黒戸尾根で行く甲斐駒ヶ岳ピストン
- GPS
- 13:06
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 2,836m
- 下り
- 2,838m
コースタイム
- 山行
- 11:32
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 13:07
天候 | 曇り時々霧雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全体的によく整備されていた。帰りは雨で一部ぬかるんでいたところあり。 |
その他周辺情報 | 日帰り温泉尾白の湯、帰りの夕飯は台湾料理福福(韮崎インター近く) |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
最初に、今回参加してくれたメンバーに楽しく怪我無く山行出来たことに感謝です。ありがとうございました。
地元、ランニングチームの仲間と山友のしゅうさんの5人で甲斐駒ヶ岳に登ってきました。
前日の10時に立川を出発し登山口の尾白川渓谷駐車場に翌深夜1時前に到着。2時間程仮眠を取ったあと、怪我予防のため、お決まりのチーム体操を行い身体をほぐし、午前3時すぎに出発、尾白川渓谷沿いの道を数百m進み、竹宇駒ヶ岳神社の鳥居をくぐり、拝殿で安全祈願をしてから、拝殿左側から回り込むように脇道を進み尾白川渓谷にかかる吊橋を渡って山道に入りました。
そこから少しずつ高度を上げ、しばらくすると霧雨が降ってきましたが、体温も上昇していて心地いいのと、樹木の枝葉が山道を覆っていたおかげで、さほど濡れず進めていました。その後、雨粒も大きくなり、このまま進むと汗と雨で衣服も濡れ、高度上昇とともに体温を奪われる恐れもあったため、レインウェアを素早く羽織ました。
そこからしばらく霧雨だったのでタイミングよく、羽織れたのかなあと思います。
ちょっと、今回の山行から、離れた話になりますが
今回のメンバーを紹介すると、山友のしゅうさんは、私の10年以上の山友であり、何でも気兼ねなく話せる良きパートナー。山ではもっとも信頼しあえるパディです。仕事では取引先でもあり、当社の担当なので、商談時は仕事半分、山の話や次回の計画で盛り上がるスタイルとなっております(笑)
おと、三人の方は、普段は地元ランニングチームの仲間で、駅伝の襷をつなぐ仲間です。レースに出れば皆で応援し、その成果を讃えあう良きラン仲間でもあります。普段、ロードで走る仲間ではありますが、年に一回、登山会と称して、私が企画して、行きたいとする有志により実施してきました。今回で4回目になります。初年度は、塔ノ岳、2回目は赤岳、3回目は仙丈ヶ岳でした。毎回、参加するメンバーは私が山の難易度、体力などを考慮して募ります。
あとは、参加する側で、ご自分の身体と相談して決められます。今回、声をかけたメンバーは15名、そのうち都合がつき、行けるとなった4名が参加してくれました。選ぶ山が悪いのか?参加率が低い(笑)
ちなみに甲斐駒ヶ岳、それも日本三大急登と言われる黒戸尾根経由で行く甲斐駒ヶ岳、私自身は今回で2回目となります。1度目は約8年くらい前です。
その時は、山頂で見晴らしもよく、トリッキーなコースでとても楽しかった記憶があります。
それから年も取り前日誕生日を迎えあと3年ほどで還暦という年齢です。黒戸尾根経由で登るとしたら
気力体力的に挑戦出来るのも今回が最後かなあと思って、企画しました。昨年、行ってくれたメンバーからは、私達が気軽に登れるレベルの山を検討してほしいとの事でしたが、私も自分が登りたい山に登りたいので行きたいと思ってくれる有志を募ったら今回のメンバーとなりました。
前置きの話はこの辺にして、本題の感想に戻ります。
今回、天気予報的には、台風が来ていたわけではないが、湿った空気により、雨が振りやすい曇り予報でした。有料のアプリ登山天気では、前日は、午後から雨予報、出発前は一時的に雨で11時頃だったので、曇り空で、霧雨もしくは小雨程度で雨でびしょ濡れになるほどではないと思っていました。でも、出発してから30分〜1時間後に降りはじめた形ですが、フードを被りながら2時間程度降り続けていたと思います。
登れど登れど、晴れ間は見えずでしたが、今ここで雨が落ちることで、晴れ間も見えてくる可能性がある期待感をメンバーに話しながら登って行きました。
5時過ぎになって、周囲が明るくなりご来光が見えるかもしれない期待感で登っていましたが、ところどころで、鳳凰三山の姿が見え、オベリスクが見えたときは、メンバーの高揚感も上がっていました。
結果的にはご来光は見えませんでした。
登山口の標高は770m、甲斐駒ヶ岳の山頂は約2967mですので、標高差が約2200mありますが、登っても登っても、なかなか標高を稼げていない感じがするためか、しきりにメンバーから富士登山のように例えると今何合目くらいですかね? と聞かれてるのが印象的でした。(あまり富士山以外で何合目と例える人が今までいなかったので)
それだけこのコースの行程が長く険しいからなのかなあと思う部分もあります。ヤマレコのアプリで時刻と標高のアナウンスを聞きながら、全然、山頂に近づいている感覚がしないのが辛い。ちょうどこのエリアが八丁登りとはよく言ったものだと、私が登りの一区切りとして一安心出来るポイントが、稜線沿いに出て視界が開けて、他の山々の眺望が見えたときです。周りを見ても山の斜面と視界を遮る木々が続くとなかなか辛いと感じます。
笹の葉が生い茂る単調なルートが続くのもまた同様です。雨もすっかりやんで上空から、朝焼けが見え始めたのが笹ノ平分岐前くらいだったと思いますが
もうすぐ視界が開ける手前で、ちょっと足に乳酸がたまり、きつくなりかけていたところで、小休止して、英気を癒やし、日の出が見えるかもしれない期待感を登る力に変えながらまた、リスタートし
一つ目の難所の刃渡りに差し掛かりました。
刃渡りって表現も嫌な名前、地図にもヤセ尾根とも書いてあるとおり、片側は断崖絶壁、もう片側は斜度40度ほどの一枚岩で急な斜面になっているので鎖が設置されていることや、滑落したら両側とも積雪期や厳冬期だとまず助からない。でも、鎖を掴んで慎重に進めば心配ないことを説明して、みんな難なく通過しました。
その後、刀利天狗という祠や刀剣が複数、祀られているところを通過。修験者の方たちが残してきたものであろう歴史に思いをはせ写真に収めて上を目指します。
そこから無いだろうと思っていた下り行程がしばらく続きます。せっかく高度を稼いで来たのにもったいなあと思いながら五合目小屋跡まで下り、そこからまた、七丈小屋まで上りが続きます。
ここからが、黒戸尾根コースの醍醐味を感じられるコースでした。丸木はしごと鎖場の連続です。
はっきり言って梯子や鎖場が何ヶ所あったか数えきれないくらいあり、両手両足身体全体を使って登るこれこそ登山の醍醐味と言えるコースだと感じられました。隙間だらけの板で作られた頼りなさそうな吊橋や手すりのない30度や40度、90度近い梯子、スリル感を通り越した高度感が半端なく、身の置き方や足の置き場を考えなければならない鎖場の連続で緊張感が連続する大人のアスレチックって感じでした。前回、8年前に体験したときより、年も取り身のこなしが下手になったせいか、今回はより緊張感もまし、一人でもメンバーに怪我人が出ないよう気を配らなければならないリーダーとしての責任感をすごく感じました。一度で2度美味しいとはこのことで、ピストンで下山時にもう一度体験しなければならないことをメンバーみんなが口走りながら進んでいました。特に緊張感を感じた場面は、もしも足を踏み外したら?鎖場で滑って手を離してしまったら?かなりの高度感で大怪我が免れないと感じられるところです。でも、みんな三点支持の基本を忠実に守ってくれて無事に通過できて本当に良かったです。それよりも何よりも我々登山者の安全を第一に考えてくれている七丈小屋のスタッフの方々がいて、山道に気を配り、しっかりと整備してくれているからこそ、安全登山が出来るということをまず持って感謝する次第です。
そうして、やっとのとこ、七丈小屋が見えたときは
みんな安堵の言葉が聞こえ、ここまで水場やトイレが無い事で苦労もしましたけどなんとか小屋にたどり着き、トイレ(200円)をお借りしてから、引き続き上を目指して出発
小屋の上にあるテント場2ヶ所あって、一段目のテン場でテン泊客4〜5張くらい、その上のテン場はゼロでした。今回、トレランで黒戸尾根に挑みましたが、重たいテント装備で黒戸尾根には登るまいと思うくらいきつかったので、果敢に挑まれている人達を見るとリスペクトで頭が下がりました。
小屋の先にも足をかけられるステップが刻み込まれ鎖が設置された岩壁もありました。剣が2本刺さった大きな岩これがあとから調べてわかったんですが烏帽子岩で江戸時代からのものらしい、以前、友人が剣を抜き天に付きあげ後ろ姿を写真で見せてもらったことがあるんですが、この剣ではなかったのか?
どうやって?どこから?登るんだろうと思いをはせながら、また上を目指しました。
メンバーみんなで現在の標高と残りの標高を読み取りながら頂上を仰ぎ見ながら、あれが頂上じゃない?と言いながら、偽ピークなのか?頂上なのか?私の顔の表情で確かめること4度5度はあったんじゃないかな、霧がかった山陰を見て地図で確かめたり、私はなんとなく過去の記憶があったので、顔の表情でみんなの問に答えながら、空気の薄さを感じ標高を上げていきました。しばらくすると正真正銘の山頂が姿を現し、山頂直下の駒ヶ岳神社奥社が左に見え、遠巻きで安全に登れてきたことに感謝のお参りをして、山頂あと1歩というところでは、5人全員で手を繋ぎいっせのせで山頂を踏むことが出来ました。ここまでの予定行程タイムからは20〜30分ほど早く到着できました。
山頂での眺望はなかったけど、みんなが元気に山頂にたどり着けて喜んでいる姿を見て、みんなを引率できて改めて良かったと感じました。
お揃いのチームTシャツで記念撮影をしてお昼休憩
そして、5分ほど目を瞑って横になり休みました。
下山は10時50分スタート
かなり登りで足を使っていましたが、下りとなり、気持ち楽になったせいか、快調に降りて行きました。でも、事故は下りで起こりやすいもの、私がスピードの強弱をつけながらコースタイムを睨みながらみんなを引っ張って下り、行きに体験してきた難所ではより慎重にメンバーに声をかけながら少しずつ標高を下げていきます。みんなで山小屋でコーラを飲もう! コーラでみんなで乾杯をしよう!と話し合っていたおかげで、コーラを楽しみに七丈小屋を一つの目的地にして頑張って下って行けました。
しばらくして小屋にたどり着き、コーラで乾杯しました。私はその場で荷物にしたくないので全部飲みきり、汚いと思いつつゲップを出しまくり(すみません)
20分程休憩したあとまた、リスタートしました。ふたたび、梯子に鎖場の連続でしたが、行きよりも帰りのほうがみんな身のこなしが本当に上手になっていて、三点支持のことを3点倒立?と言い間違えて、やれるもんならやってみろ!(笑)と冗談が飛び出すほど余裕を持ち安心して進むことが出来ました。思うように標高が下がらず、行きで一部下りがあった、これから登りというところで腰掛けて休憩して、15分ほどの上りをなんとか冗談を言い合いながらやりし過ごして、走りやすい山道に出てからは、そこそこのペースで、やっとトレランらしい快調な走りで標高を下げていきました。
途中、急激にエネルギー不足に陥り、実は不覚にもせっかく買ったオニギリを車に忘れてきたため、かなりお腹がすきすぎて力が出ない状態でした。
もう黒戸尾根は二度と来ない最後だなあと思うくらいに無言で飽き飽きしていました。
ストックも出すのが億劫になっていたところに、メンバーがせっかくなら使ったほうがいいんじゃないですか? とザックから取り外してくれ、そこから、気を取り直して下山して予定時間15時38分から遅れること34分の16時12分に登山口の尾白川渓谷駐車場に無事到着することが出来ました。
最後に参加してくれたメンバーに感謝の気持ちを伝えてこの山行を締めくくりました。
最後まで、長文をお読み頂きありがとうございました。
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