栂海新道 (スタート:栂池、ゴール:親不知海岸)
- GPS
- 73:50
- 距離
- 48.9km
- 登り
- 3,186m
- 下り
- 4,956m
コースタイム
- 山行
- 2:07
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 2:27
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 7:42
- 山行
- 5:49
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 6:40
- 山行
- 6:43
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 7:16
ゴンドラ駅10:43-天狗原11:47-白馬乗鞍岳12:43-白馬大池山荘13:13
9月23日(水)
白馬大池山荘5:05-船越の頭5:46-小蓮華山6:31-三国境7:15-雪倉岳9:15-水平道分岐11:16-朝日小屋12:47
9月24日(木)
朝日小屋4:34-朝日岳4:16-吹上のコル5:48-長栂山6:23-アヤメ平6:55-黒岩平7:50-黒岩山8:23-さわがに山9:43-犬ヶ岳11:07-栂海山荘11:14
9月25日(金)
栂海山荘5:02-黄蓮山5:46-菊石山6:23-下駒ヶ岳6:52-白鳥小屋7:54-シキ割の水場9:00-坂田峠9:42-尻高山10:23-栂見新道登山口12:13-親不知海岸12:25
天候 | 9月22日(火):快晴、ほぼ無風 9月23日(水):晴れ後曇り、微風 9月24日(木):曇り後雨、微風 9月25日(金):雨、ほぼ無風 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
・長野駅から栂池スキー場まで直行のバス利用 ・栂池スキー場のゴンドラとロープウェイ利用 ・栂海新道登山口から入浴施設(まるたん坊)までタクシー利用 ・親不知駅より糸魚川まで在来線利用 ・糸魚川より新幹線利用 |
コース状況/ 危険箇所等 |
全般的に登山道の整備は極めて良く迷いようなところはほとんど見られない。各日で気付いた点を列記しておく。 9月22日:栂池→白馬大池山荘 白馬乗鞍岳の登りに数メートル程度残雪あり。登山者大変多い。 9月23日:白馬大池山荘→小蓮華山→三国境→雪倉岳→水平道→朝日小屋 危険箇所ではないが、雪倉岳から朝日小屋方面には600m程度一気に下る。膝痛持ちにはつらいところ。朝日岳山頂を巻く「水平道」はアップダウン多し。登山者は白馬大池から三国境までは多いが三国境から朝日小屋まではかなり少ない。 9月24日:朝日小屋→朝日岳→吹上のコル→黒岩山→犬ヶ岳→栂海山荘 特に危険箇所なく快適な登山道。栂海山荘までなら樹林帯に入らないので強風の日はつらい。登山者は親不知海岸まで含めて少ない。 9月25日:栂海山荘→白鳥山→坂田峠→尻高山→登山口 栂海山荘から白鳥山までは1200メートル付近のピークが繰り返す。標高差は大きくないので通常の縦走路と考えれば特に問題ないが、夏は標高が低いので暑いだろう。金時坂の頭から坂田峠への坂は急傾斜の連続。スリップ注意。坂田峠を含め、登山口までは3回アスファルト道路と交わる。登山口に近いところに大きな送電鉄塔があり鉄塔の巡視路に誤って入り込まないよう。下山後親不知駅まで移動する場合は交通量が多く大型のトラックも多い国道脇を歩くのはかなり怖い。登山地図にも記載があるがタクシーの利用が適切に思う。 <テント場について> ・白馬大池山荘:整地良し。水は小屋前のタンクから。携帯(ドコモ)は入らず。 ・朝日小屋:整地良し。水は小屋前の水道から直接。携帯(ドコモ)は一瞬使えたが基本的には使用できず。 ・栂海山荘:小屋前のスペースがテント場の模様。水場は小屋にはないので下から担ぐ。携帯(ドコモ)は使用できず。 ・白鳥小屋:小屋周辺で数張り程度。水場は小屋に無いので下から担ぐ。携帯(ドコモ)は未確認。 <水場について> 地図上には多くの水場が掲載されていて、今回実際に利用したのは北又の水場とシキ割りの水場。いずれも水量十分。他、黄蓮の水場と白鳥山の水場は未確認だが登山道から見易いところに案内表示あり。黒岩平の水場は案内を見つけられなかった。沢水か? |
その他周辺情報 | 親不知駅から徒歩10分ほどのまるたん坊にて入浴可 |
写真
感想
以前から狙っていた栂海新道をようやく歩くことができた。想像以上に素晴らしかったが天候には恵まれず、その点が心残りとなった。栂海新道を下って日本海に至る場合、入山口と入山の手段(自家用車か公共交通機関)を検討したが、まず自家用車だとクルマの回収にひどいと1日近くかかってしまい非効率なためこの案はボツとした。入山口は今回利用した栂池スキー場の他に猿倉から白馬岳経由や、五輪尾根経由の蓮華温泉からが考えられるが、連休中の混雑具合や自分の体の状態などを勘案して栂池とした。
9月22日(火)
秋のシルバーウィークはどこも大混雑が予想されたが、こちらは休暇の開始と共に風邪を引いてしまいどこにもでかけられない状態に。数日自宅で安静にしたところようやく出掛けられるまでに回復したため連休後半の22日に出発。3泊4日の予定なので5日分の食料を詰めておいた。いつもなら深夜起床早朝現地着の後に行動開始のパターンが多いが、今回はクルマの回収の面倒さを考慮して鉄道などを利用することに。そのため、栂池スキー場に到着した時点で既に9時30分を過ぎておりゴンドラの乗り場には長い列が。快晴の祝日のため、登山者よりも観光客が圧倒的に多い。連休後半でこの混みようならば前半はもっと凄まじかったに違いない。30分ほど待ってようやく乗車。その後ロープウェイも利用して歩き始められたのは10時40分過ぎだった。自分としては通常有り得ないほどに遅い出発時間。しかも前回の参考から1ヶ月以上のブランクがあるので最初はとにかくとばさずに様子を見る。が、テント泊用の荷物と好天高温に体は付いていかず、ものの15分ほどで足が攣りそうに。幸か不幸か天狗原までは下りの登山者が多く立ち止まる機会も多かったため放っておいてもスローペースに。何とか足攣りは免れ、天狗原を経由して白馬乗鞍岳へ到着。積雪期にはスキーで馴染みのある山だが、無雪期はあまりぱっとしないイメージが強い。周辺にもっと個性のある山々が多いからかもしれない。ここから少し下ると白馬大池が眼下に見え、出発から2.5時間で無事白馬大池山荘に到着。トラブルなく到着でき安堵。受付を済ませるときにペグの利用を求められる。自分がテントを設営するときはペグはほとんど使わず張り綱のみで固定させることが多いので、必要な本数ペグがあるか心配だったが、やはり2本足らずストックなどで代用することに。ここのテント場の利用は初めてだが、整地は完璧で寝心地が大変良い。が、小屋用の発電機がテント場を向いておりこの稼働が止まる午後9時過ぎまでは轟音がテント場に鳴り響く。ちょっと残念。夜になっても好天は変わらず、星がきれいな夜空だったが、放射冷却が効いたためか、大変寒い夕方から翌朝となった。持参した衣服類を全て着ても寒くて、夜中何度も目を覚ますことに。9月後半の北アルプスは晩秋、或いは初冬と呼ぶべきかもしれない。
9月23日(水)
5時出発のために外に出るとフライシートにびっしり霜が降りていた。こうなると払ってもなかなか落ちないので適当に払って防水の袋に入れてパッキングを済ませる。出発準備中は寒さを感じたのでさっさと歩き出すことに。天気は良く歩いている分には風も弱いので寒さをあまり感じないで済んだ。今年の5月にスキーで滑った船越の頭を過ぎて小蓮華山へ到着。朝早い時間帯のため人の姿も少ない。ここから三国境までほぼフラットかと思いきや、三国境の直前で登りになる。このまま白馬岳へ行かない自分にとっては無駄なアルバイトに思われたが他に道もないので観念して登る。白馬岳は近くまで来たのだからピストンしてピークを踏んでおきたかったが、ここから先朝日小屋までは長いルートなので今回は見送ることに。白馬岳から下りてくる登山者の90%以上は小蓮華山方面に進んでいると思われ、雪倉岳朝日岳方向は人の数がガクンと減る。連休最終日で、この日に雪倉岳朝日岳方面を目指すためには休暇が足りない人ほとんどになってしまうのだろう。雪倉岳は5月にスキーに来て以来だが、その時は縦走路の歩きとスキーの併用だったので、例えば鉢ヶ岳のトラバースなどは一瞬で通り過ぎてしまったが、夏道はトラバースとは言え若干のアップダウンはあるのでスキーのように短時間で進むことはできない。最後に避難小屋からの登りをこなして雪倉岳の山頂に到着。ここはいつきても眺望が良い。剱岳も見えた。雪倉岳から朝日小屋のルートは一度歩いたことがあったがあまり記憶に残っていない。標高が2000メートル付近まで下がるので、暑かったことを覚えているくらい。それより今回印象に残ったのは標高差で600メートル下ることだった。以前歩いた時よりもキツク感じられた。季節が秋で暑さも厳しくないのにもかかわらず、である。そして今回この区間で最も印象に残ったのは小桜ヶ原付近であった。正面に朝日岳が見え、周囲の池塘は赤く色付いていて大変良い状態の時に訪問できたようだった。山頂と水平道の分岐で小休止した後迷わずに水平道を進んだが、ここは全然水平でなく「巻き道」くらいの呼び方が適当なように感じられた。ぶつぶつ言いながらも無事朝日小屋に到着。小屋に着く頃にはすっかりガスが上がってきて周囲は見えなくなってしまっていた。幸い雨が降ることはなかったが、前回の訪問時も曇りと雨だったので相性が良くないのかも知れない。テントを乾かしたりして時間をつぶす。お隣のテントは朱鷺色のフライシートで限定モデルらしい。目立つ。そしてこの人も翌日栂海新道を下るということだった。同方向の人がいることで少し安堵。夕方から夜にかけても気温は大きく下がらず比較的暖かな夜だった。防寒着不足としては有り難い。がしかし、それ以上に不足していたのは炊事用のガスで、3泊分の燃料としては心許ない残量しかないように感じられた。炊事は基本湯沸かし程度しかしないものの、湯を沸かさないと食べられないものばかりのため節約で乗り切るしかない。出発前準備の時間は十分あったはずなのに情けない。猛省。
9月24日(木)
4時30分過ぎにテント場を出発。テントは相変わらず湿気ていたが凍っていないだけましだった。登りの途中で徐々に周りが明るくなっていったが日の出が見えるような雰囲気はなくこれはハズレかと思ったが、山頂付近に着いてみると東の方角が良い具合に焼けていた。望外にきれいな日の出を望むことができ、さい先の良いスタートに感じられたが、結局日の光を見ることができたのはこの日もこの翌日もこの時間が最後だった。気温は2000メートルをこす稜線上なので涼しく感じられ、ゴアのジャケットを着たまましばらく歩いたが、途中から体も温まり不要に。吹上のコルを過ぎるといよいよ自分にとって未踏のルートが始まる。天気は曇天でイマイチだが照葉の池、アヤメ平、黒岩平とアルプスらしい景観が続き、写真のためのストップの回数も増えた。コースのアップダウンも少なく歩いていて非常に楽しい。いずれのエリアも紅葉が始まっていて空は曇天なれど木々は赤黄緑と色の変化を楽しむことができた。恐らく花の季節は相当にきれいに違いない。再訪するなら7月かな、などと思いつつ先に進み黒岩山の山頂にて小休止。ここでポツポツ雨が落ちてくるのを感じたがまだ雨脚は弱いので何の対策もせずに先に進む。しかし天候が下り坂なのは確実のようで徐々に雨脚が強まり始めザックカバーのみだったがさわがに山の手前でカッパの上下を着ることに。予報は晴れだったのだが、と恨み言の1つや2つ言いたいが天気の変わりやすい山なので致し方ない。雨が強くなったものの展望は効くのがせめてもの幸いだった。出発から7時間かからずに栂海山荘に到着。登山地図のコースタイムでは次の白鳥小屋まではさらに4時間となっていて、整備万全の栂海新道とは言えこの雨の中進む気になれず今日はここで宿泊に決定。夕方まで外に出たり中に入ったりして天候とにらめっこしたが、どう見ても天気が好転する要素がなく、ラジオで聞いた予報も翌日は曇り時々雨とふて寝したくなるような話ばかり。ガス缶と水の残量から明日の停滞はないとしても、最悪明日中の下山は諦めて1つ先の白鳥小屋までしか進めない可能性も視野に入れ就寝。夜中も時折雨が小屋を叩いていて不安になることしきりだった。
9月25日(金)
朝起きても奇跡的に天候が回復することもなく、5時過ぎに完全雨装備で小屋を出発。昨日少し濡らした装備類はほぼ乾燥させることができたのが幸い。がしかし、この日雨脚の強弱はあっても止むことはほとんどなく、歩き始めて1時間もすると靴の中に浸水し、ゴアのカッパの内側も汗と湿気でびっしょりになってきた。雨が続くとこうなるのは仕方ないと観念して歩く。如何に北アルプスから続いている登山道とは言え、標高が1500メートルを下回るようになるとアルプスの雰囲気は消えて広葉樹林帯歩きの風情となる。栂海山荘から白鳥山までは1200メートル程度のピークがいくつも続くが、思っていた以上にはきつくなく、白鳥小屋のある白鳥山には3時間かからずに到着できた。このくらいだったら昨日ここまで来られたか?とも一瞬思う。小屋の中で雨宿りさせてもらいつつ栄養補給をし出発。この時間帯に一時的に雨が小止みになりガスも晴れてきたがそれも本当に一瞬でその後も雨は断続的に降り続いた。栂海新道を下り始めて特に難所は経験せずに来たが、シキ割の水場を過ぎた後にあった金時坂の急傾斜は雨で濡れて滑ることもあってなかなか難儀だった。急坂を転ばずにこなして坂田峠着。いちどアスファルト道路に出るのがなんと言ったものか。その後、尻高山までは平坦な道が続き標高が下がらず、入道山を過ぎても標高はなかなか下がらない。これは最後に一気に下げるタイプかと思ったらやはりそうだった。途中、樹林が濃くて中々日本海は視界には入らなかったが、国道を走る大型トラックのエンジン音は聞こえたため、ゴールがなかなか見えなくても近付いていることは容易に想像可能だった。最後の最後、大きな鉄塔を2本くぐって細い林道を越えると国道脇に出る。階段を降りて栂海新道登山口の標識が現れる。雨とガスの中体を濡らして歩いてきた甲斐があったが、ここがゴールではない。国道を渡り急な階段を降りて海岸に至る。雨はぽつぽつ降っていてカッパは着たままだが親不知の海外に無事到着。雨の中の行動だったが無事海まで到達でき感無量。次は是非晴れた日に来たい。
この後登山口そばのホテルで日帰り入浴を予定していたが諸事情で利用せず、親不知駅近くの入浴施設までタクシーで行くことに。ひげ面がむさ苦しい以上に、7時間以上雨に打たれてすっかり体が冷えてしまったので風呂に入らないという選択は今回に関しては考えられなかった。
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