焼石連峰 天竺沢
- GPS
- 08:31
- 距離
- 11.3km
- 登り
- 874m
- 下り
- 872m
コースタイム
- 山行
- 8:16
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 8:31
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
北上川水系 尿前川支流 天竺沢 体感3級上 水量少なめ ラバー△ 雪渓なし 魚影あり ■アプローチ 中沼登山口から尿前川へ登山道を30分程歩き尿前川へ入渓。 尿前川本流を45分程下降して天竺沢出合いへ。 ■天竺沢遡行 出合いはゴーロから始まり、ワクワクしながら極悪の天竺沢へ入る。 まず最初に気になったのは滑り。 ゴーロ歩きにも気を使う程ヌメる。そして曇りで寒い。 この沢は条件が揃わないと厳しいのになぁと思っていると、F1登場。 F1 20m2段 グレード自体は+くらいだが、とにかくヌメってめちゃ悪い。一歩一歩タワシで磨き、草と泥を掃除しながら50mザイルを出して慎重に登った。 F2の20m ここは左壁をフリーで登る。この滝が唯一平和な滝だった。 F3 30m 核心 50mザイル 北上山岳会さんの登攀記録が無ければまず取りつかないような滝。 左岸側壁にボルトとスリングあり。これが無ければキツかった。 中間で水流トラバース。滑りがヤバい。右岸のチムニーを攀じり落口はどっかぶりのシャワークライム。 水流トラバースは怖いが、チムニーから落口は難易度は高くない。ただ強い気持ちが必要。 F4 12m F3からツルベ登攀 左岸をヘツリ水流ど真ん中を豪快にシャワークライム。ホールドはあるが、とにかく気持ちで負けるとぶっ飛ばされる。水流を抜ければあとは簡単。 F5 12m×5m2段 50mザイル 水流左を岩壁伝いに直登。取り付きから2mトラバースがいやらしい。あとは岩壁に沿って直上。 2段目はそのままツルベで右岸の岩壁をクラックを利用してトラバース。難しくはない。 F6 50m大滝 右岸ルンゼ巻き フリー 左岸から中間バンドを横断して右岸のルンゼから巻き。 バンド内は叩きつける水圧が強いが、落ち着いて横断すれば難しくない。途中にある大岩のかわしがちょっと緊張する。 ルンゼは上部だけ泥斜面でちょっと悪い。ルンゼを登り切ればすぐ目の前に沢がありトラバースなしで簡単に沢に復帰出来る。 登山道が一番近付いた辺りから右岸の斜面を3分程登れば登山道へ脱渓出来る。 ■下山 登山道を尿前沢を経由して1時間強で下山。 |
写真
装備
個人装備 |
50mザイル ガチャ類 ビバーク装備
|
---|---|
共同装備 |
30mザイル
|
感想
焼石岳の沢は飯豊や朝日とは違った緊張感がある。今回の天竺沢などはかなり身が引き締まる思いでの参加となった。
直近の記録で多少の予習はしてみたモノのやはり実際の滝の前にはほぼ役立たず。一気に秋が深まったような気温の低さとヌメリで登攀グレードがアップした凶悪な滝の数々にすっかりやられてきました。
こんな条件の中臆すること無くバランスで滝を越えていくモーリー氏や軽やかに水流をかわして登っていくヒロシー氏、見ていて惚れ惚れします。そしてボルト設置してくれたtbfさんには心より感謝申し上げます。
「格闘系の沢」
北上山岳会の雪華さんが、この天竺沢をそう表現した。
高い登攀力と、何より強い気持ちが必要。
水と戯れるのではなく、水と闘う沢。
「なるほど、確かに登攀系と云うより格闘系だわ。上手い表現だ。」
それくらい水と闘った1日であった。
この天竺沢は、行く時は絶対に条件が整ってる時と決めていた。
雨が少なく水量が少ない時、晴天で気温が高い時。
この連休は各地で雨予報が続いたが、岩手は然程降っていない。この日も岩手の予報は朝から快晴の予報だった。
連日残暑が続いているので気温も心配はしていなかった。
しかし当日の天気は、濃いガスがかかり霧雨まで降り出す始末。
しかも太陽が出てないせいで寒い。
そして何よりガッカリだったのは滑りが酷かった事だ。
最初のF1を登った時に、これは先が思いやられるぞと心配になった。
唯一救いだったのは、水量が少なめだった事。
これのおかげで、どこが滑っているのか目視で確認出来て、タワシが大活躍する助けになった。
F3の30m滝にあるO川ボルトを目の前で見た時はちょっと感動してしまった。
tbfさんの、絶対この滝を完登してやると云う強い意志が、そのボルトから強く感じられた。
ラストで登った私は、水流トラバースする直前にボルトから支点を外し、自分の長めのスリングをボルトに付いてる赤スリングに潜らせて回収出来るようにしてトラバースに入った。
2歩3歩トラバースに入り、スリングを引いて回収しようと思ったら赤スリングに引っ掛かってしまい、自分のスリングが回収出来なくなってしまった。
上からは、残置でいいよ!と叫ぶ声が聞こえたが、それは出来ないと思った。
せっかくtbfさんが打ち込んだボルトと赤スリング。これはこのまま最低限に留めておきたい。
残置に残置を重ね、スリング継ぎ足しをすればこの後チャレンジする人は登りやすくなるだろう。
ただそれはこの天竺沢には相応しくないと思った。
初心者講習で使われる沢ならまだしも、極悪で知られるこの沢の、しかも核心である滝に長いスリングが垂れていたら興醒めである。
なんとかまたボルトまで登り、今度こそ自分のスリングを回収してようやく安堵。
滑るトラバースをこなして雄叫びを上げながら落口に到達した。
東北の日帰り沢の中ではトップクラスの難易度を誇る天竺沢。
距離は短いので4級は無いと思うが、それぞれがトップを張れる仲間のおかげで無事に遡行出来た喜びと満足度は大きい。
今シーズンは岩手での沢の事故が相次いでいる。
私の仲間や知人も重症を負う事故に遭っている。この連休にも枯松沢で遭難騒ぎがあった。
そんな中、岩手最難と言われる天竺沢遡行は若干の躊躇もあったが、無事に遡行を終えた安堵感は半端なかった。
今シーズンも残り少なくなってきたが、最後まで気を抜かずに楽しみたいと思う。
コメント
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登攀にはあまり不安を感じないのですが、ヌメリは嫌ですね⤵
日程的にも今シーズンは厳しそうなので、来シーズンのお楽しみに取っておきます😁
寒かったです〜😱
震えが止まらなくてアンモ浦の滝を思い出しましたよ笑。
滑りがなくて晴れてれば印象はガラッと変わるでしょうね。
来シーズン期待してます😊
やはりここは暖かい日に行くべき沢ですね。この日は歯の根が合いませんでした。
来シーズンのレポ楽しみにしております。
岩手の沢ヤとしてとっても光栄です。
あの「格闘系」の感じを味わっていただけるなんてめっちゃ親近感ッす!
初めて行ったときは水量が多くて、水圧で息ができない瞬間があったことを思い出します。
あのO川ボルトは伝説になるかもw。
私としては、またぜひ条件が悪い時に行って攻略を楽しんでもらえれば嬉しいです(^^)/。
お二人のおかげで無事遡行する事が出来ました!ありがとうございました🙇
お二人が最初に行ったときの、F5の水流タックルはありませんでしたが、F4のドシャワークライムはマジで笑えました😂
これ以上条件の悪い天竺はちょっと勘弁ですね😅
大満足です✨
tbfさんの、絶対この滝を完登してやると云う強い意志が、そのボルトから強く感じられた。」
素晴らしい文章表現ですね!そう思ってもらえて嬉しいし、こちらこそ感激です。
ありがとうございます。
F3のボルトですが、個人的には人工物を岩に打ち込むのは反対ですが、あのスラブを安全に抜けるには打つしかないと敗退した日から決めていました。本来はトラバースせずにあのまま直上する予定だったので、あの位置に打っています。なお、あのスリングは残置する予定では無かったものです。景観を損ねないためにも次に行く人は回収をお願いしたいです。
あのF3ですが、ボルトからスラブを直上するためにあの位置に打ったのはわかりましたよ。
我々は、あそこから水流右際行けないかと企みましたが、リードのヒロシーが無理との判断でチムニールートとなりました。
あの赤スリングはかなりヘタってきてて、千切れるのも時間の問題かもしれません。回収すれば良かったですね💦
ちなみに、チムニー上部のハーケンと、F5の岩壁伝いの基部にあったハーケンは回収しました。
F3チムニー上部のははかなり古い気がしましたね。抜いたらサビサビで折れました。
F5のハーケンは比較的新しい感じがしましたが。
恐らく来シーズン、どこかの登攀狂が登る予感がしますので、赤スリング回収してくれると思います😁
ただ
最後の「ただ」は間違い。
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