エンジントラブルにめげずに歩く常念山脈縦走
- GPS
- 134:38
- 距離
- 37.2km
- 登り
- 4,227m
- 下り
- 2,777m
コースタイム
10/9 大天荘(6:57発)→常念小屋(10:07着、コーヒータイム)→常念岳山頂(2857m・12:36着)→蝶槍(16:45着)→蝶ヶ岳ヒュッテ(15:40着)
10/10 蝶ヶ岳ヒュッテ(7:00?発)→(付近で写真撮影)→蝶ヶ岳山頂(2677m・7:21着)→長塀山(2564m・8:22着)→徳沢(11:01着、昼食)→上高地・河童橋(13:20着、その後タクシーでクルマが回送してある沢渡へ)
天候 | 8日〜9日概ね晴天、10日午後から曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 立ち寄り湯「梓湖畔の湯」 沢渡の地区の一番松本寄りにあります。 http://www.sawando.jp/ |
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
靴下
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
着替え
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
カメラ
ポール
|
---|
感想
10/8 午前4時40頃、中房温泉ロータリー。
エンジンを切るとボンネット付近から盛大に白い水蒸気が立ち昇る。一瞬、「コリャ、ダメだな」と思いました。
異変に気づいたのは関越高速上里SA手前。水温計がH一杯に上昇しており、慌ててSAのガソリンスタンドで見てもらいました。ガソリンスタンドのオジサンの話では冷却水がかなり減っているとの事。「冷却水漏れ」というと車の下をのぞくとポタポタ水が滴っている、という印象ですが、実際にはそこまでいかなくて漏れた冷却水がエンジンの熱で蒸発してしまい、エンジン異常に気付くのが遅れる、というパターンが多いらしい。前回の南ア山行で右リアをへこませてしまい、山レコに「10年落ちの軽4駆、はたしてお金をかけて直すべきかどうか迷うところです」などと書いたのでクルマが機嫌を損ねたのかな?今回の山行は登山口に着く前に大ピンチです。
取りあえずラジエターとリザーブタンク(そんなものがある事も今回初めて知りました)に水を入れて貰い、オジサンの勧めで1本2000円の冷却剤?も2本追加。様子を見ながら次のICで高速を降りる事も考えて本線へ。高速上でクルマが動かなくなったらシャレになりません。ヒヤヒヤものでしたが水温計は安定し普段と変わりなく走行でき、「これならイケる」冷却水が少量漏れているっぽいが、水温計が上昇してくれば水が減ってきているという事だからその時はまた冷却水を補給すればよい。。。安曇野ICを降りてIC近くのガソリンスタンドで給油。エンジンルームの下を覗いてみましたが水が漏っている気配はない。。。
ところが中房温泉到着直前、急坂がたたったのか水温計が急上昇し、冒頭の場面となった次第。
6時には回送業者さんがクルマを引き取りに来る・・・どうする?今回の山行はあきらめるか?ここはクルマで帰る事のみを考えるべきか?最悪の場合、高額なレッカー代(1キロ1万円ぐらいかかるらしい)覚悟しなければならない。。。
6時、回送業者さんが到着。この時には今回の山行を決行する事を決めていました。2日の休暇を取るのに要した労力を考えると中止する気にはなれない。。。幸いな事にエンジンはまだ動くしアイドリング中の水温計は安定している。何回もお願いしている顔なじみの業者さんなので事情を話し、沢渡までの回送中、水温計が上昇するようだったら水を補給するようにお願いしました。
6:42、気持ちを切り替えて中房温泉登山口発。帰りの事は下山してから考えればよい、と思う事に決めました・・・
さて、今回の山行は人の比較的少ない平日に歩く、というのが大きな目的。平日に休みが取りづらいサラリーマンの悲しさ、小屋に泊まる時はいつも混んでいる週末または祝日なので空いている山小屋小屋でゆったりしてみたかった。結果として大天荘はカイコ棚に一人、蝶ヶ岳ヒュッテではカイコ棚に3人でゆったりと過ごす事が出来ました。
混雑が予想される3連休初日の10日には下山したかったので、この日は大天井まで行きたかった。前回の南ア山行と同じく、今回も前夜一睡も出来ず、調子は最悪で燕山荘には12:54着。燕岳往復すると、大天荘に着くのが遅い時間になってしまうと思い、燕岳往復はパス。また来ればいいさね。
風は強かったが天気はよく、あまりの好展望に足が進まず。さらには右足の登山靴が朝からきつく感じられ、前進速度はさらに遅くなりました。今回、中敷を新しいものに替えたのでその影響?大天荘への最後の登りはさらに強くなった風に悩まされました。17:34に大天荘着。
夜、回送業者さんに電話を入れると「走りはじめてからしばらくして水温計があがったので水を補給。その後は沢渡まで問題なく回送できた」との事。まずは一安心です。
翌朝。
当初の予定では槍ヶ岳に向かう予定でしたが、大いに悩みました。
〆鯑、日が傾きかけてから風が強まり、ザックが風にあおられる事があった。今日も風がそこそこ強いとすると岩場歩きが多いっぽい槍ではのんびり歩く事はできないのではないか?
∩笋帽圓辰燭箸靴討癲⊆,瞭の下山に相当時間がかかり、足の遅い私では上高地、沢渡に着くのが夕方になる。自分のクルマのところに帰ってきて、ラジエターを見てみたらすっかり冷却水が漏れてなくなってました、という事もおおいにあり得る。その場合、夕方では対処する時間がなくなる。また、そうでなくても帰路、高速に乗る前にどこかの修理工場でクルマを見て貰う時間が欲しい。
「帰りの事は下山してから考えればよい、と思う事に決めました」とか言っても小人物の悲しさで泰然自若に構えている事なんかムリムリ。。。
主に△陵由からその日の泊まりを蝶ヶ岳ヒュッテとする事にしました。蝶に行けば次の日の上高地への下山を大分早められるハズです。それを決めるのに時間がかかり、大天荘は6:57発。蝶までの行程を考えると時間的余裕はあまりなく、大天井岳山頂もパスして南進します。
クルマの調子で自分の山行がここまで左右されるとは思いませんでした。。。
この日も好天。素晴らしい槍穂連峰の展望にまたしても足は進まず。本当に来てよかった。。。山の神様にただ感謝です。
常念小屋10:07着。コーヒー2杯とミールバーで休憩。常念岳山頂12:36着。ここで蝶ヶ岳ヒュッテに電話を入れる。
常念岳山頂を過ぎて、私と同じく蝶ヶ岳ヒュッテに向かうというテン泊装備の男女ペアに追い抜かれるともう前後に人影はいないようでした。この日一番苦しかった樹林帯のピークの登降をこなし、蝶槍には16:45着。あとはヒュッテまではなだらかな縦走路です。日が傾き、槍穂連峰が次第にシルエットとなっていきます。
薄暮の中、「この時間、縦走路を歩いているのは俺だけだろうな」などと考えながら歩いていると、後ろからいきなり声をかけられ、びっくりしました。なんの気配もなかったので。。。
振り返れば独行女性がいて、なんとこの方は朝7時に燕山荘を出発してここまで来たとの事。7時と言えば私が大天荘を出発した時刻です。。。私が足が遅いこともあるのでしょうが、こういう健脚の方が羨ましい・・・
17:40、蝶ヶ岳ヒュッテ着。夕食の時間はもう終わっていていましたが、小屋の方が食事を用意してくれました。前述の健脚女性と二人で夕食。食事を前に写真を撮って頂きました。
夜、靴の内部を少しでも乾かそうと中敷きをはずすと、この2日間の右足の違和感が判明。なんと右足だけ古い中敷きのうえに新しい中敷きを入れていました。つまり二重敷きです。出発時、中房温泉で靴を履く時に気付くべき事ですが、その時はクルマのボンネットから水蒸気が立ち昇る場面を見た直後だったので相当動揺していたのか、気が付きませんでした。。。
さて、蝶ヶ岳ヒュッテのウリは何と言っても槍穂連峰の展望です。とくに朝はクリアな展望が得られる事が多く、翌朝、小屋の周辺で写真を撮りました。似たような写真ばかりになると思っていてもつい撮ってしまいます。
7:21、蝶ヶ岳山頂発、何度も振り返り、写真を撮りました。8:22、長塀山着。この日は3連休の初日であり、時間とともに登ってくる登山者とすれ違う事が多くなりました。今日の小屋はどこも混むんだろうな。。。
11:01徳沢着、13:20上高地・河童橋着、その後タクシーでクルマが回送してある沢渡へ。
回送業者さんの指定した駐車場に自分のクルマがちゃんと停めてあるのを見るとさすがにホッとしました。
そして、おそるおそるボンネットを開け、ラジエターのキャップをはずして見ると・・・取りあえず冷却水は満水、リザーブタンクも規定量内の水が入っているようです。エンジンルームの下にも水が漏った形跡はありません。つまり、業者さんが水を補給してからは水は漏れていません。エンジンも普通にかかります。やれやれ、最悪の事態は避けられたみたいです。
沢渡大橋に一番近い「梓湖畔の湯」で入浴。駐車場から「梓湖畔の湯」までの短い距離も特にクルマは異常なし。入浴後、安曇野ICにも近い三菱ディーラーの穂高店に電話を入れ、事情を話して整備の予約を取ってもらいました。なんといってもこのまま高速に乗るのはヤバイ感じがする・・・
沢渡の「梓湖畔の湯」から安曇野市穂高の三菱ディーラーまではヒヤヒヤものでしたが、クルマの様子はいつもと変わらず、16:40頃三菱ディーラー穂高店に着。こんなに水温計を見ながらクルマの運転したのは初めてです。
クルマが整備に回ってしまうと、もうやる事はありません。もし、「こんな状態では高速には乗れません。修理には相当時間がかかります」あるいは「エンジンが完全にオシャカになってます。もう廃車にするしかないですね」とか言われたらどうしうよう・・・
三菱ディーラー穂高店からは北ア(常念山脈)の山並みが一望でき、赤く染まりつつある空を背景にシルエットになりつつあります。その中で常念岳の姿は一際目立ち、「昨日はあの山頂にいたんだなぁ」としみじみ思った次第です。
(追記)
三菱の整備の方の話では「ラジエター等からの水漏れはなく、サーモスタットが正常に動かなくなったのが原因のようです」との事。
???
「エンジンの冷却はラジエターで冷やした冷却水をエンジンにウォーターポンプで循環させて行う。しかし、常に水が循環している訳ではなく間にサーモスタットという部品があり、エンジン⇔ラジエターの水の循環を調節している。例えば、冬場の始動時などはエンジンを早く温めるためサーモスタットは閉じており、冷却水はエンジン内だけを循環する為エンジンは早く温まる(いわゆる暖気運転)。逆にエンジンが高温になればサーモスタットは開き、ラジエターで冷やされた冷却水がエンジン側に循環し、エンジンを冷やす。このサーモスタットが何らかの原因でうまく働かなくなり、閉状態のままになってしまっている。その為、冷却水がエンジン内のみを循環する事となり(つまり、常に暖気運転状態)、すぐ高温、オーバーヒートとなってしまう。そして高温になりすぎた冷却水に空気が混じっていると高圧になり、ラジエターキャップ(そういう事を想定して圧を逃がす弁がついているらしいです)などから水蒸気となって外部に漏れ出す。水蒸気すなわち水であるからその分冷却水が減る。今回のように盛大に吹き出せば異常はすぐわかるが、少量であれば気がつかず、冷却水が少しづつ減っている事に気がつかない事が多い」
こういう話だったと思います。多分。
私
「どうすればいいですか?埼玉まで高速に乗って帰る事は無理ですか?」
三菱の方
「不良のサーモスタットをはずせば、エンジン⇔ラジエターの水の循環が強制
的になされる事になります。若干オーバークーリング気味となりますが、高速を
走られるなら問題ないでしょう。それとヒーターが効きにくくなります。」
私
「それでは、それでお願いします。」
今考えれば、サーモスタットを交換すれば良かったのでしょうが、その時はそこまで思いつきませんでした。また、三菱側からそういう話が出なかったのは手持ちのサーモスタットで私のクルマに適合する在庫がなかったからでしょう。なんせ今は廃番となったパジェロ・ミニという車種、エンジン縦置きで2輪走行時はFR、という今どき古めかしい2ドアの軽四駆です。そうそう都合よく部品があるとは思えません。
整備が終わり、三菱の方が取り外したサーモスタットを見せてくれました。「やはり、閉状態のままになっていました」との事。
こんなちっぽけな部品の為に、今回は苦労したのか・・・
突然の飛び込み整備にもかかわらず、迅速に対応してくれた三菱ディーラー穂高店の方にお礼を言い、18:30頃出発。
その後、高速に乗り、姥捨SAでトイレ休憩の為クルマを停めたところ一度水温計がHに近づいてヒヤリとし、再び三菱ディーラー穂高店に電話を入れると「停車した事でラジエターに空気が当たらなくなり、一時的に水温が上昇したのでしょう。7割程度なら許容範囲です。走り始めても水温計が下がらないようでしたら、室内のヒーターを全開にしてみて下さい。そうすればエンジンの熱を若干逃がす事ができます。」との事。
その後、走り始めると三菱さんの言葉どおり水温はみるみる下降し、問題なく走行でき無事に自宅に帰着できました。
今回の山行ではクルマのトラブルに悩まされましたが、無事終える事が出来ました。山の神様、クルマの神様?に感謝です。
そして「家に無事帰るまでが登山である」という言葉は正に至言だな、と感じた次第です。。。。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する