Sea to Summit 利尻岳
- GPS
- 08:02
- 距離
- 19.1km
- 登り
- 1,804m
- 下り
- 1,496m
コースタイム
- 山行
- 8:26
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 9:11
天候 | 予報では深夜3時前には雨が止む予報で、北麓野営場に着くまでは雨もなかったものの、4時過ぎからパラパラと降り始め、6時くらいまではしっかりと本降り。 その後、雨が止むと山にかかっていた雲は一気に抜けて7時過ぎにはところどころ麓が見えるようになり、予報どおり、山頂に着く頃には高層雲は残るものの島全体をほとんど見渡せるほどに。 下山中は高層雲もなくなり気持ちの良い青空に。 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
船 飛行機
空港からのバスは到着する飛行機に合わせたダイヤになっているので安心です。 バスは交通系ICカードは使えず、また1000円以外の紙幣は使えないため、小銭や千円札を用意しておく必要があります。 稚内からは利尻島の鴛泊までフェリーで(島の反対側の沓形まで行くフェリーもあるようです)。ハートランドフェリーはウェブサイトから予約もできるので、連休などの繁忙期は予約しておいた方が安全かもしれません。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
鴛泊からのルートは、基本的にはちゃんと整備された登山道が続きます。 若干急登っぽくになっているところも随所にありますが、危険なところではないので、ゆっくりと登れば大丈夫です。 山頂手前は砂礫でさらさらですが、整備されたルートの上をちゃんと歩けば崩れて歩きにくいということもありません。 沓形方面へのルートは山と高原地図等では破線ルートになっていますが、危険だったり難しいということはないという印象でした。 難所の一つの「親不知子不知」は砂礫のトラバースで、気を付けないと確かにズルッと行きそうではありますが、踏み跡はしっかりあるので、その上を真上からしっかりと踏んで歩けば何も難しくありません。また、滑ったら真っ逆さまというほどの地形でもありません。 もう一つの「背負子投げの難所」も、ちょっと手も使った方がラクかな?という程度の登りで、しっかりとロープもあるので、三点確保の基本を守ればなんてことはありません。 |
その他周辺情報 | 沓形に下りた後は、利尻昆布を使ったラーメンで有名な「味楽」さんへ。人気店なだけあって大混雑でしたが、ラーメンなので比較的回転は早く、30分待ちくらいで済みました。 閉店が早目なので(14:00)、下山後に行く場合は要注意です。 |
写真
感想
せっかくの連休はまとまった休みでなければ行けないところに行きたい!
ということで、シルバーウィーク最初の三連休で、東京から遠路はるばる北の果ての百名山・利尻岳に行ってきました。
初日は自宅から羽田空港へ移動したら、羽田空港から空路で稚内空港へ。北海道自体あまり行ったことがなく、稚内にいたっては初めてだったので、これだけでもワクワクでした。
飛行機を降りたらさすがに空気はひんやりとしていて、「北の大地に来たんだなぁ」と実感し、否が応でも気分は高揚しました。
(ちなみに、この次の週は利尻岳はしっかりと雪が降ったそうです。東京はまだ30℃を超える残暑だったというのに…。)
空港を出たら、バス乗り場に直行。稚内のフェリーターミナル行きのバスに乗ります。
…が、もちろん(?)交通系ICカードは使えず、紙幣も1000円札しか使えないため、万札しか持ち合わせがなかった私は空港内の売店でおやつを購入。山行中の行動食も必要だったので、甘い系のものを買っておきました。
バスに揺らながら初めて訪れる稚内の街並みを眺めて、「初めて来る街は楽しいなぁ」とぼんやり考えていたら、いつの間にか時間は過ぎ、気が付けばフェリーターミナルに。
バスを降りたらささっとフェリーターミナルに向ないます……が、ここでミスが。
連休ということで事前にフェリーの予約をしておいたのはいいんですが、予約時の確認メールに添付されていたQRコードをかざして乗船かと思いきや、受付でQRコードを提示して紙の乗船券を発券して、と。
デジタルなのかなんなのか分からない対応にずっこけつつも、パパッと手続を済ませて、無事に乗船。
今回は予約をするのが遅かったため空きがほとんどなく、仕方なしに行きも帰りも一等船室へ。
枕、マットレス、毛布、電源付きのフロアで、テレビを見たり窓の外を見たりして過ごします。
少ししたら、年甲斐もなく船内を探検したくなったため、船内を見て回り、甲板から景色を眺め(小雨ですぐに撤退)、自動販売機で北海道の牛乳を使ったアイスを買ってデザートタイムを楽しみ、一通り楽しんだら船室に戻り、横になったらあっという間に夢の中へ…。
船の汽笛の音で目が覚めると、外は既にほぼ真っ暗。鴛泊港は目の前でしたが、島の夜は灯りも少なく、闇夜に迎えられながら初めての利尻島、そして初めての離島に到着です。
大きな船ではないので、到着したら間もなく下船開始です。
自分は港のすぐ近くのホテルを取っていたので、そのまま歩いてホテル方面へ向か……う前に、せっかく北海道に来たので、晩御飯と翌日の行動食調達も兼ねてセイコーマートへ。
利尻岳に登る人の利用も多いからか、登山者向けの注意(夏は普通に暑いから水たっぷり持って行け、とか)や山で使えそうなアイテムや行動食なども豊富で、全体的に品揃えがいい印象でした。
ただ、連休で夜ということもあってか、品切れのものも多めで、気になっていたホットシェフシリーズは当然のごとく売り切れ。
取り敢えず明日の分の水と食料をテキトーに買ったら、この日の宿の「利尻マリンホテル」に向かいます。
宿にチェックインしたら、早速大浴場に。こちらの大浴場は温泉なので、ゆっくりと楽しみます。
海辺ということもあってナトリウムの豊富なお湯で、浸かるとポカポカと温まって、湯上がりもしばらくは汗がひかないくらいしっかりと温まって、とても気持ちのいいお風呂でした。
お風呂を済ませたらセコマで買ったご飯をテレビを見ながらもそもそ食べて、眠くなったら明日に備えて早めに就寝しました。
翌朝はまだ明るくもなっていない3時に起床。
連泊でまたこのホテルに戻るプランなので、パパッと着替えたら必要な荷物だけ持って、早々にスタート。
ホテルが港の目の前なので、真っ暗な海の写真を撮って利尻岳Sea to Summitスタートです。
とは言っても、登山口までは1時間くらい舗装路歩きです。明かりは全くないので、ヘッドライトを頼りにひたすら進みます。
北海道とはいってもここは離島なので、エゾヒグマエンカウントの危険性はなくて(何年か前に泳いで渡ってきた猛者のエゾヒグマがいたようですが)、それだけでもナイトハイクはだいぶ気が楽でした。
鴛泊登山口に着いたら、舗装路とはお別れして登山道に入りますが、しばらくはよく整備されて歩きやすい区間が続きます。
甘露泉水の分岐まで来ると徐々に傾斜も出てきて、登山道らしくなってきますが、ここから五合目の「雷鳥の道標」まではまだ比較的なだらかな区間が続きます。
…が、予報どおりこの日の朝は雨。樹林帯の中でもしっかりと降り込んでくるくらいの降り方で、周りもガスガスなので、この辺りを登っている間はひたすら虚無でした笑
標高が上がるにつれて徐々に傾斜もキツくなってきて、長官山の手前くらいからはしっかりとした登りになってきます。
また、9月中旬の北海道北部の山ということもあって、さすがに空気もひんやりとしてきました。
ここに着く頃には雨も止んでいましたが、低体温になったら困るので、長官山で休憩しつつ少し着替えることにしました。
着替えながら何となく麓の方を見ると、雲の切れ間から鴛泊の街並みがちらりと。着替えたり、少しおやつを食べたりしながらゆっくりと休憩している間にも、麓の街並みがちらちらと。
雨が止んだのも予報どおりの時間で、その予報ではじきに雲も抜けるということだったので、「これは予報を信じて期待して良いのでは?」とテンションも上がり、着替えとカロリー補給を済ませたら、またぱぱっと登り始めます。
(この辺りで、手提げカバンとランニングシューズっぽい靴で、ラフに街歩きをするような格好の青年を見かけて「大丈夫かな…?」と思ったんですが、この後も何度か抜きつ抜かれつして、下山後のラーメン屋でも出会って、軽く雑談したら、フルマラソンサブ3のガチ勢と聞いて「やっぱり強い人は強い」と思いました...笑)
この辺りからはもう森林限界を超えているのと、砂礫等が多くて土地の栄養が乏しいからか、低木がメインになって常に周りが見渡せるようになってきます。
歩いてはちょっと止まって麓の方を見て、また歩き始めて...を繰り返して、雲の抜け具合を確認しながら登って行き、ときおり休憩を挟みながら登ると、ほどなくして山頂手前に。
「おっ、だいぶ雲も抜けてきたな。」と思いながら山頂直前の最後の登りを歩いていると......真っ白なわんこが。
北海道犬を連れて登山している女性がいらして、凛々しくも可愛い愛犬を撮らせてもらいました。女性が声をかけると、海の方を向いてキリッとした姿を見せてくれて、モデルの素質があるなぁ、と思いました笑
たっぷりと写真を撮らせてもらってお別れしたら、山頂はもうすぐそこです。
登頂して取り敢えず山頂の写真を撮ったら、絶景タイムです。
一面に高層雲が出ていて日は射してこないものの、山頂から下には雲やガスは一切なく、ぐるっと一周見回しても大展望が広がり、雨の中を耐えて登ってきて良かったとホクホクとした気持ちに。
曇りやすい利尻島でこのお天気に恵まれたのだから、ゆっくりと楽しまないともったいないということで、景色を見ながらおやつタイムに。
麓の緑と街並み、そして全方向に広がる海、本土の登山では決して楽しめない景色はどれだけ眺めていても飽きないものでした。
また、登ってきた鴛泊の方を振り返って少し視線を上げれば、すぐ近くに礼文島が。「こんなに近くにあるんだなぁ」と地図を見ただけでは実感の湧かない距離感を目で見て楽しむと同時に、「来年は礼文の花を楽しみたいなぁ」と、早速来年の計画が頭の中で浮かび上がってきました笑
しばらく景色を楽しんではみたものの、ここは北海道のほぼ北の果て、そして標高1700mを超える山の上。
9月中旬ということもあって、さすがに冷えてきたので、カロリー補給もそこそこにスタートすることにしました。
(この次の週は、利尻岳で積雪があったようです☃️)
ここで、計画していた時点から悩んでいた「鴛泊に下りるか、沓形に下りるか」問題が。
下山した後に行きたいお店が沓形にあるので、それを考えると沓形ルート一択なんですが、山と高原地図では沓形ルートは山頂からしばらく破線コースになっていて、事前に調べた感じでもどの程度のものかあまり分からず、初めての山で無理はしない方がいいかなとも悩み…。
うんうん唸っていたら、同じく下りようとしていた同世代くらいの男性が「どっち方面に下ります?」と話し掛けてくださって、悩んでいることを伝えたら「自分も悩んでたんで、一緒に下りましょうか」という話になり、二人なら何かあってもなんとかなるだろうということで、即席パーティーで沓形ルートで下りることにしました。
取り敢えず沓形ルートの分岐までは来た道を戻ります。
そして、分岐に着いたら沓形ルートへ向けてスタート。破線ルートはどれくらい難しいんだろう、とドキドキしながらスタートします。
…が、結論から言うと、なぜ破線になっているのか分からないごく普通の登山道でした。私の身長(175cm)で両手両足を使う場所が時折あったのでそれなりに険しくはありますが、ほんの数カ所、スポット的にあるだけです。
また、「親不知子不知」という箇所が一つ目の難所と言われていますが、取り付きにはロープが張ってあって掴めるようになっていますし、単に砂礫でズルッと行きやすいトラバースというだけで、斜面も落ちたら一巻の終わりというような危険なものではないので、ゆっくり歩けば何も難しくはありませんでした。
もう一つの難所の「背負子投げの難所」も、少しの区間急なところになるというだけで、こちらもロープの張ってあるので、落ち着いて登ればなんてことはありません。
破線ルートだと思い身構えましたが、拍子抜けしてしまいました。
破線ルートを抜けると、あとは礼文島方面を眺めながらゆるゆると下りる普通の登山道です。
この辺りまで来る頃には高層雲もどこかへ行き、抜けるような空の青と海の青が織りなす絶景がどこまでも広がる中を歩く気持ちの良い道で、さながらビクトリーロードでした。
ときおり振り返ると急峻な利尻岳も見えて、どっちも向いても絶景が楽しめる贅沢なコースでした。
こんな素晴らしい景色とお別れするのが名残惜しくて、何度も立ち止まっては写真を撮りましたが、この後も行きたいところがあるのでほどほどに急ぎ、同行している方とも山の話やお互いの意外な共通点について雑談を楽しみ、登山口を過ぎた後のまっすぐな舗装路にも「あー、北海道らしいなぁ」と感動を覚え、飽きることがないまま沓形の集落まで下りる、浜辺で海にタッチして下山完了。
Sea to SummitとSummit to Seaを達成して大満足でした。
下山が完了したら、すぐにこの日の第二の目的地へ。
沓形にある有名な利尻昆布ラーメンのお店「味楽本店」に向かいます。
ここが14:30終了で、売り切れた場合はもっと早く閉まるため、絶景に後ろ髪をひかれながら泣く泣く下山したわけです。
到着した時には既にかなりの行列になっていましたが、ラーメン店ということで開店も早く、30分も待てば入店できました。
(ここで、長官山で出会った青年と再会し、身体能力の高さに驚きました笑)
噂に聞く焦がし醤油のラーメンは香ばしさの中に昆布の旨みがしっかりと感じられてとても美味で、トッピングでつけられるとろろ昆布を味変で入れるとまた違った味が楽しめ、あっという間に平らげてしまいました。
人気店になるのも頷ける味で、泣く泣く下山した甲斐がありました。
ラーメンを食べてお腹かが膨れたら、海沿いに歩いて少し北上し、なんとなく気になっていた最果ての飲み物「ミルピス」のお店へ。
お店を見た時は「本当にやっているのか」「ここであっているのか」と若干不安になりましたが、続々とお客は来ていて、流れに合わせて入店。穏やかなおばあちゃんが迎え入れてくれました。
目的の「ミルピス」は、カルピスを少し薄くした感じのすっきりとした乳酸菌飲料という感じで、濃い味付けのラーメンを食べて喉が渇いていたこともあり、あっという間に飲み干してしまいました。
あまりにもあっさりと飲み干してしまい、これだけで帰るのはここまで歩いてきたのにもったいないということで、もう一本何か頼んでみようと思い、「利尻昆布のミルピス」なるものを注文。
一口飲んでみると、先ほどのミルピスの風味は薄いながら感じるものの、それを打ち消すほどガツンと昆布の風味が笑
不思議な味わいについ笑ってしまいつつ、初めての味が面白くてこちらもあっという間に飲み干してしまいました。
さすがに三本目を飲むとお腹が膨れそうなので、この辺りで我慢して退店。
ここで沓形ルートを御一緒した男性ともお別れし、せっかくの繋がりだからとFacebookを交換して、またどこかの山での海外を約束して、それぞれその日の宿に向かいました。
色々な出会いとグルメ、そして絶景に出会えて、とても楽しく忘れられない山行になりました。
お天気と、全ての人との出会いに感謝です。
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