はパス
次は大人気の燕岳。人影がたくさん見える
2024年09月08日 11:42撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 11:42
次は大人気の燕岳。人影がたくさん見える
今回最高峰の燕岳山頂に到着
2024年09月08日 11:51撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 11:51
今回最高峰の燕岳山頂に到着
行く手を見ると山荘だけ雲隠れ
2024年09月08日 11:54撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 11:54
行く手を見ると山荘だけ雲隠れ
イルカ岩
2024年09月08日 12:06撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 12:06
イルカ岩
改めて燕山荘。さすがに大きい
2024年09月08日 12:07撮影 by  DSC-HX99, SONY
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9/8 12:07
改めて燕山荘。さすがに大きい
1リットル200円で水を補給して休憩。後は下るだけ
2024年09月08日 12:30撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/8 12:30
1リットル200円で水を補給して休憩。後は下るだけ
合戦小屋でトイレ休憩
2024年09月08日 13:01撮影 by  DSC-HX99, SONY
9/8 13:01
合戦小屋でトイレ休憩
中房温泉に到着し、湯船ででゆっくり。ぬる湯は体温並みで熱めの湯が適温
2024年09月08日 16:03撮影 by  DSC-HX99, SONY
1
9/8 16:03
中房温泉に到着し、湯船ででゆっくり。ぬる湯は体温並みで熱めの湯が適温
撮影機器:

感想

 危うい沢沿いの細道、無風で蒸し暑い森の急登。明けて辿る稜線の道は、落ちたら終わりの岩とハシゴ遊びのワンダーランドだった。東沢乗越まで着いた時、同行のalps165が「餓鬼岳ってのは本当にクソガキだな」とつぶやいたのもむべなるかなと思った。稀代のノロノロ台風10号に振り回されて、当初の五竜・鹿島槍2泊3日の計画が2度の延期を経て破綻し、山中1泊で歩ける先として選んだコースだったが、この東沢乗越で二人別行動を余儀なくされた。
 【7日】朝、信濃大町駅前の宿から目指す餓鬼岳の山容を望み、タクシーで登山口へ。付近には数多くの車が止めてあった。結構登山者はいるようだ。
 林の中を歩き始めたが、標高1000mにしては涼しさを感じない。林道終点を過ぎ、やや古びた鉄パイプの橋を渡って白沢沿いのトレイルへ。
 時に沢床に下りるルートで、ほどなく狭い桟道で右岸をへつるようなポイントに出た。こうして流れの傍らにいる時だけ上流からの微風でわずかな涼を得られる。
 飛び石で渡渉し、苔むした桟道や鎖の助けを借りながら沢を辿る。9時半過ぎ、豪快なしぶきを上げる魚止めの滝に着いて一休み。そこから20分ほどで朽ちて通行禁止の橋に至った。ここが最終水場とのこと。
 道は沢から離れ、無風の樹林帯を急登する。吹き出す汗が止まらない。標高1650m付近だと思うが、薄れかけた岩の赤矢印を見落とし、まっすぐ急な踏み跡を登ってしまった。50mほど先の急なザレ場で人の通った跡のないことに気づき、引き返した。
 右向きの矢印の先を見れば、ちゃんと踏み跡がある。急登だという思い込みで直進してしまった。気をつけないといけない。
 大きな岩のある標高1800m付近から一段と傾斜が増し、腹も減ったので1950mで昼食休憩。昨夜、大町のコンビニではお握りが売り切れで、菓子パン類を行動食代わりとした。ここで初めて下山者と行きあった。
 再出発して15分で大凪山。山名標はあるが、林の中のただの坂道にしか見えない。尾根の上に出たものの樹林帯の道が続く。さらに1時間半以上歩いて、やっと「百曲り」入口。これをクリアすれば餓鬼岳小屋は近いのだが、今頃下って来るトレランの男女3人とすれ違った。この下は走れない区間も多く、無事に日没前に下山できると良いが。
 道の傾斜が緩み、トラバース風になってきた辺りで人声が聞こえ、なんとか餓鬼岳小屋に辿り着いた。一泊二食1万3000円。話に聞いた通り昭和で時が止まったままのような風情で、若い人が適応できるのか不安になる。
 とりあえずリュックを置いて餓鬼岳山頂を表敬。わずかに森林限界を出た花崗岩の穏やかな稜線だが、あいにくガスで視界はない。
 午後5時、今や珍しくなった座卓で小屋番さん二人によるおでんと混ぜご飯に舌鼓を打ち、一休みすると、「布団敷きに4人のボランティアをお願いして、あとの方は外で待機をお願いします」と声がかかった。食堂イコール寝室というのも天然記念物級だろう。
 今日の宿泊者は本館と離れに計30人で、こちらには19人が雑魚寝となる。前日は6人だけでこんな様子ではなかったとのこと。入口から一番奥の布団を割り振られて、寝ぼけた人に踏んづけられる恐れはないものの、夜中にトイレに行くことは難しくなった。
 いつも通り即時に眠りについた相棒は別として、修学旅行みたいだと話していた人たちも一人また一人と静かになって、7時過ぎには全員お休みということになった。
【8日】 4時20分に明かりがついて、人の動きで目が覚めた。5時の朝食に向けて、また室外退避となる。外はガスだが、夜明けとともに視界が開けて来た。昨日はalps165の脚が捗らず、以前のペースで立てた計画のようには歩けそうにないので、予定より早く出発する。ありがたいことにガスが晴れて、行く手の燕岳や裏銀座の山稜が姿を現してきた。
 間もなくケンズリが近づいて来た。結構危うい岩場の登降とハシゴ場の連続に相棒の脚が進まない。追いつきかけた関西弁の5人パーティーの背中がどんどん遠くなっていく。
 慎重に爪繰るように岩を越え、樹林帯の木の根をまたいで行く。森林限界を出たり入ったりするコースで、なかなか手強い。勢いコースタイムは遅れがちになり、東沢岳が近づく頃にはこのベースだと中房温泉のバスに間に合わない恐れが強くなった。
 東沢岳まで来ればもう岩場のアスレチックはない。東沢乗越で行動食のランチ休憩を取り、ここでパーティーを解散して先を急ぐzaoluckのみ先行することにした。alps165は燕山荘にもう一泊することにしたが、仕事の都合がある当方はそうもいかないためだ。
 樹林帯の400mの登り返しでまた汗だくになったが、雲で太陽が隠れがちだったのは幸いだった。徐々に風化した花崗岩のザレ場が増え、やがて稜線が見えて一安心。猿1頭以外には誰にも会わないまま、奥北燕平に着いた。
 この先はぐんと楽な道になる。ここで初めて行きあった登山者は若い欧米人だった。中房川伝いの道で中房温泉へ下山するとのこと。
 北燕岳山頂直下に至ると、山頂に人影が目立つ燕岳が見え、ガスが晴れると遠く燕山荘の威容も望まれた。道もハイウェイ並みの整備となり、ほどなく今山行最高峰の燕岳に到着。イルカ岩の辺りで朝の関西弁パーティーにも追いついた。途中で食事でもしていたのだろう。
 水1リットルを買って進発。道の整備が良いので前半と打って変わってスピードが出せる。合戦小屋でトイレ休憩を取り、やがて追いついた先行者を抜きながら、第二ペンチで休憩。下りとはいえ吹き出した汗を拭いつつ、燕山荘から2時間で中房温泉に到着した。
 スマホを見ると、先ほど燕岳近くまで来たと連絡のあったalps165が、無事に予約していない燕山荘に投宿できたとの知らせが入っていて安心した。
 さて、せっかく急いだのだが、バスは当分来ない。喉が渇いたので、入浴後に缶ビール2杯を一気に飲み干した。
 

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